黒戸尾根-甲斐駒ヶ岳-鋸岳-釜無川 日帰り縦走
- GPS
- 12:32
- 距離
- 28.9km
- 登り
- 3,270m
- 下り
- 3,107m
コースタイム
歩行時間11:20+休憩時間1:12=全行程12:32
標準コースタイム20:55、短縮率60%
天候 | 快晴のち晴れ途中ガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
竹駒ヶ岳神社無料駐車場に車を駐車。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
ファイル |
自転車で釜無川ゲートから竹宇駒ヶ岳神社まで走ったときのGPSログ
(更新時刻:2012/10/25 03:51) |
写真
感想
○計画
今年の目標最後は、鋸岳でした。どういうコースを歩こうか自分の技量と相談して考えてました。当初釜無川林道ゲートから第一高点までのピストンと計画していましたが、甲斐駒ヶ岳までの稜線を歩きたいと思うようになり、黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳を経由して、鋸岳の稜線を楽しむことにしました。
釜無川林道ゲートに自転車をデポして竹宇駒ヶ岳神社無料駐車場まで戻ることにします。国道20号線はほぼ下りですので、道の駅白州から駒ヶ岳神社までの登りを頑張るだけですみます。この間の走行時間は休憩を含めて2時間としておきました。
昨年と今年、黒戸尾根を登っていますので、甲斐駒までの登山時間を短縮することも目標としました。過去2回6時間程度でしたので、今回は5時間切り(マラソンの世界ではサブ5と呼ぶそうです)を目指します。
竹宇駒ヶ岳神社から、釜無川林道ゲートまでの標準コースタイムは、20時間55分です。60%として12時間33分。12時間切ることを目標としました。
夕方暗くなるまでに戻るには、駒ヶ岳神社への帰着を17:00、林道ゲートに15:00、歩き始めを3:00としました。甲府自宅から自転車のデポを含め1時間30分として、深夜1:30に自宅出発とします。
情報収集のためにヤマレコの過去の記録を検索すると、日帰りしてる人がいらっしゃいました。大変参考になりました。ありがとうございます。
・2011年10月29日(土) Futaroさん
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-145303.html
・2011年09月23日(金) hiro-tさん
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-135885.html
ヘルメットを持っていくかどうか迷っていたので、クライミング仲間のK師匠にお伺いをたてたところ「いらない」の一言。これは私のレベルを見ての判断でしょうから、心配な方はきちんとした装備が必要だと思います。現に途中ですれ違ったパーティは、ちゃんとヘルメットしてました。
○前日
朝起きてみると間ノ岳と農鳥岳が真っ白になってました。ニュースで甲斐駒ヶ岳が今年初冠雪とのこと。甲斐駒が雪に覆われているのは良しとして、鋸岳稜線が雪ですとソロは危険です。甲斐駒ヶ岳を登るとき、標高2600m地点での雪の状況をみて鋸岳に向かうか、甲斐駒山頂で引き返すかを決めることにします。
雪のある甲斐駒頂上付近は、トレランシューズですと滑って危ないと思いますので、アイゼンを持参することにしました。
○当日
ほぼ予定通り1:40自宅発。釜無川林道ゲートに3:00着。ゲートの看板の柱に自転車をデポして、急いで駒ヶ岳神社に向かいます。道の駅白州でハイドレーションパックに0.5リットル補給しておきました。
駒ヶ岳神社無料駐車場を3:39出発。予定より40分遅れとなりました。
○駒ヶ岳神社〜甲斐駒ヶ岳
歩き始め寒かったのでジャケットを着ていましたが、尾根の急登を登り初めて20分しないうちに暑くなって脱ぎました。丁度刃渡りのところでご来光。雲海の上から真っ赤な太陽が昇ってきました。上空は雲一つ無い青空です。
七丈小屋までハイペースで登りサブ5がいけそうな時間でした。標高2600m付近からボチボチ雪が現れてきました。2700m付近で5cm程度。
かなりはっきりした靴跡が付いており、昨日か今朝誰かが登っているようです。ファーストトラックはいただけませんでした。やがて二人組の年配の方が下りてきました。今朝七丈小屋から往復してきたそうです。好天に恵まれ、にこやかな笑顔のお二人でした。
2900mくらいでは、度々靴の中に雪が入って難儀しました。スパッツ持ってくれば良かったと後悔。この雰囲気なら、甲斐駒からの下りちょっとアイゼンを履けばあとは雪も無いと思われます。
幾分ペースが落ちてきたようで、もう山頂まですぐというところで5時間をオーバーしてしまいました。結局5時間5分で山頂着。雪のせいという言い訳をして、次なるサブ12を目指して頭を切り換えます。
山頂には誰もいませんでした。すぐさま鋸への稜線を見にいくと雪がありません。南向きの稜線のためか、風のせいか分かりませんが、全く問題なしです。山頂直下の下りには積もっていますが、凍ってる様子はありませんでした。
○甲斐駒ヶ岳〜第二高点
甲斐駒で写真を撮りまくり、のんびりしていると、トレイルランナーの方が黒戸尾根をハイペースで登ってきました。既に20分近く滞在していてだいぶ冷えてきたので、彼を待つことなく先に進むことにしました。
下りはじめピンクのテープを頼りに下っていきます。雪で踏み跡が見えないため、あっちこっちウロウロしながらコースを外れないよう下ります。
やがて最初の難所クサリ場です。ちょっと頼りないけど真新しいチェーンが垂れてました。支点を確認して、降りていきます。要所要所に足場があるので、それほどクサリに頼ることなく降りることができました。
甲斐駒山頂から400m程度下降して六合目小屋が左前方に現れました。直進と小屋に下る道の分岐を直進し小屋はパスします。
鞍部から登り返すと三ツ頭に到着。この先登る第二高点、第一高点がよく見えます。振り返れば、甲斐駒からの稜線がきれいに見ることができました。
三ツ頭を下るとすぐ、鳥帽子岳−八丁尾根への分岐が現れます。
稜線を北に巻いて行くと、ピンクのリボンが消失し、踏み跡が不明瞭になりました。戻ると、稜線へ登っていく踏み跡がありました。ここに来るまでも右に誘われるところがありましたので、左側を気にかけながら歩くことをお勧めします。
ピークを一つやり過ごすと、中ノ川乗越が眼下に広がります。急稜な斜面が切れ落ちており、殺伐とした雰囲気が漂ってきます。ガスが北沢峠側からわき上がってきて、視界も悪くなってきました。
中ノ川乗越からザレた急斜面を180mほど登ると第二高点に到着です。風が強く視界も良くありませんでした。
○第二高点〜第一高点
第二高点からちょっと下ったところで一服。ここからが本日の核心部大ギャップになります。
草付きの急斜面を下ること150m、第一高点の案内板からトラバースしていくと、デンジャラスな岩稜が現れます。ガスで前方が全く見えませんでしたが、反対側で下降してくるパーティが居るようです。やたら落石を起こしていて、ヤバそうです。トラバースの部分で待っていると、4人組の学生らしきパーティがやってきました。この先中ノ川乗越から下るそうです。あの調子で落石をおこしながら歩いていては、仲間を巻き添えにしそうでちょっと心配ですが、私は先を急ぎます。
鹿ノ窓まで長いチェーンが延びていましたが、たいした斜度もなく、比較的岩が安定していましたので、登りやすそうなラインをフリーソロして行きました。落ちたら死ぬなぁと思いながらも、こいうスリリングな状況は非日常的でたまりません。
鹿の窓は、もっと縦穴かと想像していましたが、歩いて抜けられるような斜度で残念。ステミングして登れるかなぁなどど思っていたのですが、結構大きな穴でした。
難所を越えホッと一息と思いきや、今度は小ギャップというところに出てきました。北斜面のようで、岩の一部が凍ってました。頼りがいのある太いチェーンに完全に体重をかけて下ってしまいました。ギャップからの登り返しもチェーンがありました。こちらも斜度があり岩が脆そうでしたので、チェーンのお世話になります。
急登をちょっと登り第一高点に到着。360度真っ白。なにも見えませんでした。
○第一高点〜横岳峠
第一高点で記念写真を撮影後、三角点ピークを目指します。三角点ピーク手前の分岐に気がつかず、三角点に到着。ちょっと戻ると分岐を発見、次は横岳峠を目指します。一気に600mほど下ります。コースタイム1時間10分となっていますが、倒木が多く、木の根っこが滑りやすくてスピードが上がりません。唯一の救いは紅葉。とってもきれいで、葉を通した太陽光でトレイルが赤く染まった感じは癒しの空間でした。散り始めた木の葉で赤い絨毯になっていて、立ち止まることもしばしば。
横岳峠まで下ると、ポカポカと暖かく、足を伸ばして休憩です。ポテトチップスをほおばりながら、残りの下りのために体力を回復させました。
○横岳峠〜釜無川林道ゲート
北斜面の下りで、周りは薄暗くなり、トレイルもグニャグニャしていて分かりづらかったです。富士川水源に立ち寄り、水を補給しておきました。七丈小屋で1.5リットルにしたのがほぼ空になっていました。ここの水はおいしかった。土臭さが無く大変飲みやすかったです。
しばし暗い急登を下ると、枯れた沢に出て対岸に渡ります。その後は、沢沿いに下り、ペンキやケルン、ピンクテープなどを見失わないように沢を降りていきます。
別荘風の小屋に出ると登山道は終わり。あとは9kmの林道。目標の12時間まで残り40分を切っていました。ここからは頑張って走ります。
途中橋を渡るとの情報がありましたので、橋を見つけたときに迷わず左岸に渡ったのですが、これは間違え。
残り5kmでタイムオーバー。ならばじゃ12時間30分切りに目標変更。残り4kmの表示からは、アスファルトになり疲労した足に堪えます。アイゼンがなければだいぶ軽くて楽なのになぁと愚痴りつつ悶々と走ります。
4km表示を過ぎた先に対岸に渡る橋が架かっていました。こちらを渡っていったのですが、復旧工事は終わっているようで、橋を渡らなくても良いようです。
ラストスパートするも残り400mほどでタイムアップ。結局12時間32分でゲートに到着しました。大汗かいて全身ビショビショです。デポしておいた自転車は、いたずらされた形跡もなく一安心。治安の悪いところでは、こんな高価な自転車あっという間に盗まれてしまうんでしょうね。
○釜無川林道ゲート〜駒ヶ岳神社
デポしておいたシクロクロスバイクで移動。途中までは砂利道で、砂利が盛ってあるところでハンドルをとられて力が入ります。国道20号に出るまでは、登りもなく快適でした。国道は、4個所程度登りがありますが、緩いのでそれほど足にきません。道の駅白州からの登りは、登る程に勾配が増してきて、駐車場に着く前がいちばん辛かったです。登りの距離が少ないので、足が終わる前に着きましたが、あの勾配が長く続くとノックアウトだと思います。
釜無川林道ゲート16:23−17:00セブンイレブン17:13−17:43駒ヶ岳神社
距離:約21km、走行時間1:07+休憩時間0:13=合計1:20
○食料、水分
ゼリー飲料9個(9個消費)、半固形食料2個(1個消費)、おにぎり1個、ポテトチップス(2/3消費)、干し梅4個(1個消費) 持参。
2リットルハイドレーションパックにミネラルウォータ0.5リットル。七丈小屋で1.5リットル補充、富士川水源で1リットル補充、駐車場到着時点で0.4リットル余り。
自転車での帰りにセブンイレブンで、肉まん、アメリカンドッグ、お茶を購入。
○装備
ザック(24リットル)、ハイドレーションパック(2リットル)、行動食、スマートフォン、充電用リチュウムイオンバッテリ、ハンドタオル、心拍計GPSウオッチ、デジカメ、地図(コピー)、カッターナイフ、車・家・自転車の鍵、熊鈴、靴擦れ保護パッド、ヘッドライト、ポール、キネシオテープ。
トレランシューズ、登山用カーゴパンツ、撥水ノースリーブシャッツ、ドライロングTシャッツ、ウィンドストッパジャケット、指先を切ったイボ付き軍手。
○未使用のもの
ペーパー、ファーストエイドと薬少々、免許証、保険証、ビニール袋、レスキューシート、ゴアテックスレインウェア(上のみ)、10本歯アイゼン、テーピング、お金、予備単三電池1個、防寒手袋。
こんばんは。これはすごい
最後の林道は相当長くかんじたんじゃないでしょうか...
帰りの自転車も含めてお疲れ様でした
qwg01230さんコンバンワです。
黒戸尾根から登り鋸岳を縦走して釜無し川へ下りる周回コース、通常は二泊三日ですが、短縮率60%で日帰り山行とは恐れ入りました。しかも記録用に写真を撮り、休憩してこの時間はどんな歩き方をしているのか驚かりです。
28kmの距離だと通常で時速3km 9時間ちょっとなりますが、山歩きを考えると通常の倍の速度で山を移動している感じですね。しかも帰りは自転車に乗っての移動。感服します。
なんかあまりにすごい記録でピンと来ない感じです。
足も速く、10本歯アイゼンもって甲斐駒には雪もある状況で、、、黒戸尾根5時間5分。
得意の岩場のせいでしょうか
難関の鋸のコースも楽々通過している感じで、、、
このコースでは、合計時間はダントツ新記録でしょうか。
余裕まで感じます。恐れ入りました。
ところで装備品のカッターナイフはどんな使い方するのでしょうか。
qwg01230さん、こんばんは。
ハード&ロングコースお疲れ様でした。
レコを参考にして頂けて光栄です。
それにしても行動時間12時間半は速いですね。
日の短くなったこの時期に余裕の日没前の下山。
恐れ入りました。
このコース、お気に入りのひとつなので
またいつか今度はのんびり歩きます
10時間以上歩かないと、もの足らなくなってきてしまいました。多分歩く病という病ではないかと。
朝、夜明けから歩いて午前中に終わるというのが私的には理想の形なんですが、いつも欲張ってしまいます。
帰りの林道長かったです。家の周りのジョギングですと10km 1時間くらいで気持ちのいい汗がかけるのですが、今回はきつかったです。
kintakunteさんはじめまして。
鋸岳の山行記録拝見しました。真夏の林道歩きが一番しんどかったのではないでしょうか。
当初鋸岳は7月ごろに計画していたのですが、暑い中林道を歩くのは避けたかったので、降雪前のこの時期に狙ってました。
多分真夏と今とでは、楽さが全然違うと思います。
歩くスピードは、それほど速いとは思えないのですが、どうなんでしょう?心拍計の上限アラームをセットして、超えたらペースを落とすようにしてるので、しんどさがないためですかね。
鋸岳は、山梨100名山の中では上級だと皆さんおっしゃいますね。
やばそうなところは、クサリが設置されていますし、テープも豊富に付いていましたので、思った程難度が高くなかったというのは感じました。フリークライミングを20年以上やっているので皆さんの感覚とだいぶずれてしまってるのかもしれません。
ただ、今まで登った山からすると、上級コースだと思います。
カッターナイフは、キネシオテープを切るために持っていくようになりました。予め切っておけば、カッターナイフも不要かと思います。今度からそうしようかな。使っているのは、100円ショップで買った2個入りの丸いのです。
hiro-tさんはじめまして。
同じ日、甲斐駒を登ってたんですね。
しかも五合目の下りのところまで2時間30分は、私より30分早いです。
hiro-tさんなら、甲斐駒山頂5時間余裕で行けますね。
噂によると、世界のヤマケンさんは、登り2時間30分、下り1時間30分で往復するそうです。
せめてその2倍以内で上り下りしたいなぁというのが、次節の目標です。
qwg01230 さん、初めまして。
このレコを読んで、行きたいと思いながらも行けなかった鋸岳行きを決めました。
GPS Log データが、非常に参考になり、三角点ピークや三ツ頭手前でも、全く迷うことなく行け、助かりました。
八の全山日帰りも行かれているのですね。
そのうちと思いながら、歳と共に体力が落ちてゆくばかりで、達成できそうにありません。
長距離レコ、楽しみにしています。
参考にしていただきありがとうございます。
misuzuさんのレコも拝見しました。体調不良にも関わらず12時間切りはさすがです。当初10.5時間を考えていたのもうなずけるペース。羨ましいスピードです。
私は、それほど速く歩けませんが長く歩き続けるのが苦では無いようで、ひたすら日帰りロングトレッキングに燃えてます。
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