北鈴鹿縦走・霊仙山、三国山、御池岳、藤原岳40km


- GPS
- 19:59
- 距離
- 39.5km
- 登り
- 2,964m
- 下り
- 2,988m
コースタイム
- 山行
- 6:35
- 休憩
- 0:57
- 合計
- 7:32
- 山行
- 6:47
- 休憩
- 1:58
- 合計
- 8:45
- 山行
- 3:00
- 休憩
- 0:32
- 合計
- 3:32
天候 | 晴れ、曇、雨、晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
ファイル |
(更新時刻:2020/11/29 06:05)
|
写真
装備
個人装備 |
地下足袋+脚絆
焚き火セット
ノコギリ
弁当
水筒
軍手
ラテルネ
地図磁石
防寒具
雨具
寝袋+カバー
マット
|
---|---|
共同装備 |
タープ
ドームテント1人用
鍋
|
感想
雪もまだない水も冷たい三連休、ほぼ未踏の鈴鹿北部を縦走とした。強気の時間読みではじめ霊仙から御在所までの計画で出たが、ガツガツ行ってもダルい!と、無理ないペースにしたら、藤原岳まででちょうどよかった。石灰岩の特徴的な風景の山は、ふたりとも初めてで新鮮に感激。行ったこと無いけど、スコットランドってこんな感じ?
電車入山電車下山で旅情も満喫、天場は沢ヤの勘で地図を見ればすぐに見当がつく快適な谷。谷と尾根も近く自由なライン取りができて、里から近いのに深山でもあり、良い山域だと思った。
1日目・霊仙山・柏原ルート
名古屋で朝ごはん食べて汽車で入山、理想的だ。滋賀、岐阜、三重県警で、まだコンパスに対応していない三重県警宛に、登山計画書を封筒で柏原駅前ポストに投函する。
今週は11月下旬にしては気温が高い。でも今日から北風が吹いて下がっていくという。終日太陽が低くて、なんだか夕暮れをずっと歩いているようだ。でも日光があるだけありがたい。石灰岩の山の特徴的な風景が初めてで、すごく心に残る。はじめに継子穴(ママコ穴)が強烈。30mの縦穴が空いている。その周りには御嶽山の霊神碑のように墓場のような白い石灰岩が取り囲んでいた。霊仙の山頂付近にはピークがいくつもあるが、風が結構強く、1083.5ピークの山頂に乗って帰る。あまりの強風に、ハイハイしているお姉さんもいた。
今日中に五僧あたりまで進めたいので白谷を下降して、白谷林道を行くことに変更する。沢源頭はどこでも快適に泊まれそう。林道手前の堰堤がいくつもあり、左岸巻道は結構高度感あり。林道はコンクリ舗装されていて、地下足袋にはキツイ。転石が多く車は来られない。最近読んだ本の話など交わしながら歩く。五僧は峠の東側に昔集落があったとのこと。こちら西側にはお墓が二基。枝沢に入って小さな二股の間に幕営適地あり。昔集落の人が炭を焼いたり杉を植えただろう跡がある。火を囲みくつろぎ、スコッチを飲む。随分飲んでしまった。気温が高く寒くない。
2日目・三国岳〜御池岳
4時起きでメシを済ませ5時過ぎにはスタンバイしていたが、全然明るくならず、火を見て待つ。斜面を上り国境稜線に戻る。美濃と近江。この一帯は国境の山脈が一本ではなくて複雑で、しかも畿内からの出口だし、さぞや歴史的に色んな事情の人たちが越えようとしていろんな結末になったんだろうなあ。小さな峠一つ、小さな沢型一つに、などと思いながら三国境を目指す。稜線の道はかなり不明瞭なところもあるが、丁寧な案内板や色テープが充実している。こういうところを時間に追われて歩くと碌なことがない。山頂は三国境。これまで、日本の三国境をいくつ登っただろうということが結構気になり始めた。帰ったら数えてみよう。
鞍掛峠からは人が増えた。下の自動車道からはうるさいエンジン音が絶え間ない。うるさいエンジンの車ほど、峠道が好きなようだ。人もクマもシカも、みんな黙って聞いている。鈴北岳が近づくと、かつて歩いたことのない、石灰岩風景となる。一面の苔、琵琶湖や伊吹山、濃尾平野や御嶽山まで。しかも冬至の低い太陽が陰陽を付けてくれて素晴らしい。遠くの木立をシカが数頭、ゆっくりと逃げていく。樹林限界以上はほぼ石灰岩原野で、鈴北岳は完全に展望のきく良いところ。御池岳までの平地は石灰岩層特有のくぼみがあちこちにあり、面白い。
御池岳から、また天場を探して谷へ。愛知川の源流、真ノ川の源頭あたりも心地よいところだ。一応道記号が山と高原地図にはあるけれど、無かった。水がわき始めるあたりで大きな三本杉のところに炭焼き窯跡があり、100年近く前、ここで人の営みがあったことが伺える。鈴鹿の滋賀側は、20年前にも神崎川源流で見たが、この山の民の忘れ形見が面白い。この泊まり場は、昼ぐらいに地形図をみて見当を付けた。出発前の予定ではどこまで伸ばせるかわからなかったが、地形図で良さそうな泊まり場がすぐに見つかるのも、この山域の良いところだ。谷が浅くて広く、快適だ。
夕方から雨が降り始めたのでタープを張る。快適だ。夜中にすごい風になり、雨もざばざばになった。
3日目・藤原岳越え
8時ころまで雨がしょぼしょぼ降り、完全に出る気をなくす。昨日の夕方は、きょうは明るくなる6時半発で竜ヶ岳あたりまで行こうと話していたが、ゆっくり起きて火を熾してお茶飲んでおモチを焼いたりして10時に出る。雨は8時にやんで日も射した。天場脇の水たまりにイワナが5匹も居てびっくりした。30mほど先の木の枝伝いに、サルが10匹ほど谷を横切っていった。シカの遠吠えがキーンキーンと盛んに聞こえる。ラジオで始まったビートルズ特集を切って出発。10分たらずで稜線に戻り、藤原岳の最高点、天狗岩へ。こっちが最高点なのか、と現地で地図を見て初めて知る。この山域は、山頂がいくつもあって最高点と頂上とがずれる山が結構多い。藤原岳はこっちってことにする。20年前にも登っているし。
山頂で、一人の姉さんとあちこちのルートの話などする。写真も撮ってもらった。
藤原小屋周辺は人も多く、小屋もひと目、中を覗いて、下る。泥が滑って苦労する人が多いようだ。下山となるとスピードが上がり、1時間半足らずで下ってしまった。
三岐線終点の藤原駅は、周りに商店など無し。発車20分前でちょうどよし。硬いきっぷを名古屋まで買う。車両貸し切り。よく晴れた空に、セメント工場、石灰岩採掘岩壁、藤原岳、伊吹山、と次々遠ざかる。富田で近鉄に乗り換えたらすぐに名古屋についた。近いものだ。駅前の地下街でラーメンとビールで打ち上げ。コロナ対応で横並び衝立付き。明るいうちに帰宅して、近所の銭湯に行けた。最終日に余裕があるのって悪くない。無理して縦走距離を伸ばさなくてよかった。また続きをやろう。
「鈴ハイ(鈴鹿ハイキング)」を目指して歩き出したものの、泊まりの大ザック背負って歩ってたのは我々くらいなものだった。
水を携行しない我々は、縦走する稜線から一下りして天場を求めたのだったが、鈴鹿山脈という山は予想以上に素晴らしい幕場を提供呉れた。ここ最近の私の林業での仕事場が鈴鹿山脈北部と同じく石灰岩台地であり、親しみある風景が展開したがやはりこちらは広葉樹主体の自然林であり、流下する沢の源頭は針葉樹人工林のそれとは違って大らかな空間を成しており、お陰で大層快適な夜を過ごした。
柏原駅から歩き出し、ガツガツせずにのんびり歩き、適当な頃合いを見計らって適当に見繕った泊地で宿る。強風下の霊仙岳、三県境の三国岳、苔の道、鈴鹿最高峰・御池岳への庭園風台地、そして藤原岳天狗岩。三岐鉄道の終点・西藤原駅に下山し、鉄道にて帰途に就くという理想的な山行を成せた。
地図が読めて、沢登りの多少の心得があれば自由度の高い登山の適う心地好い山域である。日帰りで登った14年前の霊仙では感じられなかったことである。
今回は途中で終わった鈴鹿山脈の縦走、続きの計画を立てるのが今の愉しみである。既にトレースのある神崎川を絡めて、いずれ柘植駅まで繋ぎたい。布引山地も?
コメント
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ヨネ&マッチャン?でいいよね〜
3日間お疲れ様
今回は、山なんだ?いつも沢が多いから、野営の写真の見たかったです
さすが、ヨネちゃんの写真の腕前は、とても上手なのは毎度なんですが、被写体のまっちゃん、も、尚いいですね
野営の写真は、いずれ忘れた頃にでも。山頂付近は人多かったですが、それ以外は静かで奥深な山域ですね。
イトゥーさん
どうもありがとうございます。イトゥーさんのマップ赤線、イイですね。
Yoneyamaさん、こんにちは。ベルクハイルです。
Yoneyamaさんの山歩きの記録は、写真も良いし、文章も素敵ですネ。
文章の最初のあたりに書いてある「ガツガツ行ってもダルい!」。
私も(年のせいもありますが)、若いころのように「ガツガツ歩く」のではなく、のんびりと山を歩く楽しみが解ってきました。
山歩きは(トレラン大会とかは別として)、他人との競争ではないところが、他のスポーツとは一線を画していますよね。
どれだけ長距離を歩いたか? いくつの山頂に登ったか? ではなく、どれだけ楽しかったか? 、どれだけ山を味わえたか? が重要だなぁと思う今日この頃です。
山がスポーツでない部分は、他者との競争では無いところで、そこが私にはいちばん重要です。誰かと競争だと思うと、イッキにやる気が無くなるのです。人生全般に。
ゆっくり行けば行くほど見えるものが多いと、最近特に思います。
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