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記録ID: 29302
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沢登り
日高山脈

日高山脈・イドンナップ川-イドンナップ岳-ポンイドンナップ川- 春別川左股左沢直登沢-カムイエクウチカウシ山-札内川八の沢

1999年08月08日(日) ~ 1999年08月12日(木)
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まっちゃン その他2人
GPS
104:00
距離
47.5km
登り
3,222m
下り
2,899m
アクセス
コース状況/
危険箇所等
春別川イドンナップ川→ポンイドンナップ川(下降)→カムイエクウチカウシ沢左俣左沢→札内州八の沢(下降) ‌
【年月日】1999/8/8-12
【メンバ】青島靖(チーム野良犬・大阪市立大山岳部OB)、本多和茂(89年入部)、松原憲彦(90年入部)
【行 程】
8月8日出発(8:15)→引き返し(12:00)→BP着(16:15)
8月9日出発(6:30)→イドンナップ岳(12:40-13:40)→BP着(16:30)
8月10日出発(6:50)→春別川本流出合(8:50-9:20)→カムエク沢出合(11:40-12:40)→BP着(13:40)
8月11日出発(5:40)→標高1189m二股(12:45-13:15)→BP着(16:25)
8月12日出発(6:40)→カムイエクウチカウシ山(11:40-13:00)→札内川本流出合(17:00)→七の沢林道終点(18:25)

【記 録】
 青島氏の意向もあって春別川の林道終点から下流部の大函と呼ばれるゴルジュ帯を通過し、困難とされるカムイエクウチカウシ沢左俣を登って、日高山脈の盟主に到達しようという一本筋の通った計画を立てたのだが結果、増水に阻まれ計画の一部変更を余儀なくされた。しかしそのお陰で、イドンナップ岳というオマケが付いた。昨年に引き続き本年も雪渓の無い好条件に恵まれ、直登沢完登という満足な結果が得られた。

* 8月7日・入山
 本多の車で札幌を発ち、帰省客で混雑した新千歳空港で青島氏と合流、静内経由で春別川の上流を目指す。イドンナップ川を渡った橋の奥の広い林道上にてキャンプ。見下ろす春別川は一週間前の大雨の影響が残っており、大函通過は困難を極めそうだ。焚き火してゴロ寝すれば、空には星、星、星。

* 8月8日(快晴)春別川下部、大函探査
 暑さで叩き起こされる。林道はまだ続くが入渓する。増水し、茶色く濁った川を早速の徒渉。時折ロープを使用する徒渉を繰り返して前進するも、大函手前の標高260mにてついに前進不能、敗退を喫する。林道利用で振り出しに戻る。協議の結果、大函には見切りをつけ、イドンナップ岳経由で水量を減じた春別川本流に降り立つこととする。再び車でイドンナップ川の林道を詰め、標高400mまで崩壊林道を辿り、終点にて沈。夏バテするほどのこの書さよ。

* 8月9日(晴れ)イドンナップをいただき
 イドンナップ川は何もない沢。標高900mの手前にちょっとした狭い滝がまとまってあるが、左岸巻いておしまい。上流にはこの狭い滝に堰止められた形でできた、泊まるにもってこいの気持ちの良い天場がある。あとは傾斜のあるゴーロをひたすら詰める。盛りを過ぎたお花畑にはヒグマの掘り返しがいたるところに見受けられる。イドンナップ岳の肩の登山道に当てて山頂まで。ここから眺める力ムエクは、いつもと違ってちょっと格好悪い。北はチロロから南はピリカまで見える。当然‘39は目立つ。ポンイドンナップ川へはピークからダイレクトに降りる。お花畑の急斜面を滑り落ちて行く。西日を背に受けて下降していくと、沢は湧き水を集めてどんどん水嵩を増し、標高800mの二股では結構な水量となる。ここから少し下った右岸からの支流のガレ溜まりを整地してタープを張る。

* 8月10日(快晴)春別川
 更に水量を増していく沢を二時間下れば、懐かしの春別川本流に出合う。二日間に渡る大函の大高巻き完了とも解釈できる。ここから鹿止内沢までは狩場山の小田西川下部を思わせる函状ゴーロ帯で、チャートの赤い岩もちゃんとある。2度の「流され徒渉」で通過。これを抜ければドカーンと能天気な河原に一転する。雲一つ無い青い空に解放感もひとしおだ。ここは良いところなので是非。ナメワッカ沢を分けると水は清冽そのものの流れとなる。カムエク沢に入ってからは美しいナメが散発的に現れるのみで、標高730m二股の先の右岸にて時間は早いが泊まる。

* 8月11日(快晴)カムエク沢を登高
 本山行ハイライトの日。快適なナメやナメ滝がしばらく続く。標高920mに核心の始まりを告げる2段6mハング滝があり、軽く右手を捲く。水流に磨かれた片麻岩の小滝群を、水に抗って登り、へつり、登る。ここまでに水に漬かること数回。10mスラブ状の滝に1ピッチロープを出す。ガクンと左に折れたところに両岸を堅固な岩壁で武装した4mのチョックストウン滝が我々の侵入を阻むかのように立っていた。先人達はここから大きく巻き始めているようだが、泳いで取り付きショルダーすれば登れるぢゃねえか。ザック吊り上げ、後続にはアブミを垂らす。落水の勢いよい5mチョック滝は、右手の隙間に体をねじり込むようにしてずふ濡れになって這い上がる。落水をもろに受けるので、本多が携帯していたプーリーを使用してのザック吊り上げをする。行く手にはアトラクションが続々と待ち受けている。飛び出す8mハング滝は右岸ルンゼよりロープを出して草付きバンドに導かれて落ち口へ。上手いことできている。12m程の滝をトントントンと三つ快適に登れば、両岩壁は更に威圧感を増し、関門の滝を配して標高1189m二股へと導いている。見上げれば右に20m溝状の滝、左に2段に見える50m大滝。まずは関門の滝である直登不能の10mチョックストーン滝を、青島氏の快適な側壁岩登り2ピッチで越える。標高1189m二股は、左沢に掛かる50m大滝を採る(通常ルートは右沢をとるようだ)。捲くのが順当だが、青島氏の「登ってみぃへんか?」でロープ出して登ることにする。左岸の凹角から50m一杯のピッチで外傾テラスまで。2ビッチ目も左岸のジェードル目指してアブミ使って前進するも、後一歩が踏み出せず戻る。ヒョングリ部の水流を跨いで右岸スラブの弱点を縫って何とか登り切る。この2ピッチに3時間程掛かり、時間も時間なので大滝落ち口の岩溜まりで泊まることとする。高度感のあるこの滝の落ちロからは、夕暮れ空に映えるイドンナップ岳が望まれる。本多のザックからビールか出てきた。

* 8月12日(晴れ)・カムエク越え
 今日も晴天。天場上の35m滝は傾斜強く登れず、左岸のブッシュ帯を初めての高巻きで懸垂下降。次の2投20mの滝で初めて残置ハーケンを認める。これの捲きに2ピッチ出すが、左岸滝身にルートの可能性があったか? 降り立ってじきに標高1320mの支沢が入ってきて、核心部は終了。両岸は相変わらずも荒いV字谷だが、中はゴーロでなんでもない。標高1420m二股を右に取り、30mの滝で青島氏がヘキセントリック使用でもう1ピッチ出せば両岸の壁も落ち着きを見せ、後はロープ不要で本当になんでも無くなる。ちょっとしたナメ滝の連続でグングン高度を上げ、軽くブッシュを漕げばカムイエクウチカウシ山直下の稜線に出て、15秒で頂上へ。生憎ガスが沸き上がって主稜線の展望は得られず。さて、下降に採った札内川八の沢だが、よく踏まれて滝の捲道もバッチリのメジャーな沢なのだが、一箇所だけ不明瞭な部分があって要注意だろう。札内川本流出合からは踏み跡を織り交ぜた河原歩きで、工事中の七の沢出合まで。ヒッチハイクで上札内まで出てビール飲んで終了。(松原憲彦・記)
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