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Yamareco

記録ID: 3028422
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
東海

【飛越】三ヶ辻山(1764m)芦倉山(1124m)北平山(1438m)有家ヶ原(1263m)

2021年03月27日(土) [日帰り]
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
13:17
距離
21.1km
登り
1,799m
下り
1,801m
歩くペース
標準
1.11.2
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
12:48
休憩
0:29
合計
13:17
距離 21.1km 登り 1,818m 下り 1,801m
5:08
186
スタート地点
8:14
8:27
78
9:45
9:54
215
13:29
13:36
155
16:11
134
芦倉山
18:25
ゴール地点
●普段ならリベンジ山行は翌年以降に回す私。連続して登ると、状況が分かってるからドキドキ感に欠けてしまう。どちらかと言えばリセットしてストイックに臨みたいタイプ。その方が闘志に火がつく。けれども、今回ばかりは思うところあって、1週あけただけの再チャレンジとなった。

●有家ヶ原にチャリデポして芦倉集落から時計回りするルートも考えましたが、前回同様に有家ヶ原スタートの人力登山に決定。

●この時期、このコースの東尾根からの三ヶ辻攻略は、前爪のある12本爪アイゼンとピッケル必携です。滑落停止の技術と急斜面でのトラバース対応が必要です。単独の場合、ソロ山行に伴うリスクをよく理解して臨む必要があります。

●<重要>三ヶ辻は高峰とは言いがたいのですが、時期やルートによっては、部分的に難易度がアップすることを実感。
過去天気図(気象庁) 2021年03月の天気図
アクセス
さあ、いよいよ!
胸が高鳴る
2021年03月27日 05:14撮影
3/27 5:14
さあ、いよいよ!
胸が高鳴る
登尾の鉄塔尾根に
這い上がる
2021年03月27日 07:07撮影
3/27 7:07
登尾の鉄塔尾根に
這い上がる
白山に見守られて歩く
白山御前峰・大汝・三方岩・七倉・奥長倉
2021年03月27日 07:36撮影
3/27 7:36
白山に見守られて歩く
白山御前峰・大汝・三方岩・七倉・奥長倉
雪解けが先週より進んで
先週より−30cmほど
2021年03月27日 08:20撮影
3/27 8:20
雪解けが先週より進んで
先週より−30cmほど
相変わらず圧倒的な
ブナ街道
会員番号13番
2021年03月27日 09:29撮影
3/27 9:29
相変わらず圧倒的な
ブナ街道
会員番号13番
会員番号14番
2021年03月27日 09:48撮影
3/27 9:48
会員番号14番
北平山でひとやすみ
写してみたのは
スノーシュー・アイゼン・ピッケル装備
2021年03月27日 09:54撮影
3/27 9:54
北平山でひとやすみ
写してみたのは
スノーシュー・アイゼン・ピッケル装備
同じく北平山にて
会員番号15番
2021年03月27日 10:00撮影
3/27 10:00
同じく北平山にて
会員番号15番
1460展望地より
白山の核心部
2021年03月27日 10:16撮影
3/27 10:16
1460展望地より
白山の核心部
猿ヶ馬場・籾糠
2021年03月27日 10:16撮影
3/27 10:16
猿ヶ馬場・籾糠
会員番号16番
2021年03月27日 10:27撮影
3/27 10:27
会員番号16番
1512を越えて
ブナの展示林を歩く
会員番号17番
2021年03月27日 10:51撮影
3/27 10:51
1512を越えて
ブナの展示林を歩く
会員番号17番
北アルプスの展望
槍・笠・奥穂・前穂
2021年03月27日 10:54撮影
3/27 10:54
北アルプスの展望
槍・笠・奥穂・前穂
薬師・黒部五郎・水晶・鷲羽方面
2021年03月27日 10:54撮影
3/27 10:54
薬師・黒部五郎・水晶・鷲羽方面
三ヶ辻東尾根への
ジャンクションピークが見えてくる
2021年03月27日 11:00撮影
3/27 11:00
三ヶ辻東尾根への
ジャンクションピークが見えてくる
雪原のJP
2021年03月27日 11:38撮影
3/27 11:38
雪原のJP
振り返ると
三方崩・奥三方・別山・白山御前峰
2021年03月27日 11:40撮影
3/27 11:40
振り返ると
三方崩・奥三方・別山・白山御前峰
見えた!
1631から
三ヶ辻を正面にとらえた瞬間
2021年03月27日 11:43撮影
3/27 11:43
見えた!
1631から
三ヶ辻を正面にとらえた瞬間
前穂・奥穂・笠・槍・双六・三俣・黒部五郎方面
2021年03月27日 11:43撮影
3/27 11:43
前穂・奥穂・笠・槍・双六・三俣・黒部五郎方面
黒部五郎・水晶・北ノ俣・薬師・立山方面
2021年03月27日 11:43撮影
3/27 11:43
黒部五郎・水晶・北ノ俣・薬師・立山方面
薬師から槍・穂までの大展望
2021年03月27日 11:44撮影
3/27 11:44
薬師から槍・穂までの大展望
剣・立山連峰
2021年03月27日 11:45撮影
3/27 11:45
剣・立山連峰
薬師・立山連峰・剣・白馬
手前に金剛堂山
2021年03月27日 11:47撮影
3/27 11:47
薬師・立山連峰・剣・白馬
手前に金剛堂山
白山北方稜線
仙人窟・シッタカ・笈・大笠・奈良・見越・赤摩木古山・大門
2021年03月27日 11:50撮影
3/27 11:50
白山北方稜線
仙人窟・シッタカ・笈・大笠・奈良・見越・赤摩木古山・大門
1534のコルに向かう道すがら振り返る
2021年03月27日 12:01撮影
3/27 12:01
1534のコルに向かう道すがら振り返る
会員番号18番
2021年03月27日 12:27撮影
3/27 12:27
会員番号18番
雪稜歩き
2021年03月27日 12:31撮影
3/27 12:31
雪稜歩き
さらに高度を上げると
2021年03月27日 12:44撮影
3/27 12:44
さらに高度を上げると
見えてきたっ!
2021年03月27日 12:53撮影
3/27 12:53
見えてきたっ!
うーむ
デカいぞ
雪庇
2021年03月27日 13:01撮影
3/27 13:01
うーむ
デカいぞ
雪庇
足元にクラックも見える
背を遥かに超える雪庇
直下の斜度はチャンピオン・コース並みだ
2021年03月27日 13:04撮影
3/27 13:04
足元にクラックも見える
背を遥かに超える雪庇
直下の斜度はチャンピオン・コース並みだ
写真では高度感やサイズ感が伝わらないけど
対応を誤ると窮地に追い込まれそう
2021年03月27日 13:09撮影
3/27 13:09
写真では高度感やサイズ感が伝わらないけど
対応を誤ると窮地に追い込まれそう
この後さらに急傾斜
しかも
タテにヨコにとクラックが走りはじめる
危険地帯だ
カメラをしまい込む
足元は不安定な雪の急崖
右のトラバースは急斜面で距離も長くて×
そこで左の方向をねらう
剥がれかけた雪面を
だましだまし
トラバースをはじめる
しかし、滑落・崩落の危険が終始つきまとった
やむなく
油汗をかきつつ撤退
(詳細は感想をどうぞ)


2021年03月27日 13:14撮影
3/27 13:14
この後さらに急傾斜
しかも
タテにヨコにとクラックが走りはじめる
危険地帯だ
カメラをしまい込む
足元は不安定な雪の急崖
右のトラバースは急斜面で距離も長くて×
そこで左の方向をねらう
剥がれかけた雪面を
だましだまし
トラバースをはじめる
しかし、滑落・崩落の危険が終始つきまとった
やむなく
油汗をかきつつ撤退
(詳細は感想をどうぞ)


慎重に急崖をクライムダウンして
全層が雪崩れて顔を出したブッシュ帯に降り立つ
2021年03月27日 13:24撮影
3/27 13:24
慎重に急崖をクライムダウンして
全層が雪崩れて顔を出したブッシュ帯に降り立つ
累々たる雪のブロックは冷蔵庫大だ
2021年03月27日 13:30撮影
3/27 13:30
累々たる雪のブロックは冷蔵庫大だ
二つ目の雪崩跡の灌木帯まで移動
段差をかき登り
山頂に這い上がるポイントめざして
右にトラバース
2021年03月27日 13:30撮影
3/27 13:30
二つ目の雪崩跡の灌木帯まで移動
段差をかき登り
山頂に這い上がるポイントめざして
右にトラバース
最後は雪庇の薄い箇所を狙ってしぶとく登る
フィニッシュは雪面にピッケルを打ち込み
マントリングで一気にギャップをクリアした
2021年03月27日 13:39撮影
3/27 13:39
最後は雪庇の薄い箇所を狙ってしぶとく登る
フィニッシュは雪面にピッケルを打ち込み
マントリングで一気にギャップをクリアした
やった!
鳥肌立つほどの感動の波に包まれる
2021年03月27日 13:43撮影
3/27 13:43
やった!
鳥肌立つほどの感動の波に包まれる
人形山・カラモン峰
2021年03月27日 13:47撮影
3/27 13:47
人形山・カラモン峰
御嶽氏・乗鞍嬢
この左には北アルプスの核心部
そして金剛堂山
2021年03月27日 13:48撮影
3/27 13:48
御嶽氏・乗鞍嬢
この左には北アルプスの核心部
そして金剛堂山
下山尾根方向の展望
日照・三方崩・奥三方・別山・白山・仙人窟・笈
この右には延々と続く北方稜線が
スカイラインを作っている
2021年03月27日 13:52撮影
3/27 13:52
下山尾根方向の展望
日照・三方崩・奥三方・別山・白山・仙人窟・笈
この右には延々と続く北方稜線が
スカイラインを作っている
立ち去りがたい気持ちに整理をつけて
下山開始
何度も何度も
振り返る
2021年03月27日 13:53撮影
3/27 13:53
立ち去りがたい気持ちに整理をつけて
下山開始
何度も何度も
振り返る
Goodbye My Love ?♪
2021年03月27日 14:01撮影
3/27 14:01
Goodbye My Love ?♪
会員番号19番
2021年03月27日 14:05撮影
3/27 14:05
会員番号19番
会員番号20番・21番
2021年03月27日 14:09撮影
3/27 14:09
会員番号20番・21番
寒イ日ノ
五人男
2021年03月27日 14:31撮影
3/27 14:31
寒イ日ノ
五人男
南口長正外(ほか)二名
昭和三十二年十二月五日
2021年03月27日 14:54撮影
3/27 14:54
南口長正外(ほか)二名
昭和三十二年十二月五日
会員番号22番
2021年03月27日 15:09撮影
3/27 15:09
会員番号22番
芦倉山
2021年03月27日 16:14撮影
3/27 16:14
芦倉山
ようやく芦倉の集落に降りてきました
充実感に包まれて登山を終えます
読んでいただき
ありがとうございました
2021年03月27日 17:56撮影
3/27 17:56
ようやく芦倉の集落に降りてきました
充実感に包まれて登山を終えます
読んでいただき
ありがとうございました

感想

<有家ヶ原〜北平山〜主稜線>
沢型に詰まった雪を踏みしめて林道をショートカットします。そのまま林道を突っ切って登尾尾根に乗ろうと思っていましたが、灌木がわずらわしそう。そこで一旦は林道を歩き、頃合いを見はからって尾根線に立つ鉄塔へと直登しました。

ミソサザイが美しいソプラノでさえずり、アカゲラは張り切ってトンネル工事中です。この一週間で、春の気配が一気に濃くなった気がします。

まずは有家ヶ原山。先週、私がつけた足跡がまだ残っていて、頬がゆるみます。

さらに高度を上げると、白山とその北方稜線、籾糠山や猿ヶ馬場山、対岸の三ヶ辻山と人形山の存在感がアップしました。続いて北平山を越え、その北東1460m地点の見晴台に立ちました。

仙人窟・シッタカ・笈・大笠・奈良・見越・赤摩木古山・大門・猿ヶ岳がつむぎだすスカイラインは圧倒的。

反時計に視線を動かすと、三方岩・野谷荘司・白山御前・別山・奥三方・三方崩・日照岳・猿ヶ馬場・籾糠・御前・栗ヶ岳。加えて御嶽・乗鞍・焼岳・奥穂・槍・笠・水晶・鷲羽・黒部五郎・薬師のスーパー展望です。

前回の最高到達点1512をあっさり越えると、雪におおわれた広尾根になりました。うっとり気分で、お散歩です。今回の主役、三ヶ辻や人形だけでなく、北アルプスのスター級が勢揃い。おまけに、立山・剣・白馬・雪倉・朝日までがここに集った。目の前には金剛堂山。振り返ると白山がいる。

<主稜線〜三ヶ辻山>
胸を高鳴らせながら1631北峰を越え、コルへ降りる。ここを登り詰めれば、いよいよ三ヶ辻東尾根です。

三ヶ辻の東面を見ながら、攻略のための作戦を練り上げていく。ブロック雪崩の痕が三箇所。まずは正面突破が可能か探りを入れる。徐々に斜度が強まる。足元の雪面に深いクラックがある。雪が自重でスライドした痕跡だ。ヒドゥン・クレバスを踏み抜かないよう全神経を集中させる。

雪壁の直下に立つと、雪庇の大きさがリアルに実感できた。急傾斜で足場の悪い中、背丈をはるかに越える雪庇を乗り越えるのは相当なリスクを伴う。雪庇が崩れれば、雪のブロックともども一気に押し流されてしまう。

氷瀑ならダブルアックスで、アイスクライミングしながらフリーで逃げ切る場面。あるいは、ソロでなければ、フォールラインを避け、アンカーを取ってビレイもできる。

しかし、今日の私は丸腰だ。とすれば次の手は?右か左にトラバースして山頂の一角に這い上がる選択肢はあるのか・・・右方向へのトラバースは30〜40mの距離だ。だが、急斜面のトラバースを強いられる。これは相当量の時間と緊張を伴うだろう。

となると左へのトラバースか・・・距離自体は20m超。その先には、雪庇が薄い区間がある。そのエリアまで、雪庇直下をトラバースできれば、何とか雪壁を掻き登ってフィニッシュに持ち込めそうだ。

Goサインだ。はがれる寸前のクラックの上端に足をかけ、だましだましトラバースをはじめた。けれども、雪庇の崩落の心配が終始つきまとう。しかも、足場が剥落や崩壊する可能性もある。この高度じゃ滑落は後がない・・・徐々に追い込まれていく。

やはり戻ろう。この作戦は失敗だ。油汗をかきかき、クレバスの表に裏にと、少しでも信頼できそうな足場を探す。そしてどうにかスタート地点の雪庇の直下に戻った。

一体どうする?・・・考えた末、足元を崩さないよう、慎重にクライムダウンする。シングルアックスでの雪壁の下降は、神経をすり減らす。

慎重にブッシュ帯まで降りていく。ブロック雪崩れで顔を出した灌木帯だ。冷蔵庫ほどのブロックの弱点をついて、左へ左へ。この時間帯は、気温も上がって雪の状態も不安定だ。全層雪崩を誘発しかねないし、機嫌を損ねたブロックがバランスを崩せば、その下敷きになる。単独行だし、誰がプローブやビーコン、スノスコの三種の神器を持っていると言うのか。

ブロック帯をクリア。二つ目の草付きを渡ったところで壁を直上。さらに今度は右へとトラバースで切り返していく。雪庇の薄い部分にじわりと迫る。仕上げはピッケルをしっかり握って頭上に打ち込み、体重を預けてマントリングで一気に山頂に這い上がった。

<三ヶ辻山〜芦倉山〜芦倉集落>
やった!!身体中の血が沸騰した。全身が鳥肌立つ。最高の展望が僕を出迎える。恋焦がれたこの瞬間。感動の波が幾重にもなって押し寄せる。甘美な時間。そして陶酔のひととき。

いつまでも居座りたい気分に折り合いをつけるのはつらい。しかし、時間も時間だ。泣く泣く、魂の解放区に別れを告げる。

下山尾根は絵に描いたような白銀のパラダイスだ。次々に変貌する人形山やカラモン峰、大滝山の表情が痛快。それだけじゃない。こちらの尾根も見事なブナの回廊が続いた。白山やその衛兵たちに見守られながらの下山。

しかし、楽々下山というわけにはいかない。日照にさらされる時間が多いのか、1167のコルへの下りにして、早くもヤブが顔を出した。雪も途切れ途切れに。

芦倉山は、往路に取った尾根から遠望した通り、もろ通過点っぽい。ヤドリギの尾根になった。キーになるのは、955と778の尾根分岐あたり。ちょいとわずらわしい植林道が続く。最後は鉄塔からの巡視路を利用する。

ここからは雪田が残る下山道となり、たびたび巡視路を見失った。最後の最後まで気が抜けません。

芦倉集落の集落には生活の香りが漂っていました。厳しい寒村の暮らしに揉まれ、たくましい表情の村の人たちの顔を探して、のんびり歩きました。

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