奥秩父(白沢峠・ヤブ沢峠・笠取山・唐松尾山・将監小屋・東仙波・飛龍山・三条の湯)


- GPS
- 303:00
- 距離
- 55.3km
- 登り
- 3,607m
- 下り
- 3,894m
コースタイム
白沢橋10:00−12:50昼食13:10−13:30白沢峠−16:50ヤブ沢峠−17:00笠取山荘
6月1日
笠取小屋5:50−笠取山6:50−7:45水干先の合流(5万図にルート記載無し)−10:00唐松尾山(昼食)10:40−12:00西御殿岩−13:20山ノ神土−14:00将監小屋
2日
将監小屋6:50−(ルートミス)−8:45山ノ神土−10:40東仙波11:20−12:00吹上ノ頭−12:50川又分岐−13:25吹上ノ頭(前回の撤退ポイント検証)−14:20東仙波14:40−15:50山ノ神土−16:10将監小屋
3日
将監小屋4:30−7:50ハゲ岩8:50−9:20北天ノタル(合流待機)13:10−時間不明−三条の湯−水無尾根−三条の湯18:00
4日
三条の湯7:00−9:00後山林道ゲート駐車スペース
天候 | よく晴れた5日間でした。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
山梨市−西沢渓谷行きバス−白沢橋自由乗降下車 後山林道−自家用車−奥多摩駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
(白沢橋−笠取山荘) 特に危険箇所は無し。 砂防(林道終点?)登山道への取り付き部が少々わかりづらいが、右上上方を良く見ると丸太橋が掛かっているのが見える。 踏み跡は薄く少し荒れているが、迷いそうなところはない印象。 古い丸太橋が数箇所あるので、渡る時は一応注意を。 登山道は一部分で、昔は車が通った道なので広い林道歩きです。 (笠取山荘−笠取山−将監小屋) 特化する危険地帯は無し。 唐松尾山付近、露岩帯あり。 西御殿岩の分岐、道標は小さい。 笠取山ピークから水干に向かわない東側への道あり、2万5千図には表記あり。 (山ノ神土−川又分岐) 大幅に手が入ったのか、笹が広範囲に刈られていた。 踏み跡が、非常に明瞭に。 神土−リンノ峰にある水場表記、初めて水が滴っていた。 枯れていると思って、あてにしない方が良し。 西仙波−吹上ノ頭まで、露岩帯が点在。 仙波の岩場は、逆スラブっぽい部分も、ガレているので注意。 (将監小屋−三条の湯) 特に危険な箇所は無し。 大常木山−飛龍山は苔生した原生林あり、ハゲ岩の眺望良し。 (三条の湯−三条ダルミ) 一部ザレ場があり、常に登山道が埋没しているので、通過には注意。 石灰岩の露岩帯あり。 水無尾根の水場は、字の如し?(笑)あてにしない方が良い。 |
写真
感想
今回の登山、最大の目的は3月に秩父湖から奥多摩湖へ抜ける縦走を計画したが、トレースの無い雪山に阻まれ、ルートを見失い撤退したポイントを確認すること。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-276434.html
(参照)
来期の冬山登山に向けて、この検証は大事だと思った。
進入ルートに対して凄く悩んだが、未踏破ルートも歩きたいし、三条の湯へも行きたい事を考え、白沢峠−笠取山−唐松尾山経由の将監小屋・将監小屋−飛龍山への未踏破ルートを選択し4泊5日の山行に決定。
(登山道まで)
同行者は相変わらずのK。
6月3日に師匠が合流し、三重からも唯一の岳友「重さん」が雲取山を踏破したのちに、三条の湯で合流してくる予定。
千葉始発のあずさ3号に乗ったKから「今日は人が多い」と一報。
新宿駅で駅弁を3つ購入し、スーパーあずさ1号を見送ったあと、早々にホームに並ばせたのは愛用のカリマー・クーガー50+25のザック。
盗んでも、さすがに19kgのザックを担いで走れまい。
電車といえば、駅弁だ。
今回は牛タンサンド・鳥・海鮮をチョイス。
正直、牛タンサンドは微妙だった。
列車が到着し、新宿でかなりの客が降りる。
あずさ3号は千葉始発だけに、東京・新宿・立川・八王子とビジネス利用も多いみたい。
しかし金曜だというのに、自分の後ろには長蛇の列。
山梨市駅に着けば、ザックを担いだ客が多いこと多いこと。
市営バスは中型で、急いで列の前に行きたいが・・・荷物が重い。
結局、増発が2台追加。
途中下車は1番バスに乗ってくれと、臨時バスは西沢渓谷直行というので、客の殆どが降りようとする。
列を見て、即座にタクシーへ乗った人がいたが、これは臨時バスに乗った方がリーズナブルだったろう。
結局、途中下車したのは自分たち2人と、他で1人だけだった。
自由乗降区間なのかはわからないが、白沢橋の登山口で降ろしてくれた。
(白沢橋−白沢峠−斉木峠−ヤブ沢峠−笠取山荘)
関東が入梅宣言をし「また、雨か・・・」と思っていたのだが、眩しいばかりの快晴。
登山口には、山作業のおいさん2人。
「これから、笠取かい?」とか言われ、身支度をしながら談笑。
カラッとした晴天だが、正直暑い。
未舗装の林道だがそこは未踏破のルート、ワクワクしながら10時にスタート。
林道だが広葉樹は多く、右側には沢。
ナメ沢の概要もチラホラと、序盤のアプローチには丁度いい感じ。
新緑が非常に眩しく、太陽の光で揚々としている。
○山鳥の愛○
ピックアップする出来事が1つ。
林道の左脇から、いきなり山鳥のメスが。
方羽を引きずるように、道を横切った。
???なんだ???
気にはなったが、とりあえず前進。
すると、どうだ!
山鳥が慌てたように、引き返してくる。
目の前に出ては、右側の山へ誘うように移動。
!!!!!
なるほど。そういうことか。
しかし、自分たちはまっすぐ進まなければいかんのだ。
進んだ僅か先、林道の片隅から逃げ出る雛2匹。
親鳥は必死のアピールで、自分たちの気を引こうとしている。
捕食者たちに、傷ついたフリをしながら自分の姿を晒す。
見事なり、山鳥よ。
林道伝いに、親鳥が地を這うように移動。
きっと彼女は「掛かった!」と思ったのかな?
先の物陰に消え、横目に見たが姿は見えなかった。
してやったり!?
いやぁ・・・愛ですなぁ。
感動&関心しました。(山鳥の愛・終わり)
現在使用されている林道が終わり、苔むした感じの道になる。
花崗岩が見て取れ、沢が所々白く美しい。
登山路の取り付きで、しばし小休止。
道標の先は踏み跡が薄く、急斜面だった。
ここを直登するのか?と一瞬思ったが、よくよく観察してみると右上方に丸太橋が見えた。
今回、本当はピンクテープを持参する予定だったが、相変わらずの「忘れ物王」は健在だった。
コンビニ袋を代用し、取り付き部に標をつけた。
が、予想とは裏腹に、それ以降はテープが多く点在。
いらないゴミを巻きつけているようで、ばつがわるかった。
いくつかの古びた丸太橋、朽ち始めているので通過は注意。
地図には「道狭く荒廃気味」とあるが、近からず遠からず?
丸太橋さえ壊れなければ、特に問題があるとは思えなかった。
道中腹が減ってしまい、登山路の僅かなスペースでKちゃん特大オニギリで昼食。
行動を再開すれば峠が近い雰囲気が漂い始め、白沢峠へ到着。
正面に見える奥山作業道を含めれば、5差路の広い峠だった。
境の尾根道にも薄く踏み跡があるようにも感じたので、進路選別には注意を。
正直、ここで飯が食いたかったと、唸ったが後の祭り。
古いボンネットトラックが1台、今は想像できないが、林業で賑わっていた山なのだろうなぁ。
過去の車道は、今は静寂の道。
樹木の植生も豊かで、緑がまぶしい。
反面、ミズナラも点在し、熊棚や昨年の秋に落とされた枝も確認できる。
ブナの花芽や山菜も食うというが、春先は他に何食っているのやら。
奥山作業道は5万図にも薄い点線で表記されている。
がしかし、白沢峠と奥山作業道表記の2本しか確認できなかった。
朽ちたボンネットトラックが見えた先に、水場発見。
少し進むと、奥山作業道が合流してくる。(ヤブ沢の合流じゃなかったはずですが、間違っていたらすいません)
奥山作業道、南進したら石保戸山に行けそうな感じなんだが、どうなんでしょう?ね。
石保戸山の東には道が表記されているし、ノロカワ頭から指入峠から犬切峠は続いていそうな予感。
斉木峠は、ちょっと分からなかった。
木のベンチとヤブ沢峠を通過すれば、笠取小屋はすぐだ。
17:10笠取小屋到着。
予定より20分早かったが、バスが登山口で降ろしてくれた分、出発は30分早かったので、計画から10分遅れ。
行動時間は地図行程を1.5倍し、1時間を全体の休憩時間に。
計画通りに事が運ばないのが当たり前だったので、山屋さんにとっては鈍亀だが、当社比としては充分すぎる。
やはりトレーニングの成果は、あるのだなぁと思った。
笠取小屋は、貸切。
やはり平日は無人なようで、開放小屋にある料金箱に幕営代を払う。
静かな夕食、就寝は19時だった。
(笠取小屋−笠取山−唐松尾山−将監小屋)
朝の気温は6℃。
寝袋内は暑いくらいで、何度か「暑い〜」と目を覚ました。
起床は4時、出発は5時50分だった。
予定では、仕事疲れを睡眠で充分取る為に、8時出発としていたが充分快眠できた。
Kちゃんはいささか寝つきが悪かったようで、睡眠不足らしい。
ここからも未踏破部分の笠取山から唐松尾山を目指す。
直登中に人の声、振り向けば後方より人が続々と上がってくる。
2組計4人と挨拶を、交わしたが・・・皆本当に足が速い。
トラロープを見て、右に行けば多分「水干」分岐。
2万5千図には表記されているが、多少ショートカットできる道が続く。
石楠花の最盛期が近く、良い時に来たようだ。
岩場が現れ、地図上には下りは注意の文字。
それよりも、唐松尾山直前の急登がキツイ。
唐松尾山は眺望はないが、奥に広いスペースがあったので昼食に。
数組のPTとすれ違う。
西御殿岩分岐を見逃し、行き過ぎそうになるが、分岐で休憩していたPTが教えてくれて助かった。
西御殿岩までは、無理やりつけた道の様相。
細いトラバース道や岩場の登攀もあるので、充分注意したい。
直下の岩場などは、過保護かもしれないがフィックスロープくらい設置しなと事故が起こりそうだ。
事実、ご婦人が下りで四苦八苦していた。
そのご婦人のPT、CLと思しき男性と女性2名のPT。
岩場で苦しんだご婦人、結構疲れてそうだなと思った。
12時を過ぎていて、これから笠取山から下山するというCL。
三ノ瀬辺りから上がって来たのだろうが、非常に心配だった。
岩場で怖いと、なかなか降りることができなかったご婦人。
手を貸してあげた方が?と言ったら、「大丈夫だ!」と男性に一喝されていたので、これ以上何も言えないのだが。
山の神土(やまのかんど?)途中、水が出ていたので冷たい水にありつく。
そして見覚えのある道、14時に将監小屋に到着。
目に映ったのは、テント場のテントの数。
土曜だし、多いとは予想していたので、来る途中にKちゃんといくつあるかな?と話していた。
最終的には、計10張りのテントでした。
小屋泊の方は、20名程度か。
将監のおやっさんは、相変わらず元気そうだ。
さっそく受付を済ませ、ビールを購入。
くぅぅぅ><美味すぎる。
Kちゃんが小屋の丸太橋に、しいたけ発見。
まぁ・・・たしかにどう見ても、しいたけだ。
しいたけだと喜ぶK、まさか食べはしないだろうと思っていたが、その後食べるハメになる。(笑)
テントを設営して、少しすれば隣に1人到着。
見れば、ファイントラックのツェルト供
○山での出会い○
段々畑のような、将監の天場。
上の方に「ヤマレコ」タオルをかざしたテント発見。
声を掛けに行けば、LArcさんと言う方。
QRコード付きの名刺をもらう。
声を掛けられたのは初めてというが、自分もタオルを掲げている人は初めて。
あとでレコを拝見に行ったが、速い速い^^;
あまりゆっくりは話をしませんでしたが、また山で会うような気がしました。
後日知ったのですが、自分たちの上に張ってあったテントは BREITLINGさんというヤマレコユーザーでした。
そしてお隣のツェルトの方。
Y氏は「風の谷」の山行に参加される事があると。
「風の谷」?あの山田哲哉さんのですか?と聞くと、お!知っていますか?と。
そもそも、昨年からこの奥秩父に足を運び続けるきっかけは、以前にも紹介した一冊の書籍が原因。
「奥秩父、山、谷、峠そして人」
その作者が、山田哲哉氏。
彼のせいで、この奥秩父へ足を運ぶ機会が多くなった。
そして奥秩父山系の山々に興味を持ち、秩父に関する書籍も少し読むようになった。
秩父地方の歴史や、狼信仰の話と興味は尽きない。
「明日下山したら、一緒に呑むんですよ」と、Y氏。
得体のしれないしいたけを、一緒に食したのは凄い。
お互いの夕食を交換したり、有意義な会食でした。
決して縁遠からずの方と出会い、話せたのは嬉しかった。(山での出会い終わり)
(将監小屋−東仙波−川又分岐ピストン)
4時起床も、ダラダラと朝食。
7時近くなって、今回の最大の目的へ出発。
しかし、序盤から大ボケをかます。
なぜか黙々と、飛龍山への道を進む。
気付いた時には、1時間が経過していた。
山ノ神土に戻った時には、8時45分だった。
山ノ神土−北ノタル付近までは、特にこの山域の中で好きな場所。
山を越えるたびに、目に映る景色がガラッと変化する。
山ノ神土から少し進んだ場所にある、水場のマーク。(5万図)
その付近に枯れた沢跡があるのだけど、山側に初めて滴る水を見た。
リンノ峰を見れば、直下に黄金に輝く笹の斜面が広がる。
石楠花が見えてくれば、西仙波は近い。
大幅に人の手が入ったのか、笹が広範囲に刈り取られていた。
沢ルートへの紛らわしいテープは撤去され、倒木で道をふさいであった。
西仙波を過ぎれば、石楠花のトンネル。
トンネルを抜けると、正面に東仙波が見える。
植生は変わり、森林限界のような岩場に。
若干逆スラブっぽく、ガレているので登攀は注意。
まるまる太ったウグイスが、鳴いているが下手で笑った。
東仙波へ着けば、眺望が非常に開ける。
笹で埋め尽くされた斜面の下から、耳を澄ませば井戸沢の音が聞こえる。
東側に伸びる仙波尾根、カバアノ頭へも踏み跡が続く。
地図表記では、吹上ノ頭へ続く道は尾根上に見えるが、しつこくテープが巻かれたテープに注意し、尾根の西側へ若干降りるようにトラバースしていく。
岩稜帯の通過もあるので、特に注意して進みたい。
植生はガラッと代わり、朽ちたダケカンバと新たに芽吹いたダケカンバの森となる。
吹上ノ頭を巻き、前回の撤退ポイントに気付かないまま、八百平まで移動。
景色は一変し、苔むした深い森と化す。
Kちゃんの八百平だよ?の声に、もう少し行って見ようと、結局川又分岐まで歩いてしまう。
13時近くだったこともあり、ここで撤収。
戻りながら、当時の記憶を辿る。
●冬季迷走した地点の検証●
帰路、目線が変われば、あっけなくビバーク地点を発見。
白一色だった平に見えていた広場は、緑の葉が視界を狭くしていた。
剥げたガレ場も、木々に緑が付き、様相を変えていた。
本ルートを確認すると、最後に地図・コンパスで特攻したルートをしっかりとなぞっていた。
しかし今も踏み跡は狭いルートは、当時は雪に埋められていて、ただの斜面でしかなかった。
開けた先には、もみと唐松で遮られトンネル状に。
今なら明瞭な踏み跡に、まっすぐ進むことができる。
当時は雪で被われた、閉ざされた空間に見えた。
少し手前、左上に向かうスロープ状に見える幅広の道(に見える)へ歩を進めてしまったのは、容易に想像できた。
しかもその先は、獣道が続いていた。
無雪期に再び足を運び、今更ハッ気付く。
冬季に足を運ぶなら、この時期の目線も雪山で見なければいけないのだと。
師匠はいるが、山岳会にも所属せず。
独学で失敗を糧にやってきたが、こういう発見に気付くのは極めて遅い。
いいんだ、むしろこれがいいんだと。
山の事は、山に教えてもらう。
リスクが高いことは、重々承知。
でも、0から築き上げた1は、自分の財産。
それがベテランには当たり前で、幼稚な事柄であっても。
大事な大事な、自分の冒険なのだから。
帰路は目線を厳冬期に。
開けた場所前後に限って、目印がない。
今は明瞭な踏み跡があるが、踏み跡がない雪の様相を想像すると、はたして歩けただろうか?
岩稜帯への取り付き部、開けたダケカンバ帯。
あの時、あそこで撤退していなかったら、はたして・・・とKと話し合う。
吹上ノ頭と東仙波、地図上では僅かな区間だが、踏破できた可能性はあるが正直、今の時点では自信がない。
だからと言って、GPSを使う気もない。(笑)
偶然ではあったけど、最良の地点で撤退できたのだなぁと思った。
未熟さを再確認し、間違って行ったポイントとルートも確認できた。
山行の目的を達成し、揚々と帰路についた。(冬季迷走地点検証、終了)
テン場へ戻れば、テントは我々の1張りのみ。
日曜からの宿泊だし、予想はしていた。
以外なことに、小屋泊の方が10名ほどいるようでビックリ。
蛙の鳴き声に、その姿を探すが見つからず。
小屋泊の男性に聞いたが、どうやら「タコガエル」という蛙らしい。
和名倉周辺の情報交換をし、しばし談笑。
夕刻に遅れて、テント泊の方が1PT。
男性1名女性2名のPT。
夕食準備に、小屋前の屋根付き休憩小屋を使うような話が聞こえてくる。
昨日に自分も使えるかおやっさんに聞いたが、テント泊は「駄目だよ」と言われていた。
ので、その旨を伝えた。
「聞いてみるよ」というので、それがベストと思ったのだが・・・。
まぁたしかに、テント場が繁盛している時に、俺も俺もと来れば収集がつかない。
そもそも、まだ明るいし風も無い。
外で食ってこその、テント泊だとも言える。
翌日は2時起床の予定だったので、早々に就寝準備。
最後のトイレと思って小屋前を通れば、夕食の準備を進める男性の姿。
「あ、大丈夫でした?」と聞けば、「聞いてない」の返事。
小屋前の扉も開いているし、まぁ・・・今日は容認できる範囲なのだろうな。
聞けば「駄目」と言われるかもだし、そもそも俺が余計な話をしなければ、何も知らずにここで夕食が食えたと思うし。
まぁ、少し嫌な予感がしたので、自分たちは寝るので「おやすみなさい」と言って、そこを後にした。
そして、嫌な予感的中。
宴会の様子が、ヒートアップしてくる。
休憩小屋直下にテントを張っているので、会話がだんだんダイレクトに聞こえてくる。
外はまだ明るく、明日の早立ちはこちらの都合。
これは諦めるしかない。
しかしながら、時間は18時近く。
小屋泊は高齢者もいるようで、もう布団に入っている人もいるだろう。
消灯時間前だし、決して善悪ではないのだが、ようは状況に配慮するかしないかなんだろうなぁと。
昨日は「駄目」と言ったPTがここにいる中、黙認している将監のおやっさんに期待するしかない。
そして、天晴れ!おやっさん。
エスカレートし、大宴会に発展したPTに一喝。
その後は静かな夕暮れが戻り、早々に就寝。
多分ね、騒がなければ、黙認されたままだったんじゃないかなぁ。
(将監小屋−飛龍権現−北天ノタル−三条の湯)
2時に起きた割りに、出発は4時半になってしまった。
飛龍権現までの間、特化する事項が思い浮かばない。
序盤、笹薮帯があり、通過が面倒に感じる場面。
飛龍山が凄く遠くに見えたが、尾根を巻くたびに近くなってくる。
大ダルを過ぎれば、苔と深い緑。
Kちゃんお勧めの区間だ。
道中、僅かではゴーロ帯が点在し、苔を見ることができるがエリアが狭い。
それに比べ、飛龍に取り付いてからハゲ岩手前まで、この深い緑が続く。
前飛龍や北天ノタルから飛龍まで来たならば、時間が許せば大ダルまで降りてみてはどうだろうか?と思う。
後方から1PTの接近を確認し、ハゲ岩での昼食を目指していた自分たちは、抜かれやしないか内心ヒヤヒヤ。
結果的に、このPTはハゲ岩に来なかった。
飛龍付近、ここが1番の場所だと思うのだけどなぁ。
8時前にハゲ岩到着、ここでまったりしたかったから朝食は生卵入りラーメンのみにしてきた。
貸切だと思いきや、先客の気配。
うわっ!と残念な気持ちになるが、ヒョイと顔を覗かせたのは三条のスタッフI氏だった。
サプライズ待ち伏せにビックリ、いやいや嬉しかった。
I氏の朝食は、菓子パンとカップラーメン。
2度目の朝食になる、我々のメニューはアルファ米にTOMIZAWAのにんにくご飯の素。
この日が1番行動時間が長くなると思っていたので、今日の食事は4回。
午後から出発してくるであろう鉄砲隊に合わせて、このまま三条の湯へ下山予定。
食材がそろそろやばいので、時間があれば小屋でカレーでも頼もうと思っていた。
しかしココで、誤算。
オーナーK氏に予定が入り、今日中に下山しなくてはいけないとのこと。
加えて、丹波一の鉄砲の名手が同行してくること。
10時頃には、小屋を出発してくると言う。
この縦走用装備で、追従しなくてはいけないのか・・・。
コースはこの飛龍山へ向かって来ると言うので、北天ノタルで待機しようと進言。
ついでに三条の湯、特性弁当があると言うので、無線で注文してもらった。
北天ノタル到着、小屋から出発の無線も入る。
まだ2時間は待つようだなと思い、テント等の装備を広げて干す。
確認してもらったが、師匠はまだ山小屋に到着していない。
三重からの岳友重さんは、順調に雲取へ向かったようだ。
急いても仕方が無いので、グランドシートを広げ、傘で日よけを作り昼寝を決め込む。
1時間遅れて、師匠が山小屋出発の無線連絡。
100Lザックを担いだ猛者と談笑したり、過ぎ行く時間と空間をまったり過ごす。
時間が許せば、こんな時間をいつまでも過ごしたいものだ。
12時、鉄砲隊合流。
昼食になるが、あれ?自分たちのお弁当は?
小屋でご飯が炊き上がっていなかったらしく、時間が押していたので出発してきたらしい。
若き小屋番さんに聞いたが、あと15分程でできたらしい(笑)
カップヌードルを持ってきてくれたので、これが昼食になった。
I氏がお弁当を分けてくれたが、これが山小屋のお弁当か?と豪華。
テント泊でも注文すれば作ってくれるというので、三条の湯から出発する時は是非頼もうと思った。
しかし、このカップ麺が無かったら、その後の行動に支障が出ただろうと、予定に翻弄された。
オーナーK氏、本当に多忙極まりない中だったようで、それでも鹿狩りの予定を外さないでの決行だったと後で聞き、頭が下がる思いでした。
師匠の合流を待たず、出発準備。
そして、また予定変更。
飛龍に向かわず、三ツ山から狼平を経て三条ダルミへ向かうという。
この重装備で、行程4時間半のコースか(大汗
それに行き先変更は、師匠は知らない。
!ちょっと閃いた。
I氏がここで師匠を待つと言ってくれたが、自分が残ると進言。
幸い、無線機を1台貸してくれた。
師匠がすぐに合流すれば、それはそれ。
鉄砲隊は出発し、自分は空荷でとりあえず孫左ェ門尾根を少し下る。
15分ほど行くが、師匠の姿は見えず。
おし、ここは決行するかと、北天ノタルまで戻った。
無線で山小屋まで下山すると打診、了承される。
16kgくらいまで減ったザック、山小屋へ向かって走り降りた。
途中、師匠と無事合流。
師匠はこのまま追従するというので、無線で一報入れて自分は山小屋へ。
素早く幕営し、サブザックに予備水1Lを入れる。
出発を無線で知らせ、半そで1枚になりトレラン仕様で今度は駆け上がる。
水無尾根手前の開けたタルで、重さんPTと遭遇。
小休止を取り、しばし再会を祝う。
夜の宴会を楽しみに、三条ダルミを目指し出発。
途中、山小屋へ向かうPTと3組ほど遭遇。
鉄砲隊を見ていないが、銃声は2発聞いたと言う。
水無尾根通過中に、下山開始の連絡。
そのまま降りて良いと言われたが、Kちゃんが縦走装備のまま喘いでいるだろうと合流まで上がった。
無事合流し、鹿は2頭捕れたと言う。
その場に居合わせられなかったのは残念でならないが、1番願っていた師匠が合流できていたので良かった。
Kのザックを受け取り、下山開始。
水切れの師匠に、水を補充。
予定が押しているオーナーの速いこと速いこと。
まったく追いつけず、離されていく。
ここまで無理に足を使ったせいか、自分の足が終了。
I氏もキツイようで、ゼリー飲料を渡し、自分も補給。
肉を早く下ろさなくていけないI氏とKちゃんが、先行して降りていく。
駄目だ・・・まったく足が動かん。
付き合ってくれる師匠と、最後尾でやっと小屋までたどり着いた。
●小屋での夜●
オーナーは早々に、肉を少し持ち?下山。
「あとは好きにやってくれ」と。
青岩鍾乳洞へ通行できるように、許可を求めているらしいが、そのための交渉中らしい。
温泉を堪能し、宴会に掛かるがすでの19時半。
道中すれ違う登山者に、新鮮な肉を!と言ってしまっていたので、ばつが悪かったが・・・。
厨房に通され、飯を作れと拝命(大汗
食材を好きに使って良いと、若き小屋番S君に言われるが、どこまでやっていいかわからんので焦る。
I氏がガンガン料理を始める中で、とりあえず鹿肉を焼く。
慣れない鹿肉、以前少しお腹が緩くなったので注意だ。
生で一切れいただき、うぉおおおお!これは美味いと絶叫。
焼き加減は、ミディアムレアだなと、勝手な焼き加減で出していく。
マーボービーフンや炊飯器のご飯。
自分の必殺メニュー、アラビアン焼きそば(サッポロ1番)を出す。
関西のどんべえにも、人気集中。
関東のどんべえより、麺がモチモチしてて美味かった。
持っては来たが、作るのが面倒で残っていた「そば粉」登場。
初蕎麦掻きに挑戦。
出来はイマイチだったが、蕎麦掻きっぽものはできた。
そうこうしているうちに、消灯時間の21時が近づく。
おおーーーっと、俺は何も食べていないぞ(笑
慌てて、残り物を口に運ぶ。
あまり宴会に混ざれなかったが、師匠と重さんペアのゲストが楽しんでいたようで良いか。
こっそりと、テント場の若きペア登山者に焼きたての鹿肉を運んで、営業も?できたし。
短い夜の宴会が終わり、早々に就寝した。(小屋での夜終わり)
翌朝は4時起床。
支度が遅いので、こっそりと撤収準備。
だいたいパッキングも済ませ、朝食準備。
師匠も重さんPTも、起きてきた。
TOMIZAWAの梅ごはんの素、これが持ってきたTOMIZAWA食材で1番美味かった。
挽きたてのコーヒーを師匠が入れてくれて、これが最高に美味かった。
連絡伝達が上手くしていなくて、重さんはテント内で朝食を済ませていた。
もう・・・皆で一緒に食べたかったのに(笑)
全ての準備を終わらせ、小屋での挨拶も済ませ7時に出発。
ここで初めて、今回の山行メンバーが揃って歩く。
後山林道は大幅なな改修工事中で、ダンプや作業者が行きかう。
残り少ない時間で、一生懸命話を紡ぐ。
山から離れたくない気持ちが非常にあったが、それも林道ゲートで終わり。
別れを惜しみ、重さんと別れた。
師匠に奥多摩駅まで送ってもらい、Kちゃんと河辺駅の温泉に。
楽しかったなぁ・・・いや、楽しすぎた山行でした。
●総括●
本来モバゲーで登山日記を執筆していた時は、もっと長文でございました。
基本的に、非常に長文です。
第1に、自身の記録集ですのでご了承ください。
入梅宣言も、どこに行ったのか。
まだまだ踏破していない部分も多いが、甲武信ヶ岳から秩父湖と飛龍山をつなぐ登山路を結構繋いできた。
甲武信ヶ岳の源流は、信濃川・千曲川・荒川と大都市圏を支えてきた。
笠取-雁峠にある、小さな分水嶺も富士川を通り、駿河湾へ。
水干には奥多摩湖へ流れる、最初の一滴が。
鎌倉・江戸幕府時代、この山域を往来していた人の流れ。
秩父民族の最盛期も、あったと聞く。
大和王朝が関東遠征に来た際、秩父の民族はそれを追いやっととも聞いている。
この島国は、仏教伝来以前より、自然を信仰し崇拝してきた。
古くは、縄文時代より、自然信仰があったとも聞く。
平野部が人の住む土地になりえなかった時代、この山域は生活の地として大いに栄えていたのだろう。
仏教が伝来し、それでも衰退しなかった神童。
逆に、明治の仏教廃止に、生き残った仏教思想。
異なる宗教が、住み分けと融合を果たしたのは珍しいのではないか?とも思うし、それが日本人特有の価値観と文化であったのではないだろうか。
家から見える奥武蔵の山々、そこにある慈光寺も室町時代から鎌倉幕府が衰退するまでは、栄えていたと聞く。
こんな歴史におおお!とか思うのは、やはり歳のせいか。(笑
山鳥の愛や目まぐるしく変わる風景、出会いと出来事。
実り深い山行になり、天気に恵まれたのは、お山さんからのご褒美かな?(何の?って話だが)とも。
休暇の消化がヤバイスピードで、レース参加の出費も痛い。
珍しく体を鍛えなおし、Kちゃんに迷惑も掛けなくなってきた。
が、逆に、ペース配分に気を配れない部分も露呈したので、この先注意だとも思った。
とにかく、今年は体を鍛えなおす。
そして来年、1週間を超える縦走登山を数回できたらと。
もっと山へ・・・。
麻薬ですね・・・。
本当に馬鹿長い長文、最後まで読んでくれた人がいたならば、ありがとうございます。
飽きっぽいので、いつまでしっかり書くかは微妙ですが。
何年か後、自分で振り返って、ホッコリできるヤマレコであったらと思っています。
携帯電波:ちょっと忘れてしまったけど。
白沢橋:AU・ドコモ◎
〜白沢峠間も電波状況○な場所あり
笠取山荘付近:悪いです。少し上がるとAU△・ドコモ△。
笠取山:AU○・ドコモ◎
水干:AU○・ドコモ○
唐松尾山:AU△・ドコモ○
西御殿岩:AU○・ドコモ○
将監峠:AU○・ドコモ○
将監小屋AU△・ドコモ△
東仙波:AU○・ドコモ○
ハゲ岩:AU△・ドコモ○
北天ノタル:AU○・ドコモ○
三条の湯:AU×・ドコモ×
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この記録に関連する登山ルート
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kameasiさん、LArcでございます。
楽しく拝見いたしました。
長文大歓迎!もちろんしっかり読ませていただきました。
この4日間で見たもの、起こったこと、出会ったもの、そして、感じたことが網羅されていて、読み手としても引き込まれます。
何年経っても色あせない記録であり記憶、素晴らしいレコです。
「山の事は、山に教えてもらう」この言葉には対自然はもちろんのこと、将監小屋での宴会一喝事件のようにヤマのルール以前に他人に対する配慮や迷惑をかけないものも含まれていると思います。
ヤマでは学ぶことが多く、実に奥が深い意味があることを教えられました。
それと・・・食事が充実していますね♪
私はいつも同じメニューでそろそろ飽きてきたころ。
そういう意味でもこのレコは示唆に富みます。
これからのレコも楽しみにしています。
蝦夷鹿しか食べたこと無いですけど、鹿肉って美味しいんですよね。
5日間の行程で天気に恵まれたのは良かったですね。
将監小屋の宿泊時(6月1日)はテント場は凄く静かだったので熟睡できたのですが、翌日は大変だったようですね・・・
ちなみに私はカリマー大好き人間です
将監小屋の3人組の1人です。
5日間とは豪勢ですね、羨ましいです。
またどこかでお会いできるかもしれませんね。
こちらこそよろしくお願いします。
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