笊ヶ岳 道なき道の偃松尾大黒尾根・ランカン尾根で日帰り周回(這松尾大黒尾根)
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- GPS
- 10:15
- 距離
- 20.7km
- 登り
- 2,737m
- 下り
- 2,736m
コースタイム
歩行時間 13時間54分、行動時間 15時間22分
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
●白石〜吊橋 保川沿いの林道は地形図の歩道終点付近まで続いています。その後短い歩道の後に朽ちた吊橋を渡ります。 ●吊橋〜山の神〜大黒山 尾根への取り付きは明確な踏跡があります。標高950m辺りの作業場跡辺りまでは踏跡が錯綜しており、どれを選ぶか迷いますが、トラバース道を選ぶと死ぬ思いをします。初め取り付きが大変そうでも尾根を行ったほうがいいように感じました。作業場跡より先も不明瞭ながらも踏跡が続いていて比較的登りやすいです。 ●大黒山〜這松尾 踏跡はあるにはありますが、大黒山までと比較すると途端薄くなり、藪漕ぎも必要になってきます。地形図確認できるようにアップダウンが続くので中々標高が稼げず、精神的にも疲れる尾根です。這松尾直下はハイマツ・石楠花が非常に煩いです。 ●這松尾〜笊ヶ岳 一般登山道ですが、這松尾から椹島下降点までは一般登山道にしてはかなり不明瞭に感じました。伝付峠へのルートが使えなくなった今、一般登山道から格下げされる日もそう遠くはないかもしれません。 ●笊ヶ岳〜ランカン尾根〜大金山 ルート上の危険箇所は2261m峰と2125m峰の間のギャップくらい。ここも慎重に北側を巻けばそこまで問題ないでしょう。2125m峰までは踏跡不明瞭箇所も多いですが、そこから先は大金山まで割と明瞭で、テープもところどころ付けられています(テープのみを辿っていけるほどには多くはないです。 ●大金山〜白石 1156m点までは林道が利用できますが、その後はルートを誤ったため分かりません。 |
写真
感想
ただでさえ、キツいことで有名な南ア南部の最強展望台「笊ヶ岳」を愚かなことにも登りも下りもバリエーションルートで行けることに気づいてしまってから、この山行計画は始まりました。しかし、累計標高差3000mに藪漕ぎの中のアップダウン。通常このコースは藪山に慣れた人でも2泊3日は欲しいところでしょう。頑張っても1泊2日。それを日帰りで行こうという無謀な挑戦です。
登り始めてすぐに完全にミスを犯したことに気づきます。明らかに持ってきた水が少なすぎ(1.9L)&携帯(GPS)の充電器を車に忘れてきたことです。この2つが最後の最後で死ぬ思いをすることに繋がります。というか出発が遅い。
登りの大黒山までは標高差1600mありましたが、比較的ラクラクと登っていくことができ、この時点では笊ヶ岳に14時くらいには着けるんでは?という感覚でいました。
しかしこの後が非常にキツかった。這松尾大黒山尾根はアップダウンと軽いですが藪漕ぎが続き、標高も稼げないので、疲れがドンドン溜まっていきます。這松尾直下まで来た時点で既にバテバテでした。この時点でバリエーションルートのみで標高差2000mも稼いだので当たり前といってしまえば当たり前ですが。
這松尾まで来た時点で引き返すか先に進むかで迷います。取り敢えず、縦走路まで出て見ることにしましたが、これが罠でした。縦走路側は藪が酷く、一旦抜けたらもう戻る気にはなれませんでした。いやはや名前の通り恐ろしいハイマツの山です、這松尾。
縦走路は最初やや不明瞭。その後も残雪が一部を覆い隠し不明瞭な状態が続きました。椹島下降点まで来た辺りでやっと明瞭なルートに変わりました。伝付峠〜椹島下降点はこのままどんどん薄くなっていきそうな予感がします。笊ヶ岳まではバテバテでしたが、一般登山道に変わったおかげで何とか登っていくことができました。
笊ヶ岳山頂に飛び出した瞬間に360度の大展望が得られました。非常に感動的です。これはランカン尾根から登ってきた場合に最も大きな感動が得られるでしょう。何しろ笊ヶ岳に出るまでは笊ヶ岳の裏側は殆ど見えることがないのですから・・。
さて展望を楽しんだ後は下山です。下山もバリエーションルートのランカン尾根。小笊付近は藪に覆われていて大変でしたが、その後は割といいペースで進んでいくことができました。しかしアップダウンがそれなりにあったせいで中々標高を落とせないまま、1827m点で日没まで残り1時間となってしまいました。腹ペコですが、食べ物が喉を通りません。圧倒的に水分不足です。ポカリの粉をそのまま飲んだりして何とか繋ぎます。
結局1156m点で日没。ここからははっきりした踏跡があるのではと期待していたのですが、全くありませんで、携帯の電池も残り3%。たまたま電波が入ったので、いざというときに備えて親に今いる場所を連絡しておきました。狙っていた尾根は白石までなだらかに続く尾根ですが、開始早々尾根の選択を誤り、早川中学校の方へ向かう急峻な尾根に入ってしまいました。この時点で携帯の電池2%。この暗闇ではGPSに頼るしかないのですが、残り標高差400mで、電池は後20分程度しか持ちそうにありません。本当に泣きそうになりました。途中で諦めそうにもなりました。何度も崖っぽいところに出て、暗闇の中何度もボロボロ崩れるところを木だけを頼りにトラバースするハメになって、何度も死ぬ思いをしました。幸運なことに携帯の電池が1%のまま標高600m辺りまで持ってくれたため、更にそこからは緩坂に転じ危険箇所もなかったため、日没から1時間45分後、漸く林道らしきところに出ることができました。本当にホッとしました。涙も出ました。そこから県道37号まではすぐでして、すぐそばに自動販売機があったため、途端飲み物を3本買って一気に飲み干しました。そこからは県道を2kmほど歩いて白石へ・・。下山後の温泉は甲府のスーパー銭湯「澄屋」としました。
今回の山行では色々と学ぶところが多かったです。もうこんな山行はしませんが、こういったルートを通ることはします。
笊ヶ岳はやはり個人的には20名山くらいには入るであろう素晴らしい山です。これだけ感動的な山は中々ないでしょう。今回も感動とともに色々なものを僕に与えてくれました。生きて下山できてよかったです。
コメント
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Evergreenさん、こんにちは。
笊ヶ岳山頂からの、聖・赤石・悪沢はじめ南アの山々の展望はほんとうに素晴らしいですね。
それにしても、一般ルートでも厳しい笊ヶ岳をバリエーションで登るとは驚き。
しかも登り下りを別のルートで周回とは...凄すぎです。
お疲れ様でした。
k_shimagさん
完全に返信を忘れていました・・。若気の至りというやつですね。笊ヶ岳はとても好きな山なので色々とこだわりがありましたw
Evergreenさん、お疲れ様でした。
とっても面白そうなルートで、早速お気に入りに登録させてもらいました
ただこの様なルートを取るときは、もう少し早い時間に出発した方が良いですね。それからエスケープルートと撤退時間も決めておいた方が良いでしょう。このルートなら、エスケープルートは同じ道を引き返すになるでしょうが。。。
Futaroさん
同じく完全に返信を忘れていました。
Futaroさんであれば、深夜発として白石から直接の尾根で大黒山を上がり、大黒山辺りで日の出を迎えれば日帰りは十分可能だと思います。むしろ吊橋を渡っている例はかなり稀ですね。こちらはかつての大武刀尾根取り付きまでのトラバース道とも重複するので踏跡がかなり明瞭という利点はありますが・・。
笊ヶ岳を登りたすぎて我を忘れました、というより往路の尾根取り付き辺りを下りで通りたくなかったというのがありますね。這松尾時点では這松尾の水場で水を補給して最悪ビバークという選択肢を考えていましたが(流石に幕営装備は持参していました)、いつの間にか水場を通りすぎてしまいこんな結果に・・。まぁ最初の充電器を忘れた辺りで中止しなかったのが一番のミスでしょうね。
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