【広河内岳南西尾根〜大井川東俣〜三峰岳〜新蛇抜尾根〜池ノ沢】
- GPS
- 30:41
- 距離
- 46.3km
- 登り
- 4,770m
- 下り
- 4,747m
コースタイム
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 2:42
- 合計
- 12:52
- 山行
- 9:49
- 休憩
- 0:32
- 合計
- 10:21
天候 | ・1日目→快晴 ・2日目→快晴 ・3日目→快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
◎広河内岳南西尾根 永野さんの藪山賛歌に紹介されているルート。 広河内岳から砂礫とハイマツ混じりの準平原地形と言われる広く雄大な地形が続く。ここは幕営地として最高の場所となるでしょう。 砂礫地の緩斜面から急斜面に入るとハイマツ帯になりハイマツ漕ぎを楽しめます。 樹林帯に入ると石楠花・シラビソの藪になりRFで全てを回避する事は難しい感じ。 尾根が大きくのっぺりしておりRFは難しいのでGPSの使用をお勧めしますが、対岸の雪投沢が良い目安になります。 ◎大井川東俣 危険箇所の無い河原歩き。 延々と長い河原を歩き、大井川最初の一滴を求めて遡行して三峰岳〜間ノ岳の稜線に登ります。 渓相・森林限界を越えてからの展望は素晴らしくオススメ。 ◎新蛇抜尾根 このルートも永野さんの藪山賛歌に紹介されているルート。仙塩尾根稜線から東俣まで1時間足らずで行ける便利なルート。 昔は登山道があったようでルート下部は明瞭な道、マーキングが残っていた。 上部は荒れた印象でルートをトレースする事は難しいように感じたので尾根を外さない事だけ注意して藪に突っ込んだら傷だらけになった。 ◎池ノ沢 こちらも過去に道があったルート。 池ノ沢池までは右岸にルートがあったようですが現在は半分以上消失している。倒木が多く面倒な沢。 池ノ沢池は年々小さくなっているという噂を耳にした事がありますが恐らくガセ。小さくなる要素が無い。 池ノ沢池より上部は沢沿いに比較的踏み跡明瞭な道があります。 |
写真
感想
先週、いや昨年から悪天候で延期していた「大井川東俣源流の旅」
今回は3日連続の快晴!今年1番の夏山を大満喫させてもらいました。
コースは1日目に大門沢を登り広河内岳南西尾根で池ノ沢出合で幕営。
2日目に大井川東俣を詰め三峰岳〜熊ノ平小屋〜新蛇抜尾根〜池ノ沢出合幕営。
3日目に池ノ沢遡行〜広河内岳〜大門沢という変則周回コース。
◎1日目
ほぼ予定通りにスタートして大門沢下降点を目指します。
本日のザックの重量は自宅で水抜き状態で17kg。
メンバーは男性は全員サブ3(2人は某国内100mileビッグレース入賞)、女性1名はロードバイクで有名なヒルクライムレースで優勝歴有りとハイスペックメンバー。
私は完全にスペック不足。空荷で歩きたい気分です。
メンバーの体力とザックの重量を考慮してCT比70〜80%で計画を組みましたが大門沢下降点で計測すると70%弱。 色々な意味で流石です。
天候は澄んだ快晴で下降点から見る東側は見事な雲海。富士山も顔を出していました。
ここから広河内岳へ登り初日のお楽しみ南西尾根を下ります。
永野さんの本で書かれていた通りの地形で尾根に乗っているのを忘れてしまうほどの平原台地で、ここで幕営したくなる気持ちは分かります。
斜面に入るとハイマツ帯。下りという事もありそこまで苦労なく通過。
2650m付近でハイマツは終わりシラビソの藪に変わり、こちらの方が苦労した印象ですが、後ろは笑いながら歩き楽しんでいるようで一安心。
尾根はのっぺりして下降方向の特定は難しいものの、歩き慣れた感じの藪尾根でサクサク進み池ノ沢出合から200m上流に着地。
出合付近はふかふかの草地で2日間の幕営地はここに決定!
直ぐにシェフがたい焼きと挽きたてコーヒー出してくれたのでゆっくりしてからタープを設営。
暗くなるまで雪投沢・東俣をぶらぶら散策してお楽しみの絶品晩御飯!みんなで焚き火を囲み美味しいお酒を飲みながら楽しみました。
◎2日目
今日も快晴。 今日はトレランザックでの行動。
朝食とモーニングコーヒーを飲み、いよいよ大井川の最初の1滴を求め東俣を詰める。
右岸に残る林道跡も消失著しく河原メインに歩き、滝ノ沢出合・魚止ノ滝・乗越沢出合を越え三国沢に入ると沢が明るくなり前方に間ノ岳〜三峰岳の稜線が姿を現し気持ちが高まる。
横断道手前で一旦水が切れたので、ここで源流素麺。 やはり源流には素麺が1番だ!
横断道に出ると上に水流が確認出来たので最初の一滴を求め稜線に向けて遡行。
結局2800m辺りで最初の1滴を確認。自分の住む地域の生活水の源を見る事が出来たのは感慨深かった。
その先稜線まではガレガレ、ザレザレの斜面で歩き難い地形。
稜線に出ると北に白い甲斐駒ヶ岳、東上に間ノ岳、西は農鳥岳、歩いてきた大井川東俣、塩見岳、西の眼下には三峰岳。まさに絶景でした。
ここから三峰岳まで走り景色を見ながら休憩。
スマホの電波が入るようなのでヤマテンを見ようと機内モード解除したら、山の知人達から師匠の訃報の連絡が入っていた。
あまりのショックに気が動転してしまい、走って下山して静岡に帰ろうか?と本気で考えてしまいました。
この時手にしていたのは鯛焼き。初めてone–hunter先生と歩いた時に頂いたのも鯛焼き。
山では常に冷静に。山頂で連絡するべき人に連絡して先に行ってもらった友人達を追いかけた。
熊ノ平小屋で友人達が待っていてくれたので、ここからはトレイルラン!
一流トレイルランナーにはとても敵わないけど、ひさしぶりに苦しくなるほど走る事が気持ち良かった。
新蛇抜山から新蛇抜尾根で東俣へ下降。
上部は藪・倒木でルートを確認出来ず。どんな感じにルートが有るのか分からないけど忠実に追う事は難しい印象。
過去に道があったという事で少し甘く見ていたので脚は傷だらけで自業自得。
それでも下部はルートが明瞭に残っていたので走って東俣に着地。
この日も幕営地で美味しいご飯を食べながら、いつもより多くお酒を呑み頭が痛くなって早めに寝てしまいました。
河原で寝ながら見た星空がとても綺麗で息子達に見せたい!と思った事だけ覚えている。
◎3日目
今日も快晴。
最終日は池ノ沢を詰め大門沢で下山。
美味しい炊き込みご飯を食べて出発!
数年前に歩いた時と同じく倒木の多い沢で遡行が面倒臭い。
とは言え池ノ沢池はどこまでも澄んだ水を湛え、苦労して詰める価値のある場所だと再認識。
ここからは道が良いので(一般ルートよりは悪い)気楽に進み広河内岳〜大門沢下降点で南アルプスの大展望も見納め。
しかし、楽しみはまだ終わらない!
シェフと一緒にデカザックでトレイルラン。下降点〜大門沢小屋が50分弱、大門沢小屋〜ゲート前の河原まで1時間10分。 最後はトレーニングを楽しんで〆られるなんて最後まで最高過ぎた!
※私にとって、とても大きな存在であったone–hunter先生が旅立たれました。
私達に多くのものを残された偉大な先生から『次世代のone–hunterはkaiさんだよ!』と言われた事は何の取り柄も無い自分にとって何よりの誇りでした。
初めて会ったのはyamayoさんと一緒に朝日岳に登る準備をしていた寸又峡温泉駐車場。
「君たち速そうだから一緒に行こう!」と訳の分からない理由で1717尾根という訳の分からないルートに案内された事から私の藪山と尾根ハントは始まりました。
スパイク付き足袋にヒル対策のつぶ塩(歯磨き粉)を塗るというスタイル。当時の私には衝撃的でした。(ここから私も真似して多くの人につぶ塩スタイルを拡げたと思います)
そしてお年の割に歩くのがめちゃくちゃ速くて驚いた事もよく覚えてます。
その後、当時は行く人が稀だった諸沢山・合地山に寸又峡から連れて行ってもらい、強引な尾根の取り付き方、弱点を突くRF、下りを意識したマーキングの付け方、下りでの危険な歩き方や遭難事例、様々な事を教えてもらい、時には叱ってもらい私は更に藪山に傾倒していきました。
one–hunter先生は聖平小屋の支配人を長らく勤めており、「荷上げ忙しいから手伝いに来い!」と私とyamayoさん親子を数年間小屋の一員として使ってくれました。
小屋番側から見る山小屋生活と登山者の姿はとても貴重な体験だったと思います。
小屋での思い出はお稲荷さん作りや爆弾などたくさんありますが、「フォレストの重役を登山口から小屋まで案内」は強烈でした。重役の歩くスピードがめっちゃ遅く、休憩ばかりで重役の荷物を小屋まで上げて再び戻って案内したけど、『君、少し歩くのが速すぎやしないか?』なんて言われ「絶対俺は適任じゃない!」と師匠に愚痴りたくなりました。また、初年度の最終日に私達親子を奥聖岳直接尾根と聖岳東尾根を案内してくれた事も忘れられません。
小屋を引退されてからも親交は続き、稀にしか行かない静岡市の低山に行く度に遭遇するという偶然にも毎回驚きました。
会うたびに先生の行きたい『究極の藪尾根』数本を話してくださり、これは2人の課題ルートになりました。この難ルート数本は必ず私が歩かせてもらいます。
その後、以前ほど精力的ではなくなりましたが、山への情熱は衰えていないと聞いていたので訃報をお聞きして本当に驚きました。
百高山を目指していた先生の三ノ沢岳にご一緒して頂いた時に自分の記録を見るのを楽しみにしている。と言ってくれました。
とにかく山が大好きな方でした。
あちらの世界でもとんでもないルートを滑らかな動きで登りまくる事だと思います。
そして自分が藪尾根を歩く姿を見ていてくれる事でしょう。
これはone–hunter先生の赤線です。 one–hunter(尾根ハンター)の尾根に対する情熱を感じていただけたら幸いです。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/showroute_rec.php?uid=60623
コメント
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なんと!訃報のほうが衝撃で(;´・ω・)kaiさん達のお付き合いとは比べものになりませんが、僕も、聖平小屋へ寄ったときや、kaiさんyamayoさん達に合流させていただいて聖小屋の夜を過ごしたときに、one-hunterさんの人となりに触れたことを思い出しました。one-hunterさんの山行は、いうまでもなく。三ノ沢から1年経ってないですね。ご冥福をお祈りいたします。
さて、先日永野さんの喫茶店へ初めてお伺いした時に、たぶん、西小石や大唐松や池の沢を歩いてきたって伝えたからだと思いますが、「次に東俣方面に行くならオススめは広河内岳南西尾根」っておっしゃってました。偶然といえば偶然かもしれませんが、これも驚きです。また中部横断自動車道も開通翌日に僕も通過しました。早川町へのアクセスがさらに便利になるので、また行きたいと思います(^^♪
最近、南アの地層の成立ちとか、大井川の開発史・郷土史的な本を読んだりしてましたが、山行きなども、one-hunterさんなどの大先輩の方々の記録が積み重なって今の登山者の財産になっているだなぁと思ったりしました。
山行歴ばかりでは無く、頑固ですが全てを包み込むような人柄で多くの方を惹きつけるておられました。
藪山好きのshinさんともっとお話出来たら師匠も喜んだ事でしょう。
チロルに行かれたんですね。
大先輩のオススメルートなのですから間違いありません。是非歩いてみてください。
接岨峡の「本川根町資料館やまびこ」に行けば丁寧に説明してくださるので行ってみてはいかがでしょう?
私も藪尾根好きの端くれとして、そしてkaiさんのお師匠さんということでone-hunterさんのことは大いに尊敬していました。一度お会いしてみたかったものですが、叶わず残念です。ご冥福をお祈りいたします。
それにしても素晴らしい山行!正直めっちゃ嫉妬ですw
sunaさんはハイマツ帯を小走りする藪尾根界のスーパースターですよ!
師匠もハイマツ漕ぎが大好きでしたので、きっと会話が弾んだ事でしょう。
今回の山行は天候に恵まれ計画を全う出来ましたし、トレーニングまで出来て百点満点でした。
また変な尾根ご一緒しましょう!
素晴らしい山行にも驚きましたが、それ以上にone-hunter氏の訃報に驚きました。
直接お会いすることはありませんでしたが、kaiさんとのコラボ山行や、氏のレポを見るだけでも只々「凄い」方という以外に思いつかない位の凄い方だなぁ…と思っておりました…😨
今は只、氏のご冥福をお祈りいたします…😢
昨日、お宅に伺い奥様とお話ししてきました。
全ての記録をノートに書き留めていたという事で大量の資料が残っているようです。
ヤマレコに記載していない昔の記録も多くあると思いますので、また改めて拝見させてもらい今後の山行に生かせたらと思います。
one-hunterさんが静岡百達成された山行でお会いし、あとで凄い方なんだと気づきました。
バリエーション一本、one-hunterさんのレコしかヒットしないルートやった際、シンプルで禅問答のようなレコ発見してこんなの参考にならないよ〜と笑ってしまいましたが、確かkaikaireiさんのレコで「あまり詳しいレコ作ると次やる人の楽しみを奪ってしまう」ようなことがあって成る程なぁと思った記憶があります。
もうすでに小屋は引退されてましたがやったバリエーションルートの話肴に小屋でお会い出来たらと残念です。
二年前の椹島でお会いした時は嬉しくて握手お願いしてしまいましたっけ。
なんか寂しくなってしまいますね。
私の所に最初に連絡くれたのもukkyさんでした。
ご存知の通りヤマレコの地図検索はとても便利な機能。
南アルプスのマイナー尾根を検索すると師匠の赤線のみ。というルートは現在でも多くあります。
しかし、ヤマレコがどういうシステムなのか分かりませんが興味のある赤線を指定して検索しても引っかからない事が多々あります。
そこで師匠の赤線を調べると「やっぱり。』と腑に落ちるというのがお決まりでした。
私も最初の頃は『あの尾根どうでした?』と聞きました。 でも『kaiさんの楽しみを奪ってしまうから言わない』と言われました。
今になってその意味がよく分かりますし、人間離れしてますが一応人間が歩く事が出来た尾根という事実だけで私には十分です。
今後も赤線や資料で多くの方の助けになる事でしょう。
良いですねー😁
土曜日は連絡、ありがとうございました。
私達親子も師匠に感謝を伝えることができました。
師匠とお会いした日の事は、しっかりと記憶に残ってます。日曜日の八紘嶺の地図を取り出そうとしたら、あの日、朝日岳で貰った地図が出てきましたよ。
池の沢行ってみたいんですよー!
テント持って無い上に泊まりに苦手意識の自分。
いつになったら行けるだろうか??
メチャクチャトレーニングして日帰りでしょうかw
良い山旅ですね。
日帰りメインになりますが、またご一緒させてください。
あの時、自分は風邪をひいて熱があったのですがyamayoさんのと約束を優先して本当に良かったです。
噂には聞いていた聖会。 強烈でしたね。
yamayoさんの走力なら日帰りで池ノ沢池に行くのは余裕ですよ。って言うかそんな事言ってると師匠に怒られますよ(笑)
今回歩いて少し気になる尾根を見つけたので、それを絡めてご一緒しましょう!
それにしても文章がうまいですね。自然と読み手を惹きつけます。お仕事柄なのでしょうか?同じ深南部好きなKF○○○○さんの誤字脱字が多い山レコと違い、とても読みやすいです。
私はもう歳なのでkaikaireiさんのような元気な速攻登山や激藪ルートは無理ですが、今までと同様、体力が続く限り好きな南アルプスをゆっくりと楽しんでいこうと思っています。3年前、故郷浜松に久しぶりに戻ってきたので、いつか深南部のどこかの山でお会いしたいですね。今年もレコを楽しみにしています。
つい最近のように感じますが、師匠が亡くなってもう半年が経つんですね。
謙遜とかではなく、私は普通の登山ばかりで多くの方に楽しんでもらえる記録ではありませんが、少数の南アルプス・深南部ファンの方と情報交換させてもらっているので、こちらこそ感謝でいっぱいです。
師匠は80歳くらいだったと思います。聖平小屋には15年ほど前に茶臼小屋から移ったと聞いています。あの方の年齢を感じさせない歩きにいつも驚かされていたので『この人に衰えという言葉はないんだろうな』と思っていたので本当にショックでした。
自分は師匠ほどのスキルはありませんが、師匠の歩いた足跡、今後歩く予定だった尾根を可能な限り歩くつもりです。
私の方こそ文才もなく小学生のような記録ばかりですが今後ともよろしくお願いします。
深南部のどこかでお会いしてお話し出来る日を楽しみにしております。
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