水晶岳・鷲羽岳・裏銀座(高瀬ダム〜烏帽子岳〜水晶岳〜鷲羽岳〜双六小屋〜新穂高)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 38.3km
- 登り
- 3,446m
- 下り
- 3,632m
コースタイム
第2日:烏帽子小屋(5:00)→三ツ岳(信州側巻道のあるピーク)(6:20-6:30)→野口五郎岳(7:35-7:45)→竹村新道分岐(8:10)→東沢乗越(9:00)→水晶小屋(9:35-9:40)→水晶岳(10:05-10:15)→水晶小屋(10:40-11:05)→岩苔乗越分岐(11:30)→鷲羽岳(12:10-12:20)→三俣山荘(13:00-13:30)→三俣蓮華岳(14:20-14:25)→丸山(14:45)→中道分岐(15:00)→稜線ルート合流(15:30)→巻道合流(15:35)→双六小屋(15:40)
第3日:双六小屋(5:00)→樅沢岳(5:25-5:40)→双六小屋(5:55-6:05)→弓折岳分岐(6:50)→鏡平(7:15-7:20)→シシウドヶ原(7:45)→イタドリヶ原(7:55)→秩父小沢(8:10)→秩父沢(8:15-8:20)→登山口(8:50)→ワサビ平小屋(9:00)→笠新道入口(9:10)→新穂高温泉バスターミナル(9:45)
過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
信濃大町→高瀬ダム(タクシー) \7,100 新穂高温泉→平湯温泉 \870 平湯温泉→松本 \2,300 松本→相原 \3,260 |
写真
感想
裏銀座・水晶・鷲羽。もちろん行きたくてたまらなかったところの一つですが、行程が長いのでスケジューリングが難しいのです。本来、高瀬ダム〜水晶から読売新道というのをやって見たかったのですが、それだと少なくとも野口五郎小屋まで行かないとほぼ無理で、そのためには夜行バスで七倉ダムへ行くか、七倉山荘で前泊する必要があり、3泊4日とならざるを得ません。仕事の都合上予約・代金先払いが必要な夜行バスは使いづらく、そこで2泊3日にして割りと普通の高瀬ダム〜新穂高の縦走としました。しかし、これでネックになるのは高瀬ダムまでのタクシー。どうしても使わないのであれば信濃大町からエネルギー博物館か日向山高原までバスで行ってそれ以降歩きと言うことになりますが、それだとどう考えても烏帽子までは行けないので、妥協案として考えたのが大町温泉郷までバスで行ってそこでタクシーを拾うというもの。距離的には大分短縮されるので、タクシーがうまく拾えれば、という期待をこめて。あとは信濃大町で相乗りできれば、ということにしました。
さて、土曜朝。淵野辺始発では信濃大町に着くのが11時近くになってしまうため、少しでも早くつけるように相原駅までマイカー。これだと10時ちょい過ぎに信濃大町に着けます。NPCの駐車場がいいところになかったので、リパークを利用。停めてから緊急連絡先に「3日停めます」という旨電話。電話番号、名前等聞かれますがそれさえ気にならなければ問題なく使えます。
相原駅は改札が開いたのに自動券売機が開かない。良く見たら改札のところに乗車駅証明がありました。さて、横浜線〜中央線快速と乗りついで高尾から中央線に乗ります。大月・甲府で乗り換えて松本へ。大糸線鈍行は初めて乗ったかもしれません。2両編成・ワンマンの車両は驚くことに満員。中央西線から乗ってくる人が多いようですね。
1時間電車に揺られて信濃大町着。意外と小さな駅です。改札から出る人を観察しましたが、扇沢へのバス停に並ぶ人はたくさんいたのに、タクシー乗り場に並ぶ人はゼロ。駅員さんに大町温泉郷のタクシー状況を聞きましたが、電話で呼ぶしかないと言うことです。迎車するならほとんど安くならないだろうし、やむを得ずここからタクシー乗ることにしました。高瀬まで行くと8000円超えるということで、七倉ダムまでで我慢。今年はどうも相乗りが少ない、昨年まで金曜・土曜はかなり人が多かったのに今年はどの曜日も同じくらいとうことです。もしかすると節電で休日がばらけたことが関係あるんでしょうか。
タクシーだと結構あっという間に七倉まで着いてしまいました。\6,100。これでも頭がくらくらしてきます。あずさ乗ったと思うことにしました。さて、ゲートの前で登山計画書を書いていると今降りたばかりの運転手さんに声をかけられました。急に高瀬まで行くことになったので、通常\2,200のところ\1,000でどうか、という話。これはきっと神様の思し召しだろう、と思って甘えることにしました。堰堤をジクザグに登るのがかなり歩きではきつかったでしょうが、楽ちんで着いてしまいました。しかもこの時間ならブナ立ゆっくり登れます。ラッキーでした。
神秘的な碧色の湖水を見ながら高瀬ダム堰堤上を横断して、ダム左岸のトンネルをくぐるといよいよ登山道です。大雨明けですから、不動沢もなかなか水量がありました。上流を見ると不動岳南面はおそろしいほど崩壊しています。
キャンプ場を通り、工事している横を通って行くと水場があり、いよいよ日本三大急登にかかります。いきなり階段連発。既に気負けしそうですがとにかくゆっくり。鼻歌歌える程度にあるいて行くと、12から数字が段々減って行きます。高低差1,200m超えるくらいなのでこれは分かりやすいですね。権太落しというのはどこか分かりませんでした。ひたすら登りが続きます。4の三角点まで来るといよいよあと少しという感じが強くなってきます。凄いガレ場の横を通り、ようやく主稜線に乗り、少し南へ行って小屋へ到着しました。これで三大急登全制覇。きつかったですけど、二度と登るのいやと言うほどではありませんでした。小屋で受付。素泊まり\6,000です。
カメラを持って烏帽子岳山頂へ。小屋からすぐのところにある前烏帽子からの展望が素晴らしい。
山頂は意外と手強いクサリが1か所ありますが、そこだけ抜ければあとは問題ありません。しかし狭くてゆっくりするようなことは出来ないので早々に退散。
帰り前烏帽子で雲が晴れるのを待っていましたが、思うように晴れてくれないので小屋へ戻ります。小屋で大変なことに気づきました。自炊道具がない。やむなく行動食用に持っていたウィダーインゼリー2個で我慢。やることがないので寝るしかなく、幸い人が少なくて十分布団1枚使える状況だったのと、登りの疲れもありましたから、本当にぐっすり寝てしまいました。
きづいたら朝。朝食もウィダーだけですからあっという間に終了。水筒に水だけ買って、起きてから30分くらいで出発できました。
テン場を過ぎて僅かに下り、三ツ岳への登り返し。雲海に浮かぶ餓鬼岳連峰の肩からご来光が。そして、朝日に染められた赤牛岳が美しい。
三ツ岳の最初のピークはピークは黒部側を巻きます。次のピークは信州側を巻くか、ピークを通ることも出来ます。「展望コース」という標識につられてピークに立つと、野口五郎岳が大きい。槍ヶ岳も見事です。
不思議と白い砂の稜線を快適に歩きます。大岩ごろごろのところを通り、小屋を過ぎて僅かに登り、広々とした野口五郎岳の山頂。展望は最高です。特に大笠が見えたのは感動。
野口五郎岳から急降下。真砂岳は黒部側を巻き、竹村新道分岐から小さなアップダウン。逆光になってしまうのが残念ですが、この稜線から見る槍ヶ岳は本当に美しい。小槍が大槍と一部重なって、ハルバートのように見えるのがポイントですよね。
振り返ると大きな野口五郎岳と五郎池が。あの辺まで降りると水もあるだろうから、小屋があったらいいのにな、とちょっと思いましたが難しいんでしょうね。
東沢乗越から突然足元が赤土にかわり、赤岳へ徐々に登って行きます。ガレ場を慎重に通過すると水晶小屋へ到着。水晶岳へサブザックで。それほど登りもきつくなく、憧れの山頂へ到着しました。今回の山行での最高点でもあります。
展望は感動的と言うほかありません。特に赤牛岳が美しい姿。登高意欲をそそられます。しかし本当に牛が寝ているようにしか見えませんね。名前のふさわしさでは乗鞍か赤牛だな、というくらいですね。
黒部五郎の巨大なカール。スプーンですくったと言うよりは重機でガバァッと削ったような、という形容がふさわしい感じです。そして広大な雲ノ平。山荘がなんとも言えず可愛い。東に目を向けると、薬師岳がその大きさを存分に誇っています。
天気さえ良ければどこの山頂も展望は素晴らしいのですが、ここの展望は他とは一味違うと思います。なんというか、北アルプスの幅が実感出来る感じですね。本当に天気が良くてラッキーでした。
小屋に戻って昼食。お持ち入り味噌汁が\900。ウィダーインゼリーしか食べていない身には貴重な食事です。
鷲羽岳へ向けて出発。大きく下ってから、稜線の黒部側を巻いて行きます。岩苔乗越への分岐。ちょっとだけ三俣山荘へ近道したいな、と頭をよぎりましたがここはやはり鷲羽の山頂を踏む、と気合を入れ直し。鷲羽めがけて登って行きます。ワリモ岳のピーク付近で休憩しようと思ったのですが、意外と鷲羽近く見えたのでもうひと踏ん張り。意外に早く鷲羽の山頂に立つことが出来ました。これで百名山57座目。
ちょっとガスが多くなってしまいました。眼下の鷲羽池のインディゴブルーが印象的。この上に槍があったらそれは絵になりますね。
鷲羽岳からはザレザレの急坂を一気に下って行きます。ハイマツの中を歩くと三俣山荘。小さいですね。さて、問題はここから双六まで行くかですが、考えるために展望食堂へ。さっき食べたばっかりですけど、きつねうどんを注文。また\900なり。話を聞いていると雲も多くなってきたので雨降るだろう、ということで非常に迷いましたが、やはり翌日のことを考えると行った方が楽ですから、双六に行くことにしました。あっちの方が小屋が大きいのもありましたね。
三俣蓮華へは予想以上の急登を強いられます。振り返ると鷲羽岳が。他の場所から見るとたいした事ないのですが、ここからの見え方は思わずうなってしまいました。稜線の白さがポイントですね。しかし鷲が羽を拡げた姿と言うのはやっぱり誉めすぎかな。
一瞬雨が落ちたので巻道行こうかと思いましたが、上がったのでさらにカールの中を登って登って三俣蓮華山頂。蓮華という名前は、宗教的に何かあるのかと思って調べて見たら、ちょっと引いてしまうような由来があるようです。
もうガスだらけになってしまいました。しばらく稜線上を歩き、中道の方へ行くことにします。中道は少し草紅葉が始まっていました。なだらかに下ってから僅かに登り、稜線コース、巻道を合わせると一気に下って双六小屋へ。5時からのロングトレイルもようやく終了です。
大きい小屋だけあって、4人部屋に一人だけで快適です。しかし相変わらず食べる物がないので、残ったウィダーインゼリーを摂って早々に寝支度。ついでに新穂高からのバス時刻をみると、9:55に乗ると平湯で連絡して早く松本に着きます。それを逃すと12:00近くの松本直通になります。早いのに乗れば・・・と考えてしまいますよね、これでは。考えなければ良かったんですけど。
翌朝。噂の樅沢岳からの展望を見に出発。結構登りでがありますが、30分耐えるとその労力にふさわしい展望がひろがっています。
表銀座縦走路から浮かぶご来光、赤く染まる裏銀座縦走路のカール。東には大笠、加賀白山。そして逆光ながら槍穂高連峰。
展望を堪能したら小屋へ戻り、いよいよ下山開始。残り4時間切ってます。双六小屋から稜線へ僅かに登り、弓折岳の分岐からはひたすら下りを飛ばす飛ばす。鏡平の大展望もそこそこにいそいそと下山。秩父沢に着いたのは8:15で、もう安泰かな、と思ったけど甘かった。ワサビ平からは競歩並みに飛ばした結果、何とか9:55に間に合いました。しかし、平湯で乗り換えて松本に着いたときにはすでに12:35過ぎ。中央線鈍行は12:40発で当然乗れず。次の鈍行は14:25高尾行きで、はっきり言ってあんなに急いだのはただの無駄な努力でした。
特急乗ることも考えましたが、行きのタクシーは特急使ったつもりで代金払ったようなものなので、やはり我慢。素直に鈍行で帰ってきました。
相原での駐車場料金が最大の不安でしたが、予定通り\2,400。これでもちょっと高いですけどね。リパークは最初電話するのを我慢すれば使えることは分かりました。
天候に恵まれ最高の山行となりました。前回の大キレットと今回で、少し百名山達成に向けていい意味で力が抜けたような気がします。表現が難しいのですけれど。
歩いた結論としては、それなりの体力ある人であれば初日は徒歩で入って七倉山荘泊。2日目水晶小屋泊、3日目一気に降りる。これで十分可能だと思います。小屋がそれほど込まないシーズンなら余裕ではないでしょうか。
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