屋久島縦走(淀川登山口〜白谷雲水峡)2泊3日
- GPS
- 15:43
- 距離
- 24.2km
- 登り
- 1,614m
- 下り
- 2,410m
コースタイム
- 山行
- 6:09
- 休憩
- 1:26
- 合計
- 7:35
天候 | 11/15(金)淀川登山口(14:40)曇り一時小雨 気温:15℃ 11/16(土)淀川小屋 (06:00)晴れ 気温:2℃ 宮之浦岳 (11:00)晴れ 気温:6℃ 11/17(日)高塚小屋 (06:00)晴れ 気温:3℃ 【ウェア】 ドライレイヤー:ファイントラック フラッドラッシュスキンメッシュ ベースレイヤー:モンベル ジオライン M.W.ハイネックシャツ ミドルレイヤー:モンベル クリマエアジャケット インシュレーション:ユニクロ ウルトラライトダウンジャケット 640フィルパワー ソフトシェル:マムート アルティメイト ライト ジャケット AF パンツ(厚手):モンベル O.D.ライニングパンツ 登山中はドライレイヤー+ベースレイヤー+ソフトシェルで十分でした。それでも寒い場合はレインウェアをアウターとして着込むつもりでしたが、出番はありませんでした。小屋に着いてから、クリマエアジャケットを着て、寝るときにはダウンも着込みました。 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
船
11/14(木) 福岡→鹿児島 車(高速道路利用)3時間 11/15(金) 07:45 鹿児島発(高速船・トッピー) 09:45 屋久島着 11/17(日) 16:00 屋久島発(高速船・トッピー) 18:00 鹿児島着 21:30 城山観光ホテル発(高速道路利用) 00:30 自宅着 参考サイト「白谷雲水峡にアクセスする方法(宮之浦港から路線バスに乗る)」 http://tozanguchi.net/shirataniunsuikyou-basu/ |
コース状況/ 危険箇所等 |
・登山ポストは登山口に設置されています。 ・登山口に1人1口500円の「屋久島山岳部保全募金」箱があります。 ・白谷雲水峡の原生林歩道(奉行杉コース)は木の根が張り巡らされた箇所が多く、登山道をピンクテープをしっかり確認し、道を見失わないようにしたい。 ・濡れた木道や苔のついた岩は滑りやすい。 ・ストックを使用する場合は先端にゴム製のプロテクターを付けましょう。木の根等で外れやすいのでビニールテープを巻いて脱落防止を。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ 94g モンベル・パワーヘッドランプ
予備電池 103g 単4×3=33g,携帯用9g+18g,カメラ用43g
ラジオ 75g SONY ICF-SX240RV
ガイド地図 山と高原
コンパス 24g シルバ
笛 10g モンベル・エマージェンシーホイッスル
マルチツール 128g レザーマン・フリースタイル
エマージェンシーセット 301g ファイヤスターター・ジェットライター・予備電池・細引き・リペアシート・レザーマンフリースタイル128g
救急セット 381g 正露丸・ノーシン・バンドエイド・テープ・虫除け・イソジン・油性ペン・バンテノン
携帯電話 136g au ISW16SH
携帯電話 112g docomo N-01E
雨具(上) 205g モンベル・トレントフライヤージャケット
雨具(下) 255g モンベル・レイントレッカーパンツ
ストック 540g Blackdiamond トレイル
水筒 157g platypus ビッグジップSL 2.0L
三脚 940g SLIKスプリントPRO2
カメラ 550g コニカミノルタ ディマージュ A200
テント 2004g ケルティ・サリダ2
寝袋 570g ULスパイラルダウンハガー#3
シュラフカバー 250g モンベル・ポルカテックススリーピングバッグカバー
ストーブ 407g ジェットボイル・ZIP
クッカー 440g ユニフレーム山クッカー角3
ブキ 94g 携帯箸・スプーン・フォーク
ガスカートリッジ 194g 1個
キジ打ちセット 158g ハンディスコップ40g,ガベッジバッグ58g,ロールペーパー60g
バックパック 1500g グレゴリーZ40
カメラバッグ 170g ザ・ノース・フェイスML Camera Bag
サングラス 33g SWANS ガルウィング
スパッツ 161g モンベル・ゴアテックスロング
マットレス 486g サーマレスト・ネオエアトレッカー ラージトルソ,エアタップポンプ
携帯トイレ
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感想
■思ったより近い屋久島。
鹿児島市内での講演依頼があったのでそれを木曜日にしてもらい、金曜日に休みを取って3連休にしました。おお、これで憧れの屋久島・宮之浦岳へ行ける!(笑)。
金曜の高速船トッピーに乗って屋久島へ行き、日曜のトッピーで鹿児島市内へ戻ってくる日程で屋久島を縦走できるコースを検討した結果、淀川登山口より入り1泊目を淀川小屋、2泊目を高塚小屋として白谷雲水峡へ抜けるコースを採ることにしました。
白谷雲水峡から入って縦走するコースも検討しましたが、こちらは結構悩ましい。4連休が取れたときに検討することにしましょう。皆さんのヤマレコを拝見していても3連休なら淀川登山口から入る方が多いですね。
自宅から鹿児島市内まで車で3時間、新幹線利用なら1時間半。思ったより近いんですよね。お金はかかるけど、阿蘇や霧島へ行くよりも移動は楽かも。
■初日から色々あるよね。
高速船トッピーは鹿児島から2時間で屋久島・宮之浦港に着きました。1日目は淀川小屋に泊まるつもりなので、宮之浦港を12:50に出るバスに乗って合庁前で乗り換え、紀元杉まで行きます。バスの時間までかなりあるので街中を散策します。…が、適当に昼食をとった後はバス停そばの公園でビールを飲み始めました(笑)。
バスの時間が近づいたので腰を上げバス停に行くと、ザックと銀マットを抱えた女性がいました。山登りでしょうか?でもパンツはジーンズだし、靴はスニーカーです。山ガールというより、バックパッカーですね。同じバスで安房あたりまで行くのでしょうか。そう思っていたら、話しかけられました。
「スミマセン、五丁目はこのバスですか?」ん?五丁目?
ここに行きたいのだと彼女が広げた地図は英語表記。GOCHOMAEつまり合庁前に行きたいようです。そう、彼女は日本人ではありませんでした。合庁前に行くということは、紀元杉で乗り換えてシェルターまで行くつもりなのか?と確認したら、「Yes!」。その後はどうするの?と聞けば、彼女が指差すルートは僕とまったく一緒です。…その装備で?
屋久島交通のバスは整理券を取って料金後払い。合庁前までの運転手さんはずっと喋りっ放し。「次は○○〜。はい、通過しまーす。この先、揺れまーす。右カーブでーす。はい、揺れまーす」と実況中継しながら運転していました(笑)。合庁前で乗り換えると登山者が一人乗り込んで来ました。安房港でも3人の登山客。ここから山に入るにつれ空が暗くなって、ついには雨が降り出しました。まあ屋久島に雨はつきもの…覚悟の上です。
紀元杉の先、Uターンする所でバスを下車。舗装路をしばらく登ると淀川登山口が現れました。そこまでの道中で件の娘さんとお話しました(なんちゃって英会話ですが)。彼女は台湾人のリン、23歳。大学を卒業したのでオーストラリアでワーホリして、台湾に戻る前に韓国と日本に立ち寄ったようです。初めての来日で初めての屋久島。で、これから2泊3日の縦走ということ。日本語もほとんど出来ないのに、なかなか勇気のある娘です。
登山口から淀川小屋までは距離もないため、あっけなく到着(15:50)しました。先着の皆さんは炊事の準備に取り掛かっています。僕もザックを降ろして早くビールを飲みたい(笑)。小屋の中は暗くてヘッドライトが必要ですが、ここでリンはヘッ電を持っていないと判明。うーん、それじゃ夜明け前の出発は出来ないよね…。とりあえず食事の準備をしていると、リンが不思議そうにジェットボイルを見ています。「あなたはプロフェッショナルなクライマーですね〜」いやいや、みんな持ってるから。
夕食のメニューは豪華めです。それは極食の「なすの揚げ煮」を加えてるから。この極食シリーズ、まじで旨いです。とてもフリーズドライとは思えない食感と味。その代わりお値段も高い(このナスは680円)。ビールと夕食でお腹がふくれた所で、一服しつつ屋久島焼酎「三岳」のお湯割りを楽しみます。リンの夕食はパンでした。ストーブやクッカーも持たないようだし、あと二日の食事はどうなってるの?と聞くと、パンとスナックだけだと言います。だんだん不安になってきました。
もう一度、地図を見せてもらい、詳しい行程を聞いてみました。距離や時間も上手く把握できていないようです。このまま放って置くわけにも行かないでしょう。明日も一緒に歩こうか?と提案しました。本来なら4時頃に出発して、黒味岳・宮之浦岳・永田岳と踏むつもりでしたが、リンはヘッ電を持たないので夜明けを待っての出発となります。僕は何が何でも頂上派でもないので、この辺は「流れ」です(笑)。
■2日目。まさかの晴天で、How lucky we are !
…けっこう寒い。シュラフはモンベルの#3ですが、ダウンとフリースを着込んでいなかったら眠れないところでした。それより、どうも体調が思わしくありません。風邪のような、ただの鼻炎のような。とにかく鼻水が止まらず、つらいもんです。そんな事もあって、熟睡できません。…ていうより、みんな夜が早すぎです。19時前には就寝です。ここは無人の避難小屋なので電灯もありません。つまり「消灯」がない(笑)。これじゃ早く寝るしかないですね、確かに。深夜にトイレに立ったとき夜空を見上げると、樹木に遮られた小さな空間が星で埋め尽くされていました。すごい…。
昨夜から天気は良いようです。朝は晴天!7時過ぎに出発です。晴れている内に宮之浦岳の山頂を踏めたらラッキーかな。登山道は良く踏まれていて、道迷いの心配はなさそうです。だんだんと屋久島らしい雰囲気が増す森を、登山道はだらだらと上ります。それにしても苔をまとった岩や木々の中で、ヒメシャラがやけに存在感を出してます。樹林帯を抜けてからは、これまた美しい光景が続きました。まるでオブジェのような奇岩ばかり。
森と水と岩の美しさが印象に残る、素晴らしい登山道です。晴天のうちに宮之浦岳に到着(11:00)、強風に体が冷えてゆきます。Let's have a short break.リンのお昼ご飯はやはりパンです。体が持つのか心配ですが、ここまでの登りは軽い足取りで、標準コースタイムより速いくらいで僕のほうがバテそうです。
さて、下って新高塚小屋に着きましたが、まだ早い時間です。小屋には誰も居ません。トイレ休憩をしてリンに相談します。君のプランではココに泊まる事になっていたけど、僕はあと1km60分先にあるシェルターまで行こうと思う。そこはリニューアルしたばかりの新しいシェルターだけど、ここより小さいから登山客が多ければ入れないかも知れない。その時はテントで寝ることになるんだけど、君はどうする?
親子ほどに歳の離れた娘さんですが、女性ですから初対面のオヂサンと一つテントの下ってのは余りよろしくないでしょう。行程のピークは過ぎたし、ここでお別れしても問題ないと思いました。ところがリンの返事は「Sure,no problem.」と来たもんだ。まあ、小屋はたぶん空いているだろうし、満床でも協力してくれる人はいるでしょう。OK, Let's go!
高塚小屋は驚くほどの綺麗さでした。そして人は一人しか居ませんでした(笑)。そのお一人さんは、紀元杉までのバスでも一緒だった方でした。まずは寝床を確保して、縄文杉を見に行きます。その先にある水場で炊事用と明日の水を補給して小屋に戻ると、もう一人泊まり客が増えていました。今日の夕食は、山菜おこわとカルボナーラパスタです。リンは相変わらずのパン。僕は非常食もあるから、僕の持ってきたご飯を食べなさい、と勧めました。アルファ米に卵とじ牛丼です。お口に合ったかしら?
夕食後に同宿の二人がリンに話しかけてきました。英語で会話していた僕らが気になっていたようです(笑)。バスで一緒だった若い方は北海道からやって来たそうです。北海道の山は登りつくしたので、百名山踏破を目指している、というベテランさん。後から来られたのは広島の福山市から来たという60歳の方。登山は半年前から始めたそうで、ノリのいい方でした。
僕らはバスで一緒になって流れでここまで同行しているんですよ、と説明。福山さんが驚いて「え?初対面なの?それで山小屋に二人で泊まろうとしたの?お嬢ちゃん、そりゃアンタ度胸あるね〜。日本の女性なら怖くてできんよ〜」と仰る…それ、僕にも軽く失礼じゃないですか?(笑)。北海道さんは台湾の山はどうなのか?などリンに日本語で話しかけるのですが、その後に通訳してとばかりに僕の顔を見るのはヤメテ(笑)。
何だかんだで盛り上がってる夕暮れに、いきなりドアがガラリと開いて驚きました。「これから5人、入れますか?」とガイドさんが来られました。どうぞどうぞ、それにしても遅いお着きですね。「白谷雲水峡の自然観察ガイドをしてゆっくり上がってきたんですよ」。そうそう、ここではガイドさんと一緒であればなお楽しい事でしょう。あ、そういえば僕の親類は屋久島のガイドと結婚しているのでした。
ところで北海道さんは僕らと同じルート・白谷雲水峡周りで宮之浦まで戻るそうです。福山さんは荒川登山口まで戻る予定だというので、二人して「それはもったいない。白谷雲水峡を通ったほうがいいですよ」とお誘いし、結局4人で同行することになりました。「いやぁ僕はもう60歳だから、みんなについて行けずに迷惑かけるよ」と渋っていた福山さんでしたが、リンの「えー?60歳には見えません。40歳位かと思っていました」という言葉が決め手になったようでした(笑)。
■3日目、無欲と我欲の狭間に思う。
屋久島へ渡る前の天気予報は余り芳しいものではありませんでした。しかし、まさかの3日目も好天スタート!「山は無欲のときの方がいい姿を見せてくれる」と言いますが、その通りでした。縄文杉でご来光の後、大株歩道までの間は屋久杉オールスターズが目白押しで楽しませてくれます。日帰り登山客と多くすれ違いましたが、圧倒的に女性が多いです。海外からの観光客も結構見かけました。けどリンのように縦走する人はそう居ないと思います。
トロッコ道を外れ、楠川分れから白谷雲水峡への道に入ります。辻峠にザックをデポし、太鼓岩まで。福山さんは疲れが見え始めたようで、太鼓岩はパス。太鼓岩から見える景色に昨日は居たんだな〜と感慨深いものがありました。宮之浦岳方面はガスっています。本当に奇跡のようにラッキーだったんだなぁ。
辻峠から白谷山荘まで、苔むす森などがあって美しいのですが、時間帯のせいかガイドさんと一緒の団体さんが多くて、森厳な雰囲気という訳にはいきません。でもここで文句を言うのは欲深くて罰当たりと言うものです。山に行くといつも自分の欲深さに気づかされます。
白谷山荘から先の道(原生林歩道)が美しかったです。ただ木の根が張り巡らされているので登山道を見失いやすいかもしれません。ピンクのテープを確認すれば問題ないのですが、ガスや雨のときは注意が必要でしょう。美しい森を抜け、河を渡り、2時間ほどで終点となる管理棟に到着。好天にも恵まれ、楽しい同行者とのご縁あった、大満足の3日間でした。
■人それぞれ。
「あ〜、もう明日から仕事だよ〜」と福山さん。60歳でもバリバリ働いておられるからこその若さだと思いますよ、なんてたって40歳に見えますもの!
「リタイアする前に百名山を目指そうと思って来ました」と北海道さん。いやいやまだリタイアを考えるにはどう見ても若すぎます。けど、頑張ってください!
リンは大学の卒業もしたこの後、就職はどうするのか?と訊ねると、「まだ決めていない。自分のしたいことや可能性がまだ分からない」と言いました。そうだね、それを求めるのは若さの特権だ。All answer is in my own.
僕は…水曜日に誕生日を迎え、今回の屋久島は自分自身へのご褒美みたいなつもりでやって来たのでした。いつもはソロで歩くのに、今回は図らずも最終的に4人パーティみたいになって、これはこれで楽しかったのです。たぶん幾つになっても人間は悩み苦しみから逃れることは出来ないのでしょう。けど、山を歩けばリセット出来る事や気づけることも沢山あるんだな、と思うこの頃なのです。
山はいいなぁ。頭がからっぽになって、心がいっぱいになる。
さあ、次はどこの山に行こうか。
Wakatakeyaさんへ
屋久島 楽しそうでイイですねぇ〜♪
『月に35日雨の降るところ』と言われる屋久島で晴れるなんて羨ましいかぎりです。
素敵な出会いもあり、写真を拝見すると良い山行を満喫している感じですね。
私も来年には必ず屋久島に行きます! (o^∀^o)
yumikoさん、屋久島は奇跡的な好天でしたー!
普段はソロばかりなのですが、こんな事もあるんですね(笑)。いつか九重辺りをご一緒しましょう!
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