冬の丹沢主脈・主稜縦走(大倉IN・西丹沢OUT)
- GPS
- 29:30
- 距離
- 20.3km
- 登り
- 2,130m
- 下り
- 1,860m
コースタイム
【day2】0610みやま山荘-0800蛭ヶ岳0820-0925臼ヶ岳0940-1120檜洞丸1140-1510西丹沢
天候 | day1 晴れ時々曇り day2 晴れのち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2013年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
【復路】1540西丹沢=1553中川温泉1718=1748谷峨1759=1829国府津1832=1915戸塚(富士急バス280円+570円) |
コース状況/ 危険箇所等 |
■道の状況 登山道は全般によく整備されて迷うようなところもなく歩きやすかったですが、昼頃になると7-8cmはあろうかという霜柱がみんなとけて稜線はぬかるみになります。日当りの良い丹沢山〜蛭ヶ岳は日が高くなる前に通り過ぎれば問題ないです。また蛭ヶ岳から臼ヶ岳へ向かう下りと檜洞丸からツツジ新道の下りは急斜面で、氷結していたり濡れた落ち葉があったりザレていたりで滑りやすいので、滑落事故が絶えないらしく、要注意です。長丁場で疲れてくるので、上りよりも下りの時間を多めに読んだ方がいいかなと思いました。 ■バス時刻表 西丹沢自然教室から新松田行きのバスは、2013年12月からダイヤ変更で、平日午後1540発の便が増えた代わりに、土休日が1便少なくなったそうです。バス利用の際は最新の時刻表をチェックしてみてください。 ■温泉 中川温泉の日帰り入浴施設ぶなの湯は水曜定休だったので、西丹沢自然教室で中川温泉の旅館リストをもらって、一般旅館「信玄館」で立ち寄り入浴しました。お一人様1000円と高額ですが、設備は充実で優雅な気分が味わえます。この他、中川バス停により近い丹沢荘や蒼の山荘にも立ち寄ってみたのですが、どちらも営業時間外でした。ちなみに信玄館は中川温泉入口バス停のほうが近いです。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
ニット帽
ガイド地図
手袋
リップクリーム
カメラ
ファーストエイド
水2L
ティッシュ
洗面用具
パジャマ
タオル
携帯電話
iPod Touch
GORETEXジャケット
フリース
ダウンジャケット
タイツ
レッグウォーマー
非常食
手袋
靴下
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共同装備 |
ガスカートリッジ
ストーブ
カトラリー
クッカー
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感想
去年の11月に奥多摩縦走をご一緒した山トモのszkさんから、また鍋山行やりましょうよ、ただし11月は多忙のため12月で、というお誘いがあり、その時期なら、以前から温めていた丹沢主脈と主稜をつなぐルートを歩いて中川温泉に入るというコースがいいな、と提案し、晴れの特異日を狙って実行することに。
szkさんは去年の奥多摩以来、山歩きはご無沙汰とのこと、私も飼い猫が病気になったりで11月上旬の三頭山ハイク以来の山だったのだが、ここしばらく安定してお天気はいいし、営業小屋泊まりの無理のないプランだし、まあ自炊にしても大丈夫だろう、ってことで合意し、持ち物も食料計画も特に確認せずお互い好きなものを持ち寄ろうってことで当日を迎える。
szkさんは丹沢初めてだというので、一応私がルートやコースタイム、アクセスなど登山計画を作ったのだが、うっかりして地図をザックに入れるのを忘れてしまったことに小田急線の中で気づく。szkさんも、地図を買ったのはいいけど、昭文社の5万分の1地図が売り切れてて別のを買ったら、塔ノ岳までしか載ってなかったという。まあ塔ノ岳と檜洞丸は歩いたことあるし、概念図とコースタイムはざっくり頭に入ってるし、登山計画はiPod Touchに入ってるし、人も多けりゃ小屋も多いからまず迷うことはないだろう、と気楽に構えて出発。
水場はあてにならないかな、と自宅から500mlのナルゲンボトルと350mlのサーモス+2Lプラティパスに入れて出た。しかし大倉バス停には立派な水場があったよ、そこはちゃんと調べれば良かった。
バカ尾根は聞きしに勝る退屈な登りで、長い杉の樹林帯の途中たくさんのお茶屋があるけれども全て休業中。とはいえ12月の割には温かな朝だったので、歩き出しからずっと長袖Tシャツ1枚でも汗ばむ陽気で風もなく、休憩中もフリースを羽織れば十分と、山日和ではあり、平日だというのに、たくさんの若い登山者や年配のトレイルランナーとすれ違ったり、全然頂上を目指さず12本爪のアイゼンを装着してガチャガチャ言わせて歩いている人や、25Lの水をザックに詰めてボッカトレーニングしている人がいるなどバラエティに富むあたり、さすが都心に近い丹沢だな、と妙なところに感心する。
早朝は雲一つない快晴で麓からは白い峰が目視できたのに、見晴らしのよい花立山荘に着く頃には気温が高いせいか、相模湾の方からどんどん雲が湧いてるのが見え、塔ノ岳に到着した時には既に富士山はほんの先っぽが見えるばかりでちょっと残念。長い長い階段の登りで疲れた体を、szkさんが持ってきてくれたフリーズドライのおしるこの甘さが癒してくた。いつも人の多い塔ノ岳を過ぎると、それまでとは打って変わって途端に自然な山道になり、丹沢の尾根という尾根を眺めながら美しい笹原の稜線歩きを楽しむことができた。竜ヶ馬場の手前あたりでちょっと右ふくらはぎの筋肉がつった感じがする、と言っていたszkさんも、階段ではなく自然な山道になって調子を取り戻した様子。さすがにこの時期の日照時間は短く、丹沢山に着いたのは3時半前だったがすでに日は陰りはじめていた。みやま山荘にチェックインして少し横になって休憩し、午後のお茶を終えて4時半頃、空と雲が赤く染まり始めたので夕景を見に外に出て見ると、1℃まで気温が下がっている。そんななかで地べたに座って暮れ行く空を肴にビールを飲んでいるおじさんたち、どんだけ山好きなの〜。
5時を過ぎるとお腹が空いておつまみだけではおさまらなくなり、ちょっと早いかなとは思ったけれど夕食の準備にとりかかることに。みやま山荘はとても綺麗で管理の行き届いた小屋で、自炊者もストーブのきいたあたたかい土間を使うことができる。szkさんは持参の米2合を上手に炊いてくれた。私はちゃんぽん風スープにレンコン&ゆず入り鶏団子とザーサイ入り水餃子の鍋を用意。白菜、ニラ、大根、下仁田ネギ、椎茸、えのきなどの野菜とニンニク生姜をたっぷり入れて、締めは当然ラーメン。この日がちょうどお誕生日だったszkさんはさらに小ライスをお腹におさめて、満足気なり、よかったよかった。これは間違いなく小屋の食事より量も質も上だろう、と内心ほくそ笑んでいたのだが、「本日の夕食は焼き肉です〜」という小屋のアナウンスが聞こえて少しうろたえる。
平日とはいえこれからがオンシーズンの丹沢、この日も20名弱ぐらいの宿泊者がいた模様。そのなかに、まさか2年前の夏に十勝岳の白銀荘で出会った方で、偶然にも自分の両親と同じ白馬在住で母の山友達という女性がいるとは!向こうは私の顔を全然覚えてないようで私のぎらぎらしたアイコンタクトにも無反応だったのだけど、私は「こんなに日焼けした山好きな可愛いおばさんは日本にひとりしかいない!」と一目見た時からピンときて、話しかけるチャンスをうかがっていたのだが、お仲間の方々と白馬の山の話をずっとしていた&ヒマラヤの写真集を眺めていたのを見て、間違いないと確信し、思い切って話しかけたら、ずばり当人だった。彼女も私が名乗るとすぐ思い出してくれて「何でこんなところにいるの!?」と喜んでくれた。いや私は神奈川県民ですから「こんなとこ」にいるのは至極当然ななりゆきなんですが、北ア在住でヒマラヤ登山するような方がわざわざ丹沢くんだりに来ている方が不思議でならない、と言ったら、百名山の関東方面をまとめて片付けている途中なんだとか。お互い今年の山行を報告しあったのだけど、彼女は屋久島からはじまり南アルプス全山縦走とか幌尻とか相変わらずエネルギッシュで、今年はヒマラヤはお休みしたと言っていたけど、まー私よりふたまわりは年上なのに元気なこと、ますます嬉しくなり、この冬こそ、白馬でスノーシューハイクのお供させてください、とお願いした。
みやま山荘は都心の夜景が良く見える窓の大きな2階部分に、板張りの大部屋とロフト風の畳敷き、そして小さな個室があり、清潔なふとんと毛布がぎっしり並べられている。それを見たszkさん、「え、この布団使っていいの?俺せっかく寝袋とマット持ってきたのに〜」とおぼこいことをおっしゃる。どうりで60Lのザックだったのか。。。去年から山歩きはじめて、ずっとテント&避難小屋泊だったので、営業小屋というものを知らなかったらしい。小屋の予約はszkさんにお願いしてあったので、まさかそんなことを知らないとは思わず。「営業小屋があるなら、ザックに入れるもんないじゃん」おっしゃる通りですとも。そして朝4時起きで食材の準備とパッキングをした私は消灯時間が来る前にとっとと深い眠りに落ちてしまった。
翌朝まだ夜空に星がまたたく5時頃起きだし、お湯を沸かして朝食の用意。サンドイッチとコーヒーの他に、水餃子と春雨のスープを作って体をあたため、6時過ぎにはー6℃の世界へ。日の出は6時半とのこと、ほの暗い空の下あたり一面に降りた霜が蒼白く光り、富士山は雲に覆われていたけれど空は刻々と紫からオレンジ色に変化し、とても幻想的。昨日ぐずぐずにぬかるんでいた道はカチカチに氷結し、木の階段には雪が舞い降りたかのように霜がびっしり。ひとしきり下っている間はフリースにダウンベストにゴアテックスと重ね着してちょうど良かったけれど、不動の峰への登りがはじまると、塔ノ岳方面から朝日も射し始め、Tシャツ&ゴアテックスで十分になる。そして棚沢ノ頭あたりのブナ林、霧氷ではないけれど霜で白く化粧されてとても綺麗。しかもその後には富士山&南アルプス&八ヶ岳の大展望を楽しみながらの贅沢な稜線歩きが待っているではないか。正直、丹沢がこんなに素敵なところだとは知らなかった。なので、蛭ヶ岳までの2時間ほどの歩きは結構なアップダウンで、ここをピストンするのはごめんだな、と思ったものの、それほどつらさを感じなかった。蛭ヶ岳の山頂付近でハート形の白いお尻を2つ並べて可愛らしく食餌タイムをとっている鹿たちも見れたし。蛭ヶ岳からの360度の展望を夢中でカメラにおさめていると、今朝歩いてきた稜線を次のパーティが追いついてきた。よく見れば、例の知り合いの女性を含むグループだった。気の済むまで記念撮影とおしゃべりをして、ピストンする彼らとは別れて自分たちはいよいよ檜洞丸へと続く主稜線を進む。
きりっと綺麗な三角錐をしている蛭ヶ岳は、それだけに斜度がきつく、木の枝や岩につかまりながらザレていたり濡れ落ち葉で滑りやすかったり日陰で氷結した狭い道を細心の注意を払って降りていく。しかもそれまでの道ほどには刈り払いも十分でないため、狭くて切れ落ちた道をバラ科の植物のトゲトゲを避けつつ歩かなくてはならないとあっては、なるほど、ここで滑落が多いのも頷ける。下るだけ下ると、また階段状の登り返し、とアップダウンが続き、臼ヶ岳に着く頃には早くもお腹が空いてくる。私はおにぎり2個とゆで卵を平らげるがszkさんはスモークチキンを少し齧っただけ、結構しんどそうで、「息が切れるとはまさにこのことだ」と言っていた。時間的には予定通り推移していたので、まあ無理してくっついて歩くより、お互いのペースで好きに歩いた方が精神的にも負担が少ないかな?と思ってそこから檜洞丸までは特に歩幅を合わせたり長いこと待ったりはしなかった。
おかしいかな、と思ったのは、檜洞丸の山頂で一本取ろう、とベンチに誘うと、ぐったり疲れた様子であおむけにひっくり返り、その後もおにぎりが食べられないのを見たとき。コースタイムでは下山には2時間となっていたので、正午まで休憩してもバスの出発時刻1440には十分間に合うと思っていたが、szkさんが食欲ないのなら体を冷やすだけだから、と1140にはまた歩き始めたが、szkさんはもう腿があがらなくなっていて、ツツジ新道の険しい下りはいつもの半分ぐらいのペースに落ちてしまって、何度もつまづいたり転んだりしていた。去年一緒に雲取山を縦走した時には力強い歩きだったので、何の心配もしていなかったのだけど、やはり1年のブランクは想像以上に大きかったようで、なにより本人がショックみたいだった。自分たちの前には1人70代ぐらいのおじいちゃんがいて、その人もかなりよたよた歩きだったのだけど、その人に何度「先に行ってください」と言われても、追い抜けないくらいのゆっくりペース。激下りが終わるゴーラ沢出合に到着するまでに2時間半タップリかかってしまった。それでも徒渉のあとはずっとトラバースで平坦なお散歩道だったので、遅い紅葉を楽しみながらおしゃべりしつつ無事ゴール。残念ながら西丹沢1440発のバスには間に合わなかったので、1625のバスまでは待てないから中川温泉までヒッチハイクでもするか?と算段していたら、自然観察員の方が、12月からバスのダイヤが変わって1540発のバスが増便になったことや温泉街の地図と入浴可の旅館の電話番号リストを教えてくれたので、安心して暖炉のある快適なビジターセンターで休憩をすることができた。
中川温泉は奥まった場所柄、もっと鄙びたところを想像していたのだが、案外はやっているようで、平日にもかかわらず結構車が停まっており、適度に宿泊客がいる模様。リストから適当に選んで電話して日帰り入浴ができることを確認した信玄館は、なかでも一番立派な旅館で、お風呂もたくさんあるようだった。アルカリ性単純泉で沸かしてるし循環も消毒もしているのに、全く塩素臭がなく、内湯の温度も絶妙に管理されているし、渓谷沿いの露天の雰囲気も抜群、アメニティも揃っており、夕刻のムードある時間帯も手伝って、非常に優雅でリラックスできる湯浴みを堪能することができた。温泉ですっかりほぐされたあと、立派な錦鯉が泳いでいる池のある中庭が眺められるロビーで、冷たいアイスクリームを食べて少し元気を回復したszkさん。帰りのバスの中ではさすがに舟をこいでたけれど、「楽しかったまた行きましょう」と言ってくれたのでほっとしたー。年明けから海外赴任しかもアフリカ2年間という貴重な年上の山友達の無事を祈ります。キリマンジャロ制覇しといで〜。
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