ドンドコ沢から周回した花と虹の中の鳳凰三山(キバナノアツモリソウ、タカネビランジ、キバナコマノツメ、クモマナズナ…)
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- GPS
- 28:10
- 距離
- 17.0km
- 登り
- 2,140m
- 下り
- 2,141m
コースタイム
- 山行
- 4:35
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 5:35
天候 | 1日目:曇ときどき晴 2日目:曇ときどき雨のち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
先週末から張り出してきた太平洋高気圧が引っ込んでしまい、季節外れの夏空もこの週末までなんとか持つか持たないかという状況の中、友人3人と鳳凰三山へ。
鳳凰三山はこれまで夜叉神峠から2回登ったことがあるが、1度目は夜叉神峠から御座石鉱泉へ抜け、2度目は夜叉神峠からピストンだったので、今回は青木鉱泉からドンドコ沢を登ることにした。
今の時期はまだ韮崎駅から青木鉱泉のバスがないため今回は友人のひとりが車を出してくれるとのこと。
高尾山を登るにしては不釣り合いな大きなザックを担いで、乗せてもらう友人2人と共に高尾山口駅で待ち合わせ。
高尾山口駅は高尾山ICから近いので待ち合わせにも便利なのである。
青木鉱泉は21年前、大学の先輩が河畔に発達するアカマツ林の卒論を書いている時に見学に来たことがある。
本来は尾根筋に分布するアカマツが土砂供給量の多い川や酸性河川にも分布するということだったかと思う。
青木鉱泉の佇まいはその当時と変わっていないようだった。
土曜日はなんとか夏空が持つかなと思っていたのだが、ドンドコ沢の上には早くも暗雲が垂れ込めている。
ドンドコ沢はどんどん高度を稼ぐコースだが、かなり上流まで行っても広い川原があり、土砂供給量が多いことが分かる。
そもそもドンドコ沢という名称自体大きな岩がゴロゴロと流れ下る土石流を彷彿とさせる怖い名称だ。
その広い川原を花崗岩に磨かれたきれいな沢がきらきらと流れている。
振り返ると友人3人がその水辺で談笑していて、いかにも「夏休み」といった光景だった。
大人になってもこういう夏休み的な雰囲気は自分次第で何度でも味わえるものなのだなと思った。
途中、南精進ヶ滝、鳳凰滝、五色の滝があるので、そこで長めに休憩を取っていく。
ちょうど鳳凰滝展望地点にいる時に雷鳴が聞こえかなり激しい雨が降ってきたが、うまい具合に雨が防げ休憩しているうちに雨は止んだ。
ただ今日からもう不安定な天気のようだ。
このコースで一番目に付いたのがシロバナノヘビイチゴとキバナコマノツメの花だ。
このスミレという名の付かない黄色いスミレであるキバナコマノツメは今がピークなのかあちこちで群生して咲いていた。
そして水辺には特徴的な葉を持つオサバグサ。
オサバグサの花は久し振りに見た。
鳳凰小屋の敷地内にはキバナノアツモリソウの花が見頃だった。
源平合戦に由来する名称の付いたクマガイソウやアツモリソウなどシプリペジウム属のランはラン科の中でもリップ部分が発達しているので食虫植物に間違える人も多いようだ。
このキバナノアツモリソウは日本に自生するシプリペジウム属の中でも肉厚で、パフィオペディラムに近い気がする。
敷地内にあまりにも数が多いので植えたものなのか山小屋の人に尋ねたところ、小屋のオーナーが大切に保護、繁殖させたものとのこと。
シカの食害もあるが未だに盗掘被害が一番多いとのことで、酷い話だ。
夕食後は小屋の人に教えてもらった富士見岩まで富士山を見に行く。
薄っすらと見えていた富士山が夕暮れと共にだんだんとくっきりとしてくる。
夕暮れ時まで1時間ほどその場で友人たちとそこで待機していると、下に見えるドンドコ沢を小屋の人が下りていく。
まだ到着しない人がいるから捜索に出たのかと思ったが、犬の名を呼んでいる声が聞こえてきたので、どうやら敷地内にいた犬が行方不明のようだ。
もうすぐ日も暮れるし心配したが、小屋に戻ったタイミングくらいで無事に発見されていた。
なんでもテント泊の人のテントの中にいたそうだ。
犬は叱られていたが、叱られるべきは小屋の人に黙って犬をテントに連れ込んだテント泊の人ではないだろうか。
翌朝の朝食は5:30とのことだが、天気が早く崩れそうなので、小屋の人の勧めもあり朝食は弁当にして5時には出発することにした。
出発する前に富士見岩まで富士山を見に行ったが雲の中。
そして小屋まで戻ると、地蔵岳方面にきれいな虹が架かっていた。
朝日に照らされてくっきりと七色の虹だったが、ということは西に雲があるということなので、天気が心配だ。
案の定、出発準備をしていると早くも雨がぱらついてきた。
花崗岩の風化したマサ土の道をずるずると地蔵岳まで登る。
地蔵岳のオベリスクは近づくほどに小さく見えるのが不思議だ。
地蔵岳で展望が開けると、思いの外、甲斐駒ヶ岳から北アルプス、八ヶ岳などがしっかりと見えている。
今日は南側から雲が進んできているようなので、北側の展望がいいのだろう。
次にアカヌケ沢の頭まで行くと、目の前に南側の白峰三山が山頂までしっかりと見えていた。
いや、これは今日は思いの外展望がいいではないか。
これは富士山も期待できるかもしれない。
今回の鳳凰三山は友人たちの企画で、その目的はタカネビランジだったそうだ。
昨日はドンドコ沢だったが、今日は稜線なので期待できる。
タカネビランジを探しながら歩くが、ピンク色の花はイワカガミばかり。
代わりに多かったのが、昨日沢沿いでも多かったキバナコマノツメ。
そして最初はオサバグサかなと思ったのだが、よく見ると上向きの白い花でどうやらクモマナズナのようだ。
岩の上のはクモマナズナ、岩陰にはキバナコマノツメという組み合わせが多い。
白砂の稜線を最高峰観音岳に向かって歩いていく。
雨も時折ぱらつく程度で風も弱い。
昨日は雷鳴も聞こえたが、それもなく、天気は今日の方がいいようだ。
そして観音岳へ向かって高度を上げていくと、出た!富士山がきれいに見えているではないか。
友人のYcはよく自分は富士山と通じ合っているからと言うのだが、本当にYcと山へ行くと富士山を見られることが多い。
今朝の感じだとまず無理だろうなと思っていただけに、この展望には心躍った。
12年前の鳳凰三山は天気が良く、観音岳から撮った風景を未だにPCのデスクトップ画像に使っているが、またこの景色を見られるとは本当に嬉しい。
下層に雲が広がっているのもまた味わい深い。
今日は小屋を午前3時位に出た人も多かったが、もしかしたら早い時間は富士山は雲に隠れていたかもしれず、本当にタイミングが良かった。
観音岳山頂は人も少なく快適で、雨もちょうど止んでいたので、結局1時間余りもゆっくりと景色を眺めていた。
こういう時、感覚が同じ人たちと山に登ると本当に気が楽だ。
人によっては先を急ぎたがる人もいるわけなので。
少し雨も降り始めたため、薬師岳へ向かって出発。
それでも富士山はまだ見えていて、富士山へ向かって歩いていくのが気分が良い。
友人の1人がついにタカネビランジを発見。
たった1輪だけ咲いていたのを見事、見つけたのである。
展望も良く、タカネビランジも見られて、今回の目的は全て達成できた気分だ。
よく見るとタカネビランジの株はあちこちにあり、蕾を付けているものも多数あったので、花の時季はこれからなのだろう。
広々とした薬師岳山頂にはもう誰もいない。
振り返ると観音岳はよく見えていたが、天気はいよいよ下り坂だ。
ここから中道コースで青木鉱泉へ向かって下りるタイミングでとうとう富士山も雲の中へ隠れていった。
尾根を下る中道コースもなかなかの急斜面で、雨の中時々滑りそうになる。
青木鉱泉に着いた頃には雨も本降り。
21年前、次来た時には入ろうと思っていた趣のある青木鉱泉にゆっくりと浸かり、その時の気分を思い出していた。
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