カムイエクウチカウシ山〜1823峰〜コイカクシュサツナイ岳
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- GPS
- 80:00
- 距離
- 31.8km
- 登り
- 2,709m
- 下り
- 2,708m
コースタイム
- 山行
- 9:25
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 10:10
- 山行
- 4:10
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 5:40
天候 | 7/29 晴れ 7/30 快晴 7/31 ガスのち晴れ 8/1 晴れ後曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・八の沢の投降は足元に十分注意。多くの人が歩いているとはいえ、この沢は非常に危険で事故も多い。 ・ピラミッドを超えてから1807までがこのルートの核心部分だった。岩場の処理が非常に厄介な上、ヤブも酷く時間がかかる。 ・1602鞍部は大変快適な幕場だが、風が吹き抜ける所なので、テントの固定は十二分に。ポールが折れないかヒヤヒヤ。フライシートのファスナーが何度閉めても風の力でだんだん開いてくるのは参った。 ・1602から1737の激ヤブは通過に4時間かかるとのことで壮大な覚悟で望んだが、3時間半で通過し許容範囲だった。岩場が少ないので危険ではないのは救い。ポイントは日高側のヤブの薄い箇所を狙って体力を消耗しないようにすること。十勝側は絶壁なので利用できない。 ・1823と1643の鞍部、1643とコイカクの鞍部のヤブは共に非常にキツイ。工程の最後であり体力の限界もあって先述した1602〜1737の激ヤブよりもキツく感じた。それにしても夏の1823峰は日高では遥かなる山だ。名峰にも関わらず、沢が険悪で直接アクセス出来ず、尾根からは全ての方角から激ヤブを突破しないとならない。ちなみに今回の縦走でクマの糞が1番多かったのは1823付近だった。 ・コイカクの北尾根の危険さは前評判で把握していたがこれは噂通りであった。ここでの転落事故は聞いたことがないが、万が一事故ったら致命的なことになるだろう。十分注意のこと。 ・意外と嫌な薮だったのがコイカク山頂台地。ここのハイマツこぎは夏尾根の頭までたっぷり30分かかる。しかも途中クマの糞が物凄く多い。 |
写真
感想
7/29(金) 晴れ 札内川ヒュッテ〜八の沢出合△
小田原の家を朝4時45分に出て千歳に飛び、レンタカーで札内川ヒュッテに入った。帯広空港に飛べば全然楽ちんだが、レンタカーがフルだったので致し方なく。
2015年以来の札内川だ。前回は大豪雨の後のため増水していたが、今回は平水。しかし水量は多く渡渉は深いところで股下だ。舐めてはかかれない。
八の沢出合には3時間で到着。18時を過ぎてしまったが日の長い好天の日に確信犯であれば問題なかろう。先着の2つのテントは就寝中のようなので静かに食事の準備。この日は蒸し暑くて途中で寝袋から脱出して寝た。
7/30(土) 八の沢出合〜999三股〜八の沢カール〜カムイエクウチカウシ山〜ピラミッド〜1807〜1602△
八の沢は札内川本流に比べ格段に水量が減る。渡渉で問題を感じた場所は無かった。999から上はスリップ注意。非常に急峻な滝の巻道である。事故も多いそうだが、ここは沢登りのコースであり登山道では無い。そのことを肝に銘じるべきだ。
八の沢カールからの素晴らしい眺めは今までの労苦を補って余りある。前回は宿泊したが今回は水を4.2リットルも担ぎさらに上を目指す。国境稜線までの道では前回はヒグマに遭遇したが今回はカール中見渡しても見つけられなかった。今日は登山者も多く10人くらいはいる。そして非常に暑い。クマも涼しいところで寝ているのではなかろうか。
カムエクのピークでも雲はかからず、360度の展望を楽しんだ。このピークで2度も快晴になるとは相当に運が強い。国境稜線の分岐まで戻り、ピラミッドに登る。ここも2回目だが前回はガスで何も見えなかった。八の沢カールが眼下に見えるのがカムエクピークに勝る点かもしれない。
さて、今回の縦走はここからが本番だ。1度下って目の前に見える1807に登り、転げ落ちるように1602のコルまで下る。そして出来れば激ヤブの中間点である1573のコルで幕営することを目論んでいた。
だが結論からするとそれは全然不可能で、1602鞍部で力尽きることとなった。1807までの下りと登りのヤブがあまりにキツすぎた上、1807登りで思ったよりも危険な岩稜帯が多かったのが要因だった。しかも暑い!何なんだこの気温は! 内地の山と同じではないか。1807ピークに息も絶え絶えで辿り着く。今日は時間はまだ早いが、1602で打ち止めにしようと決意。早速日高のヤブの洗礼を受け、へこたれてしまった。
1602はここで是非幕営してくださいと言わんばかりの美しい場所。目の前の岩場にはナキウサギのチーチーという警戒音が響き渡る。きっとクマが来ても教えてくれるに違いない。
人の多い地域から遠く離れたこの1602での幕営は一番問題となるのはクマだと思っていた。しかし、それ以上に悩まされたのはかぜだった。夜半すぎから爆風となった風はテントを押し倒すのではという勢いで、ポールが折れないかヒヤヒヤだった。フライシートのファスナーが風の力でだんだん開いてしまう位だった。
7/31(日) 1602〜1573〜1737〜1823峰〜1643〜1444〜コイカクシュサツナイ夏尾根の頭△
クマの恐怖で夜は眠れないんじゃないかと想像していたが爆風とテントの変形でウトウトする程度しか眠れなかった。爆風でのテントの撤収も何度か経験があるが今回が間違いなく一番酷かった。気がついてみるとテントポールの袋がなくなっていた。飛ばされてしまったのだろう。
1602〜1737の激ヤブはどの記録を読んでも最悪と書いてあり戦々恐々だったが、本当にひどいのは1573コルの前後であり、ここは閉口した。しかしそれ以外は断続的で楽に進める場所もかなりあった。 朝の体力のあるうちの感覚なのでこれが夕方だったら別の感想になっていたかもしれない。
今回一番楽しみにしていた1823峰に登頂したが残念ながら物凄い強風とガスで立っていられない程だった。山頂のテント場は風を避けられる位置にあり快適そうだった。1823からは南西にも尾根が派生しているので間違えないよう南東に下る。
1643までのコルとその後の1444コルの激ヤブも非常に苦しい。個人的には1602〜1737と同じくらいのきつさじゃ?と思った。1444付近に幕営適地があるとの情報を持っていたが上手く見つけられず、仕方なくコイカクまで登ってしまうことにする。コイカクの北尾根の岩場は非常に危険との情報を得ていたので十分注意して登った。巻道を見逃さないことが寛容である。忠実に稜線を行く場所と、巻く場所をきちんと見分けなければならず、それが一番大変だった。疲れもピークで集中力を切らさないよう休憩も多くした。正直ここは下りでは使いたくないなと思った。
最後はコイカク台地のハイマツ漕ぎにも悩まされ、夏尾根の頭に到着した時は一歩も動けなかった。テントを立てるパワーもなく、しばらく放心状態で座っていた。幸い、午前中まで爆風だった稜線上の風も夕方には普通の強風程度まで収まっていた。
連日暑く、八の沢カールから上げた水もギリギリだった。あと500mL多く持つべきだった。明日の朝まで節約して頑張るしかない。
8/1(月) コイカク夏尾根の頭〜上二股〜札内川ヒュッテ[下山]
曇りの予報だったのに東側は晴れのエリアがあり、ご来光があった。十勝側の大雲海から日が昇る様子は絶景以外の何者でもなかった。
コイカクの山頂を往復する途中で女性の単独行の方にお会いした。1305でテントを張っているそうで、もう一泊するという。ヤオロマップか1839まで行くのだろう。物凄い体力の持ち主だ。
今朝はお茶2杯で水がついに尽きた。喉の乾きが酷いため、急いで下る。上二股に着いたら速攻で川の水をペットボトルにくみ、そのままガブガブ飲んだ。エキノコックスが怖いので道内の生水は湧き水以外飲まないようにしているが、今回はそんな事は言っていられなかった。その後カップ麺とミルクティを流し込み、ほうじ茶まで入れてようやく落ち着いた。
コイカクシュサツナイ沢は非常に水量が少なかった。函を巻く以外は全く問題になる所はなかった。こんなに簡単な沢だっけ? 前回2009年以来13年振りなので記憶は曖昧だ。
赤い橋が見えて無事縦走が終わり、とにかくホッとした。今回も無事故で日高を終えられて本当に良かった。
ーーー
これにて札内JPからペテガリ岳までの稜線が全部繋がった。我ながらよく歩いたと思う。どのヤブも酷かったが、やはりルベツネ〜ヤオロマップの激ヤブを超えるものは無かった。あそこの区間はお金を積まれても行きたくない(笑)。逆にエサオマン〜カムエクの区間はまたいつかトライしたと内心は思っている。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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コメントありがとうございます。登山道が無い区間がまとまった久々の長い行程でした。1週間前から緊張で気分が悪くなることもあり、天気が崩れてくれるよう願うばかりでしたが、夏の日高には珍しく良い天気に恵まれました。山に入ってしまえば集中力も高まり、楽しむことが出来ました。
とはいえ今回の縦走中、こんなハードなルートはもう止めようと何回か思いました。少なくとも、ペテガリ〜コイカクと今回のルートはもう二度と行くことはないと思います。この歳では体がいくつあっても足りません(笑)。
日高の一番の楽しみ方は沢からピークを目指すことだと思っています。カムエクもエサオマンもコイカクも1839も単独で十分素晴らしい山です。それらを繋ぐ意味は実はあまり無いのかも知れません。
お久しぶりです。
うっかりカムエク〜コイカクの記録を見過ごしていました。
もう13年も前になりますが、無謀にもペテガリまで行こうとしてコイ
カクで下りてしまったのでした。あのようなところを歩こうなんて、
元気だけはあったのでしょうね。
今は野菜の世話があるし、日々の肉体の酷使により体力の余力もなくな
って、1泊の山を登ることも難しくなってしまいました。(先日、北戸蔦
別岳〜幌尻岳の代替としてテントを担いで大雪山に行きましたが、つら
かったです。)
triglavさんの記録を拝見し、あらためて日高の山のすばらしさ(つらさ)
を再確認しました。
ご無沙汰してます。いつも悪天候の日高で今年は天気に恵まれました。
ro-shonenさんの記録ももちろん読んでおりますが、あの時の悪天候も物凄いものがありました。私もあのようになるのかと戦々恐々でしたが、山に入ってみればあっけないものでした。好天であればこんなものかなと思います。薮漕ぎは十分キツかったですけどね。
日高のヤブはもう当面遠慮という感じですが、ソエマツ岳は1度登ってみたいのと、積雪期に戸蔦別〜エサオマンの間を歩きたいなと思ってます。
ro-shonenさんもまた日高を歩けるようになるよう祈っております。ヤブこぎなしのポロシリ、カムエク、エサオマンなど、ピークハントだけでも十分魅力的な日高の山々です。
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