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Yamareco

記録ID: 478839
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ハイキング
奥多摩・高尾

岩尾根から鷹ノ巣山山頂を経て巳ノ戸林道へ

2014年07月13日(日) [日帰り]
 - 拍手
体力度
2
日帰りが可能
GPS
08:29
距離
8.8km
登り
1,346m
下り
1,353m
天候 曇り。にわか雨あり。
過去天気図(気象庁) 2014年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
コース状況/
危険箇所等
・台風8号の後でしたが、岩尾根ルートにさしたる危険はありませんでした。
・巳ノ戸林道は最早まともには通れません。
岩尾根にて。
2014年07月13日 10:03撮影 by  SOL21, Sony
7/13 10:03
岩尾根にて。
岩尾根にて。
2014年07月13日 10:12撮影 by  SOL21, Sony
7/13 10:12
岩尾根にて。
鷹ノ巣山山頂から南方を望む。
2014年07月13日 11:19撮影 by  SOL21, Sony
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7/13 11:19
鷹ノ巣山山頂から南方を望む。
鷹ノ巣山山頂。
2014年07月13日 11:30撮影 by  SOL21, Sony
7/13 11:30
鷹ノ巣山山頂。
鷹ノ巣山山頂。
2014年07月13日 11:31撮影 by  SOL21, Sony
7/13 11:31
鷹ノ巣山山頂。
鷹ノ巣尾根。
2014年07月13日 12:10撮影 by  SOL21, Sony
7/13 12:10
鷹ノ巣尾根。
鷹ノ巣尾根にて雨。
2014年07月13日 12:39撮影 by  SOL21, Sony
7/13 12:39
鷹ノ巣尾根にて雨。
鞘口峠が見えてきた。
2014年07月13日 12:56撮影 by  SOL21, Sony
7/13 12:56
鞘口峠が見えてきた。
東に向きを変えて九十九折に下る。
2014年07月13日 13:16撮影 by  SOL21, Sony
7/13 13:16
東に向きを変えて九十九折に下る。
丸太で囲った下方の道は良く残っていた。
2014年07月13日 13:19撮影 by  SOL21, Sony
7/13 13:19
丸太で囲った下方の道は良く残っていた。
九十九折を終えたところで前方が開けた。
2014年07月13日 13:30撮影 by  SOL21, Sony
7/13 13:30
九十九折を終えたところで前方が開けた。
上方から沢沿いの木が全てなぎ倒されている。
2014年07月13日 13:31撮影 by  SOL21, Sony
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7/13 13:31
上方から沢沿いの木が全てなぎ倒されている。
沢沿いに倒木が流されてている。
2014年07月13日 13:31撮影 by  SOL21, Sony
7/13 13:31
沢沿いに倒木が流されてている。
2014年07月13日 13:34撮影 by  SOL21, Sony
7/13 13:34
2014年07月13日 13:37撮影 by  SOL21, Sony
7/13 13:37
左右の崖は崩れるだけなので、真ん中の倒木を超えるか潜るかするしかない。
2014年07月13日 13:47撮影 by  SOL21, Sony
7/13 13:47
左右の崖は崩れるだけなので、真ん中の倒木を超えるか潜るかするしかない。
ここも超える。
2014年07月13日 13:53撮影 by  SOL21, Sony
7/13 13:53
ここも超える。
前回渡った木橋も壊れていた。
2014年07月13日 14:32撮影 by  SOL21, Sony
7/13 14:32
前回渡った木橋も壊れていた。
超えた倒木を振り返る。
2014年07月13日 14:47撮影 by  SOL21, Sony
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7/13 14:47
超えた倒木を振り返る。
7月の奥多摩に。
2014年07月13日 15:05撮影 by  SOL21, Sony
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7/13 15:05
7月の奥多摩に。
沢に緑が。土の道がありがたい。
2014年07月13日 15:16撮影 by  SOL21, Sony
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7/13 15:16
沢に緑が。土の道がありがたい。
撮影機器:

感想

<注意事項>
・今回の下りの道は廃道です。昭文社の登山地図は勿論、地形図にも記載されていません。
・しかも下記に詳しく書いたとおり、最早普通に通れる道ではなくなりました。
・それでも行かれる方は全て自己責任にてお願いします。

また鷹の巣へ行く事にした。前回(1月)踏み跡の無い雪に怖気づいて諦めた巳
ノ戸林道を下りに取り、そこに時間を割くために登りは平面距離だけは短い岩尾
根を選んだ。12日は台風一過で晴れる見込みだったが、下りの巳ノ戸林道は沢
沿いの廃道で増水していると危険なので、念の為一日置いて13日に行く事にし
た。前線が再接近するにはまだ余裕があると判断した。

当日の7時27分発の東日原行きのバスは、増便無しの一台きりだった。暑いし景
色は望めない、おまけに虫が多い季節に登る人はやはり少ないようだ。

3ヶ月ぶりの復帰なので自重して初めはペースを落として登り始めた。ペースを
上げようにも上がらない。巳ノ戸林道への分岐点で良さそうな木切れを見つけ、
ステッキにした。虫が多いかと思っていたが、それ程ではない。ヒルメシクイ
のタワの手前あたりで急に増えてきた。今回投入した新兵器、防虫ネットを取
り出した。帽子にかけて頭全体を覆うものだ。帽子はいつもは野球帽だが、耳
のすぐ側に寄ってこられては意味が無いので、全周につばのある麦藁帽子につ
けた。

効果は素晴らしい。かけた途端に気にならなくなる。ノーマルルートを歩いて
いる限りは視界もそれ程妨げない。ただ、すれ違い時の挨拶の返事が減ったよ
うに思えるが、気のせいだろう。

頂上直下の急騰で他の人と団子になりつつ、登頂した。11時半着。昭文社タイ
ムと同じとは情けない。山頂は数組のみで、虫も少なかった。南からの風は少
し寒くすら感じた。曇りなので見晴らしは望めない。富士も姿を見せない。そ
れでも大寺山の仏舎利塔と峰集落は光って見えた。

昼飯はトマト一個とおにぎり二個。ただのトマトがご馳走に思えた。だが昼飯
もただの前菜で、メインディッシュは下りのバリエーションルートだ。

巳ノ戸林道は麓から鞘口峠までは昨年に雨による敗退で往復しており、ルート
ファインディングにさして困難が無いのは知っている。鞘口峠からヒルメシク
イのタワまでは登りを二度経験したのみで、下りを経験した事がないのはその
区間だけだ。

ヒルメシクイのタワに降りて地図を出し、気合を入れて降り始めると、休んで
いた人に声をかけられた。同じルートに興味があるとの事なので、知っている
限りの事を伝えた。ちなみにその時の方がもし読まれていれば、下記の通りこ
のルートは最早まともには通れないので、お伝えした事―道ははっきり残って
いて降りられる旨−はお忘れ下さい。

鞘口峠までの下りは急だが、それなりに踏み跡はある。久しぶりにコンパスを
出した。いつもは日時計で間に合わせるが、曇の北尾根では使えない。踏み跡
はあちこちについているので、それには惑わされず、ただ主尾根を北、やや西
に降りれば間違わないだろう。

30分ほど降りたところで雨が通った。栂の巨木が艶を帯びた姿にため息をつい
た。

鞘口峠からは東に九十九折を降りる。以前はそれ程でも無かったが、今回は只
でさえ弱視の上に防虫ネットを被っているので細かいルートファインディング
が難しい。上部は崩壊が進んでいて道が見つけ辛かった。

九十九折が終わった先がえらく明るかった。沢の真ん中が伐採されているよう
に見えたが、伐採ではない。残った株は下斜面の方向に悉く割かれていて、その
先に倒木が何本も見える。恐らくは二月の積雪で雪崩が起こった結果だと思う。
思いもよらない荒涼とした風景に暫く呆然とした。

いずれにせよ道ははっきりしている。ただ主な沢筋を東に下れば、岩尾根登山道
の巳ノ戸林道分岐点に辿り着くはずだ。しかし実際には下るにつれ、狭くなった
谷筋がボトルネックになって倒木が集積している箇所を通らねばならず、余裕が
無くなってきた。ここから先は沢沿いで、麓辺りでせいぜい10m程高巻く程度。こ
れ程の勢いで木が流れているのならば、この先数百m倒木があるかもしれないー
とは考えず、実際には、ここを超えれば後は大丈夫なはずとの根拠のない希望を
抱いてずるずると進んだ。引き返す事も一応考えたが、標高差500m以上を登り
返すのは考えたくなかった。八丁尾根コースも無事とは限らない。この沢沿い
の道には滝のような危険な高低差が無い事は知っている。

チビとは言え集積した倒木の上を通る自信は無い。九十九折のところからつい
ていた比較的新しく大きな踏み跡が、はっきりと左岸を高巻きしていたので追
随してみると、てっぺんで消えていた。止むを得ず数メートル尻セードで降り、
沢沿いの左岸の崖を進むことにした。コブ状の石に尻をかけて先の手がかりを
探していると、尻の下の石が鳴り始めた。足元は1mも無さそうだが、倒木や石
が詰まっていて、滑落したらそれなりの怪我をするかもしれない。目の前の倒
木の枝は全く頼りない。漸く元の位置に戻る事を思いつき、右を向いてしっか
りとある地面の上にザックを置き、手がかりを掴んで体勢を戻した。

自分に高巻きは難しい。ひょっとすれば上の方に並行した作業道があるのかも
しれないが、それに賭けるわけにはいかない。高巻いても滑落のリスクが高ま
り、さっきのように失敗すれば体力を無駄に消耗するだけだ。幸い早めに行動
していた為、時間はある。夏場で日も長い。エネルギーの蓄えはザックにも腹
の脂肪にもある。ランプもある。遭難という最悪の事態を避ける為には、行動
不能になるような怪我をしない事、体力を無駄に消耗しないで、最後まで自力
で行動する事だ。であれば面倒でも、時間がかかっても、むしろ沢の真ん中を
辿り、できるだけ博打をしない事だ。倒木の中でも見渡しの良いところに登り、
沢の上の倒木で自分を支えられそうなものを選んではしがみついて降りる事
を繰り返した。それでも時には賭けざるを得なかった(と整理して書けば合理
的に判断したように読めるが、実際には動揺と混乱ばかりだった)。

途中で防虫ネットを倒木の枝に引っ掛け、色々と引っ掛けるものが出たままに
なっているのに気づいた。防虫ネットも帽子もシャツの裾もしまう。コンパス
もしまった。道に迷うようなところではない。おかげで虫に吸われて今も顔中が
ボコボコだ。

本来なら大した標高差のない古道を苦労なく歩いているはずが、そもそも地面が
無い。たまに倒木の間に見える地面を有難く踏む。倒木に跨って滑るうち、こ
れはもう脱出行やなと思う。木上の人等と下らない冗談を言っている場合では
ない。とにかく怪我のリスクを避け、体力を温存する事だ。でももうあかんか
もしれん。そういう弱気も出た。

倒木の連続にうんざりし、1時間半程過ぎた頃、先の倒木の下に白いものが見え
た。確か一軒作業小屋の廃屋が麓近くにあったが、ひょっとしたらそれかなと、
人工物に再会した喜びで触れたらー雪だ。7月の奥多摩に雪が残っていた。

さっきから沢の水は地下に潜ったり現れたりを繰り返している。この辺りは以前
もそうだったが、地点は違うかもしれない。現れたあたりで水を飲んで休もうか
と思っていると、右岸の上方から、鹿の警戒音が聞こえた。ピョッという甲高い音
を二回ずつ繰り返している。同時に石が崩れ落ちるのも見えるが、目が悪いせ
いか鹿自体は見えない。犬のようなワンッという吠える声も一度だけ聞いた。

邪魔しているのは明らかにこっちなので、大人しく下る。しかし亀の歩みだ。
鹿も何故か徐々に同じ方向に進んでまた鳴く。こっちは立ち去りたいのにそれ
が出来ないので、いい加減「うるさいわ!」と怒鳴りたかったが、それで好転
するはずもないので我慢した。

と、目の前が変わった。青い木立がある。これまでは沢の周囲に木立はあって
も、真ん中は明るかった。暫く固まった後、雪崩の跡が終わった印だという事
に気がついた。嬉しくて写真を撮った。確かに地面が続いている。そこで鹿の声
も消えた。沢の水で顔や尻セードで泥だらけの尻を洗い、すくっては飲んだ。雪
解け水の鮮烈な味だった。生き延びた。

------

結果として自力で帰ってきたものの、この記録を読んで危なっかしいと思った
方もおられるだろう。正規の登山道を整備されている方にとっては、このよう
な記録の公開自体が苦々しいかもしれない。未熟者に対するご批判は是非お
受けしたい。

2月にあれだけの雪害が報道されていたのだから、東尾根の北側の谷にど
れ程の傷跡が残っているのか、想定すべきだったのかもしれない。500m降
りた後に今更登り返せないというのなら、その地点で取りうる他の選択肢を
用意しておくべきだったのかもしれない。

ただ想定外の事態で必要なのはまずは落ち着く心、その次に事態を乗り越
える体力、最後に装備だと実感した。

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