雲取山ー酉谷山ー棒ノ嶺(奥秩父ー奥多摩ー奥武蔵を繋ぐ旅)
![情報量の目安: S](https://yamareco.info/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
![都道府県](/modules/yamainfo/images/icon_japan_white.png)
- GPS
- 80:00
- 距離
- 61.5km
- 登り
- 4,309m
- 下り
- 4,580m
コースタイム
- 山行
- 2:00
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 2:10
- 山行
- 10:55
- 休憩
- 2:45
- 合計
- 13:40
- 山行
- 8:10
- 休憩
- 1:50
- 合計
- 10:00
天候 | 終始晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
さわらびの湯ー東飯能駅ーJR八高線ー明覚駅 |
その他周辺情報 | さわらびの湯 第1水曜日定休 18時まで。 |
写真
感想
2014.08.03記載。
色々と思うところはあるのだけど、今は思うがままに。
トレーニングと厳冬期を見据えた偵察をかねた山行。
そして、ヤマレコマップで、奥秩父ー奥多摩ー奥武蔵ー自宅までを赤い線で結びたいのだ!
3週連続のロングトレイル、第3弾。
厳冬期に失敗した、「ノートレースの旅」と同じコースをチョイスした。
植野興業のプレハブ・三条の湯・酉谷避難小屋を当てにした計画ではあるが、UL(ウルトラライト)を基本装備に。
理想はゆっくりまったり、時間と空間を楽しむなのだが・・・。
真逆に、ウルトラマラソンやトレイルレースに身をゆだね、ファストパッキング・ULというある意味流行に追従している面もある。
流されているのは、情報にではない!と言いたい所だが、実際はわからん。
ただ、ひとつの固定観念や理想を見つつも、囚われたくはない。
縦走登山に関しては、装備は固まり「いつもの装備」は固定化されつつある。
その中で、もっと楽に・もっと遠くへ・・・。
テントをツェルトにしたり、兼用できるものや実際に携行しても使わない装備を無くしたり、装備を経験でカバーしたり。
雨具を新調し、ノースのプラズマに変更。
単4、3本75ルーメンスのヘッデンから、単4、4本の100ルーメンスへ変更。
低電力モードにすれば、ロングライフになるし、レースでの使用に75ルーメンスは暗いと感じていた。
ポールもHelinoxの軽量に変更。
ハンドライトや充電器を削除。
装備重量の計量をし忘れたが、装備の重さの60%以上は水と食材だ。
背負った感じでは、水を抜いた重量は10kgを切っていそうだ。
携行する水は2Lの予定で、総重量12kg程度。
グレゴリーのアルパイン30に収め、そのまま出勤した。
早退したいが為に、仕事を片付けようと必死になるが失敗。
予定より10分遅れて事務所を出る。
新宿で2分の乗り換えになり、検索どおりに中央線12番ホームに走るが、そこにいたのは「中央特快・高尾行き」。
ヤフー路線・ニフティ・AUと3社、12番線に「青梅特快」だったのに。
ヤフーがゲラケーの路線検索を止めてしまい、非常に難儀している。
乗りなれない新宿からの中央線、結局奥多摩に着いたが、丹波行き最終バス17:15に15分遅れて乗れなかった。
しゃーないが、夕飯の買出しもできないスケジュールだったし、これはこれで良いか・・・と、奥多摩駅は「喜々寿」でたっぷりと夕食にありつく。
予定外は、米とうどんが、売り切れだったこと・・・。
炭水化物が・・・。
しゃーないから、ラーメン大盛りで我慢だ。
18:55発の留浦行きに乗ったのは、2人だけ。
定刻より、10分遅れで出発。
どうも青梅線の車内で、乱闘騒ぎがあり、電車の到着を待ったため。
結局、電車は入ってこなかったが。
同乗したひとりは、自転車を携えていた。
聞けば、明日、奥多摩のヒルクライムレースがあるという。
ランニングにしても、トレイルレース・自転車はひとつのムーブメントを起こしているが、不幸とするなら、文化と環境がそぐわないことだろうか。
日本の風土は、まず人為の良心にまかされる部分が大きいと感じる。
想定されていない部分は、寛容に様子が見られる。
その中で「規制されていないから」という部分で、問題行為が増大していく。
守ろうとする者が、声高に警鐘を鳴らすが、届くことはない。
民意のクレームに、行政が遅い対応を始めるが、それに興味や無知な役人が、訳のわからない規制を始める。
結局のところ規制されたところで「みんなやっているじゃない?」という理由で、ルールが守られないことが多い。
そして、いつものように、話が脱線していく。
バスは定刻どおり19:30に、留浦に到着。
テクテクと車道を歩くが、まったく車の通りがない。
非常に蒸し暑く、途中の電光掲示板には26℃の表示。
林道途中で水は確保できるだろうと、汗をダラダラかきながら、大いに水を飲んだ。
お祭荘まで着けば、なにから賑やか。
レース参加者でも宿泊しているのだろうか?
早く到着できれば、ここで1泊も考えていたのだが・・・。
迷惑にならないなら、挨拶をしていこうと立ち寄るが・・・。
いぶかしげに見られ、相変わらず顔を覚えられていないことに気付く。
もう逆に可笑しくて、いついつの〜とか、ボッカしたとか、言わないで後にした。
途中、水を満タンに給水し、顔や腕も洗いさっぱり。
植野興業のプレハブに到着し、早々に寝た。
7月27日
2度寝してしまったが、今日は急ぐことはない。
3月で賞味期限が切れている「どんべえ」に卵を投入し朝食。
チョロチョロと寄り道をしながら、8時半くらいに三条の湯へ到着した。
オーナー木下氏に小屋番の関谷君、久しぶり〜。
到着早々に、ハムエッグトーストが視界に。
ジー・・・ジー・・・、「た・・・食べる?」と。
ごっちゃんです(笑)
丹波で祭りがあるからと、木下氏は早々に下山。
今日は、もうお風呂に入れますよ〜と関谷君。
まじでか!早々に朝風呂だ!
ついでに着替えて、登山用衣類を洗って干した。
宿泊の予約は?と聞くと、今日は1名様のみと。
宴会か?と言いたい所だが、明日は予定に反して、早立ちしようと思った。
ビールを飲み、昼寝をし、温泉に入る。
ダラダラとまどろみながら、街の疲れを解消していく。
日曜日の下山客に時折接客したり、お風呂の湯加減を確かめて薪を調整したり。
差し入れのクリームシチューを10皿分作り、結局3組4人の宿泊者に夕飯に振舞ったり。
有意義な時間が、流れていった。
バスの時間に合わせて、慌てて下山していく人。
時間調整に、温泉に入っていく人。
丹波に向けて、サヲウラに向う人。
下山予定だったけど、疲れたからもう1泊テント泊していくという子供連れの親子。
登山者として、登山者を見送っていく不思議。
そんな自由な時間を提供してくれるこの場所、恩を仇で返さないように、迷惑にならないように手伝える部分で協力して行きたいと思う。
7月28日
3時に起床、気温は16℃涼しい。
本来はいけないんだろうが、幕営料しか払っていなかったが、大部屋が空いていたので、玄関先で寝かせてもらった。
作りすぎたと・・・朝のお弁当までいただき・・・。
多少は手伝ったとはいえ、過剰なサービスを受けてしまっていた。
今度は、お礼に何を持ってこようか・・・と思いをめぐらした。
早々にパッキングし、出発だ・・・。
んー・・・なんか違和感が・・・。
なんだろ・・・と思ったが、急ぐあまりにそのまま出発。
道中、デジカメを落としたといい戻ってきた宿泊者がいたので、気にしながら進む。
三条ダルミまでの中間地点くらいで水も補給でき、足取りも快調だった。
1日中ダラダラと温泉で過ごしたのは正解だったと、今日はイケルぜと意気揚々だった。
本来の計画は、8時に出発し、酉谷避難小屋到着は20時過ぎと思っていた。
それは通常の軽装登山で算出していたが、連日の猛暑を計算に入れた。
予定より3時間半早く行動し、予定通りなら明るいうちに酉谷へ着けると。
午後からの夕立や雷も視野に入れれば、小屋での語らいは捨てがたかったが、今回は名栗までの完歩を優先した。
切れ落ちる沢筋にかかる橋が見え始め、三条ダルミが近いと確信した。
日差しは緩く、雲が多く掛かっていた。
その雲の加減か、パラパラっと水滴が風に舞う。
お・・・と感じた瞬間に、脳裏にパッと閃いた感触。
あ!と思って、ザックを下ろし、中を確認する。
ない・・・雨具が・・・ないぞ。
パッキングしている時の違和感、そうか・・・これだったか・・・やっちまった。
どうする・・・・どうしよう・・・・。
とりあえずツェルトはあるし、突発的な通り雨以外に天気の崩れはないと思う。
恐らく三条の湯に忘れたのだろうし、後日取りに行けばよいか・・・。
いや待て!三条ではなく、植野興業のプレハブだったらどうする?
今日は平日だし、工事関係者が上がってくる。
思い出せ・・・最後にプレハブを掃除したし、中をザッと確認したはずだ。
三条で違和感があったのは、パッキングの緩さだ。
シチューの具材が大きかったから、その分かな?って思った。
が、プレハブでパッキングした時にそれは感じなかったし、三条で荷物を始めに開けた時に、なんとなく雨具を出した絵が脳裏にある。
冷静に考えろ、まずはこのまま進むかどうかだ。
忘れたのが三条なら良いが、プレハブだったら?
auの携帯では、連絡の取りようが無い。
そもそも、三条は電話は通じない。
方法としては、下界の事務所に連絡し、無線で確認してもらう方法だ。
どのみち、下山後になる。
あるいわ・・・雲取山荘から無線か電話が使えるかもしれない。
うーん・・・・そもそもだ、雨具無しに登山を続行するのが得策か?ってところだろう?と自分を嗜める。
いつも偉そうなこと言っている割に「まぁ、大丈夫だろ」と進んでいいのか?
否。
雨具は必須装備だ、しかも今は夏。
低山での低体温症はあります!と言っている以上、必要装備がないなら登山は終わりだ。
雨具は、取りに戻る。
ひとつ決定だ、では次だ。
荷物をデポするか、持って降りるかだ。
当初の計画は、8時出発。
空荷で降りれば、三条で回収し、近い時間で再出発し、空荷でここまで上がって来られる。
問題はない、じゃあ、プレハブだったら?
林道終点まで20分、そこからプレハブまで6km。
往復で早くても4時間はかかるだろう。
そして、紛失してしまっているパターンが最悪だ。
それならば、荷物は下ろした方が良い。
駄目だ、考えがまとまらない。
まずは、考えがまとまるまで、荷物は担いで降りよう。
とにかく、足を動かそうと決断し、下山開始。
最悪は、荷物を取りに戻り、三条へ降りるか。
雨具が無いなら、それが賢明だ。
雨具があれば、荷物まで戻れば、雲取避難小屋が近い。
七ツ石小屋から鷹ノ巣で、奥多摩に降りるのもいいし、行きたいと思っている三峰口へ降りるのも悪くは無い。
よし、最悪でも先に進める可能性を残す方向にしよう。
駄目なら駄目だ、泣きながら三条から帰ろう。
そうと決まれば、荷物を隠しやすく、わかりやすい場所をと小走りに降りた。
ペット500ccと行動食だけ持ち、橋とケルンを小さく積んで準備よし。
オーナー木下氏が朝上がってくると言っていたし、うまく間に合えば無線でプレハブの確認はしてもらえる。
関谷君は、たしかバイクで林道終点に来ている可能性が高い。
色々な可能性を考えつつ、一気に駆け下りた。
途中、三条から雲取に出発した宿泊者とすれ違い、「忘れ物しちゃったー」と言いながら少し恥ずかしかった。
40分かからず、三条へ到着。
関谷君に事情を話しながら、雨具を探すが見つからなかった。
「ここにある」とある意味確信していたので、困惑した。
切り替えて、木下氏とのコンタクトに期待するが、7時に出発しましたと。
数分差で、間に合わなかった。
明日下山するから、その時確認しましょうか?と言われたが、時間はまだ8時前。
工事関係者も、まだ上がってきていないだろうし・・・。
バイク?と聞くと、バイクと言う。
ならばと、貸してくれ〜と頼むが、快諾してくれたものの、ガレージの鍵は木下氏が持っているという。
木下氏と合流してからか・・・・と横になって待つ。
そろそろかな?と思いながら、林道終点まで降りて待つよとバイクの鍵を借りて降りた。
終点に着くと、木下氏がトラックのタイヤを交換する姿。
どうやらパンクしたらしい。
事情説明もそこそこに、関谷君のバイクで林道を降りる。
プレハブに到着すれば、9時ちょと過ぎ。
関係者は、まだ上がって来ていなかった。
中を確認、あったーーーーーーーー!
ホッと胸をなでおろし、バイクにまたがれば、関係者の車が・・・。
「何やってんだ?」という視線を投げられ、会釈だけ返し、逃げるようにプレハブを後にした。
小屋に戻り、とりあえず報告。
コーラを1本補給し、少し休憩し再度出発だ。
時間は9時半、予定より1時間半の遅れだが、バイクが使えたのが幸いした。
今日は1日土木工事だー!と作業をしている小屋の人達。
最後までお世話になりっぱなしだったが、作業の邪魔になるので軽く挨拶をして三条を後にする。
黙々と足を運び、平坦部は走る。
書き忘れていたが、雨具奪還作戦から、ポールを使用していた。
最近、トレーニングと思って使用を控えていた、トレッキングポール。
ここまで遅れても、酉谷までの道のりを視野に入れていた。
足を使うことより、どれだけ長く残せるか。
足への負担軽減を優先し、丁寧な着地を意識しながら、黙々と、ただ黙々と荷物の回収地点を目指した。
疲労度を考えれば、雲取泊もあるので、さっき飲んだコーラのボトルも持参。
途中の給水ポイントで、500cc2本を満タンにした。
上に1.5L、合計2.5L。
朝までは心もとないが、最低限の水は確保した。
10時半、意外と早く荷物を回収。
ひと息入れて、11時に三条ダルミに到着し、昼食を食べることにした。
当初の予定が10時半だったので、30分遅れだったからだ。
足にダメージも無く、疲労はあまり感じていなかった。
昨日の休養が、本当に効いている。
ならば焦って急ぐより、じっくりと足を貯める作戦に変更した。
相変わらずの賞味期限切れのそばに、生卵を投入。
ノートレースのラッセルで来た時の、印象とはまったく違う三条ダルミ。
同じ場所だとは、思えないな・・・と本当に思った。
あ・・・そうだ、また積雪期に来た時の偵察も兼ねていたんだと思い出す。
サッと食事を作り、ゆっくりと食べる。
地図と行程表を見比べ、今後のプランを練る。
とりあえず、雲取山と雲取山荘まで、マイペースで上がる。
その時間と、体の疲労度を見て、どこまで進むか考える。
山荘を越えて、酉谷まで厳しそうなら、あと500ccくらい水を補充するか・・・どうせ山荘でコーラ飲むだろうし・・・とか考えて、40分も休憩を取り出発した。
30分で避難小屋・・・軽いって凄いなと感嘆。
山荘までの道のりは、好きな区間なのでゆっくり進んだ。
山荘に立ち寄り、コーラを1本。
1組3人のPTが休憩していたが、凄く見覚えのある顔だった。
思わず声を掛けたが、それは判明しなかった。
だが「山岳ガイドしているんで」のやりとりに、あ・・・依然もたしかに同じやり取りをしたなと。
足の痛みもないし、疲労をそれほど感じていない。
天候にも助けられていた。
猛暑はなりを潜め、山の上だけ雲が掛かっていた。
紫外線にやられることもなく、日焼け止めがいらないくらい。
風が終始吹いていて、汗ばむ体を冷やし、大きく濡れることを防いでくれていた。
気温は20℃、動けば暑いが、止まっていると寒いくらいだった。
羊羹と梅干補給し、サプリのMAGUMA投入。
さー、ここからは未知のルートだ。
残念なのは、急ぎ足ってことだけど、自業自得だから仕方が無い。
水を補給したが、2Lにとどめる。
コーラも飲んだし、元気一杯だ。
行程表では13時スタートになっていたが、12時50分。
20時半までの行程表なので、ここからが正念場となる。
勢いよく出発したが・・・・うはぁ〜と息を漏らす。
いや・・・いいねぇ・・・いいじゃない、このエリアも。
駄目だ、ここを急いでは通れないぞ。
ひとつ前の世代・・・何故朽ちてしまったかはわからないが、1度死に掛けた朽ちた森。
そして、シダや苔が倒木を被い、なんとも寂しげな空間。
そして、新しい世代を担い、植林ではない針葉樹にダケカンバが白く輝く。
耐えて生き残った巨木、植生は変化してしまったかもしれないが、新しい森が再生している景色。
古い文献に残る、花が咲き乱れた奥秩父を見ることは、もう叶わないが・・・。
自然を守ろうという思想は素晴らしいが、自然はもっと強く、そして脆い。
人の力でどうこうなると思っている自体、非常に陳腐で横暴な考えではないか?と感じるようになった。
スタートして50分、芋ノ木ドッケに到着。
足早に移動した区間はあるものの、コースタイム1時間20分を50分?
完全に足が復活している・・・、嬉しい誤算だった。
逆に、先は長い、急ぎすぎることはないんだ、慎重にいこうと思った。
レースで培ったことは、良い時ほど抑えて慎重にだ。
快調かと思われた足取りが停まったのは、水松(あららぎ)山手前。
以外に良かった長沢山までの区間に気分良く進んでいたが、「ピーク北側を巻く」の看板に???。
北?地図を取り出すが、5万図に北への巻き道など載っていない。
もしや、水松山の巻き道か?
ピーク北側を巻く・・・ピーク・・・北側・・・うーん。
ピークを北側に見て巻く?いやそれなら南方向で地図と同じ解釈だが、明らかに道は北へ続いている。
現行ルートが5万図と2万5千図で表記が違うことはしばしばあるし、ここもその類か。
正確な位置は、よほど2万5千図をしばしば見ながら距離感とあわせながら歩いてこないと、今の俺には難しい。
5万図で、しかも快調に進んできた今、正直ロスト状態だった。
これが雪山だと思えば、1ピークずれただけで、きっと別の尾根へと容易に進んでしまうんだろうな・・・。
とりあえずは夏道で、踏み跡も濃い。
指示通りに進んでみることにした。
北側を回り込み、尾根上に戻った。
まだ勘違いしていた俺は、水松山を北に巻いたと思い、荷物をデポして西側の尾根を進んでピークを探した。
小ピークの上に西と南に別れる尾根道。
この北西に伸びる尾根を進めば、手前だったとしても、さっきの分岐に戻るはずだが・・・。
それをしている時間がおしい。
南が天祖山への分岐にも思えないし、ここは戻ろうと決めた。
尾根を乗り越し南に進む違和感と、東西に伸びる尾根が気になったが、今回は無視だ。
薄い踏み跡、広い広場状の鞍部。
場所をしっかり掴んでおかなければ、雪に閉ざされたら・・・俺は方向を失いそうだ。
天祖山への分岐に出て、やっと状況を把握。
帰宅後に、2万5千図と見比べて、2011年の5万図には、水松山手前の北側巻き道が無いことを知った。
それにしても、道中、登山用のリボンが恐ろしいほど無いこと。
夏山は困らないが、雪に踏み跡が消されたら・・・。
最近気付いたけど、山の目印テープ、減っていない?
自分自身で、山にテープを付けるか否か。
それを随分と悩んでいる最中ではあるのだが、雪の時期を想定するなら、個人的にはもう少し目印が欲しい。
ルートファインディングや目印無しで山に入れる技術があることが望ましいのは、よくわかる。
無闇なテープは、山を汚すとか、野生動物の誤飲に繋がる・・・という意見もわかる。
もし、そういう意図で、巻かれてしまった印を取り除く人がいるならば、それはどうなのだろう?とも思う。
何度か通っている登山道に関して言えば、明らかに印が減っているのだ。
正直・・・こえーから、もうちょっと印が欲しいんだ!(笑)
滝谷ノ峰ヘリポートや行福ノタオ付近で、また現在位置が怪しくなったりしながらも、なんとか酉谷山へ到着したのは17時半前。
小屋が見えたときは、本当に嬉しかった。
足の裏や太ももにかなり疲れがきていたが、アクシデントにも関わらず、ここまで来られたことに安堵した。
小屋は噂どおりで、非常に綺麗に保たれていた。
窓を全部開放し、簡単にホウキがけをして、荷物を広げた。
蚊取り線香を焚き、水を満タンに。
足を伸ばしたかったが、とりあえず食事がすぐできる用意をした。
ファイントラックのアンダーを脱ぎ、干す。
顔や頭を洗い、体を拭いて、すっきりさっぱり!!!
ここでやっと、煙草に火をつけ、黒霧島をグイッといった。
まだ明るい空、だいぶ疲労していたが、やりきった感は満載だ。
だが、疲労のせいか、食欲が怪しかった。
夕暮れ前に、窓を閉め、食欲が回復するまでチビチビとやりながら、地図を広げ眺めた。
到着から1時間過ぎ、やっと夕食の準備。
ドライカレーを緩めにつくり、生卵を投入し蒸らす。
味噌汁を入れ、地図を見ながら、一日を振り返る。
明日もまだ距離があるし、今日の疲労がどこまで回復するのか不安もある。
小屋は20℃で快適すぎて、夜を楽しんで遅くなったが、8時半に眠りについた。
7月29日
3時半に起床するも、体はだるい・・・。
外は13℃、小屋内は17℃だった。
さーいくか!と思いたかったが、食欲がまったくなかった。
胃薬を飲み、とりあえずホットミルクを作る。
むりやり食事を押し込むか・・・今日もしっかり食わなくては、力が出ない。
どうする・・・。
いや、朝は軽くの方が、最近良いような気がしているし、ここは少なくしよう。
とりあえず、少量のアルファ米にドライカレーを薄めの味付けで作った。
それでもなかなか喉を通らず、リバースしそうになる。
まずいなぁ・・・やはり昨日の疲労は予想以上だったのか・・・。
しかし、食材を捨てるわけにもいかないし、作った分だけは口の中に押し込んだ。
胃袋が落ち着くまで、ゆっくりと小屋を掃除。
起床から2時間経ってしまったが、予定より30分早い5時半に、酉谷避難小屋を後にした。
空は高く、日焼け止めも塗った。
水は2.5L、少々心もとなくなっていた。
暑くなってくれるなよ・・・。
スタートしてすぐ、足がパンパンに張った。
すでに筋肉痛も出ている。
重い・・・体が重いし、足が動かない・・・。
七跳山直前で、ルートを無視し境界線に沿って尾根ルートへ。
コースタイム50分を、なんとか40分で来たものの足取りは重いし、息が上がる。
途中、ハナド岩を発見し、ゆっくりと休憩をとることにした。
日差しはあるものの、樹林帯は優しかった。
風もあるし、涼しい風だった。
鷹ノ巣の稜線と雲取山への稜線が、広がっていた。
2本目の煙草に火を点け、トンボや羽虫達を遠目に眺める。
昨日から黒スズメバチがブンブン煩かったが、幸い黄色やでかい奴とは遭ってはいないなぁと思い出した。
いつも・・・こんな瞬間に、黄色い奴に追い立てられたっけなぁと思った瞬間、奴が登場した。
体が固まったが、どうやら奴は他の事に夢中らしい。
時折近くを通るが、俺にはお構いなしで、上を旋回することはなかった。
天目山に到着、下れば一杯水避難小屋だ。
思った以上に急な下り、ここを登るのはきっついだろうなぁと。
7時40分、一杯水避難小屋に到着。
当初の予定から、1時間早いが・・・。
昨日は景色を楽しむ余裕があったのだが、今日はスタートから結構必死気味。
右側東京都は、植林の針葉樹。
左側埼玉側は、広葉樹。
国境稜線は、おもろいなぁと思いつつも、昨日ほど見て楽しむ余裕がなかった。
酉谷と比べて、不釣合いなくらいでかい避難小屋。
とりあえず中を確認。
最近の情報を見るために、ノートを手に取る。
26日・・・水が出ていたとある。
一杯水という名に、ある意味そぐのか、そぐわないのか・・・。
水が枯れているという、一杯水。
地図に水マークは無く、無いと思っていただけに、詳しい場所がわからない。
きっと小屋の側だろうと、周りをウロウロと探すが、まったくわからないし、それを示す目印もなかった。
出発から2時間ちょっと、水の消費量が多かった。
500ccが空に近く、残りは2L。
食事で最低500ccとして、コーヒーでも飲んだら、飲料に使えるのは、残り1Lか。
コースタイムで残り6時間。
気温は標高が下がるし、どんどん上がるだろう。
希望があるのは、当初の予定コースを変更して、棒ノ嶺から尾根コースではなく沢コースに変えれば、確保が約束されていることだった。
ここで時間を食っても仕方がないので、水は諦めて先に進むことにした。
そして、しばらく進むと水場発見に歓喜した。
ここかぁ!
そして、水が出ていた。
顔を洗い、水をたっぷり飲んだ。
ひとつ誤ったのは、空になって交換したペットボトルをザックから出して給水しなかったこと。
500ccほど水を飲んだので、足が重いことで+500ccの給水をしなかった。
そして、一杯水で行動食を食べたものの、やっと胃袋が復活し仙元峠を過ぎた棒ノ嶺分岐で、安易に水を飲み、コーヒーまで入れたことで、後々苦労することになる。
10時40分、予定行程から50分早いが・・・。
1時間以上早かった時もあったことを考えれば、遅れが出始めていたことにびっくりした。
昨日の行程表は、従来の縦走速度を考えた上での予想だったのだが、そういえば・・・今日は「このくらいで下山していたいな」という逆算式の予定を組んでいたことを思い出す。
無論、昨日の雨具事件を考慮に入れていなかった訳で、今日は充分に体力が残っていると思っていたからだった。
相変わらず足取りは重いし、空腹だった。
ツナフレークを食べ、残りの賞味期限そばも、2食分食べた。
いささか食いすぎたが、あと6時間と思えば、足りないくらいだ。
それに、あと1回食事をする水は、もうないだろう。
あ・・・と思い、MAGUMAも投入した。
青汁を基本として、高麗人参やトウチュウカソウ他、漢方的サプリ。
筋肉の張りや釣りを改善させたり、空腹感も抑えられると期待してみた。
それが効いたと思うのは安易だが、その後、足の張りが改善され、気がつけばペースがかなり上がっていた。
12時40分過ぎには、ついに棒ノ嶺に到着。
予定行程より、1時間50分早くなっていた。
ここで水が尽き、平日なのに人々で賑わう山頂で、誰かに分けてもらうか・・・と思ったが、沢コースに行けば水が確保できるだろうと、思い止まった。
皆、暑い・・・暑いと言いながら、山頂へ到着している。
ハニースティンガーと行動食を補給し、早々に山頂を後にする。
道中すれ違う人に、あと何分くらいですよーと声を掛けながら、沢コースに進んで行った。
30分も下れば、水の音。
人もいなかったので、顔を洗い、服を脱いで水浴びだ!
たっぷりと給水し、500ccを満タンにし、リフレッシュして出発。
案外険しい沢コースを楽しみ、14時半・・・・ついに下山を果たした。
バス停に着き、時間を調べると、次のバスが5分後・・・その次は35分後だ。
その後は50分後だし、慌てて温泉に駆け込んだ。
実質・・・風呂は10分で済ませた。
10分で800円か・・・・。
最後まで、バタバタした登山だったなぁ・・・・。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
初日のトラブルを乗り越えて、慌てる様子や混乱する姿を想像しながら
また、自分だったらどうしようかと考えながら拝見しました。
峰々の景観もいいのですが、苔むした森、イイですよね。
長沢背稜は現在地把握がわかりずらいものがあってワタシも時々戸惑います。
そんな時はとりあえず前進!
猪突猛進なところがあるので、失敗することもありますが・・・
ハナド岩、ここは奥多摩の峰々を望める上、三ッドッケより静かなので
ワタシもお気に入りです。
暑いので高所に行く傾向にありますが、レコを読んで行きたい気持ちが
フツフツとわいてきました。
コメントあざっす。
一杯水のノートからですが、現在通行止めになっている小谷林道でしたっけ・・・、道路の復興工事は終わっているそうです。
林道からのアクセスが出来ない分、長沢背稜は静かな山になっているのかな?と推測しています。
現在は、落石防止用のトンネル?を作るようで、その工事に約2年ほどかかるようです。
その後は開通し、静かな長沢背稜は賑やかになってしまうだろうなぁ・・・と、シミジミと書いてありました。
1人になりたくて山へいくわけではないのですが、やはり山は静かな方が好きだなぁ俺も。
今年は遠征の年とか思っていたのに、近い山ばかり行っております。
自分LArcもさんのレコを見て、行ってみたいなぁと思ったり。
秋から始まる自分のハイシーズン、1回くらい遠征しようかな?と妄想しております。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する