八ヶ岳デビューは赤岳へ ありがとうを伝えたくて
- GPS
- --:--
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 1,493m
- 下り
- 1,491m
コースタイム
- 山行
- 8:10
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 8:55
天候 | 曇り 稜線上は強風、硫黄岳周辺は台風並みの突風 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
よほどのシャコタンでない限り、車のタイヤ幅と轍の幅に注意しながら進めば、下回りを擦ることはないと思います |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所は特にありません ここぞ!という場所には階段、鎖、梯子が設置されていて、よく整備されていると思います |
写真
感想
※今回のレコは、一部にヤマレコさんには相応しくない内容があると思われますがお許しください。
私の職場に昨年8月から勤務されているHさん(私の過去のレコに何度か登場しています)。部署が違うので挨拶程度しか接点がありませんでしたが、登山をしているとの噂を耳にし、それまで登山に興味があったこともあり、年末に勇気を振り絞って話しかけました。
スタイルの良い外見とは全く異なり、驚くことにHさんはテント泊でアルプスや八ヶ岳にガンガン登り、雪山もやっているガチな登山家でした。そんなHさんは、よほど山が好きなのでしょう。山の話になると、時間の許す限り、まるで少女漫画のように瞳をキラキラ輝かせて、満面の笑みで語り続けるのです。
ふ〜ん、山ってそんなに素晴らしいものなのか。私と違ってバリバリ仕事ができて性格も良く、人間的に尊敬できるHさんが言うなら間違いない。私も山をやれば、Hさんのようになれるのかな?これが私の山デビューのきっかけでした。
年明けに「私も山をやってみたい」と伝えると「いきなりだと、たぶんツラいと思う」と言われ、体力作りを開始。本格的に身体を動かすのは、母親が病気になり看病・介護を必要となって以来の9年ぶりだったので、最初は2km走ること、ヒンズースクワット30回がやっと。それでも、1月末には何とか5km走ることができるようになり、山グッズを買い揃え、大雪のため2週連続で延期して2/22にデビューしたのでした。
Hさんに報告すると「夏山を経験していないのに雪山なんて無謀。命を落としかねない」と叱られました。また「2,000〜3,000m級の山に挑戦したい」ことを伝えると、鼻で笑われてしまいました(当時はしょぼーんでしたが、山を始めた今ならHさんの対応の両方ともが納得できます)。
目標をGWまでに雲取山登頂とし、Hさんに色々と相談に乗っていただき「kenboさんなら雲取山に行けるのでは?ダメなら七ッ石山で引き返せばいい」「川苔山は川乗橋スタートがおススメだけれど、雪があるから鳩ノ巣駅ピストンで」と言われ、3/21の第4回目山行で雪の残る雲取山をかろうじて日帰りでクリア。この時、ヤマレコさんで人気がある赤岳に夏のうちに登頂することが漠然と目標になりました。
しかし、気を良くした3/23の第5回目の川苔山(川乗橋スタート)で左手薬指を骨折。この時も「私の忠告をきかないから」と叱られましたが、職場内では誰よりも心配してくれたと(飽くまでも勝手に)思っています。
そんなHさんに、言葉だけではなく山行結果で「ありがとう」を伝えたい。絶対に8月中に赤岳をクリアするぞ!
骨折の手術後、しばらくは痛みで身体を動かせませんでしたが、痛みがなくなってきたGWから体力作りを再開しました。Hさんは90分程度走っているとのことだったので、アルプスと八ヶ岳を登るためにはそのくらいの体力が必要なのかと、それまでは8kmを60分で走るのがやっとでしたが、週5日で合計60〜70kmで走り込んだ結果、16kmを80分で走れるようになり、90分ペースなら走り終えた後も息切れしなくなりました。また、走り終えた後には、ヒンズースクワット200回+入社前研修の自衛隊体験入隊(習志野の第一空挺団)でやらされた屈み跳躍50回もできるようになりました(今も、週3〜4日で毎回11〜16km走っていて、これが鳳凰三山でお会いした方から「Mですね」と言われた所以です)。
元来、努力することが大嫌いな私。しかし、体力作りはキツくても、Hさんのようになることと、赤岳に登ることを考えたら頑張ることができました。
そして迎えた復帰戦。ここから先は、登りたい山を選びつつ、安達太良山以外は全て赤岳に向けての段階を踏んだ調整としました。ヤマレコさんにアップされている赤岳レコを拝見したり、アルプスと八ヶ岳の経験があるDさんと乾徳山を登ってみて、(失礼ながら)私でもイケる!と思いました。しかし、万全の態勢で臨みたかったので、赤岳クリア後を予定していたお泊りデビューを先行して、体力のさらなる向上を狙いました。
さて、リミットの8月を迎え、機は熟した感じ。北八ヶ岳よりキツイとされる南八ヶ岳の雰囲気を味わうため、編笠山・権現岳の周回コースを経験しておこうかなとも思いましたが、せっかくだから?八ヶ岳デビュー戦に設定。もちろん無理は禁物。でも、今回は雷以外の敗退は絶対に許されない。いざ、挑戦!!!
赤岳に対して特別の想いがあったことと、台風が近づいていることもあり、今回は登山を開始して初めて恐怖心を払拭できませんでした。車の中では「絶対あきらめない」「もっと強くなれる」というセリフを求め、Z伝説を何度も聴きましたが、いつもならノリノリなのに今回は一向にテンションが上がってきません。諏訪南ICを下りた時には鳥肌が立ち、やまのこ村に到着した時には心臓がバクバクでした。ダメだ、これでは絶対に怪我をする。朝を迎えたら落ち着くかな。とりあえず寝ました。
朝を迎え、準備をしながら小屋の方に赤岳について色々と教えていただきました。私のこれまでの山行と体力作りを伝えると「毎年事故が発生していますが、赤岳は地元の中学生が学校行事で登る易しい山ですよ。お客さんなら余裕だと思います。ただ、横岳や硫黄岳の縦走を狙うなら、天気よりも風に気を付けてください」
「ふ〜ん、あれだけ歩きやすくて十分に日帰りが可能なのに敬遠されがちな雲取山みたいなものか…」ここで、ようやく恐怖心を払拭でき、出発です。
予定していたコースは、大人気の南沢〜行者小屋〜阿弥陀岳〜赤岳〜横岳〜硫黄岳〜赤岳鉱泉〜北沢でしたが、15時くらいから雨との予報だったので、阿弥陀岳は断念。地蔵尾根から登り、状況次第で縦走もしくは文三郎尾根で下山としました。
歩き始めると、さすが八ヶ岳。苔が多くて癒されます。それと、天気が曇りのせいか肌寒いくらいで、暑がりの私にはちょうど良し。早くもルンルン気分となりましたが、調子に乗って歩くペースが早くならないように意識しながらゆっくり進みました。樹林帯が開け、ヘリポートがあるあたりから赤岳が見えました。文三郎尾根と地蔵尾根も見え、人影もわかります。山頂方面は時折光っていて、おそらく写真撮影のフラッシュでしょう。こんなに近いのか…。また、山小屋特有の発電機に用いる油の臭いがしてきたので、行者小屋が近いことがわかり、程なくして到着。休憩しながら、一気に標高を上げる急登にワクワクしてきました。
行く予定だった阿弥陀岳方面にごめんなさいをして、地蔵尾根に進みます。噂通りの急登ですが、ここぞという場所には階段と鎖が設置されていて、下山してくる方とのすれ違い渋滞はあれど、難なく進むことができます。すれ違う方に風の強さを尋ねると「東側(行者小屋の逆側)からの風が強いので、逆側の今は感じないかもしれないけれど、稜線上は気を付けて」「文三郎尾根から登って硫黄岳まで行く予定だったが、風が強いから諦めた」とのこと。ふむふむ、参考になります。
そして、もっと大変だと思ったのにな…なんて思いながら地蔵の頭に到着すると、ガスがすごく、風が強くて寒かったので、ウィンドブレーカーを着て進みます。団体さんで渋滞していましたが、道を譲っていただいてあっけなく山頂に到着。あれ?小屋の方の言った通りだ…。でも、4ヶ月半越しの目標を達成できましたよ!
山頂にも団体さんがいて、写真撮影の順番待ち。なかなか順番が回ってこないうちに、先ほど道を譲っていただいた団体さんも到着してしまい、大混雑。何とか写真を撮り、団体さんが出発するのを待ちました。なぜか?それは、山頂独り占めをしたかったからです。
5分弱でしょうか、ガスで何も見えませんが静かな山頂を味わい、ようやく感動が込み上げてきました。赤嶽神社に手を合わせ、Hさん、そして、これまでに山で出会った方々とヤマレコに記録をアップされている皆さんに対して「ありがとうございます」を伝えました。
さて、ここから先どうしよう?風が強いといっても、前々回の唐松岳〜五竜岳間(牛首)ほどではありません。一度地蔵の頭まで戻って、無理そうならもう一度山頂まで来て、文三郎尾根から下山しよう。
地蔵の頭に戻ると、若干標高を下げていることもあり、風は弱まっています。ここから先は、皆さんのレコを拝見する限り、強風の牛首通過より遥かにマシなはずなので、慎重に進むことを大前提に硫黄岳を目指すことにしました。
風が吹いていましたが、鎖、梯子、岩があり、アスレチックのように楽しいコースです。三叉峰手前で踏み跡通りに進んだら崖となったため、さすがにこれを下りはしないだろうと戻ったら、見えにくいところに白いペンキマークがあり、無事に復帰。横岳に到着すると、当然誰もおらず、ここでも山頂独り占めです。
横岳を出発して、梯子を下ったらすぐに左側に梯子があって登ってしまい、また元の場所に戻ってしまいましたが、よく探したら登った梯子の横に腰の高さほどのUの字のように岩が切れているところがあり、そこを覗くと道がありました。
あとはこれまでとは一変して歩きやすい普通の道となります。道の色が赤色から普通の砂利道の色に突然変わる境界線を越え、しばらく歩くとお花畑があり、癒されました。硫黄岳高山植物園だそうです。硫黄岳山荘に到着するころから風が強くなり始めましたが、プニップニの体型である私は大丈夫。悲しいかな、太目であることがこんな時に役立ちます。
硫黄岳手前はだだっ広くなり、ガスがすごくてどこが道かわかりにくいのですが、数十メートル間隔でケルンがあり、うっすらと見える次のケルンを目標に歩くとますます風が強まります。硫黄岳山頂に到着すると、もう台風並みの突風でした。よく、台風の時にテレビ局のレポーターがわざわざ港湾で中継しますが、あのような感じです。いや、あれ以上でしょう。楽しみにしていた爆裂火口壁はもちろん見えないし、山頂の標識を写真で撮ろうにも、吹き飛ばされないように堪えるのが大変でなかなか撮影できません。何とか撮影できても、風で飛ばされてくる小さな砂や石が顔に当たって痛いので、フードを被って耐えました。山頂独り占めを楽しむ余裕はなく、とにかく樹林帯まで下山することにしました。
赤岩の頭まで何とか耐え、一気に標高を下げると風が弱まりました。樹林帯に入ると、嘘のように風がありません。途中で2組の方とすれ違いましたが、あちらから尋ねられるまでもなく「突風に注意してください」と伝えました。
樹林帯に入って以降は、優しい道が続きます。またしてもルンルン気分となり、赤岳鉱泉に到着。ここで昼食にしようと思いましたが、15時までには下山したかったので小休止とし、大福を食べて周りをウロチョロし、テント場を確認。アイスキャンディの実物を見てみたいなぁ。
ここから先も優しい道が続きます。まるで、赤岳前後はウォーミングアップとクールダウン用みたいですね。堰堤広場から先は林道となり、程なくしてゴールとなりました。小屋では、2人組の女性が休憩していて、やはり風を嫌って横岳・硫黄岳は諦めたとのことでした。
小屋の方曰く「赤岳は色々な道があって、お客さんなら権現岳からキレット小屋を通って赤岳に登れますよ」とのこと。五竜岳から見えた八峰キレットにビビったことを伝えると「あれと比べたら、キレットとは言えないくらいかわいいものですよ。ただし、慎重に進んでくださいね」とのこと。う〜ん、このコースも気になります。じっくり検討してみますか。
最初は不安で仕方がなかった赤岳。阿弥陀岳に行けなかったため若干の消化不良感はありますが、楽しかったです。また来たいと思うとともに、もっと経験を積んで、いつかアイスキャンディを見ることができるようになりたいですね。
そして、一応目標を達成できましたが「台風が近いのに行ったこと」「風が強いのに下山しなかったこと」をHさんが知ったら、叱られるか呆れられるかでしょう。初心者の私からすれば、神様・仏様みたいな存在なので、それでも良いのです。そういう関係でありたいと思っていますので…。
これまでは、常に赤岳が頭の片隅にあり、体力トレーニング的な山行をしてきた部分は否めません。でも、肩の荷が下りたこれからは、のんびりとした山行を楽しむことができそうです。
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