六甲全山
- GPS
- 14:46
- 距離
- 53.1km
- 登り
- 3,355m
- 下り
- 3,319m
コースタイム
- 山行
- 12:47
- 休憩
- 2:00
- 合計
- 14:47
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
ザックカバー
行動食
非常食
飲料
GPS
常備薬
携帯
サングラス
タオル
カメラ
|
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感想
念願の六甲全山計画。計画自体は数年前からあった事はあったのだけれど、念願という割には、一週間ほど前に代休消化を決め、何処に行こうか考えた末の思いつきである。(八丈富士にしようか迷ったが、東海汽船のインターネット予約期限を切れてしまった)
一応名目上は下見で、あわよくば全踏を。
時間も無かったので、ネットで2、3調査。下見前提なので、無理はしないで「可能なら」踏破を目指す。
ネットの記録を見ると、12時間〜16時間位で踏破するのが一般的なようだ。翌週神戸市が行う六甲全山縦走大会のチェックタイムをメモしておき、それより早いようであれば、全山を念頭に置くこととする。
本当ならば、神戸か三宮辺りで安いホテルが取れれば良かったのだが、結局大阪まで都落ち(?)。初発の都合もあって、塩屋の駅を6:20位に出発する事になった。
塩屋の駅前はこじんまりとした商店街。はてさて、何処に向かえば良いのやら。。。とりあえず商店街を抜け、時折地図とにらめっこをする。塩屋川に沿って暫く歩けばいいと分かる。ここからは「旗振山」と書かれた標識を目にするようになり、路地裏のような登山等をつめると、何やら巨大なオブジェが。どうも旗振山の山頂は遊園地のようなものになっているらしい。
背後の明石大橋が近い。淡路島も近くに見える。
舗装された階段を詰める、暫く歩くと、鉄拐山。
暫く下って登り返せば、大きな休憩所。おらが茶屋。この辺が高倉山のようだ。
高倉台地区へは金属製のしっかりした階段をひたすら下る。
ここに来るまで山の上で、朝の散歩をしているお年寄りと、結構な数すれ違ったが、彼らはこの階段を上ってきたという事か、とするとかなりの健脚だ。
高倉台まで降りると正面に見える栂尾山に向かって住宅地をほぼ直線で進む。途中スーパーがあり、団地の商店街を進むので、時間によっては、食料等を調達できるかも知れない。幾つかの通りを歩道橋で越え、正面の山腹に取り付く。最初山腹をトラバースし、山頂まで、再び延々と続く階段。
まだ、体力もある時間帯なので、さほど苦にはならない。樹林もなく、終始見晴らしが良いので、途中で立ち止まって、来た道を振り返る。
樹林に入ってしばらくで栂尾山山頂。山頂には展望台がある。
少しずつザレた花崗岩が顔を現し始める。馬ノ背の岩場を期待させる。その前に横尾山を通過。樹林越しに馬ノ背の核心部が時折顔を覗かせる。
目の前が開けると、眼下に馬ノ背の岩場がよく見える。コース中唯一と言って良いクサリ場があるが、無くても充分。フリクションも効き歩きやすいが、注意して降りると、馬ノ背の指導標、そこから20mほどがやや痩せた岩場の通過。それほど恐怖感もない。通過して振り返ると、山の斜面が赤白く禿げた岩場になっている。標高は低いがなかなか豪快な光景だ。
樹林に入ってコブ(東山)を越える。下って、公園の横から市街地の車道に飛び出す。横尾の住宅街。暫く公園沿いに進み、幹線道路にでる。この幹線道路をずっと行くと妙法寺駅のようだが、団地の奥に行くように目立たない「六甲全山縦走路」の標識が。この団地界隈には何故か猫が多い。
高速道路の下の薄暗い隧道をくぐり山に分け入る。30分ほど登ると、無数の鳥居が現れる。京都の稲荷神社のような。どうも高取山の山頂は神社となっているようだ。縦走路は山頂直下を巻くように走り、神社の正面に回り込む、そこから神社の表参道を登山道が走っている。
ただそのまま参道を下るのではなく、途中の駐車スペースのような場所に入り、再び山道に入る。
麓に降りて、交差点で大きな通りを越えると、丸山の住宅街をそこそこ登る。下りに入ると、切り立った正面の山の中腹を這うように走る、神戸電鉄の列車が見える。
丸山町を下るところまでは良かったが、鵯越の駅までが迷う。どこかで指導標を見落としてしまったようだ。
しかたなくスマホの機内モードを解除して、現在地を調べる。私のiPhone6は5年もののポンコツで、GPSの精度がきわめて悪く、正確な位置が表示されない。大体の当たりをつけたら、あとは、地図と現状を見比べて、場所を特定する。少し遠回りにはなったが、鵯越の駅まで辿り着く。駅に沿って縦走路が走るが、その入口を探すのにも少々手間取る。
鵯越駅から線路に沿って暫く行くと、右手に外れ、小さな公園から山腹をトラバース。車道に出て、ダムの事務所の横を抜け、気持ちの良い道が神戸電鉄の真下まで続く。途中車道がゲートで塞がれているが、その右側に人が一人入れるほどの抜け道があり、「六甲山縦走路 菊水山」とある。
歩きやすい道はこの先の広場まで。いきなり階段が現れ、終始階段。前半は中腹のゴルフ場の芝を刈る音を聞きながら、時折人工的な落差の大きいプラスチック製の階段が現れ、息が上がる。途中トレランナーに抜かれる。この日最初に抜かれた人。
気付けば、ゼイゼイ言いながら脇を通ったゴルフ場が、ずいぶんと眼下に見える。
とうとう、何度かの小休止を挟み、何とか菊水山の山頂に辿り着く。11時半。山頂は広く、大きな石碑が建っている。しかも後半、両太ももの付け根に刺すような痛みを覚える。こむら返りを起こしたときと似た症状。最近の運動不足がたたって、筋肉が悲鳴を上げたのだろうか。時間も無いので、菊水山も素通り、そのまま鍋蓋山に向かう。
下っていくと、小沢の脇をとおり、神秘的な雰囲気の漂う貯水池に出る。そのすぐ水際に登山道が走っていて、ちょっとでもずっこけたらドボンといきそうだ。堰堤を過ぎると、天王寺吊橋で有馬街道を越える。
鍋蓋山は急傾斜の斜面をジグザグに登る。菊水山のような、きつさはない。だた、時折太ももの痛みが走る。菊水山でバテたのを反省して、ペースを落として登る。頂上稜線に出ると、だらだらと緩い登りをそこそこ歩き、鍋蓋山の山頂に至る。12時半。既に累積標高は2000mにいこうか、というところ。
ここで初めて小休憩し、エネルギー補給。ヴィダーインゼリーを二つ立て続けに消費。
鍋蓋山を暫く歩くと、舗装道路にあたる、暫く下ると大きな寺門があり、再度山大龍寺とある。ここから舗装された車道をだらだらと下り、下りきった広い河原が市ヶ原。新神戸に降りられるようだ。
太ももの痛みはかなり心配だが、摩耶山に向かう。対岸に渡るとすぐ現れるトイレで用を済ませ、舗装道路を行くと、摩耶山に道を分ける。まっすぐ行くとトゥエンティクロス。先日の大雨でコースが一部崩壊しているそうだ。まだまだ豪雨被害の傷跡は深い。けれど、そもそもトゥエンティクロスって一体何だ?
道を分けた後は暫く緩い登りの直線道路、時期に山腹に取り付くようにつづら折りとなる。急登ではあるが、階段ではないので、歩きやすい。時々太ももに痛みが走る。急登を過ぎると、布引ハーブ園への道を分け、少し山腹を巻くと、大きな案内看板。ここまでが稲妻坂かと思ったら、これからのようだ。稲妻坂は名前程はきつくはない。さらに天狗坂に入ると、摩耶山は幾つもの偽ピークを見せる。市ヶ原付近から見えた反射板は頂上に見えたが、偽ピークの一つに過ぎない。
さらに幾つか偽ピークを越えて、やっと電波塔の足下に着く。想像では摩耶山はもっと賑わっていて、旗振山の様な雰囲気の場所かと思ったが、実際には静かな趣の場所。山頂にも車道は走っているが。ここで、足の痛みもあり、エスケープについて真剣に検討する。色々検討したが、おそらく、一旦六甲山上に出た方が、下りの負担が少ないと見て、何とか山上までは上がることとした。国民宿舎の脇を通り、アゴニー坂へ。緩い下りかと思えば、予想外に急傾斜の下りがしばらくの間続いて、再び車道に出会う。
この車道を取って杣谷峠にむかう。ここの車道は走り屋の庭となっているのか、爆音を立てて通り過ぎる車に出会う。山林の中にいても音だけはこだましていた。穂高池を過ぎ道が大きく湾曲するところが杣谷峠。キャンプ場もある。ここから六甲に向かう道がある。最初だけ急登だがすぐ傾斜は緩み、だらだらと登っていくと、三国岩に着く。どういうわけだか太股の痛みがなくなっている。
ここからは別荘地(?)の舗装道路を暫く歩き、六甲山上道路にぶつかる。この辺でFenix5Sがバッテリ切れ。大体10時間位で電池が切れるようだ。行動時間12時間の山歩きは時折はあるので、せめて12時間くらいは動いて欲しいところだ。私は5Sの小ささが気に入っているので、それはトレードオフという事か。
一旦モバイルバッテリにFenixを繋ぎ、充電しつつ計測を継続する。
しかし、山上道路の長い舗装道路歩きは、底の硬い山靴には堪える。トレランのシューズであれば、走って時間を短縮する絶好のチャンスなのだけど。
長々と歩き、記念碑前の大きな駐車場の脇を過ぎると、山上道路からは一旦離れ、やっぱり舗装されてはいるが、車通りのない両側をゴルフ場に挟まれた舗装道路を六甲ガーデンテラスに向けてひたすら歩く。遠くで、ガーデンテラスの放送音が聞こえる。
ぽんと飛び出した。ガーデンテラス前のロータリーには、沢山の観光客がいる。完全に俗世の様相。ここで、Vaamゼリーでエネルギーを補給し、ザックからヘッドランプを取り出して、何時でも出せるようにポケットに突っ込む。エスケープを判断する最後のチャンスではあったが、足の痛みも引き、今の所は神戸市主催の縦走大会のチェックタイムには間に合っている。と言うことで、行動を続行する。
遠くに六甲山頂と思われるピークの電波塔が見える。意外な程遠い。ここからは三角点まで、何度となく道路を横切りながら、道路の右斜面、左斜面と移りながらの山道のアップダウンが続く。いつまでも山頂に辿り着けず、細かいアップダウンが続き、イライラする。しかも途中とうとうヘッドランプの登場となる。
最後はしっかり登って、電波塔に向かう車道に飛び出す。脇には休憩用の四阿が建っている。
車道を登り詰め、電波塔の裏手に出ると、広場になっていて、山頂標識と有馬の街灯りが良く見える。慌ただしく写真を撮って、すぐ下山。少し車道を歩いた後、再び山道。すっかり暗くなってしまった。宝塚の駅まであと13.5km。1時間4kmで歩いても、3時間強。まだまだ遠い。
少し山の中に入ってすぐにまた車道に出る。トンネルの手前でトンネルを通らないように山道が別れてるがトラロープで通行止めしているので、しかたなくトンネルに入る。だんだん何処を歩いているのか分からなくなる。地図とにらめっこし、石宝殿への道を見て場所を同定。暫く車道に針路を取る。しかし、いつになっても山に入る道が現れず(暗闇にヘッドランプで周りがよく分からず)不安になって、一旦石宝殿まで戻る。そこでもう一度地図を見比べて、幾つ目のカーブの何処で道を分けるかを確認したのち、再び歩き出す。
もう山道に入らずこのまま車道でもいいやと言う気分ではあったが、幸運にも山に分け入る分岐を見つけて、再び山に入る。
ここから小さなアップダウンを繰り返す。殆ど標高は落ちない。多分途中で804mのピークを越えたはずで思い当たる節もあるのだが、標識もなく、またコブと言った感じで登りも僅か。ここから太平山までが地味に長い。時折現れる指導標には常に「太平山・宝塚」。まだ着かないのかとじりじり歩き、車道に飛び出す。右手には電波塔。ここが太平山らしい。
再び車道を歩き、乗越には見えない大谷乗越で山道に。平坦な道が長いこと続く。ペースはどんどん上がっていく。最後のチェックポイントは塩尾寺。ここまでも長い。真っ暗な森の中、ヘッドランプだけが頼りで、終わりの見えない道を延々歩くのは精神的につらい。霊感とかはないので、そういう怖さは感じないが、遭難の危険性については常に意識する。まぁ、明瞭な一本道で、ヘッドランプがないのならまだしも、迷う余地は全く無い。
最後に大きく下るところで、塩尾寺からヘッドランプを付けて登ってくる二人組のパーティと遭遇。今頃何処に向かうというのだろうか?しかし、このパーティに塩尾寺が近いことを教えてもらい、気分的に楽になった。その言葉通り、程なく車道に飛び出し。危険地帯の脱出が完了した。
試しにヘッドランプを消してみたらどうだろうと、消してみると漆黒の闇。まだ暫くはランプの明かりをたよりに歩かないといけないらしい。
塩尾寺からの下りの車道は思ったよりも、急で長い。やっと民家の明かりが見えたときは心底ほっとした。
そこから甲子園大学の前を通り、さらに下って宝塚の駅に辿り着く。Fenix5Sでの計測では距離49.8km、累積標高2970m。公称値とはずいぶん異なる。
もっとヘトヘトになっているかとも思ったが、意外にも元気だった。
また、翌日動けないかともしれないと憂慮したが、普通に動けて、2日ほど休めば完全に復活した。荷物も軽かったし、アルプスの縦走とはずいぶん身体の負担が違う。(アルプスのテント縦走などでは、なんだかんだで一週間くらいは痛みが残る)
縦走路を歩くとき、大抵は麓まで降ろされると本当にがっかりする。
また次のピークを一番下から登らなければいけないので。
六甲全山も前半は毎回毎回、麓まで降ろされるわけだが、今回は「また降りるの?」、と言った感情は湧かなかった。なぜなら、この縦走は累積で3000m登らなければいけないことがはっきりしていて、手元のFenix5Sは累積標高を表示していたから。結局どれほど降りようが、累積標高3000mまではしっかり登ることが分かっていたから、個々のアップダウンにこだわることはしなかったのだ。
そういう意味で、摩耶山を越えたとき、残り登る標高はそれほど無い事がはっきりしていたので、足の痛みを抱えながらも、山上まで行く決断をした。その判断は結果、間違っていなかったと思う。
また、今回の縦走は、最近山登りに対して、迷いがあった自分にとって、いろいろな意味で良い勉強になったし、少しばかり自信になった。
下山した直後は、もう全山縦走はこりごりと思っていたが、少し時間が経って落ち着くと、また歩いてみようかな、と言う気にもなる。太ももの痛みがなければ、もう少し早く歩けたとは思うが、どちらにしても、さすがに15時間はかかりすぎ。(走らず)13時間位は目指したい。
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