白馬大池-雪倉岳-白馬三山-不帰キレットを越え唐松岳へ。出会い。そして哀しい結末。


- GPS
- 19:50
- 距離
- 31.7km
- 登り
- 2,988m
- 下り
- 2,969m
コースタイム
- 山行
- 2:20
- 休憩
- 0:15
- 合計
- 2:35
- 山行
- 8:40
- 休憩
- 1:55
- 合計
- 10:35
- 山行
- 5:45
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 6:30
Day1 [栂池-白馬大池] 3h20
Day2 [白馬大池-雪倉岳ピストン-白馬三山-天狗山荘] 12h25
Day3 [天狗山荘-不帰キレット-唐松岳-八方池山荘] 8h15
天候 | 9/11(木) ガス→晴れ時々曇り 9/12(金) 快晴→曇り強風 9/13(土) 快晴→曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
05:58 松本駅 ⇓ [JR大糸線 ¥1140-] 07:03 信濃大町駅 07:18 ⇓ 08:00 白馬駅 09:25 ⇓ [アルピコバス 栂池線 ¥560-] 09:45 栂池高原 [時刻表では09:55着] 09:55 ⇓ [栂池パノラマウェイ ¥1920-+手荷物料¥300-] 10:15 栂の森 10:20 ⇓ 10:25 栂池自然園 *東京発06:24の長野新幹線で長野駅まで行き、そこからアルピコバスの白馬乗鞍行きの特急バスに乗っても同時刻に栂池へ到着可能。 http://www.alpico.co.jp/access/express/nagano_hakuba/ *栂池パノラマウェイ http://www.nsd-hakuba.jp/green/tsugaike/panoramaway.html -復路--------------------------------------------------------------------------------- 12:35 グラートクワッド乗車 ⇓ [八方アルペンライン 片道¥1550-] 12:40 グラートクワッド下車 12:45 アルペンクワッド乗車 ⇓ 12:55 兎平着 *食事 13:30 ゴンドラリフト・アダム乗車 ⇓ 13:40 アダム下車 ↓ 0h10(徒歩) 13:50 第二郷の湯 *日帰り入浴 14:50 ↓ 0h10(徒歩) 15:00 白馬八方BT 15:30 ⇓ [中央高速バス 新宿-白馬線 ¥4850-] 20:19 新宿西口BT *八方アルペンライン http://www.nsd-hakuba.jp/green/happo/alpenline.html *中央高速バス 新宿-白馬線 https://www.highwaybus.com/rs-web01-prd-rel/gp/info/lineDetail?lineGroupNo=1&lineId=550 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●登山ポスト 栂池高原のゴンドラ駅舎前の登山相談所にあり。 ●コース状況 *栂池-白馬大池---------------------------------------------------------------------- この時期の白馬乗鞍岳の大斜面の雪渓は消えており、一部雪田の横断があるのみ。アイゼン等の必要はなし。 白馬乗鞍岳のゴーロの急登は登りは問題ありませんが、下りで通る場合は転倒に注意。 *白馬大池-三国境------------------------------------------------------------------ 強風や雷など悪天時の通行に注意するくらいで好天時は特に問題となる箇所なし。雪倉岳避難小屋は緊急時のみ宿泊可。 *三国境-雪倉岳--------------------------------------------------------------------- たおやかな道で好天時は特に問題となる箇所なし。 *三国境-白馬三山------------------------------------------------------------------ 信州側が垂直に切れ落ちた非対称山稜。富山側から強風が吹き付けるような時は通行は注意。特に杓子岳は悪天時は巻き道を歩くのが無難。 *天狗ノ大下り---------------------------------------------------------------------- ザレた急斜面のため落石注意。鎖場は雨天時はかなり滑ると思います。 *不帰嶮----------------------------------------------------------------------------- 1峰は特に問題なく登れると思います。 2峰北峰の北面が一番の難所。三点確保、鎖場、トラバースなど次々と難所が現れます。靴底のフリクションを利用して登るような箇所もあるので、雨天時は個人的には絶対通りたくありません。 大キレットよりは高度感もなく平易だと思いますが、この箇所を下りで通らなければいけない南下ルートの場合、難易度はさらに上がると思います。2峰南峰に着くまで気は抜けません。 2峰南峰〜3峰は特に問題なく歩けると思います。 *唐松岳-八方池--------------------------------------------------------------------- 特に危険箇所なし。 ●テン場情報 *テン場ランキング新掲載は天狗山荘。白馬大池は☆4→5にランクUP。 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-391243.html *白馬大池山荘---------------------------------------------------------------------- 利用料¥700-(1名あたり) 30張り。水場無料。 ・眺望 ★★★★★ 2400mの高地に広がる白馬大池の絶景は唯一無二。 ・快適度 ★★★★★ 地面は平らな土。ペグ打ち可だが日照りが続くと地面が固くなりペグ打ちが難しくなる。張り縄を固定する石はなし。 ・利便性 ★★★★★ 水場は小屋前で無料で利用可。トイレは小屋の外トイレで簡易水洗で清潔。ペーパーあり。携帯(docomo・softbank)共に圏外。 ・総合評価 ★★★★★ テン場自体が目的地となり得る最高のテン場 白馬大池湖畔の展望が素晴らしい。水場やトイレの状況もパーフェクト。ただロープウェイでアクセスしやすい反面、混雑しやすいので☆5は閑散期限定の条件付き。 *天狗山荘---------------------------------------------------------------------- 利用料¥1000-(1名あたり) 30張り。水場・トイレ無料。 ・眺望 ★★★★★ テン場正面には白馬鑓の圧倒的な景色。小屋裏のピークにピークに登れば剱岳の絶景も。 ・快適度 ★★☆☆☆ 地面は砂利混じりの土。ペグ打ち可。張り縄を固定する石もあり。 階段状になっており平らなスペースが少ない。また各スペースが狭めで大人数用のテントの設営は厳しいかも。また強風の通り道になりやすいので、耐風性の低いテントは避けた方が無難。 ・利便性 ★★★★★ 水場は小屋前の雪渓の雪解け水を利用。トイレは小屋の外トイレで清潔。ペーパーあり。携帯(docomo・softbank)共に圏内。 ・総合評価 ★★★★☆ ほぼ満点の素晴らしいテン場 圧倒的な白馬鑓の展望が素晴らしい。良い張り場が少ないのが唯一の難点。ただ強風時は注意。 |
その他周辺情報 | ●下山後の温泉情報 *白馬八方第二郷の湯 http://www.shinshuu-hakuba.com/onsen/dainisatonoyu/ 八方のゴンドラ駅から一番近い温泉。徒歩10分。12月まで無休。¥600。 八方バスターミナル前の第一郷の湯は閉館したので、BT及びスキー場徒歩圏の日帰り入浴施設はこちらのみ。 |
写真
ココの五目チャーハンは本当に激ウマなんです!
僕的、北アで食べるべき山小屋昼飯ランキングは〜、
1位:水晶小屋の力汁
2位:白馬大池のチャーハン
3位:槍ヶ岳山荘の牛丼
*2014/9現在 ざわ調べ(笑)
うまい小屋飯情報お待ちしておりまーす。
ちなみに白馬大池山荘のランチタイムL.O.は14時までです。
といっても9割がインターナショナルスクールの生徒だらけなんですけど…。せっかく静かな夜を過ごせるはずだったのになぁ。
結局彼らは夜の22時過ぎまで騒いでました。
次からは山のテン場のマナーとルールをきちんと学んでから来てもらってお互い気持ちよく過ごせるといいな。
この状況下でテントを張るかどうか迷いましたがテントの受付をすると、小屋番さんが「これから強風とみぞれの予報も出ています。小屋の自炊室を開放するので最悪の場合はそこに逃げ込んでください」との事。
う〜む・・・。
実は最初は離れた場所に設営していたのですが、ペグダウンしたあとフライをかけてる最中に猛烈な風でテントが倒壊し、小屋の陰で比較的風が弱いトレランさんの隣に設営させてもらう事に。
おまけに設営まで手伝ってもらい…。お世話になりました。
ヤマテンの予報では今夜はみぞれ。明日はガスで氷点下。明日の不帰キレット越えをどうしたものか、トレランさんと白馬大池で隣のテントだった3人組の皆さんとで夕飯を作りながら作戦会議。もし凍ってツルツルだったら無謀極まりないですし。
結局3人組の皆さんは鑓温泉に下山。僕とトレランさんは明日の状況をみてからという形に。
Yさんはヨーロッパアルプスの山岳レースにも出場するレベルのトレイルランナーで、チームメイトにはTJARにも出場した選手もいるそう。
今まで山旅で出会って一緒に歩いた人達は皆さん歩荷タイプの方ばかりだったので、スピードハイク系の方と歩くのは初めて。ついていけるかぁ?
Yさんは3泊4日で鹿島槍を越え扇沢まで行く予定との事。
テン泊装備なのにこのコンパクトさ!2泊3日で75Lの僕の装備はいったい…(汗)
一番奥に屏風のように見えるのは、右から黒部五郎岳、赤牛岳、水晶岳、鷲羽岳、野口五郎岳、笠ヶ岳、槍穂高。
その手前に蛇行して連なるのは先日歩いた蓮華岳-針ノ木岳-スバリ岳-赤沢岳と爺ヶ岳。
YさんにトレランだとCTの何割くらいで走れちゃうもんなのか聞いたところ、だいたい2〜3割くらいとの事。ひぇ〜。
でも最近は今回のようにテントを担いでゆっくり歩くのもいいなと思い始めたとの事で、テン泊縦走の場合は6〜7割くらいだそう。それだったらなんとかついて行ける…(安堵)
一番奥から不帰三峰、真ん中が不帰二峰南峰とその手前に最大の難所である不帰二峰北峰。そしてドーム状のピークが不帰一峰。
すいません、どこを歩けばいいのでしょうか(汗)
目を凝らしてよーく見ると、画面中央よりちょい左下あたり、信州側のトラバース部から出て降りてくる人が米粒のように見えます。
Yさんはココで八方から登ってくるトレラン仲間さんと合流し明日明後日と後立山を南下するのでここでお別れです。
穏やかなYさんとの旅はとても心地よかったです。いい旅にはいい出会い。Yさんありがとう!また一緒に歩きましょう!!
Yさんの影響か山を走ってみたくなってきた!
グラートクワッドで下山します。
グラートクワッドを降りるとYさんのお友達らしき2人のトレランさんがいたので声をかけるとBINGO!しばらく立ち話をして握手でお別れ。
感想
=哀しみの後立山縦走=
今回の後立山縦走。写真コメントにも書きましたが、天気にも恵まれ天狗平で出会ったYさんと最終日に一緒に旅ができ、大きな満足のなか白馬大池〜唐松岳まで歩くことができました。
しかしその出会い故に、哀しみが深く心に刻まれる山旅になってしまいました。
■9/11(木) Day1:雲上の鏡-------------------------------------------------------
初日は栂池から白馬大池までのショートトリップ。怪しい空模様の中歩き出すも白馬大池に着く頃には青空も顔をだし、目の前には山上の湖の素晴らしい光景が広がる。
空を映す鏡。薄暮から群青へ。そして星屑の空。
■9/12(金) Day2:雪倉岳に白馬三山。出会いの日------------------------------
今日は三国境から雪倉岳をピストンし白馬三山を越えて天狗平までのロング。日の出前に誰よりも早くテン場を出発。
誰もいない小蓮華で一人御来光を迎え、朝日を浴びながら三国境まで歩く。念願だった三国境〜雪倉岳も青空のなか。しかし白馬鑓に着く頃には天気が急変し暴風に。
天狗平のテン場に一度テントを設営するも風で倒壊。結局設営に1時間かかる。でもそのおかげで隣同士のテントになったYさんと親しくなる。
明日は難所の不帰キレット。気温は氷点下。今夜のみぞれで岩が凍っている可能性もあるため、安全策で鑓温泉に転進するか予定通り不帰に進むか、明日の朝の状態をみてという形で結論はもちこす。
■9/13(土) Day3:共に不帰キレット越え----------------------------------------
予報に反して快晴の朝。岩も凍りついてはおらずこれならいけると決断。
朝6時。仲良くなったYさんと一緒に不帰に向け出発する。Yさんは国内はもとより海外の山岳レースにも出場する程のトレイルランナー。今日は北アルプスを代表する難所のひとつ不帰キレット越え。共に歩く仲間がいるのは心強い。
2人で難所を次々と越え、そして青空のなか無事に唐松岳に到着。
僕はこのまま八方尾根を下山。Yさんは八方尾根を登ってくる仲間と合流し、明日鹿島槍へ行く予定。
「登ってくるお仲間に下山途中ですれ違うかもですね。どんな感じの方たちですか?」
『カクカクシカジカ…。』
「あー、それだったら絶対わかるかも(笑)」
Yさんと連絡先を交換して握手でお別れ。『無事に下山したら連絡しますね』とYさん。一緒にいても沈黙が気にならない穏やかなYさんとの山歩きはとても心地良いものでした。また一緒に歩けたらいいな。
3連休初日で登ってくる大量の登山者に逆らうように八方池山荘に無事下山。グラートクワッドに乗りアルペンクワッドのトップに到着すると、そこにはいかにもトレイルランナーといった出で立ちの2人組。Yさんから聞いたカクカクシカジカの特徴も一致。思いきって声をかけるとやはりYさんのお仲間。
Yさんと天狗平で一緒になり今日不帰キレットを一緒に歩いたことを話すと
「いやぁ、あいつがお世話になりました!」
と握手を求められる。スポーツマンらしい快活な笑顔で話す2人。しばらく立ち話をし「お気をつけて!」とエールを贈り別れる。
「今回も素晴らしい山旅になった。Yさんとも一緒に歩けたし、お仲間にもタイミングよく会えたし。」
そんな満足感のなか旅を終え帰路につく。
■9/16(火) 下山3日後:届いた悲しいメール-------------------------------------
仕事の合間にレコを書く。満足度の非常に高い縦走だったので写真の枚数を減らすのに四苦八苦。それでもあとは感想文を書けば終わりというところまで進む。今回はいつもより筆が早い。
「なんて書こうかなぁ」と悩んでいるとYさんからメールが届く。
「Yさんだ!ヨカッた無事に下山したんだ!!」
メールを読み進める。でもそこ書かれていたのは予想もしなかった出来事。
『唐松岳で合流した仲間が八峰キレットで滑落し亡くなりました。』
頭が混乱する。理解できず何度も何度もメールを読み直す。そして事故のニュースをネットでみる。八峰キレットを通過中に150m滑落し翌日遺体で見つかったとのこと。
八方尾根で出会ったYさんのお仲間の顔が浮かぶ。日焼けした快活な笑顔で手を差し出し握手する姿。
「いやぁ、あいつがお世話になりました」
その言葉が何度も何度もリフレインする。手にこびりつき残る握手の感覚。
きっとYさんにとっては良き先輩だったんだろう。
滑落現場に居合わせたYさんのその時の状況を思うと、そして現在置かれているであろう辛い立場とその心境を思うと、胸が締め付けられる。
Yさんに一つ一つの言葉を選びながら思いつく限り精一杯の返事を書く。
「落ち着いたらまた一緒に歩きましょう」
山をやめて欲しくなくて最後に書いた一言。一度しか会った事ないのに差し出がましい無神経なことを書いたんじゃないかと思い悩む。
暴風がもたらしたYさんとの出会い。そしてリフトで同じ時刻に同じ場所にたどり着いたことでもたらされたお仲間二人との出会い。お互いリフトに乗っていたら会話も交わすこともなかった。
『イイ旅にはイイ出会い』
こんな哀しい出会いもまた必然なのかな…。
■それは僕らにも起こること-------------------------------------------------------
Yさんからのメールには、「僕たちトレイルランナーがアルプスに入るにはもっと山の知識を身につけなければならないと痛感しました」と書かれてありました。
確かに八峰キレットは不帰キレットと同様に北アルプスを代表する難所のひとつ。唐松岳から冷池まで一気に歩くというのはCT的にも厳しい行程。しかし「状況によってキレット小屋宿泊も考えます」とYさんは仰ってましたし、Yさんの足運びや経歴からみても、八方尾根で出会った2人のお仲間の鍛錬した身体つきやコンパクトにまとめられた装備をみても、この3人だったら大丈夫だろうとその時は思ったのも事実です。なので決して無謀の一言で片づけられる状況ではなかったのではないかとも思います。それ故、今回の事は誰にでも起こる事だと思います。
僕は「山は臆病なくらいの方がいい」そう思って今迄ずっと歩いてきました。
臆病だから念入りに計画を立てる。臆病だから万全の装備を整える。臆病だから慎重になる。臆病だから無茶はしない。臆病だからおごらない。そうやって1回1回、1年1年ステップアップして歩いてきました。
今回のことで、登山、特に他の山域とは桁違いな危険が伴う北アルプスの岩稜帯において、死ぬということは本当に簡単な事なんだと改めて痛感させられました。
今回レコにこの事を書くべきか迷いました。でも「○○さんが遭難しちゃったよ」なんていうこれ以上ない悲しい知らせは二度と聞きたくないので書きました。
ヤマレコに時たま散見される無謀な山行記録。ヤマレコで簡単に山行情報が入る分、元々のスペックも違えば積み上げてきた経験もスキルも全く違う他のユーザーさんの山行を、充分な経験も積まないまま「自分でもできる」と思い難所に挑んでしまう危うさ。そんな事を思い書く事にしました。
素晴らしい景色、出会い、そんな満足感いっぱいの喜びの中で書いた写真コメント部分と、そのあと起きたこれ以上ない哀しい出来事の中で書いた感想文。なんともチグハグな内容のレコになってしまいました。
全部書き直そうかとも思いました。でも喜びと哀しみが紙一重なのが登山なんだと思い、そのままアップしました。
登山は他のスポーツと決定的に違うのは、死がどこにでも転がっているということかもしれません。僕はこれからも臆病上等で自分らしく一歩ずつステップアップして歩き続けたいと思います。
いつもコメントを下さるレコ友の皆様。いつもの通り楽しいやり取りができれば良かったのですが、今回ばかりは申し訳ありません。コメントは〆させていただきます。
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