記録ID: 5510289
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
日光・那須・筑波
日光男体山、西から登れ。(廃道・三本松ルート)
2023年05月20日(土) [日帰り]


- GPS
- 06:58
- 距離
- 9.0km
- 登り
- 1,096m
- 下り
- 1,218m
コースタイム
日帰り
- 山行
- 6:02
- 休憩
- 0:57
- 合計
- 6:59
距離 9.0km
登り 1,096m
下り 1,218m
天候 | 曇り ときどき 晴れ ときどき 霧雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
二荒山神社中宮祠バス停に下山。東武バスでスタート地に戻った。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
⚫︎三本松〜鹿よけ柵出口● 最初の農道歩きから、鹿よけ柵を通り抜ける。(鍵が閉まっている場合もある) その後、笹藪に入る。 昨日の降雨のため、足はビショビショになる。 ここはレインパンツとレインスパッツだけでも身につけたい。 旧道跡なのか鹿道なのかわからないがフミアトが少しある。また赤ペンキ印が木に描かれているところもある。 だが、今や何が正しい道しるべなのか定かではない区間であるので、適当に進めばよいと思う。特に危ない地形はないので、基本的にはどこでも歩ける。 要は第二鹿よけ柵(鹿よけ出口)に辿り着くことがポイント。 柵に突き当たったら、それに沿って歩いて開閉部方向に行けば問題ないだろう。 ⚫︎鹿よけ柵出口〜標高2300mあたりまで● 「案ずるより産むが易し」といった印象だった。 特筆すべき危険箇所の通過は無し。 藪や倒木回避はありはするが、そのような区間はわずかである。 赤黄色の日光トレイルマーク、赤テープ、赤ペンキなどの印、そして道型やフミアトが、事前に恐れていたほどには少なくはなく、私は道迷いの不安なく進めた。 むしろ意外なほど印があると言うべきで、かつての道型も思いのほか保存されていることに驚いたぐらいだった。 10分以上なんらかの印に出会わないときがあれば、それは微妙なルートロスの可能性が高いと言ってよいから、その際だけ方向確認などで注意すればよいだろう。 おそらく元のトレイルの造りからして、上手いこと九十九折りや回り込みを計算して拓いていたように観察される。かつての一般登山道なわけであり、一般ハイカーが登れるような行程を築いていたはず。 なので、同様の無理ないラインを描きながら楽だと思う足取りで適当に歩くぐらいがでよいと思う。 厳密な古道跡、旧道跡にこだわりすぎず、楽に登るのが吉かと思います。 総じて、不安を感じ過ぎず、ペース配分を気にしながら地道に上げればよいだけの区間だと私は捉えた。 この区間だけはレインウェア類必要なし。しかしこの後は・・・ ●標高2300m〜二荒山ピーク〜男体山ピーク 急に足取りが捗らなくなる区間。 稜線上に出るにあたって、三十余年のあいだ光をあびて生長したシャクナゲと低木コメツガが藪バリアを形成していることが多くなるからだ。 また、痩せ尾根になってきたり、ここまでは感じられなかった岩山の性格が見えてきて火山としての男体山が姿をあらわす。山頂が近いのだ。 ご存じのとおりシャクナゲの枝先は細くとも、それなりの硬さと跳ね返りがあるから攻略に難儀する。 前日の降雨もかさなり、露ばらい状態。藪漕ぎ用レインウェアは上下ともに汚水と植物臭とでグチャグチャになる。 二荒山〜男体山近くまで、断続的にこのようなシーンが繰り返される。 さて、今回の三本松ルートで唯一と言ってよい危険箇所が、二荒山神社直下の大きな岩場攻略となる。 この岩の上に一般登山道である神社があるので、そこを何らかの方法でそこへの合流を目指す。 岩登りが得意で成功イメージの描ける登攀ラインが描ける人はクライミングでもよいだろうが、ほとんどの人は大岩をむかって右手に巻くように回り込んでいる。 私もある程度回り込むようなトラバースをしながら、あとは登れるところを登り上げていった。 無雪期用ピッケルと滑り止めスパイクを担いではいたが使用せず。 キャップを外したストック二本を突き刺しながら、柔らかく崩れ落ちやすいザレ場を雪山と同じような容量で蹴りこんで足をホールドしてトラバースした。 ほどなくしてダイレクトに上移動していけそうな岩や草付きがみとめられたので、それらで問題なく一般登山道に乗った。 男体山山頂はそこからすぐ近くである。 ●男体山〜二荒山神社中宮祠● とにかく多くのハイカーで賑わう大人気ルートである。 この日も天気は悪いほうなのに、たくさんのハイカーやツアー登山者がいた。 ルート状況を紹介するヤマレコ記録は数多あるので、ここでは割愛させていただく。 |
写真
都内から運転してきて早朝の三本松園地駐車場に到着。最近は陽が長くなって登山がやりやすくなった。太平洋上を前線をともなう低気圧がおおってはいるが、風もほとんどなく、関東を北上すればめだった天気の崩れはなさそうだ。
まずは戦場ヶ原東部の高原農道を移動する。朝らしい風景。
三本松を起点に男体山に登ると言うと、普通は長い林道歩きを経ての志津乗越からの裏男体ルートが連想されるだろう。これはこれで古い修験道ゆかりのクラシックルートではあるのだが、今回は昭和観光登山ブームの幻をあじわうために三本松にいる。かつての三本松は今以上に、各方面に歩き出すための起点、要衝の地であったのだ。
三本松を起点に男体山に登ると言うと、普通は長い林道歩きを経ての志津乗越からの裏男体ルートが連想されるだろう。これはこれで古い修験道ゆかりのクラシックルートではあるのだが、今回は昭和観光登山ブームの幻をあじわうために三本松にいる。かつての三本松は今以上に、各方面に歩き出すための起点、要衝の地であったのだ。
戦場ヶ原ハイキングは何度もしたことがあって美しい土地だとは思っていたが、その東側エリアがこんなにも広大で冷涼な大農場地帯であるとは、これまで知らなかった。男体山の眺めもすばらしい。
鹿よけネットの入口。だがしかし、この日は南京錠でロックがなされたままだった。工事関係者もまだ出入りしない時期なのだろうか。最悪ネット沿いに歩いて途切れる地点まで後退しようかとも考えたが、私の体重は40kg台の軽さ。設備になんのインパクトもないと分かって、手早く乗り越えて先に進んだ。
林道から離れて、右折するように笹原の中へと進路変更する。旧登山道なのか近年の作業道なのか獣道なのか、定かではないがフミアト多数。ある程度はそれらも参考にしつつ、目的地となる鹿よけネット出口へと近づいていく。
赤いペンキ印がこの先も多い。杉などはないから林業関係者などが付けた作業用のものではあるまい。かつての登山道整備の名残りであるか、あるいは近年の趣味的登山者が配慮して加えた印ではないだろうか。したがって、基本的にはこのような印をメルクマールにしながら登ることとする。
日光マーク、ざくざく出てくる。平成と令和を越えて、当初の位置に固定されたまま現存していてくれた。
こうなると登山の目的というかコンセプトも変化してくる。積極的にこれら目印を発見収集していきたくなってきた。というわけで、この後も目印写真ばかりになるからご了承を。
こうなると登山の目的というかコンセプトも変化してくる。積極的にこれら目印を発見収集していきたくなってきた。というわけで、この後も目印写真ばかりになるからご了承を。
三十余年の月日が経ってもなお、道の形が保存されていることに少し感動をおぼえた。
雨の浸食などで削れたり覆われたりしてしまった箇所もあるが、事前の期待以上に登山道として機能している。道迷いはあまり心配しなくてよさそうだ。
雨の浸食などで削れたり覆われたりしてしまった箇所もあるが、事前の期待以上に登山道として機能している。道迷いはあまり心配しなくてよさそうだ。
ここは古道みたいな窪みすらあって、現役の一般登山道と大差はないほどの明瞭さ。しかし、誰ひとりとして他のハイカーとは出会わない。大人気マウンテン男体山の西面には、静かな山歩き空間がひろがっていた。
今日は基本的には曇り空の予報なのだが、時折上空に晴れ間がでて木漏れ日もさしてきた。トレイルが照らされている。このあたりまで、比較的快適な登り道といった好印象をもって歩くことができた。
二荒山ピーク三角点をテーブルにして、カレーパンとポカリによる小休憩。古いレインパンツとレインスパッツはもうびしょびしょで、コメツガ臭い。葉っぱや砂土、汚水が付いてうつくしくない。
太郎山神社が乗っかる大岩である。三本松ルートで唯一、怖い局面であると言ってよい。
選択肢は二つ、これをダイレクトにクライムする近道コース、もうひとつは向かって右側へとトラバースして回り込んでいく戦略だ。私をふくめて、後者を選ぶ人が多いようだ。
選択肢は二つ、これをダイレクトにクライムする近道コース、もうひとつは向かって右側へとトラバースして回り込んでいく戦略だ。私をふくめて、後者を選ぶ人が多いようだ。
無雪期バリルート専用ピッケル「凌ピッケル」と軽量滑り止めであるGRIVELの「スパイダー」を持ってきてはいたが、装備せず。ザラザラと零れ落ちやすいザレ場は、見方を変えれば、柔らかいので雪山の蹴りこみテクニックを援用できるということでもある。二度三度と爪先を蹴りこみ砂礫に突き刺す。あとはダブルストックのキャップを外してしっかりと突き刺していけば、落ちるということはなくなる。そうやってある程度トラバース前身できたら、残りは上方向に草付きや岩などの手がかりがあったのでストレートに一般登山道に乗り上げた。
三年ぐらい前から気になっていた第三の道・三本松ルート、ようやくトライできてよかった。
第四の道・御真仏薙ルートという真北から遡上する登頂方法もあるらしいけど、ハイキングスタイルではないようなので、私の関心はここまでかな。
第四の道・御真仏薙ルートという真北から遡上する登頂方法もあるらしいけど、ハイキングスタイルではないようなので、私の関心はここまでかな。
下山路はいちばんメジャーな中宮祠に下りる南面ルート。疲れた身体にとって無難だし、なにより食べたい飲食店が中禅寺湖にあるから。とはいえ、こっちはこっちで岩だらけで険しいといつも思う。写真は八合目の滝尾神社。日光修験における礼拝所のひとつでもある。
中世に行われた日光修験の最難関修行ルート《夏峯》においては、北側の志津乗越から男体山頂上を登拝した後、ここ南面の八合目岩場を遥拝するために下って来る。そして再び頂上に登り返して、志津乗越に帰っていく。志津ルートこそが修験道に裏打ちされた真のクラシックルートであろう。
ひと歩きして浅井精肉店(トンカツ浅井)に到着。並んでる並んでる。ちなみにランチタイム閉店は14時。13時過ぎには並ぶことも断られてしまうかもしれないので、なかなか登山後にはありつけないお店なのだ。
撮影機器:
感想
男体山、南から登るか?北から登るか?
いいや、西からでしょ!ということで行ってきた。
昭和登山ブームの幻、三本松ルート。
藪の面倒臭さと草露臭さはあるし、火山砂礫の怖いトラバースも健在だけれど、それらを除けば2023年現在でも廃道登山はまだまだ可能であることが確認できた。
思いのほか日光マークも生きていた。
その一方で、知る人ぞ知る黄色い道標は、先行するヤマレコやブログでの紹介写真よりも、限界状態にあることを知った。
シャクナゲなどの枝はまだ細くとも、少しずつ生長して伸びているのだろう。
今後、藪化はどんどん進行してルートは歩きにくくなっていく。
ゆっくりと少しずつ、やはりこの旧登山道も森に還っているのだろう。
この日、5月20日はなんでも森林(もり)の日とさだめられているそうだ。
そんな日に濃厚にして深淵な森で一人、静かな登山を楽しめた。
有意義な遠足になったと思う。
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