剱岳/チンネ左稜線&妻フェース
- GPS
- 80:00
- 距離
- 17.9km
- 登り
- 2,790m
- 下り
- 2,801m
コースタイム
7月29日(日)4:07熊の岩-5:00八ツ峰側壁-8:20八ツ峰頭-8:50池ノ谷ガリー9:35三ノ窓9:45-10:10チンネ左稜線10:30-13:00T513:15-15:00チンネの頭15:15-池ノ谷ガリー16:25-17:25熊の岩
7月30日(月)8:00Aフェース魚津高ルート取付-10:00Aフェースの頭10:40-11:15取付11:44-12:30長次郎谷出合-14:00剱沢小屋
7月31日(火)5:13剱沢キャンプ場-7:30室堂
天候 | 7月28日(土)晴れ時々曇り 7月29日(日)曇り時々晴れ夕方雨 7月30日(月)曇り時々晴れ一時雷雨 7月31日(火)晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
<当日の道の状況> 1.室堂〜長次郎谷出合:一般登山道、問題なし。平蔵谷出合手前からアイゼン装着 2.長次郎谷:熊の岩までシュルンド無し。熊の岩から上部、右俣はシュルンド多数。両端まで切れている箇所あり。八ツ峰側壁側を岩場に下りて再度雪渓の登り返す箇所あり。下山時は懸垂下降。八ツ峰5・6のコルに向かう雪渓もズタズタ。日々刻々と状況は変化している。なお、今年は雪が多いらしく、熊の岩は草地でテントは3張りしか張れず、一部パーティは雪上に張っていた。 3.八ツ峰側壁〜八ツ峰の頭:通常は登られていないルートだが、ところこどころ残置あり。ハーケンやカムが必要。但し浮き石多数。 4.池の谷ガリー:落石多発地帯。上部は雪渓あるが右岸側を巻ける。 5.三の窓〜チンネ取付:雪渓のトラバース。取付には手前のシュルンドを避けて奥手から廻り込んだ。 6.チンネ左稜線:花崗岩と思われフリクションはすこぶるよい。一部浮き石もあるが全体的に安定している。核心ピッチ以外は残置は比較的少ないため、長スリングは必須。カムがあると安心。 7・Aフェース魚津高ルート:1ピッチ目(掘砲禄个世靴留角以降、正規ルートの左側を登ってしまったようで途中の右トラバースは体感-。としさんは控蕕后椶噺世辰討い拭2ピッチ目以降は特に問題なし。同ルート下降可能。 <登山ポスト> 室堂ターミナル <下山後の温泉> 大町温泉薬師の湯 <飲食店> 勝味庵穂高店(3回目だが、かつ煮定食が一番美味しいと思う) |
予約できる山小屋 |
剱澤小屋
|
ファイル |
非公開
5821.xls
計画書
(更新時刻:2012/07/18 13:59) |
写真
感想
疲れました、恐かったです。
正直、剱は積雪期の方がいいですねぇ〜。
今日はこのぐらい。
ゆっくり休みます。
5月頃から計画してきた剱岳でのクライミング。目標はチンネ左稜線。
カモの会に入って3年目、入会当初からお世話になっているとしさんと
何気に初の2人っきりの山行。しかも、私がCL。剱に対する緊張6割、
としさんに対する緊張4割くらい。
7月28日(土)
仮眠もほどほどに扇沢ターミナルに向かい、あれやこれやと乗り継ぎ
室堂へ。室堂は何気に5年ぶり。前回は一般登山道からの剱岳で、そのとき、
各所で目にしたクライマーの姿に、「自分とは無縁だなぁ、スゲーな〜」と
思っていたところ、今度は自分がメットにピッケルを下げて、この地に
いる、何だか不思議な気分に駆られる。
が、そんな思いもぶっ飛ぶほど、今回は荷物が重い。敬老精神に満ちた私が
テントを持ったため、23kg。これでも前日の準備では軽量化に軽量化を
重ねた結果であるにもかかわらず・・・である。
アルヌンもDMMの軽量ビナを中心にしたし、スリングを下げるビナも共用
しながら軽量化したり。ダブルロープも最軽量のマムートの8mm。食事も
毎晩アルファ米と瞬間美食カレー。それでも、23kg。無雪期とはいえ、キツイ。
重荷を腰と肩に感じながら、雷鳥坂400m登り、今度は剱沢を700m下る。
途中、ごっちんさんに遭遇したり、剱沢小屋でビールを2本買い足して結果
24kgにしたりしながら、長次郎谷の出合へ。ここから600m登り返す。
メットを着用し、軽量アルミアイゼンの10本歯を噛ませつつ、歩を進めたが、
やはり荷が重い。徐々にペースが落ちる。吹き下ろす雪渓の風が心地よいが、
時折、生温かい風も吹いてくる。この生温かい風はどこからやってくるんだろうか。
目指す熊の岩は、見えてからが遠い。目の前に迫ってからも遠い。
ようやく到着したのは15時。雪の量が多い。通常は10張りほど張れるはずが、
この日は3張り程度しか土の上に張れない。実際、後続パーティは雪上に
張ることに。
が、それにしてもここ熊の岩は最高の景観。雪渓、そしてそれを囲むように
八ツ峰、妻フェース、源次郎尾根・・・ここは日本なんだろうか・・・と感嘆。
夕方、各所で雪渓が崩れる音が響く。日々刻々と状態が変わる雪渓を目の当たりに
する。
荷揚げしたビールで明日のチンネへの気勢をあげ、早々に就寝した。
7月29日(日)
3時起床。4時を少し過ぎたところでヘッデン灯して出発。長次郎谷右俣の急な
雪渓を詰める。
30分程度登ったところで、端までパックリ割れたクレバスにぶち当たる。
深さは2〜3m程度であるが、そのまま越えることができず、八ツ峰側壁シュルンド
から一旦底部に降り立つ。
ここから、底部をシュルンドに沿って登るが、雪渓への登り返しは困難と判断し、
八ツ峰側壁から巻くこととする。山靴、ノーロープのまま登っていき、雪渓への
下降ポイントを探すが、困難。ここでロープを出し(山靴のまま)、八ツ峰縦走路へ
抜けて、八ツ峰の頭から池ノ谷乗越を目指すこととする。
とはいえ、この側壁はすでにクライミング。ところどころ残置ハーケンがあるのと、
多少の踏み跡、岩の摺れ具合から、登られているのは間違いないが、このまま
縦走路に抜けられるかは分からない。不安はあったが、恐怖は無かった。これまで
練習、実践してきたことを発揮すれば、チンネまでは行けずとも、しっかり帰還は
できる、そんな思いで側壁にピッチを切った。ハーケンで確保支点を構築したり、
カムでランナーをとりながら、ルート選択、ギアの玉切れに注意しながら、上部を
目指し、5ピッチほどで縦走路と思わしき尾根に抜けた。ここまでで既に4時間が
経っている。あっという間だが、気力は十分みなぎっている。
ここから、懸垂を2回程度かませながら、出発から5時間弱で池ノ谷乗越に到着した。
予定ではここまでが1時間だったわけで、4時間ロスしている。
ここで、としさんと打ち合わせし、とりあえず取付きまでは行ってみようという
ことになった。
悪名高き池ノ谷ガリーはその名に違わず、落石の巣窟、すべての石が浮いている。
正直、気にしていたら降りることはできない。下から北方稜線を縦走する登山者が
来るときは要注意だが。
正面の小窓ノ王の威容に押しつぶされそうになりながら、三ノ窓へ。ここで、
右手に入ると、空が開けてチンネの岩場がドーンと視界に入る。スゴイ景観、
感動。「これを登るんだな」と。
雪渓をトラバースし、左稜線取り付きへ。この日の左稜線は先行1パーティのみ。
だいぶ先を行っているので、ほぼ貸切状態だ。
取付き、10時10分。熊の岩までの帰還時間を逆算して登攀可能と判断。続行。
但し、時間との勝負なので、フリーにこだわらずドンドンA0、フォローのときは
急いで登る。そんなことを話して左稜線登攀開始。
岩は一部不安定な部分もあるが、基本はがっしり安定してフリクションが良く効く。
快適だ。前半はピナクル部を除くとリッジ上のフェース中心。掘銑元蕕伐適に登れる。
途中から徐々にナイフリッジ、ピナクルが顕著となり、高度感も強まる。
振り返ると三ノ窓雪渓、さっきまで見上げていた小窓ノ王、前方にはあこがれの
クレオパトラニードルに左稜線のリッジ。素晴らしい景観に囲まれながらロープを
伸ばしていく。
順調に登攀は進み、T5で小休止し、核心ピッチ控蕕悄私がリードの番だ。
見上げるとかなりの急傾斜。やや怯えた。
最初は左側のフェースを登りそこから、リッジ上の三ノ窓側へ。ここの高度感は
ヤバイ。核心の小ハングはフリーで進みたかったが、時間もあったので、さっさと
A0。この後も細いリッジ上の油断できないセクションを越えて、小さいテラスで
ピッチを切る。振り返るとビビる。高い。としさんも順調に核心を越えた。
ここまでくれば後は掘銑掘椶4ピッチ程度。。。。ではあったが、確かに技術的には
掘楪度といえばそのとおりだが、ともかくピナクル&ナイフリッジの連続。
高度感が半端無い。そんなセクションが余りに繰り返すもんだから、最後は笑いが
止まらなくなってしまった。
そんなこんなで15時前にチンネの頭へ。ここでお約束の写真と握手。
全力で登ったが4時間半かかった。ヒロケントポでは3〜4時間とあるが、
3時間なんて到底無理だ。
そこから、懸垂を交えて池ノ谷ガリーに戻り、長次郎谷右俣を使って17:30に熊の岩に
帰還した。
チンネ左稜線は本当に面白いルートだ。しかし、今回、アプローチでの困難を
としさんと2人で考え、工夫しながら乗り越え、辿りついたことで、充実感は倍量に
なった。舐めさんが「複製時代における登攀」と言っていたが、その意味では、
前半のアプローチは大将なりともクリエイティブなクライミングとなったかと
思うし、少々の自信になった。
テント帰還後、我々の帰りを待ってたかのように、雨、そして雷鳴。
運も良かった。自宅から荷揚げしたエビスで乾杯。ボロ雑巾となって寝る。
7月30日(月)
全身疲労で身体が重い中目覚める。テントを撤収して、本日の行動について打ち合わせ。
シュルンド処理が容易そうなAフェースを登り、剱沢宿泊とする。
Aフェース魚津高ルート。
昨日の全身全霊クライミングの翌日だったので、快適に登って気持ちよく去れれば
ということで、このルートへ。
が、はまった(笑)
1ピッチ目、私のリードだったが、最初の凹角から正規ルートは恐らく右手に向かうべき
ところ、余りにつまらなそうだったので、面白そうな、左手のフェース面に向かった
ところ、これがなかなか難しい。4級+程度か。このセクションから右手にトラバース
して上部のテラスを目指すが、このトラバースから数手は体感控蕁としさんは体感后
ランナウト具合、高度感、ホールドの甘さ、かなり厳しかった。
あとは快適なピッチを切って、Aフェースの頭へ。気持よい。
同ルート下降して撤収、下山。
長次郎谷から雨がパラツキ始め、剱沢の雪渓から登山道にあがったところで、雨脚が
強まり、雨具着用。ずぶ濡れになりながら、剱沢キャンプ場へ。
ようやく、帰ってきた。もう何日も剱にいたような気がする。
身体も節々が痛いことに気がつく。緊張感から解放されたようだ。
夜は疲労感が出過ぎて余り寝られなかった。
最終日
4日間で一番天気がよい。空気が澄んでいる。立山、富山の町、海を眺めながら
楽しくハイク。最後の雷鳥平からの登り返しは本当にきつかったが、なんとか始発の
トロリーバスに間に合った。
楽しくまた自信につながる充実の4日間だった。
としさんとだからこそ、解決できた、突破することができた部分があり、また、
甘えてしまった部分もあった。本当にありがとうございました。
さすがお見事な登攀でした!カッコイイ!
師匠が愚痴るの、その場の雰囲気が伝わりましたw
でも、やっぱチンネは大変そうですね。
モロアプローチ核心ですね・・・。
昨年、お亡くなりに成ったのもシュルンドの大きさを見て頷けます。
アレが崩壊したら終わりですね。
何かの資料で、剣の上部はダブルアックス持って行くと書いてたけど、
満更でも無さそうです・・・。
来年、出きるかなぁ・・・。
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