富士山初登頂 感動の夜景とご来光、深夜の寒さも貴重な経験
- GPS
- 13:45
- 距離
- 16.5km
- 登り
- 1,884m
- 下り
- 1,884m
コースタイム
- 山行
- 2:42
- 休憩
- 4:16
- 合計
- 6:58
- 山行
- 6:32
- 休憩
- 2:57
- 合計
- 9:29
天候 | 1日目:曇り 2日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
富士宮登山口5号目到着:午後5時 富士宮登山口5号目出発:午前11時 |
コース状況/ 危険箇所等 |
特に問題なし |
予約できる山小屋 |
八合目池田館
|
写真
感想
初めての富士山は、距離の短い富士宮コースを選択してバスツアーを利用。高山病が怖かったので、山小屋箔の1箔2日の行程。天気は1日目が曇りで2日目が晴れ予想なので期待。
当初は8月14日に予約していたツアーだったが、台風の接近に伴い、ツアーそのものがキャンセル。富士山に行く気になっていた気持ちを抑えられず、最短で押さえられる日程として、閉山1週間前の9月2日出発となった。
バスでは隣の席になった方との話が尽きず、仮眠を取れずに出発地点の富士宮登山口五合目に到着。上は見えるが、下は雲に覆われて見えない状況だった。
本ツアー、ガイドなしを申し込んだのは数名。ガイドなしのソロは自分一人だけだったので、ガイドに宿泊予定地の7合目の山小屋までツアーについていく旨をお願いすると、快く承諾いただけたので、ガイド付きで申し込めなかった初心者の女性2人組と一緒に同行した。
高山病が気になるが、自分のペースだとどうしても速くなってしまうのでこれはありがたかった。また、山小屋まで3時間をかけるゆっくりとしたペース、こまめな休憩でまったく疲れなかった。
歩行中は、高度にならすために、こまめな水分補給と鼻から吸って口から吐き出す呼吸を意識。山小屋到着から1時間程度は起きていた方がとのアドバイスもあり、弁当を食べるなどして、しばらく起きていた。山小屋の狭さと緊張、体の疲労もないことから、全く眠気はやってこない。しばらくは寝ようとリラックスしたが無理だったので、山小屋から出て、山小屋のスタッフと話をしていた。
屋外は、すっかり晴れ、静岡周辺の街の夜景や星がきれいに見える。「小田原の方まできれいに見えるのは、台風による影響で空気が澄んできているのではないか」とはスタッフの方。「この調子なら明日のご来光は大丈夫でしょう」との言葉に期待も膨らんだ。「仮眠後に高山病の症状がなければそれ以降は大丈夫か」とお尋ねすると、大丈夫ではないかとのことだったので、仮眠後はマイペースで上ることとした。
結局、一睡も寝ることなく、ガイド付きのツアーよりも少し早めの12時前に出発。ガイドなしで一緒だった女性2人組にも声をかけて、自分のペースで登り始めた。
夜間登山は初めての経験だったが、星がきれいで、夜景も美しくて感動。また、12時頃の登山者は少なく、見上げてもヘッドライトの灯はぽつりぽつり。登山路は迷う箇所がなく、矢印やロープがヘッドライトで確認できるので楽しみながら、呼吸と無理のない変動しないペースを意識して、休憩することなく山頂に到着した。
途中、山小屋付近のくぼ地で仮眠をとる方や、登山路のロープの外で寝袋や銀シートに包まれている方など多くの登山者を横目に、山頂の寒さは気になったが、まあ何とかなると気楽に登った。
結局、7合目から山頂まで1時間半。想定よりもはるかに短時間で山頂に到達。汗もかかず、息があがることもなく、本当に安定したペースを維持できた。
山頂では、ちらほら、外国人を中心に登山者が思い思いの方法で休息。中には、トイレで寒さをしのいでいる外国人登山者もいた。ただ、ご来光まで長すぎる待ち時間をどう過ごすかは課題。まずは、深夜の御鉢巡り(反時計回り)を行う。
ヘッドライトを頼りにのんびり散策。噴火口が見えるポジションでは、月明かりかすかに見える。大きさに感動してしまった。
同じような深夜の御鉢巡りをしている登山者もおられ、そこで出会った地元の方によると、「これだけ穏やかな富士山は初めて。今日は最高のコンディション」。また、ヘッドライドを消しても、月の明るさで視界が効くので、一部の区間では、その方と月明かりのみでの御鉢巡りを行った。これは本当に感動体験だった。
その方と、富士山の最高峰「剣ヶ峰」(3776メートル)に到着。その中でも最高地点の岩に印があると教えていただき、そのポイントにタッチ。日本最高度ポイントに到達できた。
「最高峰からご来光は」と薦められたが、立ち止まっていると、微風でも寒さで体がブルブルガタガタ。フリースに防寒具と着込んだものの温かくならず、このまま3時間もじっとしている状況では待てそうにないので、動きながら時間をつぶすためその方とはお別れした。
立ち止まっていると、気温1度で微風の寒さに耐えられない。歩いている状態と停止状態とでこれほど体感が異なるのは新たな気づきだった。今後、寒い場所で過ごすには、暖かい服装の用意に加えて、温かい飲み物や食べ物で体の内側から温めることも効果があるのではと思った。実際、寒さを感じてから羊羹を食べたが少しマシになった。
軽い運動と時間潰しで、御鉢巡りも2週目に突入。午前4時、伊豆岳・成就ヶ岳付近で多くの登山客がご来光待ちをしていたので、このポイントでのご来光待ちを決意した。
ご来光の予定は午前5時20分頃。風はないのでコンディションは最高のはずだが、着込んでも寒い。立ったりしゃがんだり、その場で足踏みしたり。ただ、このくらいの時間になると東の空も赤みが差してくる。また、夜景だけでなく緑や湖も何となくわかるようになり、写真をとりながらご来光を待った。
ご来光は感動の瞬間。太陽の全体が見えるまでのわずかな瞬間を満喫した。本当に晴れていてよかった。
その後、浅間大社奥宮でご朱印をいただき、富士宮下山口から出発。午前6時前で少し早い気もしたが、ガイドから午前5時半頃には下山しないと、午前11時のバスに間に合わないこともあると脅されたこともあり、焦りながら下り始める。
下山する方もそれほど多くなく、登ってくる方もそれほどではないので、離合も以外とスムーズ。下山で初めて自分が登ってきたルートが確認できたが、この傾斜をよく1時間半で登れたと改めて感じた。
火山灰で覆われた山の本格登山も初めてなので、見える景色が斬新。木々のない荒涼とした火山灰地を踏みしめながら、3千メートル下の雄大な景色、海と山林、街を眺めながらの下山は寝不足、足腰の負担を忘れさせるものであった。
快調すぎて、このままだと、午前8時には5合目につく状況だったので、山頂でお会いしたから、「時間があれば30分程度で宝永山に行けるので、景色が最高なので立ち寄ってみれば」と言われていたので、6合目の山小屋から宝永山に向かう。
最初は平坦で絶景が堪能できる楽なコースだったが、山頂まで60分の看板を見て往復2時間的に厳しいので、すれ違う登山者にどのくらいの時間がかかるかを聞くと、「砂地で傾斜も厳しいので、片道60分以上はかかる」とのこと。せっかくここまで来たので行けるところまでは行ってみることとした。
宝永山火口までは10分程度。なかなかの景色でこれは一見の価値あり。また、宝永山の稜線までの登山路は一本道で、趣がある。とりあえず歩き出すものの、傾斜も厳しく、足も沈み込む砂地なので、山の稜線から先には素晴らしい展望があるとの強い思いで、トレッキングポールで踏ん張りながら頂上を目指した。
ここは本当に疲れた。目の前に見えているのに全然進まない脱力感。何度も引き返そうと考えていた。同じように登っていたご夫婦に「ここは地獄ですね」と声をかけると、笑いながらうなずいておられた。
下山判断のリミットとして午前8時半を目標に、登れるところと思っていたが、あとわずかで稜線だったので、もうひと踏ん張り。確かに感動の雄大な景色が待っていた。
緑から街、海へとつながるダイナミックな景観。独立峰ならではの裾野の広さに苦労も吹き飛んだ。今回の富士山登山の機会に宝永山まで登れたのは貴重な経験となった。また、登りの大変さが、下りでは逆に進みやすく、土埃を上げながら、踵を踏みしめて滑るように下った。砂走とはこういったものだろうか。あらためて経験してみたいと思った。
ただ、この時点でガス切れのように、急に体が重くなったので、宝永山第一火口にある休憩場所で朝食タイム。山頂でおやつを食べて以来の6時間半ぶりの食事で、山登りと栄養補給の関係と大切さを身をもって感じた。
食事と合わせて、服装も軽装に着替えて出発。午前10時前には5合目に到着し、無事、楽しい富士登山は終了した。
初めて尽くしの今回は、気候にも人にも恵まれ、楽しい経験となった。次は砂走や緑や森と森林限界を体感できる別のコースで挑戦したい。
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