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Yamareco

記録ID: 6326
全員に公開
アルパインクライミング
八ヶ岳・蓼科

阿弥陀岳北稜

2013年02月16日(土) [日帰り]
 - 拍手
GPS
--:--
距離
20.6km
登り
1,630m
下り
1,630m

コースタイム

2月16日
4:00起床5:00道の駅小淵沢=美濃戸口(スタックトラブル)
8:04美濃戸口-9:04美濃戸-11:24赤岳鉱泉13:00-13:34行者小屋-(中岳沢)15:45-16:20赤岳鉱泉
2月17日
5:15赤岳鉱泉-7:06核心部岩壁-8:20終了点(haruパーティ待ち)-9:00下降開始-11:06行者小屋-11:36赤岳鉱泉(撤収・昼食)13:15-14:00美濃戸-14:43美濃戸口
天候 2月16日雪のち曇り夕方から晴れ(昼〜夕方低温)
2月17日晴れ時々曇り(強風)
過去天気図(気象庁) 2013年02月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
<積雪状況>
中岳沢(2月16日)
コンプレッションテスト⇒上部20cm新雪、その下30cmCTH(拳)
円柱テスト⇒上部20cm新雪、その下30cmは手首で破断
テスト方法で結果が異なった。

<登山ポスト>
美濃戸又は美濃戸口

<温泉>
もみの湯@500円。安いが混んでて落ち着かない。
泉質は鹿の湯より良い気がする。

<ご飯>
登戸「神洲之華」たらふく食って飲んで1人3,000円ちょっと
ファイル
非公開 6326.xls
計画書
(更新時刻:2013/02/13 13:57)
tyaku写真館。これ、美濃戸までの林道です。
tyaku写真館。これ、美濃戸までの林道です。
美濃戸まででラッセルに励む隊員
1
美濃戸まででラッセルに励む隊員
美濃戸の駐車場・・・ガラ空き
1
美濃戸の駐車場・・・ガラ空き
鉱泉までの道のりも雪深い
鉱泉までの道のりも雪深い
中岳沢に向けてラッセル
中岳沢に向けてラッセル
中岳沢をラッセル
中岳沢をラッセル
中岳沢でピットチェックとスタンディングアックスビレイの練習
中岳沢でピットチェックとスタンディングアックスビレイの練習
風と光が織りなすドラマ
風と光が織りなすドラマ
日曜日、中岳沢を詰める
1
日曜日、中岳沢を詰める
尾根をラッセル
最初の雪壁。ここが一番悪い。
最初の雪壁。ここが一番悪い。
何気に好きな写真。兄弟。
2
何気に好きな写真。兄弟。
この手前で雪庇が崩壊した。
この手前で雪庇が崩壊した。
横岳をバックに。
横岳をバックに。
アイゼンの効きが心地よい
1
アイゼンの効きが心地よい
核心手前の雪壁
ヒロシはシングルアックスで頑張りました
ヒロシはシングルアックスで頑張りました
核心部。とにかく風が強い。
核心部。とにかく風が強い。
核心部手前の緩斜部
1
核心部手前の緩斜部
雪煙がヒロシを呑み込む
1
雪煙がヒロシを呑み込む
2P目。雪粒が飛んで顔が痛い
2P目。雪粒が飛んで顔が痛い
赤岳さん
ノートレースのナイフリッジ
1
ノートレースのナイフリッジ
横岳をバックに
初リードのharuさん
1
初リードのharuさん
フォローのザッパ
1
フォローのザッパ
終了点で記念写真
1
終了点で記念写真
横岳西壁
終了点から懸垂。後続パーティがチラホラ。
1
終了点から懸垂。後続パーティがチラホラ。
雪壁をクライムダウン
雪壁をクライムダウン
天気はイマイチだが、充実感
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天気はイマイチだが、充実感
下部雪壁。ここだけ雪の状態がイマイチ。
1
下部雪壁。ここだけ雪の状態がイマイチ。
人情バイオレンスbyヌンチャク
人情バイオレンスbyヌンチャク
美濃戸にワープ。鉱泉から高速45分で下山したため、皆戻してるの図
美濃戸にワープ。鉱泉から高速45分で下山したため、皆戻してるの図
相変わらず美濃戸の駐車場はガラ空き
相変わらず美濃戸の駐車場はガラ空き
なんもいえねー
スタックの現場
hirotk写真館。美濃戸口からこんな状態
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hirotk写真館。美濃戸口からこんな状態
樹木に雪がかぶってとてもキレイ。雪はふかふか。山者のトレースのみで車の轍はナシ
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樹木に雪がかぶってとてもキレイ。雪はふかふか。山者のトレースのみで車の轍はナシ
これ美濃戸の駐車場。
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これ美濃戸の駐車場。
こんなに雪深い八ヶ岳初めて見た。
こんなに雪深い八ヶ岳初めて見た。
時折青空が覗き、見事なコントラストを見せてくれました
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時折青空が覗き、見事なコントラストを見せてくれました
埋もれた行者小屋
埋もれた行者小屋
阿弥陀。行者のテン場も盛況でした
阿弥陀。行者のテン場も盛況でした
翌日のアタックのためにトレースをつける。男性2人が頑張ってくれました
翌日のアタックのためにトレースをつける。男性2人が頑張ってくれました
やっぱり雪山には青空が似合う。
1
やっぱり雪山には青空が似合う。
翌朝、ヘッデンつけて出発
翌朝、ヘッデンつけて出発
ラッセル
ラッセル。殿方は頼もしい。
ラッセル。殿方は頼もしい。
富士山が見えた!
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富士山が見えた!
2P目、リードするtyakuさん
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2P目、リードするtyakuさん
横岳、硫黄岳をバックに
1
横岳、硫黄岳をバックに
リードで登ってくるharuさんを見守る
1
リードで登ってくるharuさんを見守る
ガンバ!!
青空なんだけど、とにかく風が強い
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青空なんだけど、とにかく風が強い
スタンディングアックスビレイ
1
スタンディングアックスビレイ
kwataも登ってくる
kwataも登ってくる
懸垂の準備をするtyakuさん。ロープ使って2ピッチ下りた。
1
懸垂の準備をするtyakuさん。ロープ使って2ピッチ下りた。
帰ろう。

感想

12月に引き続き今年2度目の北陵。
前回はオールフォローでしたが今回は
1ピッチ目をリードさせてもらう。
実はバリエーションでのリードデビュー。
怖かったけど、それだけ達成感があった。
赤岳主陵はいけなくて残念だったが、また次の機会にチャレンジしたい。
やっさん、はるさん、ひろし、ありがとうございました。
またご一緒させてください。

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●1日目
1.美濃戸口〜鉱泉
美濃戸口から雪が深い。美濃戸に向かう途中、美濃戸口から橋を超えて最初の曲がりで坂を登りきれずに乗り捨てられていた車をよけようと右にハンドルを切ったところで側道の溝に前輪のタイヤがはまり車がスタック。雪をかき出したり、タイヤの下に雑巾をかましたり、全員で車を押したりして格闘しながら何とか脱出。車で美濃戸にはいけないと判断して、美濃戸口の駐車場に戻ることに。結局この日美濃戸に車ではいれたパーティーはなかった様子。
美濃戸口から鉱泉まで歩いた。ここまで雪が多い八ヶ岳ははじめてでなんだか新鮮。
トレースはあるものの常に膝下ぐらいの雪が積もってる。

2.鉱泉〜中岳沢
下見も兼ねて北陵の途中まで進む。
中岳沢の出合付近まで明瞭なトレースあり。
謎の学生団体が先行してトレースつけてくれたのかとか、いろいろと思いを巡らせすすむ。
こののまま行ったら今日中に北陵いけちゃうかも…とか淡い期待はあったものの、
その期待はすぐに裏切られる。明瞭なトレースは中岳沢に入る手前で終わってた。
ここで引き返したのかな。

明日に備えてトレースをつけるべく沢筋を進む。雪崩の危険があったので慎重に。
途中、ヒロシとハルさんにピットチェックを試してもらう。
その間、尾根筋に入り、やっさんと共にトレースを作る。
前回北陵にきた時も同じところからトレースを作った。
どちらかといえば今回の方が雪がしまっていてトレースつけやすかったかな。
前回はシーズン始めだったからか踏み跡が明瞭でなく、体が沈んでもっと苦労した気がするし、もっともっとトレースつけるのに時間かかった気がするし。

ジャンクションピーク(前回ジャンクションピークと思ってたのはもう少し上)までトレースをつけて撤収。そのあと、はるさんやヒロシと合流し、明日に備えスタンディングアックスビレイの復習。

夜はヒロシ食担による、豪華すき焼き。
個人的にはちょうどいい量で美味しくいただけました。
ごちそうさまでした。

●2日目

初日につけたトレースに沿って進む。
実は、最初の雪壁(前回ジャンクションピークと勘違いした箇所直前の急なとこ)の
ラッセルがこの山行で一番印象に残っている。
体感45〜60度ぐらいのところをダブルアックスで登りつつ
雪をかき分け足場を作り喘ぎながら登っていき、
最後小さな雪庇に突っ込みちょっとした平らなところに出る。
最後平らなとこに出た時はちょっとした達成感を感じた。
(まだ北陵核心にとりついてさえいなかったけど)
白馬主陵もこんな感じなのかな、とか思いつつ。白馬主陵もいつかいってみたいな。

ちょうど阿弥陀の山頂が見える。山頂付近は雪煙を上げ、思いのほか風が強い様子。
ここからツリークライミングを交えての第二の雪壁登り。前回よりもかなり易しい。簡単に感じたのは二度目だったからというのもあると思うけど、雪の状態が良くアックスがよく決まるため前回感じた怖さがなかったのが大きいと思う。

1ピッチ目取付きに着くと、予想通り風が強い。眉毛もまつ毛も凍ってる。
じっとしてると寒い。
少しずつ晴れて日がさしてきていて暖かくなってるのが少しだけ救い。
やっさん、ヒロシパーティーに先に行ってもらう。
その間、はるさんとロープをつなぎ準備。
コールが聞こえなかった場合の対応とかを決める。
1ピッチ目を自分がリードする。
一度いったルートだけどリードとなるとやはり緊張する。
1ピン目をかけて少し安心し、そこから左手フィストジャムを使って体を上げ、
右手でガバをとる。手袋しながら登る感覚に少しだけ慣れたのと、
アイゼンを信じるようにしたので、前回よりも楽に登れた気がした。
上がったところで2ピン目をとり、
そこから前回同様に右に回り込んで雪のついたところをアックスを近いながら登る。
あとで聞いたがここは回り込まず直登が正解らしい。
見た目易しそうだけど、前回もヒヤヒヤしながら登った気が。
ルーファイミスっていたらしい。通りで。
そこから2ピッチ目開始するとこまで2つほど支点をとる。
一度登ったことあるルートでまだ記憶にも新しいんだけど、
たまにルート間違えてないかな、登りすぎてないかなという不安にかられる。
リードならではの不安。事前の情報収集とかで少しはこの不安は払拭できるだろうけど、
先頭でいくからには今後この不安と向き合っていかなければならないのだろう。
2ピッチ目開始点付近に先行するやっさんヒロシパーティーを目撃した時はすごく安心した。

2ピッチ目開始点にあるスリングにセルフをとり、近くのペツルでビレイ器具セット。
案の定、コールが聞こえず。途中からロープアップできなくなる。
ロープアップするも途中でいっぱいになったのか、ひっかかってるかわからず、
ビレイしながらロープアップすることに。
最初重かったが、次第にロープが軽くなったと。しばらくしたら、
もうすでにハルさんが見えてくる。結局、ビレイしだしたところあたりが正解だった気もするが、いつのタイミングで切り替えるべきだったかハッキリしなかった。
強く3回引っ張ったことを合図と決めていたが、うまく伝わった気がしなかった。

2ピッチ目、ハルさんにリードしてもらう。
余裕だったのか、さっくり軽々登って行った。
フォローで登攀開始。
前回はベルグラだったからか、前回感じた難しさがない気がする。
ガバを掴み、安心して登れる。ナイフリッジを超え、皆と合流。
灌木には新しいスリングがついていた(スリングのみ雪から出ていて掘り起こしたら灌木につながっていた様子。)。そこから懸垂。
2ピッチ目開始地点、1ピッチ目開始地点でそれぞれピッチを切る。
懸垂で降りると、後続パーティーが登ってきているとこだった。

そこからきた道をクライムダウン。
下りはあっという間。

鉱泉でカレーを補給し、撤収。
美濃戸口までは雪深い道を下る。
凍結箇所がなく滑る心配もないし、雪がふかふかでかなり歩きやすい。
いつもより時間短縮して美濃戸口へと帰着。

強風と大雪に悩まされ、決してコンディションは良くなかったけど、
充実した山行だった。リードデビューもできたし。収穫は大きい。


3年連続3回目の阿弥陀北稜へ。

土曜日早朝、前夜から引き続き小雪が舞っている。
予想高層天気図でも500hpaで-30℃の寒気が南下している。
今日の天気はかなり厳しい。

美濃戸口からの林道には新雪が積もり、タイヤ痕がまったくない。
一番乗りとも思えたが、ここでもう少し状況を理解すべきだった。

いつものように橋を越えて上り坂に差し掛かったところで、前方左手に
レガシーが停まっている。乗り捨てられたのか。これを避けようとやや
右手にルートを取ったところで、深い轍にはまりスタック。

余りに必死だったので費やした時間は分からないが40分〜50分といった
ところか。皆で協力して何とか脱出して美濃戸口へ戻った。ちなみに後続の
FJクルーザーも私がスタックしたほんの数m先でスタックして諦めていた。

あらためて新雪が降り積もった後の美濃戸の林道の恐怖を知った。

予定では、初日に北稜、2日目に赤岳主稜だったが、美濃戸の林道の積雪量と
行動開始の遅れ、それに前夜の睡眠不足、そしてスタックトラブルへの対応の
疲労もあって、2日目北稜1本に絞ることとし、まずは車で1時間ほど仮眠を取った。

晴れ間ものぞき始めた8:00過ぎ、気を取り直して美濃戸口を出発。ここから
歩くのはかなり久しぶり。

先行する登山者のトレースがついたが、それでも足を取られる。相変わらず車が
入った様子はない。美濃戸に着いて驚いたが、駐車場に停められている車は屋根に
沢山の雪を載せていて、今日入ったと思われる車はほぼ皆無だった。

鉱泉までの道のりも先行者のおかげでラッセルとまでは言わないまでも、同様に
足を取られる。睡眠不足とスタック対応もあってか、身体が重かった。

鉱泉に到着してテント設営したころから、急激に気温が低下してきた。強い
寒気が南下しているのが分かる。日中なのに、気温は-18〜20℃くらいでは
なかろうか。去年の石尊稜のときに感じた最強の寒さに近い。

余談だが、予定では行者小屋でのテント泊だったが、もろもろ考慮し鉱泉に
変更した。

寒さから逃げるようにテントでのお茶を希望するメンバーの尻を叩いて、
偵察に出る。目的は中岳沢、尾根筋の雪の状態の観察と、明日に向けた
トレース作り、それに雪上確保技術の確認。時間は13時を回っていたが、
何気に忙しい。

予想通り中岳沢分岐からラッセル。もちろん人気ルートなので、必ず足元に
トレースが隠れている。ザッパに空身になってもらい先行してもらった。

斜度がややあがったところ(2ヵ所)で、シャベルコンプレッションと円柱テストを
実施。20cmの新雪の下から30cmのところが弱層を形成しているように思われたが、
シャベルと円柱で結果に大分差が生じた。

もっとも楽に尾根に取り付けるところまで沢筋を詰めるのは危険(&ハードラッセル)
なので、ザッパと2人で手前のピンクテープのところから、尾根に取り付き、空身で
ラッセル。脛〜膝上のラッセルを繰り返し、一旦斜度が落ち着く、標高2,520m付近で引き返した。

降りたところで、スタンディングアックスビレイの練習して、鉱泉に帰還。
日中の気温低下は収まったように感じた。寒気は北上し高気圧が進行してきたか。

夜はヒロシ特製豪華すき焼き。私には身の丈を超える贅沢品だったようで、不覚にも
食事途中に眠ってしまった。


2日目。3:00起床。4:40出発。星空だが風は強い。
5:20に行者小屋を通過し中岳沢へ。自分達で作ったトレースだし、できれば先頭で
取り付きたい。そう思った矢先に中岳沢で1名の登山者が下ってくる。驚き、「どちらから
ですか?」と尋ねるも「おはようございます」との返事のみだった。ルートミスか?

昨日作ったピットで1本取り、アイゼンを装着。良い休憩場所となった。

すると、後方から1人の登山者。もしかして、またルートミスかとも思い、「どちらですか?」と
尋ねるも、今度は返事もない。そのまま中岳沢を詰めていくので、再度問うも返事はない。
やや心配ではあるものの、我々はその登山者を見送り昨日作ったトレースにしたがい尾根に
取り付く。昨日の踏み跡が適度に固まり、アイゼンの効きがすこぶる良い。

が、ここで沢筋を見下ろすと、またもや先ほどの登山者が後をついて来ようとしてるようだ。
確かに北稜はノーロープ、ノーメット、単独で楽しむ人もいる簡単バリではあるが、
動きが怪しい。後方の女性陣に注意を促してもらい、我々は歩を前に進めた。

昨日のラッセル終了点から先はラッセルかぁと思っていたら、なぜかしばらく先まで
新たにトレースが付いてた。昨日、我々の後に人が入ったとは思えず、理解できなかったが、
暫くしてそのトレースは消えた。

次第に明るくなり、阿弥陀の頂上部が染まってきた。

一旦樹林が疎らになる最初の雪稜部でヒヤリハット。

ルートをやや左手にとっていたようで、我々の左手の雪が音もなく崩壊。新雪部分だけと
思われるが雪崩れた。雪庇だ。この雪庇は舌のように飛び出た分かりやすいものではなく、
先日の雪崩講習会で観察したタイプのものだろう。

風も強いので、休憩入れられずそのまま歩を進める。

緩斜帯を越えたのち、核心手前の急な雪壁。アックスとアイゼンを駆使してガシガシ登る。
アイゼンの効きがよいため、快調快適。

核心まで来ると、風は更に強い。氷と雪の粒が顔にバチバチ当たって
富士山のセックンを思い出す。ゴーグルしたくなるが、面倒なので
そのまま進んだ。

ここでロープを出す。今回はヒロシと組んだ。
1P目は私リード。さすがに3回目なので、難しさは感じないが、
風強く寒かったので、手袋は厚手のウールと二本指のオーバーミトンの
まま。ところどころミトンを外して登った。

次はフォローのヒロシのビレイ。風が強く寒い。
ロープの感触から1歩上がったところでヒロシの動きが止まった。
「うーさみーなー」とはいえ、何もできない。「ヒロシガンバ!」
大分時間がかかったが、上がってきた。おつかれおつかれ。

2P目、当初はヒロシのリード予定だったが、1P目苦労したこともあり、
「リードする?」と尋ね、本人が辞退したので私が連続でリードすることに。

ナイフリッジはノートレース1番乗りで楽しめた。

フォローのヒロシも嬉々として登ってきた。
「やっぱりリードすれば良かった?」

後続のザッパパーティを待つ。
2P目はharuさんが本チャンで初リードできたようだ。素晴らしい。
しばしその光景を眺めつつ、アプローチ途中から悩んでいた下降を
同ルート下降に決め、懸垂支点を構築。全員揃ったところで、休む
間もなく下降の準備。

クライムダウンでも良かったが、確保代わりに懸垂とした。
雪に埋まった灌木から残置スリングが3本も出ていたので、これを
使い、またバックアップもとったうえで懸垂。

2P目取り付きでようやく後続パーティに遭遇。特にラッセル感謝は
されなかったが、二言三言交わして下降。

核心取り付きからでロープしまってクライムダウン。
無事に鉱泉に帰還した。

テント撤収して鉱泉でカレー食べて下山。

下山は鉱泉から美濃戸まで45分で降りた。新記録。
雪の状態が良かったので、突っ走った。皆は泣いていた(除くザッパ)

主稜は残念だったが、トラブルあり、ラッセルありの中、気象、雪崩を
分析しながらのトライは、これまでよりは冷静な判断の下、充実の
山行となり、楽しい2日間だった。

これで後輩のヒロシを阿弥陀南稜と北稜に連れて行けた。
正直北稜は飽き飽きかと思ったが、こういう編成で取り組めて
自分的には山ほど気付かされる部分があった。

またチャンスがあれば後輩と登りに来たい。



1月に行った南稜に続き、バリデビュー2戦目。
南稜よりも登攀要素が強いと聞いていて、ビクビク。

◆核心のアプローチ
当日、全員寝不足状態で道の駅を出発し、美濃戸へ向かうも…
カーブに残置されていた車をよけようとして、スタック。
4WD+スタッドレス+チェーンでもなかなか上がれず…(途中でチェーンが破損してタイヤに絡まった?)
あれこれと試みて、なんとか脱出成功。

美濃戸口まで戻り、もう今日の予定はダメになったしってことで
しばしゆっくりしてから再出発。美濃戸まで歩く。
スタックした個所から先は、人のトレースしかなく、車が通った跡はなかった。

歩きだし、しょっぱなから体がダルイ。
赤岳鉱泉まででかなりバテてしまっていた。食材持ちすぎ?

到着した時は鉱泉は人が少なかった。(帰ってきたら混んでた)
テン場でもラッセルが必要で、みんなで掘りまくって整地してテント設営。
北稜までのアプローチを偵察することに。

行者小屋から文三郎尾根に向かう途中で右に逸れ、
そこからラッセルでした。

◆雪崩判断
やっさんとざっぱがトレース作りに行ってくれている間、
わたしとはるさんはショベルコンプレッションテスト。
スノーソーがないと雪柱を切り出すのが大変。。

上には30cmくらいの新雪、その下20cmくらいのところに破断面。
肘10回くらいで破断したけど、ガクッとずれるカンジはなかった。

テストはしたものの…これをどう判断すればいいかが、よくわからない。。
トレース作りから帰ってきたtyakuさんに「BC部としてどう思う?」と聞かれ、答えに詰まる。
BCは始めたばかり、まだコンプレッションテストもほとんどやったことない、初心者な自分。。
正直、雪質的には割と安定しているようにも思える。
でも…先月の雪崩講習を受けた時の「雪崩が起きやすい条件」を思いだす。

(1)気温が低く、積雪の深さが大きく降雪が多いとき
(2)既にある積雪上に短期間で多量の降雪があったとき
 (1メートル程度以上の積雪があるときに30センチ程度以上の降雪があったときなど)
(3)0度以下の気温が続き、吹雪や強風が伴うとき
(4)雪庇や吹きだまりが斜面にできているとき
などなど。

上記と照らし合わせた時…

(1)(2)(3)が当てはまるように思った。
・寒気が留まっており気温が低い日が続いた。しかも15日はかなり寒かった
・もともと積雪があり、数日前にも降雪あり(12、13日に降った後、15日も)
・15日は24時間で30cm程度降ったのでは?

そして、
そもそも中岳沢は雪崩地形。1月にも雪崩れているし、
これだけの降雪直後に行くのは危険では?とも思った。
「大丈夫!」と言える材料がない。。

「危険だと思います…」と答える。
下山路に中岳沢を使うのがセオリーとは調べており、
文三郎に迂回するのはかなりの労力とも聞いているので、
そんな中、よくわかってない自分が意見するのは勇気がいる。

1つの意見として受け止めてもらい、
その後スタンディングアックスビレイの練習をしてテン場へ戻る。
なんだかんだでいい時間。

◆夕飯
テン場帰還後は軽く飲んで夕飯(すき焼き)を食べ、鉱泉で買ったワインを飲む!
食べて食べて食べまくる。
今回は食材を持ってき過ぎた…
肉は600gと思っていたけど実は700g用意しちゃってました。
みんな「お腹いっぱい!!」と吐きそうになるわけですね。

すき焼きは割下とか卵が必要だから荷物が重くなってしまいますな。ちなみに4kg。
アタック形式とはいえ、アルパインで持ってくる量じゃなかったなーと(バテちゃったし)反省です。

満腹ではるさんが作ってくれたプリンが食べらなかった。翌日にお楽しみに取っておく。

◆北陵
翌朝、一番乗りを目指してヘッデン出発。
メンズ2人がつけてくれたトレースをたどってアプローチ。本当にありがたい。ありがとうございます。
雪壁では怖いところもあった。
ちゃんと踏み固めないで足元に体重をかけると雪が崩れてズリ落ちる。
一歩一歩、しっかり足場を作って、ピッケルをがっちり刺して登る。

1P目、
やっさんがサラッと登って行ったけど、
自分がフォローで登る番になり、一段上がったところで「あれ?これどうやって登るんだ?」とアタフタ。
素手ならガバなんだろうけど、グローブしてると全然ガバに思えない。。
それどころかグローブが余計に滑りそうで、体を引き上げるのが怖い。
素敵なガバっぽい突起が見えるけど、届かないし。うーんうーん。
後続のざっぱが準備のために移動してきたので、登るラインを教えてもらう。
もう無理やり登った。膝つかったり股つかったり。だって足上がらないんだもん!!
最初がいちばん難儀した。その後は問題なく登る。
1P目終了点へ。やっさんが寒そう。時間がかかって申し訳ない。

2P目、
リードするか聞かれて、
昨日練習したスタンディングアックスビレイを実践したい気はしたけど
どこまで行けばいいかわからないし、
さっき1P目で難儀したことでちょっと心にヒビが入っていたので、辞退。
でも快適に登れたので、リードすればよかったかなと思った。
いやでも、やっぱり終了点がわからずそのままずっと登っちゃった気もする。。

しかし2P目終了地点のナイフリッジを楽しみにしていたのに
実際はほんのちょこっとの距離しかなくてガックリ。。
両端が切れ落ちてて「うひー」と怖がりながら歩くのを楽しみにしていたのだけど…

ただ、2P目はルートを間違えていたみたい。
1段上がってバンド?に出た後、直登するのが正しいルートらしいのだけど
右に巻く快適なルートがあったのでそっちに行ってしまった。
雪壁?にピッケルがしっかり刺さるので何の問題もなかったけど
「雪が固かったり、凍ってたりしてピッケルが刺さらなかったらどうするの?」と聞かれ、
それだと確かに登れないなぁ、、と思った。
ちゃんとアンカーが直登ルート沿いにあったのだけど、軽く疑問に思っただけで
ルートが違うとは思わなかった。。
よく見て、考えないとダメですね。

後続のはるさんが登ってくる。リードしてる!さすが。

フォローのざっぱが登ってくる間、やっさんが下降の準備を始める。
中岳沢は雪崩の危険あり、文三郎を迂回するにしても、阿弥陀→中岳がトレースもなく、なかなかキツそう。
ということで同ルート下降になりました。

灌木とスリングが埋まっていたのでそれを掘り出して懸垂支点に。
でも強度を信用できなかったので、ロープはバックアップにしてクライムダウンで下りる。

2P下りて、そこからはロープは使わずに普通に下りる。
雪壁のクライムダウンが結構怖かった…。
雪面が固くても怖いし、緩くてもズルズル落ちて怖い。要するに急斜面は怖い!!
ずっと両手両足使って必死に下りてると、ちょっと勾配がゆるくなっても気づけなかった。
前を行くやっさんに「どんだけ慎重なんだよ!」と突っ込まれ、
「あれ、もう普通に立てるじゃん」と気づいたり。

緊張してると色んなことに気づけないなぁ。
お腹空いてることにも気づかないしなぁ。

ちなみに今回、変だなーと思う登山者数人に出会った。
最初は中岳沢に向かう途中ですれ違った登山者。「どちらから?」の質問に答えナシ。
同じ場所で我々を追い越して行ったもう1人の登山者は、
沢沿いをラッセルで進むのかと思いきや戻ってきたり、
尾根に上がる我々のトレースを追ってくるんだけど
どこへ向かうのか問いかけても一切返事ナシ。聞こえてないの?無視してんの?
ちなみに、どう見てもバリエーションの格好ではない。。

一度、近距離で大声で問いかけたら、くるっと振り返って戻って行った。何も言わず。
何なんだろう?と思ったけど、戻って行ったのでもういいやと自分は進む。
しかし樹林帯抜けて後ろを見たら、だいぶ後ろにまたさっきの登山者が!!
不審すぎる。さっき戻って行ったのは何だったの??
よくわからないけど、距離もあるし放っておく。。

山で声をかけあうのは、遭難した時の目撃情報になるから(?)って聞いたことあるけど、
ホントにそんなことになったらイヤだなぁ。。
ていうか、もしルートがわからないとか間違えたんだったら、聞けばいいのに。と思った。


鉱泉に戻り、テント撤収してカレーを食べ、下山。

何故か走って下りていくリーダー。
基本小走り。たまに本走り。
えっと、なんなのあの人?なんで走ってんの??○゛○なの??

こちとら緊張のバリエーションを終えてヘロヘロになってるのに!!
ぶっ飛ばしていくリーダーを必死に追って、美濃戸口に着く頃にはぬけがら状態。。
帰りの車で爆睡しても、珍しく怒られなかった。

南稜と北稜どっちが好き?と聞かれ、
うーん、登攀苦手だし怖いけど、高度感があるから北稜かな、と思った。

次はリードできるようになって、また来たい。

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コメント

もしかして!?
幽霊みたんじゃない!?
2013/2/24 16:21
ユーレイ
ハルさんとヒロシはある意味
ユーレイ的な抜けがらになってました。
2013/2/26 1:23
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積雪期ピークハント/縦走 八ヶ岳・蓼科 [2日]
技術レベル
3/5
体力レベル
4/5
無雪期ピークハント/縦走 八ヶ岳・蓼科 [2日]
技術レベル
3/5
体力レベル
4/5

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