【第二次鳳凰周回(共同山行編)】ドンドコ沢〜地蔵岳〜観音岳〜薬師岳〜中道【甲54.2】
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- GPS
- 09:59
- 距離
- 19.7km
- 登り
- 2,669m
- 下り
- 2,673m
コースタイム
- 山行
- 8:12
- 休憩
- 1:47
- 合計
- 9:59
天候 | 晴れ後曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
2500m超級の山なので、それなりに急登はある。 稜線の砂礫歩きは長々と歩いてきた脚には応える。 中道は道が荒れ気味。土砂が流れて段差が大きい。 |
その他周辺情報 | 青木鉱泉の日帰り入浴1000円 |
写真
感想
6月13日は晴れるとの予報に接し、梅雨の中休みは有効活用せねばと、ヒロシ氏を誘って鳳凰三山へ。当初は稜線の風速が強いとの予測もあったので、金峰山にしようかとも考えたのだが、風速予測が落ち着き、満を持して中央道を西進する。
以前、山行当日の5時頃に到着した時には駐車場が一杯で入車に難儀したものだが、さすがに早く来れば駐車も楽勝だ。満天の星空の下、就寝準備をする。おい、テン泊している連中、うるさいぞ!
寝ている間にも駐車場に車はポツポツと来、また、日の出前から出発するのかチリンチリンと熊鈴の音がいくつか聞こえた。4時過ぎに起床した時には駐車スペースはほぼ埋まった状態。既に周囲は明るく、青木鉱泉をドンドコ沢へ向け出発。麓は若干白んで湿気が多いように感じたが、目指す西側の稜線上空は青空。本山行の成功を確信する。
【ドンドコ沢】
ドンドコ沢といっても最初から沢沿いというわけではなく、沢音を聞きながらも樹林帯の中、傾斜を強めながら上っていく。小さい沢をいくつか渡ってから、南精進ヶ滝、鳳凰滝、白糸滝、五色滝と大きく見ごたえのある滝が続く。特に、最初の南精進ヶ滝は開けた所から滝全体を見渡すことができ、最後の五色の滝は、まさに五色、滝の上げる水飛沫で常時虹がかかる。真下まで接近できるのも高ポイントだ。
これらの滝は登山道本線からは外れているので毎度分岐から滝に下っていくのだが、滝に寄る都度、他の山行者と抜きつ抜かれつが続く。お互い、苦笑い。こんなに綺麗な滝群を見ないというのももったいない気がするが、山行の目的は人それぞれである。確かに、滝に寄ることで地蔵岳山頂まで30分ほど多めにかかったのではないかと思う。ま、たかだか30分だけれども。
滝を過ぎて暫くは沢から離れるが、再度沢に近接すると一気に視界が開けて眼前に地蔵岳のオベリスクを見ることができる。ここまで来れば鳳凰小屋は近い。
鳳凰小屋の水場で咽喉を潤し、残り1kmの地蔵岳へ。しかし、地蔵岳は近くない。標高差はなお400mあり、急登に次ぐ急登。そして地蔵岳直下の砂礫と化した斜面の急登。砂浜のような斜面。一歩踏み出すと砂が崩れて数センチ下がる。まさに砂をかむような思いをしつつ、ようやく青空の地蔵岳に到達。
【地蔵岳〜オベリスク体験記〜】
地蔵岳に到着して早速オベリスクへ向かう。向かう途上、周囲に雲が増えつつあるのを感ずる。東側だけでなく西側もだ。オベリスク頭頂部の肩まで来て、一旦、このくらいにしておこうか考える。しかし、特に葛藤が生じたわけでもなく、そのまま、例のロープが垂れ下がっている岩の狭間の手前まで進み、岩に足を引っ掛けられる所があるか、ロープに手が届くか、慎重に見渡す。とりあえず、右側手前に足を乗せられる所があるので意を決して一歩踏み出し、ロープに手を伸ばす。と、手が届いた。ロープの確度を確かめるため、強めに引っ張る。うん、大丈夫だ。今度は岩壁を見る。よく見れば左側はともかく、右側には小さいながらも一定の間隔でつま先を引っ掛けられる所がある。
ここで特段「よし上るぞ!」などと改めて思うわけでもなく、ただ上った。「そこに山があるから」と言った人がいたが、まさしく眼の前に(可能かどうかはともかく)上るところがある。ただそれだけだ。
そして、頭頂部に手をかける。頭頂部は二つに分かれており、手をかけたのはその鞍部だった。上半身を岩上に乗せながら、再度、これでもう降りようかという考えが頭を過ぎる。心臓がバクバクしているのは標高のためだけではなかろう。しかし、息を深く吐いた次の瞬間にはもう一つ身を乗り出して完全にオベリスク上に乗った。
オベリスクに乗ったものの岩上には特段何も無く、また岩に上っている間に辺りは雲が覆い、真っ白に。連れを待たせていることもあり、早々に降りることとする。なお、下りが上り以上に慎重さを要することは言うまでもない。
補足:
・岩はざらついており、素手は厳しい。
・頭頂部岩の狭間の手前まで来るのも一苦労。ここまでで難儀するような人はトライしたらダメだろう。
・上り方の詳細は我流ということもあり敢えて書かないが、ロープの使い方が肝心だ。
・上る時には、果たして自分は降りられるかということも合わせて考えるべき。
・正直なところ、私がオベリスクに登頂できたのは二人連れで気が大きくなっていたためだろう。
【観音岳】
オベリスクから無事生還したが、結構体力的、精神的に消耗してしまった。おかげで観音岳への上りがきつくて仕方がない。足場も引き続き砂浜のような箇所が多く、時々休んで西側からの冷たい風でクールダウンを図る。ようやく観音岳に到達した時はヘロヘロ。座り込んで朝食用のおにぎりをモソモソ口にする。それにしても辺りの雲はさらに濃くなったようだ。最初見えた赤抜沢ノ頭や薬師岳さえも見えなくなった。
そんな中、観音岳で一瞬陽が当たったのだが、太陽が出ると尋常でなく熱い。暑いではなく、熱い、ヤバイ、間違いない。ジリジリする。
今思えば、「お前さあ、雲が出たの雲が晴れないのと言うけどよお。俺が本気出したらこのくらい熱いんだぜ。そんな中歩き続けたいの?ああん?」という天からの忠告だったのかもしれない。この熱さにはお手上げだ。
【薬師岳】
鳳凰三山の最高峰、観音岳で十分な休憩をとり、距離も短いということもあって薬師岳への行程は比較的楽なものとなった。しかし、薬師岳でも雲は増える一方だ。仕方がないので薬師岳小屋で時間を潰すこととする。山小屋の人の話を聞いたところでは、気温が高いと、この時間には雲が出てきてしまうとのことである。となると、真夏の山では7〜8時頃には稜線に到達しないといけない。さすれば、山小屋に泊まるのでなければ、より早く出発するか、気温の下がる秋を待つかということになる。どちらを選ぶかは状況次第だろう。
山小屋でココアをいただき薬師岳に戻るも相変わらず真っ白な世界。それも岩と砂礫の世界では映えて幻想的な感を与えるので、それはそれで良いものだが。
進行状況、天候、連れの疲労具合を総合的に判断して中道から下ることとする。
【中道】
岩と砂礫の世界は、すぐに土砂が流れて抉れた、大段差の急傾斜下りとなる。岩や木の根がむきだしになった道を全身を使って下る。御座石を過ぎ、笹の生茂る頃になると、ようやく道は落ち着き、後は特段危険な箇所は無い。ただ、笹に隠れた木の根等による躓きには要注意だ。その笹原で鹿が一頭飛び出してきた。我々から距離をとり、時折耳を動かしながら辺りを見回している。さっさと逃げないのは特段の脅威とは考えられていないためだろう。「通らしてもらいます」と挨拶し、連れのヒロシ氏と野生動物に出会えて良かったねと感想を述べ合いながら下山する。
【総括】
かくして山行は無事完了。ドンドコ沢の滝群は相変わらず素敵だ。ドンドコ沢なら地蔵岳ピストンでも十分満足できる。また、オベリスクの頂に初めて立てたということも大きな成果である。
稜線からの大展望は得られなかったものの、高山で雲が生ずる状況や真夏の稜線での陽射しの程度について確認・再認識でき、収穫の多い山行となった。
これら教訓を元に今夏の山行計画、そして、次なる鳳凰三山大周回の検討を進めたい。
〜おしまい〜
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