槍穂縦走【上高地〜槍ヶ岳〜大キレット〜北穂高岳】ソロテント泊
- GPS
- 56:00
- 距離
- 40.7km
- 登り
- 2,483m
- 下り
- 2,477m
コースタイム
- 山行
- 8:40
- 休憩
- 2:20
- 合計
- 11:00
- 山行
- 7:35
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 8:35
天候 | ずっと晴れ! |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
行き新宿発 22:30 上高地着 5:30 帰り上高地発 15:00 新宿着 17:50(渋滞により10分遅れ) |
コース状況/ 危険箇所等 |
<上高地〜槍ヶ岳山荘> とにかく遠かった。槍ヶ岳の穂先が見えるまでが長く,見えてからは登りがキツい。雪渓は緩んで歩き辛いもののアイゼンは不要。 <槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳山頂> 団体さんも多いので落石に注意して登った。ヘルメット着用率は高いです。 混雑時は長い行列が出来ていた。 <槍ヶ岳山荘〜南岳山荘> 北アルプスのど真ん中を歩く,本行程で一番気持ちの良い区間。 <南岳山荘〜北穂高岳山荘> ずっと危険個所。 最後の北穂への登りの部分はザレている部分が多く,落石に注意が必要です。 ヘルメットはほぼ全員着用していました。 <北穂高岳山荘〜涸沢ヒュッテ> 北穂版ザイテングラート。疲れた体に堪える下りでした。 |
写真
感想
初めて北アルプス常念岳に登った時,いつかあの頂へ・・・と憧れた槍ヶ岳。昨年の八峰キレット越えのスリルと達成感をまた味わいたいとの思いから,今回は更にそこから,穂高へ続く急峻な大キレットにも挑むことにしました。
しかし大キレットは長野県が昨年から公表しているグレーディングで最難関のE9(ただし北穂→槍ルート)。しかもテン泊装備で長い行動時間と悪条件が揃います。したがって今回特に入念に準備を行いました。
【体力強化】
22塋の水のペットボトルをザックに詰めて,近所のランニングコースでウォーキング。6月〜7月の夜の道を背中に大きな荷物を背負ってハァハァ言いながら怪しく歩いていたのは私です。
【軽量化】
・最大の軽量化「酒を持たない」・・・(250mlのワインしか(笑))
・軽アイゼン,ゲイターも持たない。
・一眼レフを諦め,オリンパスTG−860がデビュー。21ミリの超広角に期待です。
・昼食は無しにして,行動食でカロリーを補う。
あとはダイナアクションパーカー→トレントフライヤーとしたかったけどこれは予算上無理。
最終的に総重量18埃紂それほど劇的に軽くなった訳ではありませんが,体力強化訓練で背負っていた22圓鉾罎戮襪箸泙襪如崚兄箸留根」の軽さです。
【行動食】
1日目,2日目の予定行動時間はそれぞれ9〜10時間。昼食を抜くので高カロリーで軽量なものを大量に用意。
・ドライフルーツ(マンゴー,パイナップル)→やはり食べ慣れていてこれが一番
・ソフトクッキー→ヤマケイで上位にランクインだったが喉の通りが悪く,失敗。
・ウィダーインゼリー→重いのが難点。味,カロリー,飲みやすさは満足。
・柿ピー→結局行動中は食べず,帰りのバスでつまみに。
<1日目>
深夜バスで上高地に到着。天気は上々で気分は最高潮です。
上高地から横尾まではご存知のとおり長〜いウォーミングアップ。ウォーキングの成果か気持ちよく歩けました。横尾からは初めてとなる直進する槍沢ルート。少しずつ登りが厳しくなってきます。それにしても気温が高い。雪渓はアイゼンは不要ですが雪がグズグズで歩きにくかったです。目指す槍はまだ見えないし登りはキツくて,天使の羽根はどこへやら横尾までの平地がスイスイ進めたのがウソのようにザックの重さが堪えました。上高地から7時間も歩いてようやく槍の穂先にお目にかかれましたが,それでもまだまだキツイ時間が続きます。
さて,私の計画では殺生ヒュッテへの到着の時間(と疲れ具合)によって,初日のテン場を殺生ヒュッテにするか,もう少し頑張って槍ヶ岳山荘のテン場まで登るのか決めようと考えていました。というのも槍ヶ岳山荘のテン場は30張限定で,混雑時には午前中に到着しないと空きがなくなってしまうからです。翌朝早く大キレット方面へ進むことを考えるとなるべく上に上がっていたいという気持ちと,せっかく重いザックをかついでもテン場が埋まってしまっていた場合に殺生ヒュッテまで下りかえすリスクを考えてだいぶ悩みました。
結局殺生ヒュッテへの到着が14時前と予想以上に早く到着できたことと,まだ誰も(上で張るのを諦めて)殺生ヒュッテへ下りてくる人がいないようだったことから頑張ってみることにしました。ここからの40分がここまでで一番苦しい時間帯でしたが,結果的にはこれが正解で,残り7〜8張というところで間に合うことができました(最後は16時位に埋まったようでした。)。
テントを張って槍ヶ岳山頂へ。団体のツアーで若干渋滞しましたが,それほど待たされずに山頂に到着。ここの登りも穂高岳山荘〜奥穂高岳への登りよりは登りやすかったと思います。
槍ヶ岳山頂からの景色は最高の一言。北アルプスで初めて登った常念岳もよく見えました。きっと向こうからもこっちを見ていて,私と同じようにいつか槍ヶ岳へ行きたいと思っている人がいるんだろうなぁ。
明日の好天を祈って早めに寝ることにします。気温は思いのほか高く,ダウンハガー3は体にかけるだけでした。
しかしここで残念なことに,テン場で9時を過ぎても宴会をしているグループがいて,なかなか寝付くことができませんでした。
<2日目>
それでも予定より少しだけ遅れて3時45分に起床。朝食と撤収をして5時15分出発となりました。
この日,少しでも雨が降れば大キレットは諦めようと思っていましたが,絶好の登山日和。今日は南岳まで3時間,大キレットを越えて北穂高岳まで3時間,ここでまた体力があれば涸沢まで2時間というザックリとした予定です。
南岳への稜線歩きはこれぞ北アルプス!という気持ちのいいものでした。昨日の疲労はしっかり残っており,大喰岳,中岳への登りもガクッとペースが落ちましたが,左手にはずっと常念山脈,右手に薬師岳と最高の稜線歩きを楽しみ,南岳小屋には2時間ほどで到着しました。休憩してエネルギーを補充,ストックをしまい,いよいよ大キレットに挑みます。
大キレットは槍〜北穂ルートの方が難易度が低いとは言うものの,それは北穂からの下りが最難関という意味であり,南岳山荘からの下りも決して楽ではありませんでした。三点支持を意識して後ろ向きで降りる場面もありました。
難所で知られる長谷川ピーク,飛騨泣き付近は鎖場やボルト,足場をしっかり作ってくれているのがとても助かりました。慎重に慎重を重ね,ゆっくり時間をかけて通過することを心がけます。特に高所恐怖症ではない私ですが,やはりスッパリ落ちた長谷川ピークや飛騨泣きを越える箇所では足がすくみました。
A沢のコルで北穂への急登に向けて最後の休憩。でもここは上から石が落ちてくるので注意が必要です。
難所は越えましたが,ここからの急な登りは腕力,脚力勝負です。また足場はザレて石が落ちやすいので自分も石を落とさないよう細心の注意を払います。ここを下りてくるのは相当大変だと思いました。
こうしてそびえたつ登りのゴールである北穂高岳山荘に到着。テラスからは素晴らしい大パノラマを楽しむことができました。
テラスでラーメンを食べて,この時点でほぼ予定通りの11時過ぎ。体力的にはキツいのですが時間にはまだ余裕があるし,今日涸沢まで下りれば明日が楽チンです(明後日は仕事だし…)。
北穂からの下りは難所とされていないようですが,ザイテングラートと大差ないと思います。テン泊装備の重いザック(天使の羽根はどこへ?)にここまでの疲労で足が言うことを聞かず,ペースは大幅にダウン。涸沢のテン場は見えていますがなかなか近づいて来ません。足が辛くてストックを使いましたが,ストックが邪魔になるような長い鎖場もあり,難儀しました。コースタイム1時間20分のところ,2時間20分かかりました。
涸沢のテン場は広く雪が残っていて,ヒュッテに近い雪の上に張る人と,ヒュッテから遠くなる雪のない場所に張る人がいました。今回は足が疲れてもうそんなに歩きたくなかったので受付でスノコを借りて雪上に設営しましたが,若干テントの床が結露してしまいました。
テント設営後は,お楽しみのテラスで生ビールとおでんのセット。いつまでも飽きずに山を見上げていました。
夕食時,テラスで同じテーブルになった男女のお二人連れとご一緒させていただきました。男性のM氏は偶然にも私と同じさわやか信州号で来ていて帰りも一緒になるとのこと。腕を振るって美味しそうな料理を作っていました。女性は何と九州から新幹線と高速バスを乗り継いでお越しになったとのことでした。お酒もおつまみもご馳走になってしまいましたが,とても楽しいひとときを過ごさせて頂きました。
<3日目>
帰りは午後3時のバスなので,のんびり撤収して出発です。
横尾からの長い歩きは相変わらず苦痛で,わずかなアップダウンにこれまで酷使してきたふくらはぎと足首が悲鳴を上げました。
徳沢ではアイスクリーム,明神では嘉門次小屋のイワナでビールと頑張った自分へご褒美。上高地アルペンホテルで立ち寄り温泉に浸かって帰りました。お風呂の後お土産コーナーでうろうろしていると涸沢でご一緒したお二人に再会。何ともご縁があります。M氏とは最後にバスを待ちながらビールで乾杯。新宿でもご挨拶しましたが,またどこかの山でご一緒したいものです。
こうして槍ヶ岳と大キレットへの挑戦は終了し,無事帰宅することができました。
それにしてもこの行程,やはり相当ハードでした。上高地から槍ヶ岳山荘までの長い登り,大キレットでの難所越え,北穂への厳しい登り,北穂から涸沢への下りはテン泊装備の重いザックを背負って臨むには相当な体力が必要で,今回私はいっぱいいっぱいでした。ヤマレコを見渡しても,同じルートはほとんど山小屋利用者というのも頷けます。
人気の槍ヶ岳と大キレットにテン泊で挑戦するこのプラン。参考になれば幸いです。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
なお,帰宅後,3日の朝に72歳の男性がザイテングラート付近で滑落し亡くなられたとの報道に接しました。心よりご冥福をお祈りいたします。
お天気に恵まれて、充実した3日間でしたね。
体力作りと荷物の軽量化、事前の入念な準備は流石です。酒を持たないとは英断でした。
娘さんからの御守りは嬉しいですね。
今回のレコは再来週の参考にさせて頂きます。
後立山縦走も気をつけて行って来て下さい。
ありがとうございました。天気を始め,とても幸運でした。
出来ればご一緒したかったです。
再来週は私より更に長い表銀座からの縦走,くれぐれもお気をつけて。
シルバーウィークも楽しみですね!
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