快晴の重太郎新道から奥穂ー北穂
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- GPS
- 18:34
- 距離
- 30.8km
- 登り
- 2,644m
- 下り
- 2,641m
コースタイム
- 山行
- 7:21
- 休憩
- 1:49
- 合計
- 9:10
- 山行
- 8:20
- 休憩
- 1:04
- 合計
- 9:24
天候 | 両日快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
■復路:上高地から松本行バス・電車 |
コース状況/ 危険箇所等 |
上高地BT〜明神の左岸(南岸)コースは集中豪雨の土砂崩れでいまだ通行止めです(8月2日)。 |
その他周辺情報 | 松本駅前通りを東へ真っすぐ800mの所に銭湯・菊の湯があります。入湯500円、石鹸・シャンプー・コンディショナーセット50円(容器を返す)。古い銭湯をリノベしたそうで2階に畳の休憩室も。山で温泉入り損ねた時に助かります。水曜定休。 |
写真
装備
個人装備 |
コンパス
水筒
食料
レインウェア
傘
着替え
防寒着
ヘッドランプ
ストック
保険証
ティッシュ
タオル
計画書
時計
携帯電話
カメラ
筆記具
緊急保温シート
ガイド地図
ツェルト
応急医薬品
GPS
予備電池
非常食
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感想
夜行バス毎日あるぺん号は、昨年の白馬に続く2度目の利用。7月31日宵の口の都内の豪雨で鉄道が乱れて焦ったが、無事に出発に間に合った。トータル3時間程度寝て5時過ぎに上高地到着。平日というのに夜行バスが次々と到着してハイカーが降り立った。
【1日】
ベンチで朝食を採って出発。標高1500mの高地というのに暖かい。いつも夏の終わりにしか来ていないが、それにしても早朝から登山シャツ1枚で平気というのは気温が高過ぎないか。前夜の都内の豪雨といい、この温暖化の進行はどうかしている。
自然探勝路から岳沢登山道の登りに入ると、じっとり汗ばんできた。森の中は風もないからきつい。ゆっくり歩いて行くと、さらに遅い初老の女性に追いついた。聞けば、奥穂を越えて涸沢で泊まる計画という。このペースで?と不安に思い、穂高岳山荘にお願いして泊めてもらったらとお勧めした。
徐々に木々が低くなり、振り向くと上高地が見渡せた。頭上の岩稜も近づいてくる。景色は大変すばらしいのだが、どうにも歩みが進まない。好酸球性肺炎で肺の機能が落ちているところに寝不足が響いたのか、標高2500m前後で早くも酸欠状態が強くなってきた。かすかにふらつくような気もする。高度障害か?
岳沢小屋でトイレ休憩し、気を取り直して再出発。時間はたっぷり見てあるので、休み休み息継ぎしながら登れば良い。2,30m登っては深呼吸ということを繰り返しつつ、梯子や鎖、岩場も現れた重太郎新道を着実に踏破。気づけば抜かれるより抜くハイカーの数の方が多くなっていた。息が切れるのは当方ばかりではないと知って安心した。
韓国人登山ツアーの一行とすれ違い、4時間半をかけて紀美子平到着。まだ10時半にもならないので、前穂に寄って行くことにした。3000mを超すと気圧は平地の70%前後。いよいよ息が苦しくなるが、リュックを置いて空身なら大丈夫だろうと考えた。
やはりきつかった。そもそも岩場の難易度が高い。ただ、そのご褒美となる頂上の絶景は一見に値する。当方は14年ぶり2度目の登頂で、その間に踏破した周囲の峰々を一望できる幸せをかみしめた。もっとも、下りの岩場にはさらに難儀したが。
紀美子平でパンの昼食を採っていると、そばでイワヒバリが良い声で鳴きだした。さらに、じりじりと近づいて来る。試しにこぼしたパンくずを1mほど先に投げてみると、得たりとばかりついばんだ。登山者のおこぼれを貰うことを学習したのだろう。お礼のつもりか、もう一度鳴き声を披露して去って行った。
最初に紀美子平に着いて2時間後、少し雲が湧き始めた奥穂へと出発。わずかな登りでも息が上がるが、足の疲労はまだ許容範囲だ。ほぼ岳沢側を伝う吊尾根のルートだが、たまに反対側の涸沢カールも見える。ふと後ろを見ると前穂への稜線が湧きたつ雲に隠れようとしていた。これはこれで迫力ある山岳風景だ。
じわじわと標高を稼いで、やっと祠のある奥穂山頂に辿り着いた。肩で息をしながらリュックを置き、まず一番高い祠の脇へ登り賽銭を入れて一息ついた。山荘側からもピークを踏む人がやって来るが、込み合うほどではない。ジャンダルムが雲の中から姿を現し、幻想的なシルエットが美しかった。
そろそろ足も疲れてきたので、さっさと穂高岳山荘へ向かう。山荘直上のハシゴで慣れない若者が難渋していたので先に通してもらい、なんとか3時前に投宿した。部屋は1階かもしか。昔は雑魚寝だった大部屋も、寝台特急サンライズののびのび座席風(分かるか?)に頭寄りの左右半分を衝立で仕切るか、上下2段構造部はカーテンで仕切ってある。酎ハイをあおって夕食前に快適にひと眠りした。
食後は周囲につられて笠ヶ岳に沈む夕日を見物。奥穂山頂付近で一瞬雲が湧いたが、今日はほぼ終日好天に恵まれてアルプスの絶景を楽しめたのが嬉しい。
【2日】
4時半に目が覚めた。同室者は一人を除いてとっくに起床した様子。朝日を拝もうとライトダウンで武装してカメラ片手に外へ出たが、ちっとも寒くない。盛夏はこういうものなのか、最近のキチガイ陽気のせいなのか。常念岳の肩から登る太陽を無事お迎えして、ちょうど時間となった5時の朝食の列についた。
早食いだけは昔と変わらず、ほぼ1番手で食事を終えて支度を整え、5時半過ぎには玄関へ。出発前、ふと思い出して小屋番さんに「2説ある」山荘の標高を尋ねた。答えは「長らく2996mと言ってましたが、最近の2983m説が正しいようです」だった。
まずはテント場をかすめて涸沢岳へ登る。例によって薄い空気?に息が上がるが、心なしか昨日よりマシな気がする。一晩で多少は高度順化されるのだろうか。とはいえ、ちょっとでも楽をしようと涸沢岳頂上はパスして”垂直降下”の鎖場に直行。少し緊張するが、ステップ、ホールドは豊富で先行者、対向者もいないので気は楽だ。下りだから息も上がらず、その後の鎖のトラバースを含めて労せずD沢のコル(と思う)まで10分少々で到着した。
先行者1人を追い抜き、北穂からの対向者とすれ違う。結構通る人はいるようだ。最初の登り返しの涸沢槍でピークへの踏み跡をルートと勘違いしたが、誰が見てもその先へは行けないので20m引き返してルートへ復帰。小さなピークを二つほど越えて最低コルに着いた。この稜線は高度感では大キレットに劣るとしても、両腕を使う登攀区間はむしろ多いかもしれない。先達がいたとはいえ、12年前に小雨とガスの中をよく逆コースで踏破したものだと思う。
さらに2人を追い抜き、奥壁バンドを渡って登り返しの区間に入る。極力脚で体重を支えるようにしているが、腕が疲れてきた。涸沢岳から1時間半、軽く休憩して振り返ると、カールと前穂越しに富士山と南アルプスのシルエットがくっきり。ちょうどすれ違った夫婦に声を掛けると台湾の方で、怪しげな英語で好天に恵まれた幸運を伝え、絶景を称え合った(つもりになった)。
北穂南峰で今山行で初めてザイルを持つ男女3人に会った。今日はここから滝谷へ下るとのこと。こちらは50mほど先の本当の南峰ピークを表敬し、先行者の男性に北峰へは尾根伝いで直行できないことを確認して一休み。やおら涸沢岳でしまったストックを伸ばして歩き始めることしばし、先ゴムが取れていることに気づいた。振り向いてみたが、岩の隙間にはまったであろうゴムが見つかるはずはない。仕方なくそのまま下って行くとテント場があり、先ほどの男性の姿も遠くに見える。
分岐までずいぶん下るんだな、と気になったのはテント場が尽きる辺り。ヤマレコのルート逸脱警告がないので油断したが、下山で通るルートには違いないから警告がないのは当たり前なのだった。ハッとしてアプリの地図を見ると、標高差70mほど行き過ぎてしまっていた。
仕方なく登り返し、好天の真昼間に立派な道標を見落とすバカさ加減を反省しながら、北穂北峰を踏んだ。大キレットから槍ヶ岳への絶景を再び楽しみ、北穂小屋でバッジも買って下山前の準備を整える。想定外の道間違いでロスしたが、予定より早立ちした分、計画書より若干は早めに歩いている。
先ゴムのないストックを慎重に操りながら岩場の多い急坂を下る。若い男性2人組に抜かれた以外は終始、ほかの人を追い越すペースで下りているのだが、計画時の設定タイムより若干遅れがちだ。そのつもりはないのだが、当方は登りに比べて下りは遅めになるらしい。
南陵ハシゴ場の下にあるスラブ岩の鎖場だけは、力任せに鎖に頼って通過。その先は徐々に勾配が緩んで楽になってきたが、気づくとストックの傘(バスケット)まで岩に持って行かれてしまった。ついていないと呟きながら涸沢小屋に予定よりやや遅れて到着し、早昼のカレーライスを注文した。
まあ、30分以内の遅れなら所定のバスに乗れるし、その後でも大丈夫なのだが、大方の人より早く歩いているのに予定より遅れがちとなるのが気に入らない。ここからは一般登山道なので、飛び石歩きで容赦なくスピードを上げてみた。脚は大丈夫だが、暑いのがつらい。
Sガレを過ぎ、登りの登山者と次々すれ違い、先行者は全て追い抜いて本谷橋で小休止。そんな調子で横尾でようやく予定時間に追いついた。上高地へ向かう木陰の多い道は梓川沿いの川風がかすかに届くので助かる。涸沢小屋で汲んだ水が尽きたので、徳澤園で500侫撻奪箸凌紊鮃愼。猿の一家とすれ違ったりしながら、ほぼ通勤歩行のペースで順調に明神に着いたのだが、ここで何と左岸(南岸)のメインルートが土砂崩れ通行止めだと知った。
事前のリサーチ不足という完全なミスだ。誰を恨むわけにもいかず、とにかく迂回路の自然探勝路を急ぐことにした。この暑さだし、予定通り沢渡温泉に寄ってから帰りたいので、3時台のバスには是非乗りたい。というわけで、さらにギアアップして観光客、登山者の別なく追い抜きながらバスターミナルを目指した。
河童橋が近づくと人が増えて追い抜くどころではなくなったが、バスには十分間に合うので一安心。速度を落としたのだが、周りの観光客が逆にペースアップしてバスターミナルの長い列に付いていく。いぶかりながらバスのチケット売り場で聞くと、それが沢渡駐車場へのバス待ちの列とのこと。茫然としつつ、いったん列に付いてはみたものの、いつ乗れるか分からないし、沢渡からバスに乗れるかも心配だ。チケット売り場で沢渡行きを松本行きに変えてもらい、売店の裏で汗でぬれた登山シャツだけは着替えて上高地を後にした。
このまま山の垢と汗を東京へ持ち帰るのはごめんなので、車中で調べた松本駅近くの銭湯・菊の湯に寄ることにした。シャンプーと石鹸は50円で「貸し出す」システムで、計550円でさっぱりすることができた。駅から10分もかからないが、また汗をかきたくないので帰りは近くのバス停からバスで駅へ戻った。
明神からの通行止めといい、バスの混雑といい、いずれもネットで調べればすぐ分かるリサーチを怠った油断が原因。えらい目に遭ったが、自己責任ということで反省を次に生かすしかない。それにしても、夏休みとはいえ平日にあのバスの混雑には驚いた。
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