釈迦ヶ岳〜八経ヶ岳
- GPS
- 15:01
- 距離
- 26.1km
- 登り
- 1,754m
- 下り
- 1,763m
コースタイム
- 山行
- 4:04
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 4:29
- 山行
- 9:45
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 10:30
天候 | 一日目;曇り 二日目;晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
お盆期間、13日の火曜日に休暇を取得していたので、久しぶりに家内と泊りがけで大峰への山行に出かけることにする。今年の連休に吉野から八経ヶ岳、釈迦ヶ岳を経て持経の宿まで縦走したところではあるが、釈迦ヶ岳と八経ヶ岳の区間は奥駈道の中でも最も魅力的な区間と思われるが、まだ家内は訪れたことがない。連日、暑い日々が続くが、釈迦ヶ岳の太尾登山口は標高が1300mあり、行程のほとんどが1600m前後を歩くことになるので、暑さを免れることが期待できるというものだ。
京都の自宅を出発したのは9時半になったが、奈良ではR24が数カ所で渋滞しており、途中でランチ休憩をとったこともあり登山口には14時過ぎに到着する。登山口から歩き始めるとやはり樹林の中はそれなりに涼しい。早速にもブナの大樹が出迎えてくれる。
P1468で釈迦ヶ岳から南東に伸びるなだらかな稜線に合流すると、広い稜線には草地が広がり、正面には釈迦ヶ岳、右手には奥駈道に連なる稜線が視界に飛び込んでくる。釈迦ヶ岳の山頂は雲の下であるが、上空には低いところに雲が広がっている。雲のせいで稜線を照りつける太陽の日差しが遮られているのは有難い。四方に広がるパノラマを堪能しながら、疎に樹々が点在する広々とした稜線を進む。
古田の森を過ぎると西側の斜面には鹿の大群がいることに気が付く。背中の斑ら模様が目立つものが多く仔鹿が多いのだろう。こちらに気がついている筈ではあるが、逃げる気配はない。登山者に慣れているのだろう。
釈迦ヶ岳に向かうとその山頂部にわずかに雲がかかり始める。山頂に到着する頃には山頂は雲に包まれていることだろう。標高が上がるにつれてますます気温が低くなっていくのが感じられる。
釈迦ヶ岳山頂手前の千丈平に差し掛かると、まもなく尾根の右手にかくし水の水場が現れる。どうしてこのような高所で水が沸いているのだろうかと不思議に思うほどんに、滾々と水が流れている。ここで水を補給する。
釈迦ヶ岳の山頂に到達するとやはり山頂周囲の視界は雲に遮られていた。釈迦ヶ岳から尾根を東に進み、山頂直下の急下降を下ると、しばらくは痩せ尾根が続く。稜線の南東側は濃い霧が立ち込めるが尾根の左手、すなわち北側は視界が晴れており、宇無ノ川の源流域の広々とした谷を挟んで七面山の大瑤噺討个譴訛腓な岩壁が目に入る。その山頂はやはり雲の中であり、雲の高さはおよそ1600mほどなのだろう。
稜線は小刻みなアップダウンが続く。尾根上にはシロヤシオが目立ち、ところどころで既に葉先が紅く色づき初めている。花や紅葉の季節には美しい彩りを見せてくれることだろう。孔雀岳が近づくと道はほぼなだらかになる。尾根はここで北向きに向きを変える。尾根上には美しい林相の樹林が広がるようになる。
孔雀岳のあたりに差しかかかると、すぐに鳥の水と呼ばれる水場がある。地図では渇水期には枯れることがあると書かれていたが、辛うじて細い水が出ていた。ここからは登山道はほとんど尾根の西側の樹林の中をトラバースするようになる。仏生ヶ岳を過ぎて、楊枝の宿への下降に差し掛かると雲の下で西側の空が美しい緋色に染まっていることに気が付く。急速に濃くなりつつある暮色の中、楊枝の宿に到着する。
宿には単独行の男性が居られた。前日は狼平の避難小屋に泊まられてここには午後の2時過ぎには到着されたとのことであった。梯子段を登って二階を使わせて頂くことにした。二階にはマットが二枚用意されていた。まずは鴨や焼豚、ローストビーフなどのオードブルの肉類をつまみにビールで乾杯する。この日は舞茸と豚バラ肉のソテーを調理する。途中のローソンで入手したBlack Shirazの赤ワインも美味であった。食後に一度、小屋の外に出てみると、小雨がパラついていた。翌日の晴天を願いつつ、早々に就寝する。
翌日は4時に起床する。再び小屋の外に出てみると、空は雲ひとつなく晴れており、東の空からはオリオン座が昇ってくるところであった。小屋でコーヒーを淹れ、パンで簡単に朝食を摂っているうちにも東の端は橙色に染まってくる。
朝の4:37分に小屋を出発する。稜線から東に望む大台ヶ原の上で空が一際、明るくなっている。登山道が尾根の西側をトラバースする箇所が多く、なかなか朝日を拝むポイントがないい。ようやく朝日と対峙することが出来たのは、舟ノ垰のあたりであった。
しばらくは樹林の尾根をトラバース気味に緩やかに高度を上げていく。五鈷峰のトラバースを過ぎて、明星ヶ岳が近づくと尾根の上に立って釈迦ヶ岳から延々と辿ってきた稜線を俯瞰することがが出来るようになる。このあたりの尾根上では白骨樹が多く目立つ。ひとたび天候が荒れるとかなりの強風が吹き荒れるところなのだろう。
明星ヶ岳から単独行の男性が降って来られる。昨日は弥山の小屋に泊まられたらしい。小屋には三人しか泊まっていなかったとのことであった。これから釈迦ヶ岳まで往復されるらしい。
家内はかなり遅いペースであるが、久しく山行から遠ざかっていたせいもあるのだろう。完全に空身ではあるが、ほぼコースタイム通りのスピードである。
明星ヶ岳からは八経ヶ岳までは白骨樹の目立つ吊尾根を歩いてわずかの距離である。山頂では釈迦ヶ岳まで二泊でテン泊縦走するという二人組の男性が出発するところであった。車は前鬼に置かれて、タクシーで移動してきたとのこと。おそらく一ノ垰の登山口だろうと思うが、\22000ほどかかったとのことであった。この区間をタクシーを使うという発想はなかったが、この区間の縦走にはひと工夫が必要だ。
八経ヶ岳の山頂は私はすで四度目であるが、家内はかなり以前、厳冬期の登頂以来となる。その日は山頂は展望はなかったので、この関西最高峰からの展望の眺めるのは初めてとなる。依然として上空には雲のない快晴が広がっている。しばし、山頂からの展望を堪能すると、楊枝ノ宿に向けて引き返す。
五鈷峰の手前で昨日、楊枝の宿におられた男性と再び出遭う。男性は今日は川合に戻られるのかと思いきや、今日も狼平に泊まられるとのこと。三日も小屋泊にと驚かされるが、狼平の避難小屋の前のせせらぎで汗を流されるとのこと。
楊枝の宿に戻り、荷物をピックアップすると、仏生ヶ岳への登りにかかる。仏生ヶ岳は遠くからは大きな山に見えるが、山頂部まで緩やかな登りが続く。登山道は山頂をトラバースするが、分岐にリュックをデポして、山頂を往復させてもらうことにする。分岐に到着すると上から熊鈴の音が聞こえる。先ほど明星ヶ岳の手前でお遭いした単独行の男性であった。もしも釈迦ヶ岳まで往復するとなるとコースタイムが多少心配である。仏生ヶ岳の山頂へはものの5分とかからずに到着することが出来る。樹林に囲まれた山頂ではあるが、南側に展望が開けており、孔雀岳へと続く稜線を望むことが出来る。
再び分岐に戻り、家内を待つが20分近く過ぎてもなかなか来ない。アブのような大型の虫が私の周囲をグルグルと周回しているので、引き返してみるとようやく家内と出会うことが出来た。どうやら家内は手前の小ピークが仏生ヶ岳と思い、山頂への分岐を行き過ぎたかと思って引き返してしまったらしい。
孔雀岳の登りに差し掛かると尾根の右手をトラバースする踏み跡を辿るが、なかなか鳥の水にたどり着かない。どうやら本来の登山道から逸れてしまっていたようだ。踏み跡が明瞭なのはこの道に迷い込む登山者が少なからずいるのだろう。再び道を引き返し、尾根筋に登ると、その左手に本来の登山道を見出すことが出来た。
釈迦ヶ岳までは登山者と出遭わない静かな山行が続く。釈迦ヶ岳への尾根では昨日は全く展望がなかったが、この日はすっかり晴れているので、正面に釈迦ヶ岳を迫力ある山容を望むことが出来る。釈迦ヶ岳への最後の急登はさすがに家内には堪えたようだ。
なんとか釈迦ヶ岳の山頂に到着するとわずかに生える樹の木陰で休憩する。山頂では他にも二人ほど登山者が居られた。以前、長男を伴って釈迦ヶ岳を晩秋に訪れた時も山頂は雲の中で全く眺望がなかったが、この日は360度の眺望を堪能することが出来る。
山頂を後にすると再び草稜の広がる古田の森への稜線を緩やかに降ってゆく。かくし水でペットボトルを全て満タンにすると一気に2kg以上重たくなるが、それでも酒や食料がなくなっているせいもあり、さほど重さは気にならない。水場から少し降り始めると、尾根のすぐ右手に再び鹿の大群が寛いでいる。やはりほとんどが仔鹿のようだ。千丈平にはテントがひと張りあったが、テントの主は不在のようだった。
古田の森のあたりではほとんど樹林がないので太陽に照りつけられることが気掛かりではあったが、いつしか上空には雲が広がっており、日差しを和らげてくれる。昨日と異なり、かなり明るく感じられるのは上空の雲が薄いせいであろう。古田の森を過ぎると前日と同様、尾根の西側ではこの日も鹿の大群が草を食んでいた。
今年の連休に縦走を途中で断念することになった南奥駈道の山々を正面に眺めながら、古田の森からの草稜を降る。有難いことに尾根の左手からは涼しい風も吹いてくる。連休の頃に比べて、稜線の緑がかなり色鮮やかであることに今更ながらに気が付く。改めてこの時期の大峰の良さを再認識するのだった。
再び樹林の中を降って駐車場に帰還すると駐車場には数台の車が停められていた。京都への帰路につくが、残念なのは大塔温泉、西吉野の桜温泉がいずれも廃業していることだ。さすがに十津川温泉郷の湯泉地温泉まで南下するのも帰路の混雑を懸念すると気がひける。この日は温泉は諦めて京都への帰路を急ぐことにした。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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釈迦ヶ岳から八経ヶ岳、私は一度しか歩いたことがありませんが、素晴らしい道ですね。
大好きなコースです。
変化に富んでいて大峯の美しさも厳しさも感じられて。
山猫さんご夫妻のレコを見ていると、とても懐かしく、しみじみ感動してしまいました。
また歩きたいという思いがふつふつとわいてきました😊
ゆっきーさん レス返が遅くなり失礼しました。しばらくソウルに出張しておりました。
釈迦ヶ岳〜八経ヶ岳にゆっきーさんが歩かれたのは確か私と一日違い、連休における山行ですよね。
ここはダイナミックなパノラマに美しい林相の樹林と立ち枯れの樹々、大峰の魅力が凝縮されたコースですね。何度でも訪れたいところではありますが、車二台を使うか、私たちのように往復しない限り、ここはコース取りが難しいですね。
海外出張おつかれさまです。
私が釈迦が岳〜八経(ピストン)歩いたのは6年前の秋、一度だけなんです。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1647159.html
GWに歩いたのは、釈迦から熊野です(^^)
いずれも素晴らしいルート、素晴らしい山行でした。
それにしても大峯は何度も歩きたくなる道ですね。。
はじめまして!
10月の終わりに八経を計画しており、興味を持って拝読しました😊
紀行文のような文体でイメージが喚起されました。文章が素晴らしいですね!
ご夫婦での登山も羨ましいです(我が家は小4と中1の娘がいて、私だけが不興を買いつつ、ふらふらしています😅)
コメント有難うございます。それから、小生の長文駄文にお付き合いくださり、有難うございます。
家内は長距離はいや、谷道はいや、暑いのはいやなどと注文が多い上に、山の好き嫌いも激しくて、山行に付き合ってくれる山は非常に限られるのです💦
10月下旬の大峰はシロヤシオの紅葉は終盤かもしれませんが、カエデの紅葉が見頃を迎える頃ですね。私もこの時期の大峰に向かいたいところなのですが、出張が続き、再び関西の山を訪れるのは紅葉が終わる頃になりそうです。
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