剱岳 北方稜線と八ツ峰Aフェース
- GPS
- 56:00
- 距離
- 26.2km
- 登り
- 3,317m
- 下り
- 3,292m
コースタイム
- 山行
- 6:35
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 7:55
- 山行
- 5:05
- 休憩
- 5:20
- 合計
- 10:25
天候 | 一日目 雨後晴れ 二日目 晴れ 三日目 晴れ後曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
バスに乗り換え室堂 |
コース状況/ 危険箇所等 |
池ノ谷ガリーは落石注意 北方稜線のルートファインディング注意 長次郎谷も落石注意 |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
ガイド地図
コンパス
筆記具
ライター
ナイフ
飲料
ティッシュ
バンドエイド
タオル
携帯電話
計画書
雨具
防寒着
スパッツ
手袋
ストック
ビニール袋
替え衣類
シュラフ
シュラフカバー
ザックカバー
食器
水筒
時計
日焼け止め
非常食
アイゼン
ハーネス
環付きカラビナ
カラビナ
テープスリング
ヘルメット
お酒
おつまみ
ATCガイド
カム
デイジー
クイックドロー
クライミングシューズ
テントマット
ロープ
ツェルト
コンロ
ガスカートリッジ
コッヘル(鍋)
ファーストエイドキット
カメラ
車
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感想
シルバーウイークは嬉しすぎる5連休。
前から行ってみたかった、北方稜線と八ツ峰Aフェースに行く事になった。
9月18日金曜、Hが仕事から帰って来ると、シャワーを浴びてそそくさと夕方6時に出発。
夕飯は作ったおにぎりを、移動しながら車の中で食べた。
東海北陸自動車道を走っていると、富山県に入ったところくらいから、激しく雨が降り出し、先が思いやられた。
コンビニに一回寄っただけで、ほとんどノンストップで立山駅に22時頃着。
シルバーウイークだから、立山駅前駐車場に車が停められるかどうか心配していたけど、まだ余裕があった。
今回一緒に山に行く事になった、一足先に着いていたN君の隣に車を停めたけど、寝てるかも知れないので、声はかけなかった。
ビールを飲んでから、車泊した。
朝起きると、駐車場は満車だった。
早起きして室堂行きの切符を3人分買ってくれてたN君のおかげで、6時のケーブルカーの始発に乗る事が出来た。
美女平で、バスに乗り換えるとまた眠り、室堂に着いたら濃い霧で視界なし。
霧雨も降っていて、室堂に初めて来たN君には、すごく残念な景色だった。
剱御前小舎辺りで、空が明るくなり始めた。
剱岳も雲から顔を出した。
沈みがちだった気持ちが上がってきた。
剱沢雪渓を歩く頃にはすっかり青空になっていて、気持ち良く雪渓を下った。
N君は、こんなにいい天気になるなんて、
「今朝の俺に教えてあげたい。」
と言った。
雪渓は危険な場所もなく、12本爪アイゼンで問題なく下れた。
真砂沢ロッジの手前でアイゼンを脱ぎ、雪渓の左側を歩いて下った。
三の沢は、雪渓が口を開けていて、危険そうだったので、川の反対側の巻き道を行った。
また川を渡るときに、丸太の橋が三つあったけど、幅が狭くてなかなかスリリングだった。
ここからはしばらく川沿いを歩き、また登る。
仙人峠に着くと、ザックを置いて仙人池ヒュッテに行き、私とHはビールを買って半分ずつ飲んだ。
山小屋の女の子がお茶をサービスしてくれて、三人で池のそばで八ツ峰を眺めながら休憩した。
仙人池から見た八ツ峰は、よく写真に撮られている絶景ポイントだ。
そして私は多分初めての、山グッズをゲット。
前から欲しかった、八ツ峰手ぬぐい。渋い!
ここからは標高差もそれほどなく、池の平に到着。
テント場にツェルトを張って、私達のツェルトの中で三人で飲み始めた。
このテント場は下地が草でふかふかしててなかなか快適。
三人で楽しく話しをしていたら、女性の声で、
「そんなに大きい声で話さないと、聞こえないのかな!」
多分隣でテントを張っている方。
「どうも、すいませんでした。」
と私は謝ると、
「もう寝ようか。」
お開きにして、19時頃着就寝。
翌日はいよいよ北方稜線。
朝7時頃出発。
水を足したので、この日のザックが一番重かった。
テント場からすぐの脇道の山腹をしばらく歩く。
小窓雪渓に着くと、アイゼンに履き替え、雪渓の終点まで歩いた。
ここから道は分かりにくく、歩きにくくもなる。
しばらく行くと雪渓が一カ所あった。幅は狭く、4、5メートルくらい。
アイゼンなしで行ったけど、結構斜度があって嫌な感じ。
N君は少し足が滑って止まったけど、終ったかと思った、と言っていた。
またしばらく行くと、ガレガレで急なルンゼに着いた。
左側は切り立っていて、すごく嫌な感じ。
右へ進むと踏み跡に出て、下から先程先を行かせてもらった方が上がって来ていた。
どうやらルンゼまで出ると行き過ぎのようだ。
ルンゼ横の踏み跡を通って稜線へ出ると、そこが多分小窓の王直下だ。
しばらく切り立っている稜線上を歩く。
そして三の窓までガレ場を下った。
三の窓にはテントが一張。
多分チンネに取り付こうとしてる、クライマーのものかな。
ザックを下ろして、コルまで少し登ってチンネを見に行くと、クライマーが何人か取り付いていた。
そして、北方稜線の核心の一つ、池の谷ガリーを見上げると、10人くらいの団体が降りて来ていた。
数百メートル続く、長い長いガレ場。
「ラク、ラク、ラク!」
落石が度々起こると共に、ほとんど絶え間なく、団体の声が聞こえる。
私達はこの団体をやり過ごしてから取り付く事にした。
落石が怖く、あまり休憩もできないので、池の谷乗越まで一気に行くつもりで歩きはじめた。
しばらく進むと、コンテを組んだ団体やソロの方やら、数組が降りて来た。
降りる方も大変だろうけど、ソロの方は特にお行儀が悪く、足を置く度ガラガラと石を落として来た。
この場所ではロープを引きずったり、ザックに外付けでブラブラとぶら下がってるテントマットなんかは、落石を引き起こすので危険と思われる。
最近もここで事故があったようだ。
そこら中で「ラク!」の声が起きまくりだった。
当たったらやばい、大きいものもあった。
なんとか池の谷乗越まで出たけど、体力より心がやられた。
しばらく休憩して、熊ノ岩を目指した。
悪いガレ場をしばらく下り、雪渓をアイゼンに履き替えて下り、熊ノ岩に到着。
ここは雪渓が広がり、八ツ峰と源次郎尾根が良く見え、最高の景色だ。
前に八ツ峰のCフェースを登った時に来たことがあるけど、私はここからの眺めが大好きだ。
ツェルトを張ると、私達はN君を残してAフェースに向かった。
N君はクライミング経験が長くないので、お留守番だ。
12時頃、熊ノ岩に着いた時に、私達が行こうとしていたAフェースの魚津高ルートの3ピッチ目くらいに4人のパーティが取付いていた。
13時頃、私達がAフェース取付きに着いたとき、見た感じほとんど進んでいる様子はなかった。
私たちの前に、二人待機してた。
その二人は登り始めたけど、ピッチを切ったところから、前が詰まってるらしく、そこからずっと動かなかった。
前にCフェースを登ったけど、その時もものすごい人で溢れかえっていて、ロープがまるで蜘蛛の巣のようだった。
私達より後に待っている人はいなかったので、その二人が進んだら取付く事にした。
結局二時間以上待って、やっと登り始めた。
その間、日差しはかなり強く、待っている間に喉が乾くし、干物になりそうだった。
でも、上の二人の足場の悪い待機の方がずっと大変だ。
ぼけっとしてたら、落石は降ってくるわ、隣のルートからヌンチャクが降ってくるわで、焦った。
落石が来たときには、私は靴を脱いでいたので、裸足で数メートル瞬間移動していた。
我ながら素早い動きだった。
私の
「怖っ!!!」
って声はN君まで聞こえてたらしい。
Hがトップで登り始め、2ピッチ目トップをやるか聞かれたけど、1ピッチ目は濡れてる場所があった上に結構悪くてスリリング、手に汗かきまくりだったので、やめた。
まだまだヘタレな私。
でも面白いルートだった。
2ピッチ目が終わった時に、結局また前が詰まってしまった。
上まで登って5・6のコルから降りるつもりだったけど、この時点で突っ込んだら、確実に暗くなってヘッドランプ行動だ。
1ピッチ残して懸垂下降して降りることに決めた。
17時過ぎ、降りて熊ノ岩に戻った。
N君が、私達が登る頃はCフェースはガラガラだったらしい。
おととし登っているので、違うところを登りたいのは仕方ない。
周りは暗くなり始めていた。
Aフェース敗退って事だけど、アルパイングレードは1、2ピッチ目+と掘3ピッチ目は兇覆里任海犬弔韻世韻鼻核心部は超えたし、もういいやって感じ。
多分今後リベンジする事はないだろう。
熊ノ岩に戻って、N君と3人で飲み始めた。
その一方、暗くなってもまだ八ツ峰には人がたくさん残っていた。
A、B、Cフェースなどを同じ山岳会が別々に登っていたようだ。
どうやら降りるルートを間違えたらしく、戻って来られず、どこかでビバークする事になったみたい。
「無線を入れろ!」
と叫ぶ声とか、迎えに行く人とか、熊ノ岩はずっと落ち着かなかった。
どういう訳か、八ツ峰の3峰下辺りにも明かりが見える。
21時頃、シュラフにくるまったけど、そのときもずっとヘッドランプの光は動き続けていた。
翌朝、5時にはもうフェースにとりついているパーティがいた。
雪渓にも続々と登ってくるパーティが。
熾烈な順番争いに見えなくもない。
私達は熊ノ岩を7時頃出発。
また雪渓を池ノ谷乗越まで登りかえす。
アイゼンを履いて雪渓を登っていると、先に2パーティいて、後続も何組かいた。
数百メートル前のパーティが雪渓からガレ場へ上がったところで、落石を起こした。
ガラガラと石が流れ落ちるのが見えたが、その中で直径30〜40僉幅10僂らいの岩がタイヤのように転がって来た。
雪渓に入ってから、抵抗があまりないのか加速した。
いやもう、脚色でもなんでもなくて、スピードガンで計測したら、時速100キロ以上じゃないかという勢いで、何度か方向を変えながらこっちに向かって来た。
そういうときは固まってなかなか声が出ないものだった。
自分の横を通り過ぎたくらいでやっと、
「ラク!」
という声が出た。
その後も、後続のパーティの方へ転がり続け、雪渓のかなたへ転がって見えなくなった。
幸い、誰にも当たらなかった。
目が異常にいいHが言うには、ワンバウンド100m以上飛んでいたらしい。
そして、私から10mも離れていないところを通り過ぎて行った。
心がかなり疲れたけど、なんとか池ノ谷乗越に着いた。
ここからまた北方稜線を辿る。
いきなり急な岩場の登り。
登り終えたときに、八ツ峰の頭にたくさんの人が見えた。
懸垂下降の順番待ちだろうか。
源次郎尾根の二峰の懸垂下降にも、20人くらい並んでいた。
そして剱岳山頂にもものすごい人の数。
剱岳までの稜線は右に左に巻いたり、ルートファインディングはそんなに簡単じゃなかった。
マークはなく、足場がやばいところも結構あった。
途中、熊ノ岩で会った男性と、八ツ峰を1峰から登ったという女性二人組と一緒になってしばらく一緒に進んだ。
全員北方稜線は初めてだった。
剱岳山頂にたどり着くと、人でごった返していて、祠と記念撮影するための順番待ちが出来ていた。
剱岳は初のN君。
残念ながらこの頃、視界はかなり悪くなっていた。
白い景色をバックに、記念撮影をして下山開始。
カニのたてばい、よこばいには行列ができていた。
予想はしていたけど、見事な混雑だった。
剣山荘に着くと、山小屋で食事をする事が滅多にない私達だけど、N君とHはカレー、私は中華丼を食べた。
お腹がすきすぎて倒れそうだった私は、ご飯がずっしり多めの中華丼をぱくついた。
久しぶりのアルファ米じゃないご飯はおいしかった。
初日、室堂の景色は何も見えなかったけど、帰りは天気は曇りだけど見る事が出来た。
紅葉も始まっていて、なかなか綺麗だった。
N君が初の室堂の景色を、なんとか見る事が出来て良かった。
バスターミナルに着くと、目を疑うような光景が。
建物の外までバス待ちの行列が並んでいた。
1000人くらいいたかも。
やっとバスに乗り、直行で立山駅まで行けた。
バスの中ではもちろん爆睡。
温泉に入り、お寿司を食べに行こうという事になった。
きときと寿司に行ったけど、待ち時間40分。
いろいろ待たされる連休だ。
回転すしでも、名古屋にはない珍しいネタがたくさんあって、どれもすごくおいしかった。
キジハタ、ノドグロ、オコゼなどなど。
翌日は富山の道の駅や地元スーパーめぐりをして、地酒や地元食材を買い込んだ。
N君はしばらく一緒に行動していたけど、奥様の元へと戻って行った。
Hに登山に連れてってって言ったのはN君だったけど、○○家の登山はハード過ぎると言っていた。
この日のN君は筋肉痛で、動きがおじいちゃんみたいになっていた。
沖縄県民のN君は、30才くらいまで紅葉とか知らなかったんだって。
私は外国人みたいなN君が面白くて、一緒に行動してるといろいろ楽しかった。
私達はそれから白馬の友達のTさんの家に向かい、3人でバーベキューをした。
翌日、Tさんは仕事だったので、見送ってから出発し、Tさんが教えてくれた塩尻のワイナリーに帰りがてら寄ることにした。
ワインが好きなTさんが絶賛してたワイナリーだった。
ワイナリーのパンフレットをTさんにコピーしてもらった。
それに載っていた住所を探し、場所がすごくわかり辛かったけどなんとか辿り着いた。
門柱の様な木に、本当に小さな字でワイナリーの名前が書いてあった。
周りは山と林檎や葡萄の畑に囲まれた、のどかな景色のところだった。
駐車場に車を停めると、女性が声を掛けてきた。
建物の中に入れて貰うと、おすすめの白ワインを1本購入した。
「ようこそ来てくださいました。よくたどり着けましたね。」
そう言うと、ご主人はあまりこの場所を宣伝したがらないという事も話した。
だからホームページに地図が乗ってなかったのかな。
ご主人は、50才を過ぎてワインに魅了され、脱サラして、畑を作って葡萄を育て始めたらしい。
奥さんは、
「まさか50過ぎて百姓になるとは思わなかったわよ。」
と言った。
その後、奥さんの車を出して貰って、私達を葡萄畑まで連れてってくれた。
カベルネソーヴィニオン、メルロー、甲州なんちゃら(名前が覚えられなかった)。
数種類の葡萄を見せてくれた。
葡萄の木は弱くてすぐ病気になるらしい。
葡萄ひとつひとつに紙でできた笠をかぶせてあった。
木から枝が伸びているけど、根元の葡萄の房を二つだけ残して後は捨ててしまうのだという。
毎日子供の面倒を見るように世話をして、遠出の旅行など何年も行っていないという。
葡萄を一粒味見させて貰った。
口の中でじゅわっと水分と風味があふれ出た。
もう少し熟すと、種まで香ばしくなるのだという。
「どうしても値段が高くなっちゃうのよね。」
頑張っても年間300本しかできないらしい。
安くはなかったけど、この手間を考えると高くはない。
ありがたくいただきます。
一日で飲みきらないで、何日か置いて味の変化を楽しんで欲しいと言っていた。
御礼を言うと私達はワイナリーを後にした。
その後、木曽川沿いにある田立の滝を偵察しに行くことになった。
滝がいくつも連なり、絶壁があり、クライミングが出来るところがあるらしい。
到着すると、絶壁がありそうなところまで、コースタイムが3時間となっていた。
すっかり舐めていた。しっかり登山だった。
これを登って降りていたら、家に帰って乾杯する時間がなくなってしまう。
諦めてまた車を走らせた。
しばらく行くと、道路に栗がいっぱい落ちていた。
結構な量が拾えて、栗好きの私はすっかり舞い上がった。
でも、栗むきが大変な事はわかっているので、ちょっと複雑。
栗ごはんとお菓子を作りたいけど、正直めんどくさい。
遊びつくした、濃厚な連休は終わった。
天気にも恵まれ、人にも恵まれ、楽しく過ごす事ができた。
来週も八ヶ岳登山の予定。
山初心者も混ざってる、山ガールと共に。
食事は豪華に、スイーツも用意して。
女子力を分けて貰おうっと。
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