佐目子谷〜イブネ〜御在所山(鈴鹿ウルトラサワー)
- GPS
- 26:50
- 距離
- 55.2km
- 登り
- 5,134m
- 下り
- 5,141m
コースタイム
- 山行
- 14:21
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 15:30
天候 | 〇1日目:晴れ 〇2日目:晴れ強風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
∋綾展側:旧蒼滝無料駐車場デポ |
コース状況/ 危険箇所等 |
佐目子谷は佐目峠まで全般的に岩場歩きであり、見渡せば左岸、右岸に仕事道が付けられているが崩落している個所に岩礁があり通して歩くことはできない。数カ所、高巻きもあるがそれほど危険な高巻きとはならず問題は無いと思うが沢装備でないと体温が下がり寒くて仕方がない。 ※注:コンパスと高度計は必須アイテムであり随時チェックしながら進む。 |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
長袖インナー
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
飲料
ハイドレーション
地図(地形図)
トポ
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
時計
タオル
ナイフ
カメラ
ロープ
ハーネス
ヘルメット
確保機
ロックカラビナ
カラビナ
クイックドロー
スリング
ロープスリング
渓流シューズ
フローティングロープ
ルート図
|
---|---|
備考 | 味気ないが食事は時間短縮や軽量化の為に行動食にする方が良い。(絶対にイイ) |
感想
単刀直入に書けば「とにかく長い谷」
荷物の多さと、佐目子谷の足元の悪さ、姫が滝が素晴らしすぎて時間をかなりロスしてしまい2日目に体力の必要な詰めを残してしまった。
入渓後、すぐに左岸の仕事道が崩落しており嫌がる岩場を進むこととする。
沢なので釣りも楽しむ予定であったが思ったように進まず竿は少しだけ出しただけで後は格納して進むことに集中し時間との闘いとなる。
結局、竿を出したのは一回きりで毛バリに岩魚が食らいつくも逃げたようだ。
綺麗な渓だ。
岩魚が沢山いる。
昼食は亀山名物「みそ焼きうどん&近江牛のホルモン」姫が滝の前で食べる。
最高に旨い。
黙々とホルモンに食らいついていると足音がする。
振り向くと長靴を履いた青年が三脚を持って寄って来る。
何か言いたげだったが私は何故か見て見ぬふりをしてしまった。
彼はスッーと姫が滝へ入って行った。
「なかなか出てこないな」なんて話をしているとやっと我々が撤収する頃に満足げに出てきた。
「いいのが撮れましたか?」とY氏が声をかける。
「はい」ととても嬉しそうな顔をしてバックウォーターに向かった。
私は「あぁ、それだけでいいんだなぁ」と呟いた。
昨年のヤマケイに姫が滝についてのコラムを書いたK氏の事を思い出す。
鈴鹿を歩いていると彼の事を知らない人はいない。
桑名のK氏だ。
しかし、僕はこの記事を一度も読んだことが無い。
帰ったらK氏に記事を一度見せてもらおうと思った。
それにしても見事な滝だ。
あらゆる角度から水が入り込んできて一本の滝となっているようだ。
食後、食べ終わったコッヘルを沢で洗うとY氏は「沢が汚れるからコッヘルなど洗わないで」と言う。
証拠にキッチンペパーを持参している。
ところで800m付近からは地形図とコンパスにて小まめなルートファインティングが必要である。一ヵ所目は大きく右に谷が現れる奥トビだろうか、ここは間違わない。
その先にチョウシへ上がれると思われる小谷が左から入るがココは右股になる。
今度は同じサイズの谷が現れ二俣となるが左俣となる。
標高をしっかりチェックしておくことが必要となる。
コンパスというと北とか南とかという話では無くて角度で見るようにしないといけない。そして必ずしも「それ」はドンピシャで出ないので標高ともう一つ「勘」がとても重要になって来る。
予定ではイブネでのテント泊だったが佐目子谷標高840m付近で日没となりビバークとする。2日目の行動は大きく変更しなくてはならない。
毎日忙しいY氏と山を歩くチャンスはなかなか無い。
いつだったか彼と話をしている時「父と最後に来たのは御在所で是非、もう一度御在所から見渡してみたい」という言葉が脳裏に残っていた。
だからこそ今回の計画は上水晶から地獄谷を上がりそこから鈴鹿の雄大な山や谷を見渡しラストはピンバッジを買いロープウェイで下山するという計画であった。
しかし佐目子谷は甘くなく時間を費やしてしまい2日目の計画は大幅に変更を余儀無くされ上水晶から御在所ロープウェイへ直行することとした。
それでも時間が足りない。
急げ!
山上山頂駅に着くと当日は強風のため運休しており乗ることが出来ない。
落胆するが山では考えている暇などない。
日没になるので山の中が最短時間となる登山道は稜線歩きの武平峠を目指し安全な国道へ出るよう変更した。
長時間となり安全のために持っている無線機APRSのバッテリーも上がってしまう。
全く意味が無い。
こういうもんである。
御在所から山々を眺めることもできない、ピンバッジを買うこともできない。
ダメダメ尽くしのダメ歩きではないか。
ところがこの山でのクライマックスは鈴鹿スカイラインからであった。
トボトボと日の暮れた国道を湯の山温泉街を歩いていると家族に連絡をしたいのでどこだったか「蔵之助」かな?に入って電話を借りた。
取りあえず遅くなっている旨を家族に連絡をしなければならない。
事を済ませ温泉を出て蒼滝まであと一息という時にY氏がそっと私に手渡したものは御在所のピンバッジであった。
そうか「蔵之助」に売っていたんだ。
「これは。。。僕が欲しかったんじゃないんだ…」
なんとも言えない気持ちになってしまった。
忘れられない山となってしまった。
鈴鹿の御在所山
★追記:
私は佐目子谷で荷物が多すぎて苦しく「僕は引き返してもいいんだ」と何度も言った記憶がある。杉峠に来れば朝明へエスケープしようと彼に持ち掛ける。
すると彼は物腰の優しい口調で「何を言ってるん?」と言う。
彼の強靭な精神力で御在所のロープウェイの入口へ立ったが断られた。
しかし、彼は「これは一応、成し遂げたことになる」そう言ったような気がした。
いつものように簡単に諦めなくて良かった。
道は自分で想像し自分で作り上げるものだ、想像したなら実践し今ある力を最大限に振り絞り尽力を尽くべきだ諦めるな。
そこに行くために方法は変えても行く先は大した理由も無いなら変更するな。
Y氏の背中はいつもそう私に語っている。
色んな山があるが私は山の仲間に非常に恵まれている。
こういった我々の小さな山での出来事を共感して頂けたたらと思います。
最後に毎回とても貴重な体験をさせて頂きY氏には感謝とお礼の気持ちで一杯です。
ありがとうございます。
残念なことに入渓日2016/5/31に佐目周辺を歩いて遭難していた方が死亡し発見されたようです。
以下、産経WEST記事抜粋
『滋賀県警は29日、同県と三重県の県境にある鈴鹿山系の山に登り、22日から連絡が取れなくなっていた方を県防災ヘリコプターで収容したが、死亡が確認された。
東近江署によると、滋賀県東近江市佐目町の谷を流れる川の中であおむけになって倒れていた。滑落し全身を強く打ったとみられる。
21日朝に「日帰りで登山に行く」と言って出掛けたが、同日には帰宅せず、22日朝、携帯電話から妻に「(今日は)帰れる」と伝えた後、連絡が取れなくなっていた。』
ご冥福をお祈りいたします。
今回の旅を動画にしました。
どうぞよろしくお願いいたします。
コメント
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こんにちは goriraさん Yさん churabanaです。
私も、姫が滝の魅力にとりつかれています。
まずは、ピストンで訪れてみようかな?
深い鈴鹿の山々以上に、お二人の友情の深さに乾杯
churabanaさん、こんばんわ〜 最近、お会いする機会が無くご無沙汰しております。
Y氏からchurabanaさんが元気な事を時々聞きますよ
そうっすね、姫が滝を目指して姫が滝だけを目的とする山は十分満足できると思います。K氏のようにカイサカから源頭へ上がり見下ろしてみるのもいいですね〜
昨日はお世話になりありがとうございました(^^)
最初から最後まで濃厚な山行、文章もいい表現で、「忘れられない山」に相応しいものだと思います。
気をつけてはいても、タイミングの悪さというものが潜んでます。引き続き気をつけて楽しんでください
昨日は遅くまで酒を飲みながらカマスと共に楽しい時間を有り難うございました。
テン泊が中止になったとしても朝明の夜は盛り上がりますね
連チャンでいい思いばかりしています。
感謝、感謝です。
こうやって僕は山の仲間に非常に恵まれていてありがたいです。
これに懲りず、次回も盛り上がっちゃいましょう!
盛り上がらなくては損損!
いい経験を積み重ねはったみたいですね!
谷の登りと下りの尾根は迷いやすいところを丁寧に歩いてはりますね!
かっこいいっすよ、BOSS!!
聞いてはいたんですがキツイ谷でした。
御在所ロープウェイはまさかの誤算で落胆しました。
修業の谷。
まいった〜
でもいい思い出になりました。
私は4月に、佐目子谷からお金明神ピストンなどしています。遭難者は道迷いで下谷尻谷で発見されています。!私も鈴鹿が気に入って神崎川から沢登りコースを巡っています。
はじめまして。
周辺は良い雰囲気ですね。
今年は神崎川には出かけてませんが暑いうちに行きたいです。
どこかでお会いしたらよろしくお願いいたしますね!
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