(過去レコ)木曽駒ヶ岳→空木岳⇔南駒ヶ岳
- GPS
- 32:00
- 距離
- 25.2km
- 登り
- 1,862m
- 下り
- 3,256m
コースタイム
- 山行
- 6:50
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 7:50
- 山行
- 7:50
- 休憩
- 1:15
- 合計
- 9:05
天候 | 13日=晴れ 14日=快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
【山行記録投稿=2017年08月07日】
一昨年の9月、越百小屋泊まりで摺古木山から宝剣岳の南の極楽平まで縦走したことがある。
摺古木自然園休憩舎から越百山まで一日で歩けるかどうかが不安だったが、先年 登山ツアーの企画会社がこの逆方向を一日で歩く計画で客を募集していた。
ツアー登山で可能なら私単独でも歩けるはずとの思いで、実行に踏み切った。
しかし、山行中は雨こそ降らなかったものの、曇天下のガスで展望が悪く、木曽駒ヶ岳まで全山縦走は果たせないまま千畳敷へ下った。
その時は木曽殿山荘でもう一泊し、翌日木曽駒まで行きたかったが、山荘のご主人から『明日は天候が大荒れになる。今日中に下山された方が良い』と強く言われ、事実そのとおり、翌日は千畳敷から木曽殿山荘へ行く登山者は止められていた。
木曽駒から越百山まで、稜線途中の鞍部にナナカマドやダケカンバの矮小灌木帯はあるものの、針葉樹林帯は全くなく、稜線からの眺望は極めて素晴らしい。
いつか機会があれば再訪したいと思っていた。
9月13日(木)〜14日(金)、勤務先は休日で天気予報は晴天の見通し、木曽殿山荘の宿泊予約が取れたので行くことに。
14日は空木岳に登り、好天なら南駒ヶ岳までピストン、ガスっていればそのまま下山する予定で出る。
13日早朝、駒ヶ根・菅ノ台BC(バスセンター)には予定より早く着いたので、下山口(=空木岳への林道登山口)に車を置き、林道を徒歩でBCへ戻る。
※携行した登山地図は2009年版。地図にある林道終点へは行けず。林道途中の登山口から500m先にゲートあり、そこに停める。結果論だが、登山口付近の広くなった所に停めた方が良かった。ゲートに停めた場合は登山口まで下山せず、そのまま林道を歩いた方が早い。
始発のバス&ロープウェイに乗り、千畳敷へ。
ロープウェイ駅から出てみると、抜けるような青空のもと、宝剣の鋭峰が天に向かってそびえている。駅を飛び出した人々の中から、「オーッ!」と、感嘆の声が洩れる。
しかし、始発のロープウェイで上がる人達を待っていたかのように、宝剣には間もなくガスが掛かり始めた。
これから始まる2日間のささやかな自己満足の“ドラマ”が成功裏に終わることを願いつつ登山届を提出し、気持ちが高揚するなか、乗越浄土へ向かってスタート。
平日なので千畳敷カール内を行き来する人は少なく、みんな中高年ばかり。
山小屋で泊まったと思われる、人の良さそうなおばさんが下りて来たので、「今朝、頂上から展望はどうでしたか?」と聞く。「素晴らしかったですよ、富士山も槍も見えました」との返事。モチベーション向上に、これに勝る特効薬はない。
宝剣山荘内でザックを預って貰い、サブザックにカメラのみ入れて木曽駒へ。行きは中岳経由、戻りは中岳西側の巻き道を歩く。
中岳から見上げる宝剣は岩を積み上げたような山で、頂上は天を突き刺している。この名峰が木曽駒の属峰とは何故だろうか?標高も大差なく、山容は全く違うのに。
※属峰とはひとつの独立した山とはみなされず、主峰を構成する一ピークのこと。
木曽駒の場合、宝剣岳と麦草岳は木曽駒の属峰。
木曽駒頂上へ着いた時、中ア主稜の東側は湧き上がるガスに閉ざされ、恵那山、三ノ沢岳程度しか見えず。南アルプスが全く見えないのは残念至極で悔しい。
先が長いので早々に引き返す。
宝剣山荘へ戻り、ザックに水1本を入れ足し、500ミリ=3本で縦走開始。
乗越浄土から宝剣へは、鎖はあるが触れなくても登れる。
宝剣へ上がった時、男女3人組のパーティーと単独行2人が先行していて、3人組の1人が最上端の岩場から降りようとしている。
先行者と二言三言 言葉を交わし、「よし、俺も!」と最上端へ。
今朝、菅ノ台BCで一緒だった単独行の人が写真を撮ってあげようかと言ってくれたが丁重に断る。どうも山で自分の写真を撮るのはあまり気が進まない。
スルスルと上った処、下にいた登山者の一人が、「速い!おじさん何歳(いくつ)だ?」と言う。
最上端の岩場は約60cm四方、周囲は目もくらむ絶壁で、千畳敷側に落ちれば一巻の終わり。生きて還ることはない。緊張が張り詰めるこんな所で歳を聞かれても(笑)
最上端の岩場は、身体の小さい人は難儀しそう、下りる時に足が地に届きにくい。指先で掴まるホールドも浅く、足が地に着く前に手を放すと非常に危険。
でも、金峰山の五丈岩や北アルプスの烏帽子岳よりは上がりやすい。
宝剣の南側、極楽平への下りは北側よりずっと険悪。鎖場も多く、ある程度慣れていないと難しいかも知れない。
先月中旬に行った剱岳直下、早月尾根の鎖場より難度は高いと思う。
ロープウェイで上がった観光客風の人が宝剣へ向かっている。どこまで行くのだろうか・・・
作業服姿に腕章を付けた人も数人、生態系の調査かと思いきや、ゴミ拾いだという。腕章にはフォレスト・・・何とかと書かれていたが、メモするのを忘れた。
時間の経過とともにガスが濃くなるなか、極楽平を後に本格的な縦走となる。
行き会う人は全くない。眺望はいまいちだが、稜線を吹き抜ける涼風が頬に心地良い。浮世の些事を忘れ、身も心も溶け込む大自然との一体感、この喜びは筆舌に尽くし難い。
「今、山にいます!」〜このひと時が限りなく好きだ。
山好きの決まり文句、『これだから山はやめられない』は、頂上に立ち、広大な山岳展望を目の前にしている時とは限らない。
縦走路はほとんどの区間が頂稜の西側。頂稜そのものは険しくてとても歩けない。濁沢大峰から熊沢岳までは大岩が多く、ストックでは歩きにくい。
一部で頂稜を歩く所があり、天龍川沿いの平野がよく見下ろせる。
午後1時半頃からは稜線東側だけでなく、三ノ沢岳など西側の山にも掛かり始める。
大きくてどっしりした三ノ沢岳、孤高を誇る三ノ沢岳に見守られている安心感を感じる。
やがて、薄れて行く東側のガスの中から、巨峰が姿を現す。空木岳だ。南北に延びる稜線が大きくずれる木曽殿越は近い。
木曽殿山荘泊で夕食を希望する場合は午後4時半までに着かなければならない。千畳敷から木曽駒経由で行った場合、午後4時半着は無理かもしれず、1泊朝食付きで予約していた。
東川岳で男女4人のグループを抜き、その先で菅ノ台BCで一緒だった、宝剣で会ったのとは別の単独行に追い付き、午後4時10分山荘着。
宿泊手続きの際、ダメもとで予約してない夕食が可能かどうか聞く。管理人さんは食事の準備をしている厨房へ声を掛け、「大丈夫です」と。良かったぁ〜! 食料は十分持ち合わせていたが、出来れば作りたてを食べたい。
山荘は一階が食堂、二階は絨毯が敷き詰められた大広間。宿泊者は20数人、若い人は一人もいない。
山荘の標高は2600m近いが、夜も防寒着を着るほどではなかった。半袖の肌シャツに長袖・厚地の上着で十分だった。
翌日の朝食は4時40分頃から。
いつものことだが山では激しい便秘、3〜4日間くらい出ないこともある。それでいて山行中に大キジを撃つこともなく、下腹部の不快感もない。便利と言えば便利だ。
山荘のある峠から、朝焼けの空に浮かぶ八ヶ岳を遠望し、空木岳への急登に取り付く。
伊奈山地北端の守屋山から木曽殿越を眺めると、東川岳〜空木岳間が大きく開いている。とりわけ、空木への標高差300m近い急斜面は如何にも厳しそうだ。
空木岳に先行者はいなかった。
360度の素晴らしい眺めではあるが、木曽駒の左奥にある槍〜穂高には雲が掛かっている。
乗鞍は時間が経つほど雲が消えてよく見えるようになったが、始めからよく見えていた御嶽山と恵那山は時間とともに霞む。
南アルプスは全山が雲海に浮かぶ。逆光で黒っぽいシルエットだが、気の遠くなるような絶景が連なる。
季節は初秋とは言え、山は典型的な夏山で、千畳敷には6時半頃からガスが湧き始める。消えたり湧いたりを繰り返しながら、ガスは次第に増えていく。
山頂南側の岩陰にザックをデポし、サブザックにカメラと少量の水・食料を詰め込んで南駒ヶ岳へ向かう。
南駒も先行者はいなかった。
眺望の素晴らしい中ア主脈だが、南越百山〜摺古木山間はそれとは全く対照的な、茫洋たるヤブ山が連なる。その中で、一際端正な安平路山が目を引く。その右奥には恵那山の頂稜が弧を描く。
木曽駒に引けを取らない大きな三ノ沢から宝剣の右で平らな尾根を長く伸ばす伊那前岳の稜線までが、湧き上がるガスの切れ間に見え隠れしている。
空木岳へ戻り、サブザックを仕舞う。
明日から世の中は三連休だが私は仕事、早く下山して早く帰りたい。最高の眺望を楽しませてくれた空木岳に心の中でお礼を述べ、山頂を辞する。
駒峰ヒュッテ付近から下は真っ白い世界、駒石以降写真は撮らず。
下山中に追い付いた人はみんな木曽殿山荘での同宿者。現役を退いた高年の登山者はあくせくした山歩きを好まない人が多い。
第一線を退いた私自身はどうか・・・・
のんびり歩きが嫌な訳ではないが、勤めを再開したのでそうもいかない。
平日の日中、地方の高速道を連続して走れば100km以上は通常料金。全区間割引になるよう、100km未満で乗り降りし、3割引きの平日昼間割引=2区間、5割引きの通勤割引=1区間で帰宅する。
登山での遠出に通勤割引とはこれいかに・・・(笑)
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