後立山連峰縦走<小屋泊:3+1泊(台風停滞)>
- GPS
- 29:11
- 距離
- 43.5km
- 登り
- 4,548m
- 下り
- 4,818m
コースタイム
- 山行
- 5:19
- 休憩
- 0:16
- 合計
- 5:35
- 山行
- 5:17
- 休憩
- 2:36
- 合計
- 7:53
- 山行
- 6:11
- 休憩
- 0:37
- 合計
- 6:48
- 山行
- 6:46
- 休憩
- 1:50
- 合計
- 8:36
天候 | 1日目:午前中は晴れ、午後はガスから風雨 2日目:暴風雨(台風5号通過)→白馬山荘で停滞(2泊) 3日目:風雨、夕方に晴れ間が出てくる 4日目:晴れ 5日目:曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
・毎日アルペン号で竹橋を22:30出発→栂池高原に翌5時過ぎに到着 ・7時発のゴンドラに乗り、途中でケーブルカーに乗り継ぎ、7:40頃に自然園駅に到着し、登山開始 ◆帰り ・扇沢から14時発の信濃大町行きバスに乗車し、大町温泉郷で下車→薬師の湯に立ち寄り ・大町温泉郷を15:55発の長野行きバスに乗車し、長野泊で翌日長野新幹線で帰宅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・残雪箇所は以下の3か所でいずれもアイゼンは不要 ①天狗原の手前で約10mぐらい ②乗鞍岳の手前で約50m(?)くらい ③天狗山荘手前で約30m(?)くらい・・・氷状に固まっている個所もあり、ストックを使用 ・不帰の嶮、牛首、八峰キレットと難所がありますが、コースマークを確認しつつ気を付けて慎重に進めば問題なし |
その他周辺情報 | 大町温泉郷の「薬師の湯」に立ち寄り 扇沢でバスの発券所で「薬師の湯」に寄りたいと伝えたら、大町温泉郷で下車すればよいと教えてくれると共に割引券(700円→500円)が貰えました。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
ザック
ザックカバー
行動食
飲料
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
ヘルメット
|
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感想
昨年夏の裏銀座縦走に続き2度目の北アルプスで、後立山連峰縦走を計画しました。難易度などレベルアップした登山にしたかったので、自身の経験や技術からするとレベルが高過ぎる縦走計画ですが、チャレンジしてみました。不帰の嶮や八峰キレットなどはYouTubeの映像を見たりしながら、単独走で大丈夫だろうかなど心配しながら計画してきました。しかも、今回はノロノロ台風5号の影響もあり、直前まで悩みました。当初は8/7から3泊4日で計画していましたが、2日目に当たる8/8は白馬山荘停泊(連泊)を覚悟し、4泊5日の前提で計画し直しました。
8/6(日)22:30竹橋発の毎日アルペン号にて栂池高原に向け出発。バスでの寝付きが不得意な点もあり、3列シートのバスで行きました。1週間前の予約となってしまったので、残席数も残りわずかでしたが、当日乗車すると半分も埋まっていませんでした。台風の影響でキャンセルが多かったのでしょうね。比較的にバスの中では良く寝れ、ストレスなども感じずに順調に栂池高原に5時過ぎに到着。ゴンドラの始発が7時なので、時間を持て余しましたが、天気も良かったので、少し周辺をブラブラしたり、朝食(おにぎり2個)を食べたり、缶コーヒーを自販機で買い飲み、トイレなどゆっくりと時間を潰しました。始発のゴンドラを待つ人は20人くらいだったと思います。この夏休みシーズンにしては随分と少ないのでしょうね。7時の始発ゴンドラに順次に各組が乗車していきます。私は一人だったので、ゴンドラ(4人用)に一人乗車。混んでいるときは詰めるのかもしれませんね。ゴンドラに20分ほど乗り、その後はケーブルカーに乗り継ぎ、自然園に行きます。始発のゴンドラを待っていた人全員が同じケーブルカーに乗れたと思います。
自然園からが登山開始です。写真+コメントの通り、午前中は晴れており、視界が開けているところでは、今回の縦走路が遠く見渡せることができ、気持ち良い登山でした。写真を撮る以外はザックも降ろさず、ほとんど休憩なしで白馬大池まで進みました。白馬大池山荘の前で休憩後、今回の縦走路の中でも楽しみにしていた小蓮華山・白馬岳までの稜線歩きの始まりです。雷鳥坂では雷鳥に会えませんでしたが、船越ノ頭から小蓮華山に向かう稜線は、NHKドラマ「坂の上の雲」のエンディングロールにも使われていた素晴らしい景色でした。晴れているうちに通れて本当に良かったです。小蓮華山までは晴れていましたが、小蓮華山頂で小休憩していると一気に辺りは真っ白になり、しかも風が急に強くなってきました。山の天気の変わり身の早さに驚くばかりです。その先の白馬岳だけは視界も悪く、風も強く、三国境を過ぎたあたりからは小雨も降り出し、寒くなってきました。レインウェアを着るか迷いましたが、残り僅かなので、そのままTシャツのまま白馬岳に登頂。2枚ほど写真を撮り、すぐに山荘に向かって出発。この時にスマホのバッテリーも切れてしまいました。
2日目は台風5号のため、白馬山荘に泊まっていた人(約20人)全員が山荘に停滞。当然ながら来る人は一人もいませんでした。山荘のテレビでニュースを見ながら台風の動向について各自予想を話し合ったり、甲子園の高校野球(1日順延となり開幕日)を見たりし、山荘においてある山雑誌やマンガを読みながら過ごしていました。
天気の回復を期待していた3日目は、残念ながらまだ風雨が強く、5時ごろに出発を考えていましたが、しばらく様子見です。同じ唐松岳方面に向かう人は、オーストラリア人のシェーンのみでした。唐松岳までの行程時間を考え、出発するなら7時には出たいと考えていたので、6:30に山荘の方に出発しようと思うと相談。風雨は依然強い状態でしたので、山荘の方は「推奨できないな、山岳パトロールの方に相談してみな」と回答。山荘に駐在していた山岳パトロールの方にシェーンと一緒に相談。「不帰の嶮は、名前から想像されるイメージほど技術的に難しい箇所はない、三点支持の基本をしっかり守りながら慎重に進めば問題ないルート。風の強さが、この後にどれくらいになるか、強まるのか、弱まるのか次第ですね。」と回答。昨日のように絶対に無理という状態ではないとの回答であったため、天狗の頭まで進み、その時点の天候状態をチェックポイントに進んでみる。今期は雪の影響で天狗山荘はテント泊しか出来ない状態なので、NGの場合は鑓温泉小屋に下るか、こっちに戻てくるかにすることにしました。
7時ごろに二人で出発。白馬山荘から杓子岳に向かう稜線は風雨が強いままで、視界も悪い状態でした。杓子岳はトラバースし、その先の白馬鑓ヶ岳へと進みました。途中、何度も雷鳥と会うことができ、少し気分を楽にして貰えました。この日はおそらく10羽以上は見たと思います。
鑓ヶ岳では一瞬だけ薄く太陽の日差しが明るく感じられたので、回復しそな期待感が生まれ、シェーンと二人で喜び合いました。ただ、その後は風雨は強いままであり、天狗山荘に到着した時は、個人的には引き返す方が良いかなと思っていました。天狗山荘では非常に親切にして貰い、山荘の修復中の忙しい中、山荘の中で休憩させて貰えました。電気ストーブを出してくれ、更にはインスタントコーヒーまで用意していただけました。冷えた体を十分に温めることが出来ました。山荘の方からは、こんな状態で先に進むことはお勧めしないな、と言われ、二人でどうするか話し合いました。結局1時間以上も休憩させてもらい、多少風が弱まったかな(強風の音が鳴る頻度が少なくなったかな)と思えたこと、そしてシェーンが「行きたい」と強く言ったこともあり、天狗の頭まで進んで判断することのまま、出発を決意しました。山荘の方からは、「山は逃げないからね。絶対に無理しちゃだめだよ。素泊まりなら構わないからダメなら戻てきな。」と言われました。休憩に対するお礼を言い、ダメなら戻ってきますと言い、出発しました。
強風の頻度は少なくなったような気もしますが、実際はほとんど状態に変化はなかったと思います。ただ、強風の中、二人ともしっかりと足取り、止まるようなことなく稜線をずっと進んでこれていたので、だんだん行けるのではと自信を持つようにもなっていました。
一番に迷ったは、悪くならないにしても天気の回復の兆しも見られなくなってしまっている状態をどう判断するかでした。天狗の頭に着いた時点では、私は迷っている状態でしたので、迷っているなら先に進まない方が良いと思い直し、シェーンに相談。シェーンは「行きたい」との強い意志は変わらずでした。2〜3分程度、風雨の中、二人で黙り込み、考え込みました。バラバラの行動は絶対にダメですので、迷いを断ち切り、「よし、行こう!」と決断しました。(真に良い判断だったのかは分かりません)
天狗の大下りの手前で、逆方向から来た人(単独)に会い、状況を聞いてみました。大下りを登ってきたばかりなので疲れ切っている様子ではありましたが、「慎重に行けば問題ない」とのこと。結局、この日にすれ違った方はこの方だけでした(唐松岳方面に向かう人と会うことはなし)。少し安心感を得ましたが、慎重に長い長い大下りを突破。その後の不帰ノ嶮の岩峰の登り下りにおいても、慎重にと言い聞かせながら進みました。二人とも、この風雨の中での歩きでしたので、通常以上に集中力が働き慎重に安全に進むことができたのではと思います。二人とも特に危ないことなく進みました。2峰南峰に着いたときは、少し安堵感も生まれ、休憩するとともに、まだ先がありますが既に達成感を感じていました。2峰南峰の後は、比較的にすぐに唐松岳山頂に到着しました。唐松岳山頂荘に着いた時には、二人でハイタッチし、達成感に浸りました。シェーンがいなければ、絶対に行こうと決断しなかったと思い、シェーンには本当に感謝です!
そして夕食後の天気の急回復により出てきた剱岳と立山の山並みの景色は、達成感を何倍にもしてくれました。しばらく山荘前のデッキにてワインを飲みながら夕暮れの風景を楽しみました。
4日目は快晴。4時に起きて唐松岳山頂に再度登りご来光を見に行く予定でしたが、寝過ぎてしまい起きた時点で時計を見るとなんと4:36。慌てて起き、山頂に駆け上り、ご来光に何とか間に合いました。この日は山荘を出るとすぐに牛首の岩稜に取り付きます。昨日とは打って変わり視界もよく、高度感が緊張を高めながらの山行スタートでした。五竜岳では先に山頂部の岩稜に取り付いていた5〜6人組のパーティがルートを間違えて進んでしまい、危ない目にあっていました。無事に登り切ったので良かったですが、私が確認できただけでも2回大き目な落石を起こしており、少なくともそのうち1回は正規ルートのすぐ横かルートに落としていました。しかも「ラク!」の声もなく・・・。おそらく、発する余裕も無かったのではと思われます。山頂でお会いした限りでは50代後半(もっと上かも)でクライミング経験があるような方達ではありませんでした。ルートを外すと大変なことになるな、と改めて感じ、ルートマークをよく確認しながら進もうと引き締まりました。
五竜からキレット小屋までは長く感じた行程でした。これまで想像していた以上に岩登りを楽しんでいた自分でしたが、最後の方はもううんざりと感じる気分になっていました。キレット小屋が見えたときは、「やっと終わりだぁー」とホッとしました。
「山の日」の最終日は曇り。天気は次第に崩れ雷雨注意の予報。崩れる前に下山したい思いもあり、5時過ぎにスタート。いきなり八峰キレットの核心部。もう岩稜歩きは慣れたのか、怖さや緊張感が高まることもなく進むことが出来ました。
鹿島槍南峰には冷池山荘方面から多くの方が次々に登頂してきました。爺ヶ岳南峰でもそうでしたし、柏原新道ですれ違った登山者も非常に多かったので、「山の日」からの三連休の山小屋は凄い込み具合であったのでしょうね。
今回の縦走では、白馬三山、鹿島槍、爺ヶ岳では視界に恵まれず、楽しみにしていた景色を見ることができませんでした。まぁ、すべて晴れる可能性など極めて低いでしょうから次回に期待したいと思いますが、山頂での展望よりも、この稜線の縦走は、各難所を一越えした度に感じる達成感やその苦しい時に見れる景色などを十二分に楽しめるルートなのだと思います。個人的には視界の悪い中、不帰の嶮を踏破し、その後に達成感に浸りながら、ゆったりと唐松岳山頂荘前のデッキで見た剱岳の姿への感動が視覚的な印象としては強く、そして何よりもシェーンが「行きたい」と強く思い続けていてくれたからこそ出来た感動であり、彼への感謝の気持ちが強い旅でした。
今年の2月に50歳となり、4月のフルマラソン完走と今回の縦走は、自分にとっては2つともチャレンジングな目標でしたので、少し自信を持てた感じがし、非常に嬉しく思いながら、最後の柏原新道を下山しました。
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