北アルプスの最深部へ 鷲羽岳、水晶岳、雲の平、黒部五郎岳
- GPS
- 43:02
- 距離
- 73.2km
- 登り
- 5,451m
- 下り
- 5,534m
コースタイム
- 山行
- 8:36
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 9:56
- 山行
- 4:57
- 休憩
- 1:54
- 合計
- 6:51
- 山行
- 7:58
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 9:03
- 山行
- 9:57
- 休憩
- 2:06
- 合計
- 12:03
- 山行
- 4:53
- 休憩
- 0:38
- 合計
- 5:31
天候 | 曇り又は雨、17日朝のみ快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
よく整備された登山道。特に危険個所はありません。 携帯電話は、鏡平山荘では入りますが、その他の山荘では入りません。 山頂および、稜線付近は3Gの電波が入りました。 |
その他周辺情報 | 新穂高へ向かう道路(槍ヶ岳公園線)が、落石のため午後8時半から翌5時まで通行止めとなっています。 温泉は周辺にたくさんありますが、お勧めは平湯の森。 |
写真
感想
4泊5日で、北アルプスの最深部に行ってきた。
目的地は、鷲羽岳、水晶岳、黒部五郎岳の百名山3座と、日本最後の秘境と呼ばれる雲ノ平。
今回のプランは三俣山荘のテント場をベースキャンプにしてそれぞれの目的地を空荷でピストンするか、テントを担いでそれぞれの目的地を縦走するかを直前まで悩んでいた。縦走するなら3泊4日で回ることも不可能ではない。
まあ、現地で決めれば良いやと気軽に考えて、13日の午後、奈良の自宅を出発。深山荘向かいの登山者用無料駐車場がすぐいっぱいになるので、帰る人と入れ替わるタイミングの夕方に到着して場所を確保しようという作戦だ。肝心の天気予報は毎日コロコロ変わるので、全く当てにできない。
と、ここで一つ目のハプニング。自宅を出発して20分ほどで、登山靴を忘れたことに気が付いた。しかたなく、取に帰って1時間少しのロス。そして、名神高速で事故のため大渋滞。10km進むのに70分かかった。思ったより到着が遅くなるなぁと思っていて、高山から飛騨方面に走っていると、「新穂高方面夜間通行止め」と表示が出ている。えええ?と思って、車を停めてネットで情報を確認すると、落石のため午後8時半から翌午前5時まで通行規制とのこと。時計を見ると午後8時過ぎ。どう頑張ってもムリじゃん。とりあえず、規制線のところまで行ってみるが時間は午後9時前。ガードマンに朝5時以降に来てくださいと軽く追い返される。これで、朝早く出発して初日に三俣山荘まで進む案は消えた。
しかたないので、近くの道の駅奥飛騨温泉郷上宝で車中泊。周りは、同じようにガードマンに追い返されたと思われる車が次々とやってきて駐車スペースを探している。
朝4時、人が動き出す。いつ出発したらよいのか睨み合っている感じ。4時半前、しびれを切らした車が次々と出発していった。私も後に続く。しかし規制線の前は、すでに規制解除を待つ車で長い列。完全に出遅れた。当然、目的の駐車場には入れず、登山口から遠く離れた鍋平の登山者用無料駐車場に回される。無事に車を停めて、準備ができたのが午前6時。いよいよ、長旅の始まりだ。
駐車場から約1時間テクテク歩いて、新穂高登山指導センターに到着。登山届を出して、午前7時に登山開始。
橋を渡って左俣林道を黙々と進む。1時間少しで、わさび平小屋に到着。小休止して、笠新道との分岐を過ぎ、小池新道へ。いよいよ急登の始まりだ。
この頃までは、天気も良く弓折岳の展望も良かった。しかし、1年ぶりに担ぐテント装備のザックが重く、1時間もすれば足が動かなくなってきた。まだ直射日光が当たるので暑くて汗が噴き出す。どんなにゆっくり登っても息が切れる。秩父沢出合では、冷たい沢水で顔を洗い、かぶり水もして少し生き返った。
とはいえ、まだまだ登りは続く。駐車場出発から6時間半、這う這うの体でやっと鏡平に到着。楽しみにしていた鏡池からの逆さ槍は、ガスで全く見えなかった。
この時点では、今日はもうムリ。ここまでにして小屋に泊まろうと思っていた。よく初日に三俣山荘まで行こうなんて無謀な計画を立てたもんだと情けない気持ちになりながら、小屋でビールをグビっとしてカレーライスを食べ、30分ほど休んでいたら、元気が戻ってきた。そういえば出発前にサンドイッチを食べたきり、水以外何も口にせずに登ってきたのでハンガーノックになっていたのかもしれない。
ということで、次の目的地の双六小屋へ向かう。
やはり、登りはしんどいが、さっきよりは足が動く。ヒーヒー言いながら進んでいると、ガスが晴れてきて、双六のテンバとその先の鷲羽岳が夕日に輝いていた。突然現れた絶景に急に元気になって、双六小屋に無事到着。テンバは混雑していたが、何とか場所を確保して、ビールとラーメンの夕食を終えるとバタンキュー。夕方6時頃にはお休みなさいだった。
2日目(8月15日)
この日は、三俣山荘まで進んでテントを張り、空荷で鷲羽岳、水晶岳をピストンする予定。夜に降っていた雨も明け方には上がり、手早くテントを撤収して三俣山荘を目指す。巻き道を進んで、午前8時過ぎ、三俣山荘に到着。ここはこの時間ガラガラで、山荘にいちばん近いベストポジションにテント場を確保できた。テントを設営して、山荘で天気予報を確認すると、この後崩れてくる模様。仕方ないので、今日は水晶岳をあきらめて鷲羽岳だけのピストンに切り替える。
アタックザックに水と雨具だけ入れて、鷲羽岳登山に出発。今までのヘタレぶりは、何だったのだというくらい快調に足が動く。サクサクと登って、鷲羽岳登頂。残念ながら山頂ではガスに巻かれて何も見えなかった。最近北アルプスではいつもこのパターンだ。いいんだもん、登ったことに意義があるのさ(涙目)
小屋に戻って、展望食堂へ。この頃には、小屋の辺りもガスに包まれて、展望食堂からも何も見えない。ビールとラーメンでお昼とした。
その後、雨が降り出したので、テント内にこもる。
しかし、雨だとテントは何もできないね。晴れていれば、近くに張っている人とお話したり、お酒飲んだりして楽しい出会いもあるのだが、こうなるとひたすらテントの中で時間をつぶすしかなく、つまらない。ウイスキーとナッツでチビチビしながら、今日も早めの就寝。
3日目(8月16日)
この日も夜中は雨だったが、明け方にはやんできた。今日は、日本最後の秘境と呼ばれる雲ノ平を散策の予定だが、昨日あきらめた水晶岳も追加することにする。重たいザックを担がないのでとても気が楽だ。
午前6時。まず、テント場から沢沿いに下って、黒部川源流に。そこから登り返すと岩苔乗越。
ここを右に行けば水晶岳、左に行けば雲ノ平だ。山頂部はガスがかかっていて時折雨になる。と思えば晴れてきて、少しだけ青空が見えたりもする。今を盛りと咲き誇る高山植物たちに癒されながら、午前8時、水晶小屋に到着。ここで雨具を着て、水晶岳へ向かう。最初は快適な稜線歩き。ご機嫌で進んでいるとピヨピヨと鳥の鳴き声。え?と目を凝らすとすぐ先にライチョウの親子がいた。ヒナ鳥は5〜6匹いる。そーっと近づいて写真をとるが、動き回るのでなかなかうまく撮れない。そのうち登山道から離れていったのであきらめて山頂を目指す。山頂直下は、それなりの岩場だったが、エイっと一登りで山頂へ。山頂は思ったよりも狭かった。記念写真を撮って、待機していると少しだけ展望が現れたりもするが、昨日の鷲羽岳と同じような状況だ。いいのだ。登ることに意義がある。(涙目)
水晶小屋まで戻り、記念バッチを購入して雲ノ平を目指す。岩苔乗越まで戻ると、今度は左に向かう。祖父岳の山頂を経由して雲ノ平へ向かうルートとなる。
祖父岳の山頂付近は、だだっ広いゴロゴロの岩場。あちこちに立つケルンが目を引く。蓼科山の山頂に似た雰囲気だ。祖父岳から下ると木道が現れて、しばらく進むと雲ノ平のテント場見えた。ここからまっすぐ下るとすぐなのだが、植生の崩壊が激しいため現在通行禁止となっており、雲ノ平へは、大きく巻くことになる。ここを進んでいると、初日のテント場で合った人とすれ違って、しばしお話。山荘の情報を教えてもらう。
いよいよ雲ノ平に入ると霧がはれて、それなりの展望となった。高い山はガスで見えないが、雲ノ平周辺の展望は素晴らしい。
正直に言うと、雲ノ平はそれほど期待はしていなかった。絶景があるわけではなく、いろんな方の写真を見ても、ただの高原台地のような印象だった。
だが、実際に行ってみると、うまく表現できないのだが、しみじみと良い場所なのだ。楽園という言葉がぴったりだ。美しく咲き誇る花々とまさに庭園のような風景。尾瀬や美ヶ原とは全く違う。自分で撮った写真を見ても全くその良さが伝わらない。不思議な場所だ。幸せな気分で山荘に到着。ここでお昼にする。食堂には靴を脱いで中に入るが、中に入って驚いた。ものすごくおしゃれなカフェなのだ。
食べ物のメニューも豊富で本格的なオーディオからJAZZが流れる空間は、とても北アルプス最深部にあるところとは思えないほど快適だった。お酒のメニューも豊富で、ぜひ今度はここに泊まって、夜じっくりお酒を飲みたいと思った。(お値段は山価格になりますが・・・)
雲ノ平を後にして、再び黒部川源流経由で三俣山荘にもどる。帰路の途中で雨が本降りになってきた。明日は黒部五郎岳の予定だが、もし雨なら、もう山を下りようと思いながら眠りについた。
4日目(8月17日)
午前3時、隣にテントを張っていたどこかの大学のワンゲル部が、ごそごそと行動を始める。「わー信じられない星空だぁ」の声で飛び起きた。
テントを出てみると、満天の星空。天の川もきれいに見え、しばし感動の時間を過ごすが、寒くて再びテントの中へ。
出発の準備をして、黒部五郎岳にピストンすることを決断する。できれば明日の下山に備えて今日中に双六小屋まで進んでおきたい。三俣のテント場に帰ってくるタイムリミットを13時に設定して、逆算してまだ暗い4時30分にテント場を出発した。
徐々に白みだす空。ヘッドランプをつけて、三俣蓮華岳方面へ歩を進める。標高を上げると、黒部五郎岳が姿を現した。日が登り、黒部五郎岳や薬師岳がモルゲンロートに赤く染まる。今までなかなか姿を見せなかった槍ヶ岳もとうとう姿を見せた。
陽が登り、朝霧がどんどん晴れていき絶景が広がる。三俣蓮華岳の稜線を進むと、眼下に黒部五郎小屋の赤い屋根が見えた。しかし、小屋までの下りが結構えげつない急登の岩場。雨上がりなので土の部分はヌルヌルだし、岩も滑りやすいので慎重に下って、小屋に到着。まだ時間も早いので水の確保だけして、早々に山頂を目指す。小屋から山頂までの標高差は、500mほど。
しばらく進むと、黒部カールの中に出た。ここは絶景だ。日が差して、朝霧が消えたので素晴らしく青い空が広がる。青い空に、白い岩肌のコントラストがとても美しい。山頂が近づくと、360度の絶景が広がる。槍ヶ岳から穂高連山、鷲羽岳から水晶岳、赤牛岳。三俣蓮華岳から双六岳。薬師岳に続く稜線に見える登山道。遠くに立山、剱岳。さらに奥に後立山連峰。そして富山平野方面は素晴らしい雲海。
言葉がなくなる。今まで、ガスの中でのイメージトレーニングしかできなかった鬱憤をすべて晴らした感じだ。山頂では360度の絶景を楽しみながら、薬師、剱や後立山をバックに記念写真を撮ってもらった。
しかし、山の天気は変わりやすい。あっという間にガスが上がってきて槍ヶ岳が見えなくなった。下山して、黒部五郎小屋まで戻ってきたときは、黒部五郎岳もガスの中だった。小屋で記念バッチを購入して帰路を急ぐ。
ほぼ予定通りの12時半、三俣小屋まで戻ってきた。小屋前で、初日にお会いした方とその山仲間の方がくつろいでおられたので、しばし山談義に花を咲かせる。こんな時間がたまらなく楽しい。
その後テントを撤収して、予定通り双六小屋に向かう。やはりテント装備を担ぐと、途端に歩が進まない。当然のごとく巻き道を進むが、地味にアップダウンがあるので疲れた足にとてもツライ。約2時間半かけて、双六小屋に到着。
もうこの日はテントではなく、小屋泊にすることに決めていた。翌日は雨予報だったので、雨の中テントを撤収するのはイヤだし、なによりまともな食事をしたかった。
双六小屋の名物は天ぷら。山深い小屋でこんなごちそうが食べられるのだから、とてもありがたい。向かいに座ったカップルの方と山の話をしながらの食事は最高に楽しかった。今日は12時間行動したので、かなり疲れていた。早々に床に就くが、ぬくぬくのお布団でゆっくり眠れるって、こんなに幸せなことなんだって、改めて思った。
窓の外からは、激しい雨の音。
5日目(8月18日)
朝4時。目が醒めても激しい雨の音。朝食を済ませても雨がやむ気配がない。
ああ、小屋泊にして本当に良かったと思いながらも、雨がやまないものかと、しばし様子を見るが、ダメそうなのであきらめて出発の準備をする。
今日は下山するだけなので、まあ天候はどうでもよいのだ。
午前6時。お世話になった、双六小屋を後にした。雨は降ったりやんだりを繰り返すが、秩父沢辺りで完全にやんだ。
わさび平小屋まで一気に下って、小休止。その後1時間弱、林道を黙々と歩いてやっと、新穂高登山指導センターまで帰ってきた。ここで下山届を出して、鍋平の駐車場まで戻る。しかし、そのためには再び登山道を200mほど登らなければならない。
ここで、ほかの人が紹介していた裏技を使うことにした。新穂高ロープウェイの第1ロープウェイを使ってしらびそ平まで登り、そこから駐車場まで下る。ロープウェイ代は400円+荷物料100円だ。12時丁度のロープウェイに乗って、駐車場に到着したのが12時35分。長かった旅が終わった。
下山後は、お気に入りの平湯の森で5日分の汗を流し、飛騨牛の焼肉定食を食べて帰路についた。
雨と霧が大半の旅だったが、最後に絶景が待っていた。スタートからいろいろハプニングもあったが、終わりよければすべて良しで最高に充実した夏休みとなりました。
しかし、テント装備の軽量化を考えないと自信なくなるなぁ・・
おしまい。
双六小屋、三俣山荘でご近所だった者です。
雲の平の回り道でも少しお話させていただきました♪
北アルプス最深部エリアの周遊はとても楽しかったですね!
双六小屋の天ぷらにもありつけたようで良かったです(笑)
お疲れ様でした!
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