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Yamareco

記録ID: 127819
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

徹夜で行く槍ヶ岳・北鎌尾根【3年連続3回目の水俣乗越ルート】

2011年08月14日(日) ~ 2011年08月15日(月)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
31.7km
登り
2,779m
下り
2,000m

コースタイム

【1日目】釜トンネル21:15〜23:29横尾23:31〜0:55槍沢ロッジ1:30〜3:28水俣乗越3:30〜5:33北鎌沢出合5:33〜5:48左右俣分岐6:08〜8:03北鎌のコル8:11〜9:22天狗の腰掛9:22〜10:00独標基部10:00〜11:26P12ルンゼ11:26〜12:17P1312:17〜13:41ニセ北鎌平13:41〜14:28槍頂上14:28〜殺生テント場
【2日目】殺生テント場5:25〜7:48槍沢ロッジ8:04〜9:11横尾9:15〜11:00駐車場
天候 14日:晴れのちくもり夜の初め1時間ほど雨
15日:(午前中)晴れのちくもり
過去天気図(気象庁) 2011年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
お盆時期だったので、ある意味人が多くいて安心できるが、独標〜頂上までよく詰まって待ち時間が多くなった・・・(特にP13や上のチムニー)

1年前と比べ、特段道に迷うような場所でもない箇所に赤布、赤テープ、ケルンなどが多数あった。
死者が多数出ているクライマーホイホイの赤×点などは理解するが、バリエーションルートにおいて、あのような迷うべくもない箇所に必要なのか??

夜中の河童橋。22時ごろ?
2011年08月15日 16:27撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/15 16:27
夜中の河童橋。22時ごろ?
真夜中の横尾山荘。23時半ごろ。
2011年08月13日 23:30撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/13 23:30
真夜中の横尾山荘。23時半ごろ。
槍沢ロッジ。ここでおにぎりを食べ、出すものを出し、コンタクトを付けて日焼け止めを塗るため約30分滞在。
2011年08月14日 00:55撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 0:55
槍沢ロッジ。ここでおにぎりを食べ、出すものを出し、コンタクトを付けて日焼け止めを塗るため約30分滞在。
2時ごろのババ平。通路もないほどのテント。はみ出したテントが河原に多数あった。
2011年08月14日 01:58撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 1:58
2時ごろのババ平。通路もないほどのテント。はみ出したテントが河原に多数あった。
水俣乗越への途中で。月明かりのおかげで明るい夜道だった。
2011年08月14日 00:21撮影 by  DSC-HX5V, SONY
8/14 0:21
水俣乗越への途中で。月明かりのおかげで明るい夜道だった。
3時半ごろ、水俣乗越着。いよいよバリエーションへ。
2011年08月14日 03:28撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 3:28
3時半ごろ、水俣乗越着。いよいよバリエーションへ。
だんだん夜が明け始め、槍が見える。
2011年08月14日 04:24撮影 by  DSC-HX5V, SONY
8/14 4:24
だんだん夜が明け始め、槍が見える。
夜明け。
2011年08月14日 04:54撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 4:54
夜明け。
こんな赤い岩が出てくれば天上沢下降も終わりに近い。
2011年08月14日 05:15撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 5:15
こんな赤い岩が出てくれば天上沢下降も終わりに近い。
もうすぐ出合。
2011年08月14日 05:22撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 5:22
もうすぐ出合。
北鎌沢出合。
2011年08月14日 05:33撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 5:33
北鎌沢出合。
右俣。
2011年08月14日 06:08撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 6:08
右俣。
岩を乗り越す。
2011年08月14日 06:57撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 6:57
岩を乗り越す。
クライマーホイホイ。右の岩に赤い×点。
2011年08月14日 07:15撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
2
8/14 7:15
クライマーホイホイ。右の岩に赤い×点。
上に見える中州状の右を抜ける。
2011年08月14日 07:40撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 7:40
上に見える中州状の右を抜ける。
北鎌のコル。
2011年08月14日 08:03撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 8:03
北鎌のコル。
碑文。昨年はプレートが落ちていたが、誰かが直した?
2011年08月14日 08:11撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 8:11
碑文。昨年はプレートが落ちていたが、誰かが直した?
先週テントを張った三俣山荘か?
2011年08月14日 08:29撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 8:29
先週テントを張った三俣山荘か?
独標出現。
2011年08月14日 08:32撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 8:32
独標出現。
水俣乗越が見える。
2011年08月14日 08:37撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 8:37
水俣乗越が見える。
なんで赤布がこんなとこに付いとんねん!
2011年08月14日 08:38撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 8:38
なんで赤布がこんなとこに付いとんねん!
誰や、ロープ付けたんは・・・!
2011年08月14日 08:57撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 8:57
誰や、ロープ付けたんは・・・!
上から。
2011年08月14日 09:02撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 9:02
上から。
天狗の腰掛。一昨年のビバーク地。
2011年08月14日 09:22撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 9:22
天狗の腰掛。一昨年のビバーク地。
天狗の腰掛を振り返る。
2011年08月14日 09:28撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 9:28
天狗の腰掛を振り返る。
先行者。
2011年08月14日 09:32撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 9:32
先行者。
独標トラバース道。
2011年08月14日 09:59撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 9:59
独標トラバース道。
入口。スッパリ切れ落ちている。
2011年08月14日 10:12撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 10:12
入口。スッパリ切れ落ちている。
トラバース道。
2011年08月14日 10:14撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 10:14
トラバース道。
振り返る。
2011年08月14日 10:20撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 10:20
振り返る。
逆コの字の手前
2011年08月14日 10:22撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 10:22
逆コの字の手前
有名な逆コの字。
2011年08月14日 10:23撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 10:23
有名な逆コの字。
その先にある壁。真ん中を進む。
2011年08月14日 10:24撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 10:24
その先にある壁。真ん中を進む。
チムニーを上から見る。
2011年08月14日 10:33撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 10:33
チムニーを上から見る。
子槍を従えた槍が見える。
2011年08月14日 10:47撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 10:47
子槍を従えた槍が見える。
更に大きく。
2011年08月14日 10:48撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 10:48
更に大きく。
単独行だと自分が入った写真がなかなか撮れない・・・
2011年08月14日 11:08撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
3
8/14 11:08
単独行だと自分が入った写真がなかなか撮れない・・・
待ってろよ、頂上・・・!
2011年08月14日 11:21撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 11:21
待ってろよ、頂上・・・!
昨年のビバーク地。
2011年08月14日 11:32撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 11:32
昨年のビバーク地。
P12を振り返る。真ん中のルンゼを下降。
2011年08月14日 11:37撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 11:37
P12を振り返る。真ん中のルンゼを下降。
これから行くP14〜P15。
2011年08月14日 11:59撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 11:59
これから行くP14〜P15。
ザレていやらしいP13。渋滞して30分ほどロス。左側のボッコリとした岩の真ん中にあるクラック部を登る。
2011年08月15日 16:29撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/15 16:29
ザレていやらしいP13。渋滞して30分ほどロス。左側のボッコリとした岩の真ん中にあるクラック部を登る。
上から。
2011年08月14日 12:27撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 12:27
上から。
いよいよ頂上へ。
2011年08月14日 13:51撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 13:51
いよいよ頂上へ。
真ん中左に人がいるのがわかりますか?
2011年08月14日 14:13撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/14 14:13
真ん中左に人がいるのがわかりますか?
上のチムニー。
2011年08月15日 16:29撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/15 16:29
上のチムニー。
上から見たところ。
2011年08月14日 14:45撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 14:45
上から見たところ。
1つ前の写真のところから見える木の杭の場所から首を90度右に向けると見える景色。頂上がすぐそこにある。
2011年08月14日 14:47撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
2
8/14 14:47
1つ前の写真のところから見える木の杭の場所から首を90度右に向けると見える景色。頂上がすぐそこにある。
14時半ごろ、頂上制覇。
2011年08月14日 14:56撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 14:56
14時半ごろ、頂上制覇。
案の定、下りは渋滞・・・
2011年08月14日 15:10撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/14 15:10
案の定、下りは渋滞・・・
翌朝、殺生のテン場にて。
2011年08月15日 05:13撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
2
8/15 5:13
翌朝、殺生のテン場にて。
2011年08月15日 05:24撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/15 5:24
2011年08月15日 05:40撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
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8/15 5:40
2011年08月15日 05:47撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
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8/15 5:47
槍。
2011年08月15日 05:58撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
1
8/15 5:58
槍。
天狗が原分岐
2011年08月15日 06:32撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/15 6:32
天狗が原分岐
大曲まで戻ってきた。
2011年08月15日 07:04撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/15 7:04
大曲まで戻ってきた。
槍沢ロッジ。
2011年08月15日 07:48撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/15 7:48
槍沢ロッジ。
横尾。
2011年08月15日 09:11撮影 by  Canon IXY DIGITAL 910 IS, Canon
8/15 9:11
横尾。

感想


【釜トンネル〜上高地〜横尾〜大曲〜水俣乗越】

 ここまでは一般道です。私は自転車で釜トンネルから入り、真っ暗な道を横尾まで進んでデポ、夜道を1人で水俣乗越まで登りましたが、特段真夜中でも道に迷うような箇所も滑落するような箇所もありません(但し街灯もない登山道を夜中に歩くのは、すごく不気味ですが・・・)。


【水俣乗越〜北鎌沢出合】

 下り始めも踏み跡がシッカリついているので真夜中でも迷うことはありません(ものすごい傾斜ですが)。樹林帯を抜けるとじきに雪渓が現れるのでクレバスやシュルンドに落っこちることのよいよう最端部を歩きます。
 雪渓を過ぎるとガレ場になります。沢を下るだけなので道に迷うようなことはないでしょう(けど1年前にはなかった赤布などがあった)。やがて赤茶けた岩が出てきて、左岸に大きな岩や木が見えてきたら(どういう岩&木かは写真参照)北鎌沢出合です。


【北鎌沢出合〜北鎌のコル】

 登ってしまえばあまり感じませんが、ココは実は北鎌の核心部分の1つです。つまり遭難者の半分以上は実はココで発生している気がするからです。
 10分ほど登ると左俣と右俣に分かれますが、ココではメインの沢ではない方の沢である右俣へ行きます。昨年はココで左に入って遭難者が出ています。
 またここで槍ヶ岳山荘までの水を汲みます。実際は時期によっては右俣でももっと上で水を汲める可能性はありますが(今回もプラティパスに汲めるほどではないがノドを潤す程度の水は出ていた)、その時々によってどこまで出ているかわからないし、心配しながら登るのもイヤならココで水を満たすべし、です。
 北鎌沢は「とにかく右へ行く」とか「あまり忠実に右へ行くと行き詰る」とか色々言われていますが、とにかく前半は出合から見えるコルまで突き上げている沢筋通りに行くことがポイント。北鎌沢下半分まではとにかく登りながらも度々上を見上げて沢筋を確認し、その沢筋に忠実に上がれば迷うことはないと思います。
 中間点ぐらいまで来ると、北鎌沢出合で見かけた風景とはだいぶ異なってきますんで、今度目印になるのは起伏状になった樹林帯です。ポイントはここの「右脇を通り抜ける」ことです。この手前で左に入る沢に入っていく人もいるようですので要注意です。
 コルまでもうすぐかな、というところで右へ分け入る、割と大きめの沢があります。ここが昨年も遭難者を出し、これまでも数多くの死者を出している、「クライマーホイホイ」と呼ばれる沢だと思います(昨年はなかった赤ペンキの×マーク有り)。普通に見ればとてもコルに向かっているようには思わないのですけど、とかく北鎌沢は「右へ右へ」と呪文のように唱えられているので、ここを右に行く人もいるようですが、ここでハマるととんでもない急峻な岩場と格闘することになるみたいです。行く前はどんなルートか興味があったので今回見てみたい気持ちに駆られましたが、現場に行くとそんな肉体的・精神的余裕はなく、サッサと正規ルートを登りました。
 目印にしていた起伏状の樹林帯を右に進み、やがて沢筋の道が草付き状になってきたら北鎌のコルまでもうすぐです。中央の岩稜帯というか岩場に乗るとほどなく北鎌のコルに到着します。


【北鎌のコル〜天狗の腰掛〜独標】

 尾根歩きはこれからです。技術的にはともかく、体力的には北鎌沢登り&ココが核心部分と言っていいでしょう。
 ここから天狗の腰掛まではハイマツ帯を行く形になります。初めて北鎌を狙う人は北鎌沢出合からコルまでの北鎌沢の登りがキツイことは事前学習されている方が多いと思いますが、意外にこのコルから天狗の腰掛の登りも300〜400mぐらいは登るので、北鎌沢を詰めたあとの予想していなかったこの登りは結構キツく感じます。
 私のようなヘタレ山ノボラーだったら天狗の腰掛までの間で1ヶ所だけ「この岩壁はどうやって登るの?」と思えるところがありますが、ハイマツを頼ってクリアします(今年は昨年までなかった赤ロープがあった。誰だ、あんなモノを付けたのは・・・)。
 ここから独標まではアップダウンしながら行きます。独標のトラバースの入口は縦に大きな岩の部分なので、そこと現在地を線で結んで登れそうなルートを探し、トラバースルートに取り付きます。
 取っ掛かりの部分には有名な緑のフィックスロープが張ってあります。足元はスッパリですが、気をつければクリアできます。
 フィックスロープを過ぎたあとは特段なんてことのない “普通の登山道”です。独標を横から見ると下って登り返すような形でこの独標のトラバースルートは進みます。
 やがて有名な逆コの字の出っ張った岩がありますが、注意していないとその場所と気づかないまま通り過ぎてしまいます。
 しばらく行くとチムニーに到着。チムニーを登りきったところにあるスラブ状の岩を稜線に向かって登ります。あとはひたすら登って稜線に出ます。これで独標のトラバースルートは終わりです。


【独標〜北鎌平】

 ここから北鎌平までが北鎌尾根の最大の核心部分であります。色々な人が色々なブログを書いていますが、たとえばP11と言っても人によって対象としているピークが違っていたり、逆に同じピークの写真なのにPの数字が違っていたり・・・
 昨年もどれがPいくつなんだか、よくわからなかったのですが、今もってよくわかりません(笑)。ただココの歩き方が所要時間に大きく影響を与えるので、ルートファインディングをしっかりとしましょう。
 いわゆるP12?は過ぎてから振り返ると岩の上部に穴が開いたように見えるのでそれとわかりますが、いつも通り過ぎるまでは穴が見えないので事前にはよくわからない・・・(笑) 前方に大砲岩が見え、白くてモロそうなP13が見えてきます。P13は今回はお盆休みとあってかなりの人が登った後だったからか岩も固かったですが、梅雨明け直後あたりのあまり人が通ってない時期はボロボロですので要注意です。
 その上にある、これまた有名な大岩を右に巻き、P14に差し掛かかります。
 P14は明瞭なトラバースルートが見えてはいるのですが、昨年同様直登しました。基本的に北鎌尾根は直登すれば何らかの踏み跡があることが多いです。
 お次のP15は毎回直登すると行き詰ると聞いていたのでトラバースしました。このあたりでガスが出始め、ここ数日午後は雨らしいので先を急ぎ、北鎌平も巻いて頂上への稜線にワープしました。


【北鎌平〜槍ヶ岳頂上】

 さて、ここまでくればあとは槍の穂先を目指すのみです。バリエーションルートなので正しいルートなどありませんから穂先を目指して登れるところを登りますが、ココも基本的には稜線通しがいいと思います。イメージはハサミ岩のところから右に遡上する感じで登ると、自然に下のチムニーに辿り着きます。少しでもラクしたいので、さっさと右から巻き、上のチムニーへ。
 上のチムニーは溝の部分ではなく、その右側の岩壁を登るような感じで登ります。登るとすぐ左脇には木の杭が見え、杭のところまで来て右を向くと、手が届きそうな場所に槍の頂上が見え、人がたくさんいるのがわかります。ここまで来ればあとは10団度で頂上ですので、感情を込めてフィナーレを迎えて下さい(笑)。


【総評】

 北鎌はとにかく岩登りの技術とか云々の前にまず体力勝負です。私のように徹夜して長時間歩く必要性は全くありませんが、それでもザックを長時間背負ってキワドイ道を歩き続けられる体力が必要です。
 ポイントとなるのは荷物の軽量化でしょう。昨年も今年も私は32箸離競奪に1kgを切るテントや300g程度のシュラフなどを入れて挑みましたが、荷物は迷ったら&無くてもなんとかなるなら持っていかない(今回もエアマット、ストーブ、コッフェルなどは省いた)という思い切りも大切です。それにその程度の大きさのザックに収納することができないと私みたいなオッサンにはキツイと思います。
 ツェルトでもいいと思いますが、稜線上は風が強いので昨年のように夜中じゅう倒れないか心配で寝られないのもイヤでしたし今回もテントにしましたが、テントにするかツェルトにするかはその人の技量・経験と好みで判断して下さい。

 あと必要なのは尾根上でのルートを見極める力。特に独標〜北鎌平間ですね。直登できるルートはできるだけ登り、直登できないとなれば巻き道を行きますが、基本的に巻き道と呼べる道はごく一部を除いて全部千丈沢側です。
 あと単独で、しかも北鎌に初めて行く人などは、純粋にルートファインディングを楽しみたい人を除き、色々な人のブログを参考に情報を仕入れておくことが重要です。ま、あまり情報を持ちすぎると何のためのバリエーションルートかってことにもなりますが・・・ またガイドさんや経験者と一緒に行くと、それこそ何のためにバリエーションルートに来ているのかわからなくなるので、単独もしくは初体験者だけで行くと制覇した時の感動も一層大きいです。

 私個人は今回で北鎌は一旦卒業しようと思います。やはりこのレベルの山は自分の技量を超えていると思いますので、今後は危険度が少なくロケーションの良いコースの山歩きをしたいと思います。

 北鎌尾根は、一般登山道に比べれば遭難率は格段に高いと思います。水俣乗越から槍ヶ岳までの間には山小屋はありませんから基本的にテン場、水場、トイレなどはなく、槍ヶ岳の穂先を含めて危険箇所にクサリ・ハシゴはありませんし、道標やペンキマークもありません。
 北鎌のレベルになるともう完全に自己管理・自己責任の世界です。無理なく慎重に計画を立て、楽しい山行にしましょう!

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コメント

納得!
同じ日に北鎌から槍ケ岳登頂しました

っと言ってもいっぱいいっぱいで逆コの字がどこにあったのかさえ分かりませんが

北鎌はルーファイと体力と軽量化、深く頷きました
シュラフを持たずに50リットルのザックいっぱいにして20キロ超
へばるのも当たり前ですねぇ

自分の写真とも照らし合わせながら、次回へ繋げて行きたいです
2011/8/18 23:48
hirappeさん
おはようございます。

あの日はお盆休み真っ盛りだったのでかなりの人がいましたが、どこかでお会いしていたのでしょうか?

あのルートはやっぱし1に体力、2にルートファインディングではないでしょうか。
それをサポートするためには軽量化が重要かな、と。
体力のない私は水・食料抜きで6kg以内に抑えました。

同じ日の北鎌レポ、お待ちしています。
2011/8/19 7:49
ありがとうございます
BIMOTAさん、返信ありがとうございます!

コースタイムを拝見すると、わたし達の出発時間よりも早いのでお会いできていないと思います。
反省するところが多く、いつかリベンジしたいと思っています。槍ヶ岳からの下山はヘッ電使っちゃいましたしね。。

時間かかると思いますが、レポまとめます
大いに勉強させていただきました☆
ありがとうございます!!
2011/8/19 14:44
hirappeさん
私も1回目は死に物狂いでした・・・
果たして生きて戻れるのか・・・と(笑)。

2回目の昨年は、1回目の反省を踏まえて「上のチムニーを自力でクリアする」「北鎌平を踏む」「写真・動画をたくさん撮る」「軽量化してラクに登る」「2泊3日ではなく1泊2日で北鎌をクリアする」という5つの課題を事前にまとめてチャレンジし、全てクリアしました(3回目の今回は特に課題ナシですが・・・ 笑)。

次回のチャレンジでは今回の反省を活かしてリベンジさせて下さい。
今回のレポ、楽しみにしております。
2011/8/19 20:59
BIMOTA さん^−^
こんにちは、ご無沙汰しております。

3度目ですか
詳細なレポを有難うございます。
(これから行こうとしている方には、おそらくすごく有益なのでは 

バリエーションルートと呼ばれるコース(・・と言っていいのか判りませんが)は
全く未知の領域ですが、読んでいて面白いです。。

一般ルートから見える風景とは、全然違ったお写真達
とても新鮮で面白いです。
またお邪魔させて頂きますね。
有難うございました〜〜^▽^
2011/8/21 10:29
詳しいレポ参考にさせていただきます
始めまして、kaitoといいます。
何十年も?あたためてきた北鎌、9月の連休あたりねらってます。
かなり歳をくってしまい、このあたりでやらないと行けなくなりそうなので。
BIMOTAさんの記録、初チャレンジの時から何回も拝見させていただいてます。
ところで、BIMOTAさんの単独、もしくは初体験同士でいく云々には多いに納得です。
経験者に連れられて行ったのでは登ったうちにはいらない。
雪山で他人のトレースを辿った登山もしかり。
このところ、交通費を浮かせる為に仲間を募って行く機会が多いのですが、その方達の喜びを奪っている気もしていいて、いいのかなと疑問にも思っているところです。
2011/8/21 14:43
ittiさん
私の北鎌の山行記録は、自分自身が初めて行った時に大変不安だったことや基本的にクライミング経験もなければ体力のないオヤジ山ノボラーなので、そういうへタレな人には結構ウケるのではと密かに思っていますが・・・(笑)

先日行かれた大キレットも北鎌も、一部を除いてはルート上の難易度はそう大差ないような気がしますので、ぜひチャレンジして下さい!

けどチムニー等の岩登りが数箇所あるのと、やはり「今、自分の歩いている道が正しいのか?」という不安がつきまとうのが大きな違いでしょうか・・・
2011/8/21 15:07
kaitoさん
北鎌は9月ぐらいが一番いいのかもしれません。
暑くないので水の消費も少ないので、たくさん担ぎ上げなくてもいいですから。
けど日が短くなるのと、シルバーウイークは人が多いのが難点ですね。

北鎌は最近ポピュラー化していますが、でもバリエーションには変わり有りませんので、やはり行くからにはバリエーションルートを愉しんだ上で制覇しないと意味がないと思うのです。
ガイドさんに連れられたり、経験者の後ろを歩くのでは、それは単に北鎌に行ったというだけでバリエーションを経験したことにはならないと思うんですよね・・・
まあ私も最初はガイドさんに連れられてでも行きたい!と1回目に行くまでは考えていたので、偉そうなことは言えませんが(笑)、行ってみてそう思うようになりました。

私も2年前に北鎌へ行ったのは「今行かないと一生行けない」という思いからでした。
達成感のある素晴らしい山行となるようご祈念しております。
2011/8/21 15:16
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