幌尻岳【日本百】熊対策付!憧れ七ッ沼カールに幕営して最難関に登頂し、百山制覇に王手(チロロ林道からピストン)


- GPS
- 25:56
- 距離
- 33.4km
- 登り
- 2,717m
- 下り
- 2,710m
コースタイム
- 山行
- 5:58
- 休憩
- 1:23
- 合計
- 7:21
- 山行
- 6:25
- 休憩
- 3:13
- 合計
- 9:38
天候 | 8/11(土);☂️後霧 8/12(日);🌞時々⛅️ 8/13(月);霧後⛅️下山後☂ 気温は登山口で20℃程度、稜線上で日中15〜20℃、早朝10〜15℃程度(体感)で 久しぶりに涼しい登山でした。 |
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過去天気図(気象庁) | 2018年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
飛行機
妻;8/10 11:00羽田空港→12:35新千歳空港 新千歳空港からはレンタカー利用 チロロ林道;凹凸少なく走りやすい。幅も1.5車線程度ですれ違い以外は問題ない。 駐車場;15台程度可能。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
▼GPSログマップおよび写真参照。GPSログは往復2本のラインが重なっているところは精度が高く誤差がほとんどないと思います。 ▼取水ダム〜二の沢出合 ・赤テープに従ってトレースをたどりますが、この区間が全コース中で一番不明瞭と感じました。両側の草もかぶさっていて煩わしい感じでした。皮膚に触るとかぶれるように痛い草があり、その草はストックでたたき切って歩きました。 ・途中、飛び石伝いの渡渉とその後の河原歩きがあり、その部分はちょっとわかりにくいかもしれません。 ・下りでは林道(取水ダム)にでる手前で、登山道をまっすぐ行くと河原に出てその先で沢が渡れず、行き詰ります。少し道を戻ってよくよく探すと山側へ入る踏み跡が草の中にありますのでこれをたどって林道にでます。(マップ&GPSログ参照) ▼二の沢出合〜尾根取付き点 ・渡渉部分以外ははっきりした登山道です。 ・渡渉ポイントには赤テープがあり、これをたどれば前日から雨で少し(帰りに比べて)増水していたようですがしたが問題なく(靴中をぬらさず)岩伝いに渡れました。ただし、滑りやすい濡れた岩、水流れがかぶっている丸い石、とがった岩を足場にすることも多く、バランス感覚と滑りにくい靴底が必要です。 ・途中笹がうっとおしい場所がありました。 ▼尾根取付き点〜トッタの泉〜ヌカビラ岳 ・明瞭な1本道ですが、全体にとても急です。 ・登り始めの最初は小尾根上に出るまでロープがあります。 ・滑りやすい土の急斜面で踏ん張りがきかず、両サイドの笹や木につかまって登下降しました。 ・標高1250m付近と1400mトッタの泉、ヌカビラ岳の手前の最初の小ピークに、1張ずつのテントスペースありました。 ・トッタの泉の湧き水は500cc汲むのに20~30s位の流量でした。 ▼ヌカビラ岳〜北戸蔦別岳 ・ハイ松や灌木の枝がかぶさっているところも少なく、アップダウンも緩くてあるきゃすい道です。 ▼北戸蔦別岳〜戸蔦別岳 ・北戸蔦別〜幌尻山荘分岐は稜線上のルート中では一番は道が細く、歩きにくいところです。道はしっかりていてもハイマツの枝で地面が見えないところや、戸蔦別カールの淵の痩せた岩稜伝いなので、岩場の小さなアップダウンがあり、時間がかかります。 ・幌尻山荘分岐〜戸蔦別岳は少し歩きやすくなります。 ▼戸蔦別岳〜幌尻岳 ・北戸蔦別岳〜戸蔦別岳と似ていますが、道は明瞭でこっちの方が少し歩いやすいです。アップダウンは少し大きいです。 ・幌尻岳の肩ヘの急登はハイマツが伸びて鬱陶しく、一部背丈位のところもあります。 ▼七つ沼カール分岐〜七つ沼 ・下りはじめはとても急で、道も踏み固められていなくて歩きにくい(砕石を落とさないように注意が必要)です。 ・カール地形なので底に近づくにつれて緩やかになり、お花畑の中を下っていきます。 ・池の手前は笹薮で、腰や胸までの高さの笹をかき分けて行きます。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
1/25
000地形図コピー
ガイド地図コピー
コンパス
笛
筆記具(メモ帳
ボールペン)
ティッシュ
タオル
携帯電話
計画書
レインスーツ&傘
ダウンジャケット
スパッツ
手袋小
ストック1
ビニール袋
替え衣類
エアマット
シュラフ
ザックカバー
クマよけ鈴
時計
日焼け止め
保険証
お金
カード
|
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共同装備 |
熊撃退スプレー
おもちゃの火薬ピストル
テント本体
銀マット
テントポール
フライシート
EPIガスコンロ
ガスカートリッジ
コッヘル&食器セット
ライター
ポリタン折りたたみ式
テルモス
ラジオ
予備電池単3
医薬品
ファーストエイドキット
マグカップ
スポンジ
ペグ
ナイフ
箸
スプーン
|
備考 | 【ヒグマ対策について】 持って行ったが使わずに済んでよかったものなので、記載しておきます。 〃Х眤爛好廛譟 なんといっても最終手段の必須アイテムです。ヒグマにはヒグマ用の強力なものが必要です。ネットで調べると何種類かあります。1万円前後。 今回は、 https://www.amazon.co.jp/RANGS-%E7%86%8A%E6%92%83%E9%80%80%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC-%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B9%E4%BB%98%E3%81%8D/dp/B00CIRFYKE/ref=sr_1_8?ie=UTF8&qid=1534752310&sr=8-8&keywords=%E7%86%8A+%E6%92%83%E9%80%80 を購入しました。 以前大雪山の高原沼に行ったときは、 https://www.amazon.co.jp/OUTBACK-%E7%86%8A%E6%92%83%E9%80%80%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC-%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC-%E7%86%8A%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC-%E6%AD%A3%E8%A6%8F%E8%BC%B8%E5%85%A5%E5%93%81/dp/B015E2FJB8/ref=sr_1_20?ie=UTF8&qid=1534752310&sr=8-20&keywords=%E7%86%8A+%E6%92%83%E9%80%80 を持っていきましたが、これは奥秩父のシャクナゲの藪と格闘しているときに無くしてしまいました。 ザックへの固定方法は、熊に遭遇した時に手探りですぐに取り出せる位置として、ショルダーの胸の位置に付属のスプレーホルダーのベルト通しを使ってバリバリテープ2本で固定しました。 自宅から北海道への持ち込み方法は、飛行機には当然持ち込めないので、宅急便で送るしかありませんが、バッテリー類と一緒に陸送を指定して、スプレーの取説に書いてある通りに梱包して送りました。(運送会社に言うとスプレーはダメ、と言われるので、特に言いませんでした。アマゾンで発注しても宅急便で送られてくるので、陸送指定で取説通りの梱包なら問題ないかと思われます。) 百均で売っている火薬で音がするピストル この破裂音と、火薬のにおいが熊は苦手、とのことで、持っていきました。誰もいない河原や山頂、天場で時々鳴らしていました。 同じく爆竹も効くとのことですので、現地で調達するといいかもしれません。 7鈴 当然持って行き、行動中時々これを振ってわざと大きな音を出しながら歩きました。 ぢ臉 歩きながらいそうな雰囲気のところ、見通しのきかない所では「こんにちはー」等と大声で合図を送りながら歩きました。 ニ覬 ゴミ(特に残飯や飲食物の付着したもの、においのするもの)は絶対にテント外においてはいけませんし、密封してにおいが出ないように保管します。もちろん捨てずにすべて持ち帰ります。米粒1つ、汁1滴たりとも残してはいけません。 |
感想
お盆休みの8/10~18の9日間、北海道ツアーに行きました。
目的はあと2つ残っている未踏の百名山の一つで、百名山中の最難関、幌尻岳登頂です。
幌尻岳とそのすぐ下に広がる七つ沼カールは、到底行くことができない困難なやまとして、学生時代からの憧れでした。
当時はまだ百名山ブームもなく、一般道はなくて登る人も稀で、
ヒグマの棲家として知られていました。
それからかれこれ35年以上たち、百名山を目指す老若男女が少し渡渉すれば登れるまでに身近にはなりましたが、今度は幌尻山荘の予約が難しく、山荘付近は幕営も禁止なので、高速日帰り以外は難しい(妻を連れては無理)山でした。
しかし数年前に調べてみると、昔はなかった北側のチロロ林道から北戸蔦別岳経由の登山道があり、水場は途中のトッタの泉から担ぐ必要があるものの、北戸蔦別岳で幕営可能とのことでしたので、ここから登ることにしました。
計画したのは3年くらい前でしたが、今年ようやく実現することにしました。
ところが出発直前になって突然台風13号が発生、8/10のフライトが心配されましたが、台風は幸い前日に通過し、無事に北海道へ渡ることができました。
しかしこの台風と次の14号の影響で天気はどんどん悪化。北海道滞在中で
晴れが予想されるのは8/12,13の二日間だけとなりました。
計画は8/11から登山開始し12日に登頂だったので、11日は雨でしたが
予定通り出発しました。結果的には下山した13日も霧(下山直後から雨)だったので、晴れたのは登頂した12日のみでしたが、晴れた日に登頂できたのは本当に
ラッキーで、35年越しの登頂に対する天からの贈り物、祝福だとおもいました。
山と高原地図には、幌尻山荘経由も、このチロロ林道からの道も一般道として実線で記載されていますが、途中までは沢沿いの登りで橋がなく、渡渉が必要な点で、他の山域の一般道とは明確に異なります(渡渉が必要な登山道は一般道とは言えないと思いますので、山と高原地図には破線への変更を要望したいところです)。
幌尻岳へは一般的には幌尻山荘経由で登るのですが、今回使ったチロロ林道からのコースも、コンスタントに登られてはいるので、事前にヤマレコで状況を確認しました。迷いやすい、赤テープが分かりにくい、渡渉点が分からない、足を降らして渡った、等々書かれている記録も多く、1人ならなんとでもなりますが、妻を連れて行くのでとても心配でした。そして台風の影響で前日からの雨の中を登ることになり、靴の中を濡らしての渡渉を覚悟して(妻も)の登山開始でした。
しかしながら、実際に行ってみると、道は思いの外に明瞭で、登りでは渡渉点も含めて迷うことなく、渡渉も飛び石伝いで靴の中まで浸水することなく、順調に登ることができました。普段関西や中国山地の人が少ない藪山でルーファイ技術を鍛えているので、とても分かりやすいと感じましたが、もちろん日本アルプスや奥多摩、丹沢、上越等の分かりやすいくて道標完備、橋完備の登山道と比べると圧倒的に難しく、そういう山にしか行ったことがないと迷うことはあると思われます。
この区間で苦労したのは、両側から覆いかぶさる雑草や大きなラワンブキ、笹、灌木の枝、ハイマツ、等でした。沢沿いの登りでは暑くて小降りだったので、レインジャケットは着ませんでしたが、背丈を超える濡れた枝や草でびしょぬれになりました。
また、沢を離れてヌカビラ岳の登りになると、アルプスだったらロープがかかるような滑りやすい急登が終始続き、しかも枝が張り出して大きなザックに引っかかり、しばしば押し返されたりバランスを崩したりしました。
そして極めつけはトッタの泉から2泊分の水を背負っての超急斜面400mの登り。これは流石に足に来ました。森林限界の梯子の下に出ると止むと思っていた雨が強く打ち付けてきて、身も心も折れかかりました。
しかし幸いにしてヌカビラ岳登頂するころから小雨になり、素晴らしいお花畑に迎えられて、何とか北戸蔦別岳の手前の幕営可能地点へ到着しました。
翌2日目はいよいよう幌尻岳登頂し、七つ沼カールに幕営予定。
天気予報では朝から晴れるはず、ご来光を北戸蔦別岳で見るために
3時前に起きて外を見るとまだガスっていて晴れるけ気配なく、ご来光は諦めで
もう1時間寝ることにしました。で1時間後に起きてみるとなんとガスが上がって
真正面に幌尻岳とご対面しました。
慌てて朝食を済ませて出発しましたが、またガスってしまいました。
しかし北戸蔦別岳を下り始めるとすぐに晴れはじめ、待望の青空が広がりました。
ちょうどトッタベツのカールの上のお花畑に差し掛かったところで、素晴らしい展望に思わず叫んでみると、見事なやまびこが返ってきました。
お花も北海道固有のものが沢山咲いていて、とうとう憧れの秘境日高の主稜線に来たことを実感させられました。
戸蔦別岳ではまたガスられましたが七つ沼カールへの分岐に向かって下ると次第に晴れてきて、七つ沼カールが全貌を現しましたが、ほとんど干上がっていて驚きました。空を反射して青く輝く沢山の沼を想像していたのでちょっとがっかりでした。
七つ沼カールへの分岐からはカールの淵の絶壁の上を歩く険しいアップダウンが続き、予想よりも時間かかかりましたが、ハイマツをかき分けて肩への急登を登りきると再びきれいなお花畑が広がる斜面となってついに幌尻岳に登頂しました。
この日はお盆連休の真っ最中なので、予想外の人で賑わっていて、秘境感は全くありませんでしたが、あの無理だと思っていた幌尻岳なんだと思うと感無量でした。
日本百名山はこれで99座目、残りはいつでも登れると後回しにしてきた恵那山のみでいよいよ全制覇へ大手となりました。(ちなみに妻は他にも丹沢山と空木岳と焼岳ですが、今年中に丹沢山以外は行く予定)
この日の幕営地、七つ沼カールも絶対行くことのできない山上の別天地として学生時代から憧れていましたが、ついに泊まることができました。心配していたヒグマがでる気配はなく(遭難捜索ヘリがとびまわったおかげか)行ってみればどうということはありませんでした。池は干上がっていて、湧水も枯れていて、イメージとはちょっと違っていましたが、トッタの泉から担ぎ上げた水だけでは足りない可能性があったので、水を探して枯れた池を散策しました。枯れていたのでどこでも歩けて普段行けないところへも行けたおかげで、稜線とは違う花々に出会うことができました。
結局飲み水は見つかりませんでしたが、妻も3L近く担ぎ上げてくれたおかげで、何とかトッタの泉から持ってきた水だけで足りました。翌朝食はあまり水を使用しない簡素なもので済ませ、帰りにトッタの泉で昼食にラーメンを食べました。
チロロ林道までの下りは登りの時よりも水量が減って渡渉もし易くなり、思ったよりも早く下山できました。下山後、入山前日の泊まった日高町の沙流川温泉ひだか高原荘に空きを確認すると、夕食無なら泊まれるとのことで、再びお世話になりました。ここへ着く前に雨が降り始め、その後8/17の夕刻まで降ったりやんだり、時には土砂降りが降り続いたりの悪天が続きましたので、貴重な晴れ間にタイミングよく登頂できて本当についていました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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チロロ林道からの登山報告、詳しく分かりやすく、かつ客観的でとても参考になります。文字情報、写真の情報とも、その量がとてつもなく多くて、びっくりするほどです。アルプスとの比較も、北海道のことしかほぼ知らない自分としては、なるほど〜、そうなのか〜と思いながら読みました。晴れ間に山が見えて良かったですね。お疲れさまでした。
brianmayさん、こんばんは
記録拝見しました。
日帰りでの北戸蔦別岳登山は結構きついと思います。
お疲れさまでした。
登頂時に天気にまずまず恵まれたのは本当にラッキーでした。
その後、コース状況や熊対策等を追記しましたのでこちらもご覧ください。
コメントありがとうございました。
shigetoshiさん、こんにちは。
遠征でしたか
稜線や7つ沼カールの写真、素晴らしいです。
貴重な晴れの日がベストのタイミング、お二人
とも普段の行いがよいからでしょうか
自分もいつかと思いますが、はたして登る
機会があるか??
下山途中のラーメン、美味しいですよね。
私もテン泊の時はよくやります。
youtaroさん、こんばんは
長いこと97座で留まっていて、昨冬にスキーで焼岳に登頂して98になり
今回とうとう大手をかけることができました
この勢いで一気に残りの1座恵那山も片づけたいと思います。
今回北海道はずっと天気悪かったので、普段の行いがいいかどうかは
分かりませんが、
結果として当初の計画通り日程変更することなく旅行できたので、
よかったと思っています。
2週間前の台風の時には白馬登山がキャンセルになって残念だったのですが、
その後、いつも必ず赤になるついていない信号が、逆に必ずいいタイミングで
青に変わるようになったり、直前の台風が早まってギリギリ回避
できたりと、ツキは向いてきたようです
youtaroさんも毎年夏に実家に戻っているので、
北海道にいるのかと思っていましたが、今年は帰らなかったのですね
shigetoshiさん
今年は7/5から7/10の日程で帰省していました。
晴れたのは一日だけでした
そのため、山登りはなし。。。
そうでしたか
どうりでレコがないから帰省したかどうかわからなかったんですね。
今年の北海道はあまり天気よくないですね
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