峠二つ越え黒部横断。針ノ木岳・蓮華岳、其々


- GPS
- 25:44
- 距離
- 47.5km
- 登り
- 4,058m
- 下り
- 3,984m
コースタイム
- 山行
- 7:02
- 休憩
- 0:49
- 合計
- 7:51
- 山行
- 6:47
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 7:57
- 山行
- 7:12
- 休憩
- 3:23
- 合計
- 10:35
中ノ谷は下部に通過不可能な滝とゴルジュあり、高巻き技術が問われる。
五色ヶ原は花の盛り。ここも沢のようなので、じゃぶじゃぶ前提の沢靴が望ましい。
【タイム(macchan90)】
●7/26;自宅発(155)一日市場駅(611)扇沢(725-800)針ノ木峠(1150-1200)針ノ木岳(1230-50)針ノ木峠(1315【米氏1400】-1420)針ノ木谷出合泊(1550)
●7/27;起床(350)発(530)船窪岳分岐(550)南沢出合(720-835)平ノ渡場(910-1020)対岸(1030)中ノ谷出合(1050)連瀑入口(1100-1130)高捲終わり(1205)cont1800泊(1330)
●7/28;起床(410)発(540)ザラ峠(725)五色ヶ原山荘(800-25)苅安峠(940)平乃小屋(1020-50)中ノ谷出合(1111)遭難現場(1155/1400-08【ヘリ搬送】)御山谷(1515)タンボ沢(1540)黒部ダム(1615)バス乗車(1635)扇沢(1700)豊科駅(1900)自宅着(2311)
過去天気図(気象庁) | 2019年07月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
船
|
ファイル |
(更新時刻:2019/07/31 03:37)
|
写真
装備
MYアイテム |
重量:-kg
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個人装備 |
ノコ
沢フェルト底タビ
ノー登山靴
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共同装備 |
四畳半タープ
鍋
ノーザイル
ノーヘル
ノーテント
|
感想
【あらすじ】
佐々成政黒部横断ルートを沢でつなぎたいという松のビンテージプラン。核心は、記録稀少の中ノ谷。
ザラ峠からは獅子、鬼、龍王越えて立山参拝の予定だったが台風の影響伸びて稜線行動を避け、エスケープの五色ヶ原→平の小屋へ。
帰りの黒部湖畔の急斜面で滑落男性を発見し、救助要請、2時間で富山県警ヘリが来てくれた。
それぞれの沢に満足。雨降りも、タープ下の焚き火で快適に過ごし、水墨画の仙人みたいに雨見酒の極楽浄土だった。源頭や五色ヶ原は花盛りで、見事なタイミングだった。
【1日目】
一日市場で集合。台風が来るけど、黒部山域への影響はいかに。エスケープ可能な下準備で山へ。前日遅くまで長野で仕事していたので山の準備は松本帰宅後15分で済ませた。食料もラーメンとスパだけ。具はサラミとちくわだけ。
今回は扇沢無料コーナー駐車場の方になんとか空きがあった。針ノ木谷へ。雪渓を地下足袋で歩くと、ここは長いのでさすがに冷たい。木綿の靴下をネオプレーンに履き替える。松は木綿軍足のママ。それも足袋裏のゴムがツルツルに摩耗したやつで、滑落の危機感を味わいながらの登行。冷たくてスタコラ進むのであっという間に濃霧の中、峠についた。峠では、黒部側の視界は良好。湿った空気が峠を超え、雪渓上で冷えて霧になっていたのである。
松は針ノ木へ、米は蓮華へ。ふたりとも必要なピークは別なのである。松は、針ノ木に上がる美しい沢ルートが無いとので、今回の登路で山頂を踏むことに。米は、20年前冬に針ノ木は西稜から登っているので。蓮華岳は安曇郡から見上げると圧倒的な存在感ある重鎮で、米にとっては未踏の大物山頂だ。蓮華岳があんなにコマクサに覆われているとは知らなかった。貴重な花の印象なのに、一面の砂礫地に咲き放題に咲いていて驚いた。しかもその中を4羽のトコトコ子連れ雷鳥まで。濃霧で視界は効かなかったが満足の山だった。峠で合流して針ノ木谷へ。沢底に下ったところでC1。
【2日目】
午前いっぱいは晴れ。平の渡しまでのルートはほぼ沢ルートで、登山靴ではきつかろう。我らはフェルト底地下足袋なので、沢のほうが歩きやすいくらい。途中、右岸を大きく高まくラインになるが、道と沢とのスイッチ点を外すと登山靴の人はハマるかも。でも赤い印は十分ある。針ノ木西稜下部の大岩壁を見上げる。船の時間まで間があったので手前の渡渉点の砂浜でお茶を沸かす。対岸に龍王岳がそびえている。
渡船場には我々含め7人。ほかは赤牛岳に登ってきた人が多いようだ。黒部の湖水を渡るとき、船頭さんに台風の位置を問えば、三重県あたりとのこと。
中ノ谷に入渓、広い河原が、標高1500mで両岸迫ってさしずめ大手門になっている。真ん中に玄蕃石さながらの巨岩チョックストン。これは突破不可能。はじめ右岸かと思ったが、左岸のほうがヤブが続いて、岩壁もなさそう。この先沢も右に曲がるし、越えた向こう側の下降も左岸のほうが良い、と松はいう。記録があって読んだわけでもないのに、この高巻きの段取り力はさすがだ。揺るぎなくルートを選び、ヤブを漕ぎ進んでいく。上に上がって対岸を見れば、やはりこちらが正解だったと納得する。下降も、ヤブが沢底まで続いている狭い弱点があった。将来、ハエみたいに小さいドローンを山に持ってきて、高巻きルートを検討するような時代になるかもしれないが、見もしないで高巻きの段取りが組み立てられる能力のほうがよほど尊いものだ。
沢は明るく開け、源頭の薄緑の草原も見渡せる美しいところ。雨が降る前に天場を決める。もし台風で増水したり、上部に行けなかった場合に備え、刈安峠からあまり離れない1830m付近。始め沢沿いで火をおこしたが、雨が降ったりやんだりなので、タープの下に引っ越して、かわいく囲炉裏風に焚く。これが快適で、シトシト雨の中、ポカポカと水割りを飲み続けて、日が暮れて眠る。安眠。
【3日目】
朝、月が見えた、吉兆だ。支度をしてラーメン食べて出発。清流が雪渓の下になったのが2000m付近。傾斜もゆるく、ハイスピードで上へ。コゴミの若いやつが雪渓の脇でボウボウ生えていて、むしゃむしゃ食べる。アクもなくうまい。冬眠ぐまの気分だ。上部の花畑は圧巻。ここにはほとんど誰も来ない。人跡の気配がまるでない。ザラ峠に出ると風雨が強く視界は100m以下。このあと5時間も稜線行動するのはしんどいと判断。五色ヶ原経由の下山路にエスケープする。龍ヶ岳、行って見たかったけど。エスケープの方が室堂に降りるより長時間行動になる。
五色ヶ原は花盛りだった。濃霧の中でも、このタイミングに感謝感激。小屋で雨宿りして休んだあと、水ダバダバの登山道湿原を下る。エスケしなけりゃ知らずにすんだ天国だ。開花時期がストライクだ。下るに連れ日が射したり雨も降ったり。佐々は中ノ谷を下ってきて、あのゴルジュを抜けられず、この刈安峠を越えて下ったのだ、とは松の仮説。
平の小屋で一休みしてダムへ。中ノ谷と御山谷の中間部あたりで遭難者を発見、救助要請する。
トラバース道が沢を渡るところに小さな丸木橋があり、そこから沢底を見ると15mほど下に人が座っている。声をかけても様子がおかしいので松が下って話しかける。頭から流血し顔は腫れ、血だらけで歩けそうにない。聞けば2時間ほどここにいたようだ。幸運にもここで電話が通じたので富山県警に救助要請する。もう一件赤牛方面で救助があったとのことで2時間待ちになったが、ヘリが来てくれた。その間話すのはきつそうだったが横で付き添い、座りやすくして保温のためタープなどかけてやった。救助隊員は手際よくすくい上げていった。
遭難者の停止点が、見通しの良い沢の中だったのが非常に幸いだった。この道沿いには、一見ただの道なのに万一ヨロめいて落ちたら止まらない潅木の斜面が連続している。草で隠れて見えないから怖くはないが、高度も傾斜もある。20mも落ちたら殆どの場所では道からは絶対に見えない。
その後2時間歩いてダムへ。大町の俵屋食堂は本日終了の看板だったので、松川村のたぬき食堂へ。松は名物「ゴジラのエサ」を。豊科駅で降ろしてもらって、松本行きに乗る。乾いた半ズボンとサンダルで、爽やかな風の吹く夕暮れ、梅雨も終わったか。
あの人、助かってよかったな。帰宅して家族みんなにそう言われた。
互いに日程調節し工面した三連休を、かねてから目論んでいた「黒部横断」に充てた。それも佐々成政「さらさら越え」逆打ち盛夏版434年越し検証?【グレゴリオ暦で1585年1月とのこと】。
名の知れた針ノ木雪渓からツルツルと峠に辿り着いた我々は、それぞれの山頂を目指した。米氏蓮華へ、私は針へ。峠にて合流後、長く焦がれた針ノ木谷を下降し黒部湖を経由して中ノ谷、ザラ峠へとラインを繋いだ。やはり、大きな山はいい。
梅雨明け十日の好天周期に当てたつもりが、突然湧いた台風の影響でザラ峠以降の稜線漫歩立山雄山登頂が頓挫したものの、転向した五色ヶ原の意外な天国発見は未だしも滑落遭難者のヘリ搬送協力にと意味ある三日山行だった。
我々の、黒部横断行。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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縦断は何度もしたけど横断かー。先週末は奥穂の予定だったけどキャンセルしたよ。遭難者よく見つけたね、朝の予感はそれだったのかな。
台風の影響、稜線では残ったね。沢は水さえ増えなきゃ全天候だ。
もし天気良くてザラ峠から室堂へ向かっていたら、あの人見つけられなかった。世界は不確実性の連関だね。
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