北アルプス縦断 上高地・槍3180mから海抜0m日本海へ 7泊8日 槍~裏銀座~後立山~栂海新道
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- 距離
- ---km
- 登り
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- 下り
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コースタイム
05:30上高地6:00〜8:15横尾8:20〜10:25大曲10:35〜13:10槍ヶ岳山荘15:30槍ヶ岳
・09/25
槍ヶ岳山荘4:15〜7:38双六小屋〜9:59三俣蓮華岳〜10:40三俣山荘〜12:12鷲羽岳〜
12:33水晶小屋〜16:00野口五郎小屋
・09/26
野口五郎小屋6:10〜8:52烏帽子岳〜10:12南沢岳〜11:19不動岳〜15:36舟窪小屋
・09/27
舟窪小屋4:01〜5:58北葛岳〜7:58蓮華岳〜9:47針の木岳〜10:28スバリ岳〜11:48赤沢岳〜
12:51鳴沢岳〜15:36種池山荘
・09/28
種池山荘3:27〜5:00冷池山荘〜6:42鹿島槍ヶ岳南峰〜8:11八峰キレット〜10:39五竜岳〜13:10唐松岳山頂小屋
・09/29
唐松岳山頂小屋01:01〜2:03不帰2峰〜2:15不帰2峰北峰〜2:56不帰1峰〜4:50天狗の頭〜7:57白馬山荘08:38〜
8:53白馬岳9:26〜11:49雪倉岳〜15:32朝日小屋
・9/30
朝日小屋5:30〜6:17朝日岳6:23〜9:03黒岩山〜10:01さわがに山〜11:09栂海山荘11:58〜14:16白鳥小屋
・10/01
白鳥小屋8:44〜10:08坂田峠〜1258親不知
天候 | 9/24(月)雨/曇 9/25(火)晴 9/26(水)晴 9/27(木)曇/晴 9/28(金)曇/晴 9/29(土)晴/曇 9/30(日)曇/雨(台風) 10/01(月)小雨/雨(台風通過) |
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過去天気図(気象庁) | 2012年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:電車(JR親不知〜JR直江津)、高速バス(直江津〜池袋) |
コース状況/ 危険箇所等 |
裏銀座の南沢岳~船窪岳の高瀬ダム側の崖崩れが激しかったです。 台風17号の通過でまた一段と崩れてはいないか心配です。 紅葉が始まっていました。特に朝日岳北側の栂海新道では、 高山植物とのミックス感がとても印象的でした。 |
写真
感想
サラリーマン生活30年の記念に長期休暇を与えられ、今の自分に最も相応しいと思
われる行先、北アルプス上高地から日本海の親不知まで120kmを縦断するコースでした。
8日間も連続しての山行は勿論初のことで、途中身体の故障や怪我が発生しないか心配でしたが、
それと同時に天気の心配もありました。結局、最後に台風がやって来ました。
日本直撃との事で私の登山コースも後半に調整せざるを得ませんでした。
しかし、その結果自分の登山にもっと可能性がある事が判りました。
●09/24(月):上高地〜槍ヶ岳山荘
慣れたコースでしたが、今シーズン初寒気の影響で山頂付近は非常に寒かったです。
山荘内はストーブに火が灯っていました。槍はガスで暫く姿を表しませんでしたが、
一瞬ガスが取れその隙に登り頂感を味わいました。
●09/25(火):槍ヶ岳山荘〜野口五郎小屋
ガスで視界不良の中を西鎌尾根を下って行きました。後立山方面で雷が頻繁に光っていました。
遠くから雷を見る分は綺麗だなと呑気にいられますが、もし、此処であれだけ頻繁に光っていたら恐ろしく思えました。
この日、朝日は見えませんでしたが、西鎌尾根に北から南へ流れるガス模様が綺麗でした。
三俣蓮華岳で名古屋から日帰り登山で登ってきた会社の大科さんが待っていました。
朝早く名古屋を出発してこんな早朝に北アルプスでお会いできるとは思っても見ませんでした。
頂いた貴重なペットボトル2本がとても助かりました。
三俣蓮華から見る雲の平方面の景色は今まで槍穂高中心の僕の描いていた北アルプスの風景とは
全く異なる印象でした。岩陵地帯とは違った美しい自然の風景が更に広がっていました。
もっと更に奥まで行きたくなりました。
野口五郎小屋の営業が最終との事で、食事無しの素泊まりで宿泊したのですが、
今年最後の営業日との事で、小屋の御家族と登山者全員で夕食をご一緒させていただき熊肉の鍋や
ワインやビール等お酒までご馳走になりました。お腹いっぱいでデザートまで手が出ませんでした。
●09/26(水):野口五郎小屋〜船窪小屋
コースタイムでは9時間程度で舟窪小屋へ到着できる事で本日の出発は6時過ぎになりました。
小屋の外まで出てご家族全員で見送って頂いたのは、正直とても嬉しかったです。
南沢岳付近から船窪岳間の高瀬ダム側斜面の崩壊があまりにも酷い事に驚きました。
あの様子では、ちょっとした雨で登山道がどんどん削られているように見えました。
危険箇所が幾つもありました。あの登山道を保守する方は毎日大変なご苦労をされていると思います。
船窪小屋には入口から感動ものでした。
汗だくでヘロヘロ状態の私に向かって笑顔で「お疲れさまでした」と、同時にお茶を出してくれたのには驚きました。
入口で宿泊手続きをしていた先客がいたので突っ立っていたのですが、小屋のスリッパとお茶を持って、
入口前のベンチに案内され「こちらで少々お待ちください」と、山小屋でそんな手厚い接客は生まれて初めてです。
更に料理にも驚きました。山の上であんなにも手の込んだ美味しい料理を頂けるとは。
料理目当てに訪れる登山者がいる事に十分に頷けました。
6時半からのティーパーティーもとても楽しかった。
渕上さんとおっしゃる方が進行していたので、てっきり小屋のご主人かと思ったら、
この小屋に魅せられて大阪からやって来られた常連のお客さんとの事でした。
小屋で働く方からの自己紹介もあり、皆さんこの小屋を愛しているんだなぁと思いました。
間違いなく僕もこの小屋のファンの1人になりました。
後日渕上さんから栂海新道や槍穂高のDVDが郵送されて来ました。
僕宛にラベルも綺麗に印刷されていました。有難う御座いました。
●09/27(木):船窪小屋〜種池山荘
午前3時過ぎに小屋を出発。満天の星空に感動し、朝焼けも見事でした。
それに長野の平野に広がる雲海がとても綺麗でした。
針ノ木岳山頂からは立山黒部の渓谷が良く見渡せました。
渇水で黒部ダムの貯水量も随分と下がっていましたが、今回の台風でどれだけ回復したかな。
15時半頃に種池山荘に到着。ベンチで2人組みの男性がビールとピザを美味しそうに食べていたけど、
僕の身体が欲しがっていたのはビールでは無くコーラ。ここ数十年以来で一番美味しいコーラでした。
所でベンチのお二人さんは登山者ではなく、雷鳥の数を仕事で調べに来た民間会社の方々でした。
動物を専門で調査する会社だそうで、この周辺にも熊が住んでいるので要注意だとか。
部屋は相部屋ですが、ご一緒させて頂いたのは山口県から来られた福田さんとおっしゃる年配の方でした。
北アルプスも好きで良くいらっしゃるそうなのですが、ネパールのトレッキングツアーにも年に数回足を運ぶそうで、その山行が羨ましく感じました。
●09/28(金):種池山荘〜唐松岳山頂小屋
午前3時半頃出発。台風情報があり、予定では五竜山荘へ。
時間があればその先の唐松岳頂上山荘を今日の目的地としました。
今日も満天の星空。大町の灯りを見下ろしながらのスタートとなりました。
鹿島槍ヶ岳の登り付近で丁度良い太陽の日が西面に流れたガスに掛かり、ずっとブロッケンが色んな形となって現われていました。
滅多に無いことのようですので何枚も写真を撮りました。
鹿島槍からの先は、北アルプス3大キレットの1つ八峰キレットを通過。北穂の大キレットの次ぐらいの難度と言う印象でした。
キレット小屋で腹ごしらえにカップヌードルを注文することに・・・
表に誰もいなかったので、ピンポーンを一押し。
すると奥から強面のご主人かな?が出て来てさっとお湯を注ぎ出してくれました。食後、台風が30日頃直撃するとの事で、栂海新道へ行くのであれば、なるべく急いだ方が良い。
今日中には遅くとも唐松岳迄には行った方が良いとのアドバイスを戴きました。
とにかく唐松岳頂上山荘には今日中には到着して、それから明日以降のコースを考える事にしました。
八峰キレットの先で単独の山ガールと軽く挨拶を交わしました。
最近山ガールが増えてきていますが、単独の山ガールも目立つようになりました。
ガッツある女性登山者が増えて来ましたね。
13時過ぎに予定よりも随分早く唐松岳山頂小屋へ到着しました。
残り3日の間に台風が通過するコースを踏まえて、とにかく明日は遠くまで行く事。
そうすると朝日小屋に決定。行動時間が15時間程度必要なので、午前2時には出発したい。
となると早寝が鉄則。午後7時には睡眠状態に入っていました。
●09/29(土):唐松山頂小屋〜朝日小屋
午前2時出発の予定でしたが、1時前に目が覚めたのでそのまま起きて出発しました。
目的地は朝日小屋です。約2日分の距離を歩く事になります。
問題は歩く距離等ではなく、鎖や垂直の梯子が連続する不帰ノ嶮を夜中に通過するという危険行動を行うべきかどうか。
行って駄目だったら明るくなるまで待つの姿勢でとりあえず出発しました。
所が意外なことにナイト登山GOOD!。美しい月明かり。美しい星空。美しい街の灯り。3拍子そろった好条件で、こんな登山もあるのかと・・・
暗い夜道しかも登山道、危険極まりないように思えますが、しかし、意外にも日中と同じ感覚で不帰キレットを通過できました。
朝焼けは天狗山荘付近で始まりました。太陽と雲海がとても綺麗でした。
白馬岳からは、青空と雲海が神秘的で綺麗でした。あまり景色の良さに少々時間を使いすぎてしまいました。
朝日岳近辺に多くの高山植物があんなにも沢山咲いているとに驚きました。それに混じって色づき始めた紅葉も綺麗でした。
本日の行動時間:14時間半
この小屋の食事も非常に良かったです。ほとんどが手作りのようでした。
餃子の入った鍋のスープを何度も口にしました。
●09/30(日):朝日小屋〜白鳥小屋
台風が間違いなく今夜中に日本を通過するとのことで、朝食後は急いで出発しました。
女将さんが笑顔で見送ってくれました。この小屋も非常に思い出の小屋になりました。
目的地は栂海新道の白鳥小屋。コースタイムは13時間ですが、10時間以内で雨が降る前までには到着したいと思っていました。
しかし、急ぎたいのですが、思っていた以上に美しい景色が多く、前半は写真を撮る時間に食われてしまいました。
栂海山荘までは約6時間で到着しました。食事と休憩後に白鳥小屋を目指しました。
このコース通過途中小雨も降り出したのでとにかく急ぎました。到着したのは14時15分。朝日小屋から9時間ほどで到着することとが出来ました。
白鳥小屋の手前では登りと下りが何度も繰り返すので結構足の動きが鈍かったです。
途中、熊かも知れませんが大きな動物が草むらから逃げ去って行きました。
これには本当に驚きました。
仮に台風直撃の山の中で熊にやられても誰も助けには来られないでしょうね。無事で良かった。
濡れた衣類を全部脱いで、パンツ1枚でちょっと早めに夕食の準備をしていると、外から人の声が聞こえて来ました。
小屋のドアが開けられた時、ひげボーボー裸親父が出てきたものですから、相手はかなりびっくりした様子でした。
沢登の帰りの途中に立ち寄った若者2人組でした。驚かせてゴメンなさいね。
寝床は2階を独り占めでした。台風の夜に小屋に一人と言うのも妙に寂しいものでした。
スマホ(docomo)の電波状態が悪く、誰からかメールでも来ないかなぁと、この夜は妙にセンチメンタルな気分でした。
特にすることも無く早く寝床へついたのですが、台風の音も凄かった事もあるかも知れませんが、寝付いたのは12時を過ぎていたと思います。
●10/01(月):白鳥小屋〜親不知(日本海)
早起きの必要も無かったのですが、1階へ降りると昨晩置いてあった行動食の一部がネズミか何かに食べられていました。
夜中に一階で音がするなぁと思ったのですが、動物が住んでいるようです。
ここから親不知まで5時間のコースタイムなので急いで出発することはないのですが、雨風も小康状態となった9時前に出発しました。
台風一過を期待していたのですが、雨は段々と強まり靴の中まで染みてきてしまいました。
雨の登山道は当然滑りやすく、滑ったら泥だらけの無様な姿となります。
これだけは避けて慎重に下りました。
ゴールの親不知の海岸へは13時前に到着しました。
何だか今日一日の下りが8日間で一番長く感じられました。
ゴールの親不知の海岸からしばらく日本海を見つめてしまいました。
苦しかったり楽しかったり。
到着できて良かった。
やって良かった。
そして次の目標は?そんな事も頭をよぎりました。
一生の思い出となる山行でした。
この7泊8日中で色んな山小屋を利用させて頂きましたが、独断で評価してみました。
まったくの個人的主観ですのでご了承ください。
槍ヶ岳山荘★
槍の一番近くにあるので便利。
双六小屋★
おでんを注文後、笑顔で呼び出してくれた女性スタッフの笑顔が印象的でした。
あつあつのおでんが美味しかった。
三俣山荘☆
カレーを注文したけど、1杯の水がほしかったなぁ。(山では当たり前だった?)
自前の水を飲んだからまぁいいけど。
野口五郎小屋★★☆
そろそろ築50年という小屋のハンデはあるものの、家族経営ならではの心暖まるもてなしが単独の僕にはとても好感をもちました。
最終日と言うことで、熊肉の鍋やお酒もご馳走になりました。
次回は通常に食事付きを予約して行きたいと思います。
船窪小屋★★★
料理、登山者の持て成し、小屋の雰囲気、小屋のご夫婦を慕って全国から人が集まるのがとても良くわかりました。
遠いけど是非次回も行きたいと思います。
渕上さんより、ご親切に栂海新道のDVDまで頂きました。
針ノ木小屋×
カップヌードルを注文したらカロリーライトが出てきたので、山の上なのにどうして?と訪ねると、
返金しましょうか。と一言。アルバイトのお兄さんの言葉足らずな一言で気分は急降下。
キレット小屋★
通過途中に300円のカップヌードルを注文しただけなのに、台風が直撃するからと、色んなコースアドバイスを頂きました。とても助かりました。
五竜山荘★
これより先の小屋の営業状況を尋ねると、急いで調べてきますとお兄さんが詳しく調べてくれました。
きつねうどんも美味しかったです。
種池山荘★☆
数名の女性スタッフがとにかく親切でしたね。
烏帽子小屋★
何気ない一言でも通じ合える会話があると良いものですね。
唐松山頂小屋★☆
寝床で100vコンセントが使えたり、山の書籍が充実していた。
深夜にキレットを通過する事で丁寧なアドバイスを頂きました。
偶然だったのか深夜出発時そのお兄さんが出てきて「お気をつけて」との
一言が嬉しかったです。
朝日小屋★★
女将さんの料理に拘る姿勢がよくわかります。
笑顔で見送ってくれたのもとても有難かった。
現地PCが利用できたのが便利でした。
朝日岳周辺の自然環境が特に素晴らしい。
白鳥小屋★
台風でもまったく問題ありませんでした。
毛布もありましたし、十分に身体を休めることが出来ました。
鼠さえいなくなればなぁ。
・番外偏
親不知の海岸ゴール後、国道8号線を親不知駅方面へ歩いて行きました。
大型トラックが頻繁に通行するので危険を感じましたが、途中の道の駅で美味しい魚料理を頂きました。
その後、予約してあった親不知駅近くにある和と言う民宿に泊まり、魚尽くしの夕食、朝食でお腹いっぱいになりました。
翌日、直江津まで足を伸ばし、ここでも魚介の幸と地元のお菓子でお腹を満たしてきました。
これで山行で減った体重も元に戻ったかもしれません。
こんばんは。
お疲れ様でした。
台風の通過がありましたが、
充実した山行だったようで何よりです。
29日は頑張りましたね。
夜中に不帰嶮を越えるとは。
それほど苦もなく通過できちゃうものなんですか?
私も野口五郎小屋は気にいってます。
いろんな山小屋を体験できるのも
長期縦走の魅力のひとつです。
北アの山小屋は食事がおいしくて対応がいいですね。
いづれ焼岳〜親不知を完遂させようと思っています。
とにかくお疲れ様でした。
siriusさん。こんばんは。
北鎌尾根に続き北アルプス縦断と、何やらsiriusさんの後追いをしている様にも見えますね。siriusさんの山行記録はとても参考になりました。重ねて御礼を申し上げます。
行く前、8日間は長いと思っていたのですが、あっと言う間でしたね。もう1日あれば穂高も含めて行けたらなぁと今更ながら思いました。
夜中の不帰嶮越えですね。危ないとは思っていましたが、多分月明かりに大分助けられたのだと思います。ヘッドライトだけでは全体が見えませんからね。
野口五郎小屋良いですよね。上條さんご家族とは初対面だったのですが、本当に良くして頂きました。
次回は焼岳からですか。是非頑張って下さいね。応援します。
コメント有難う御座いました。
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