長次郎谷から剱岳へ 予想外の雨天にも完遂
- GPS
- 16:37
- 距離
- 25.7km
- 登り
- 3,749m
- 下り
- 3,769m
コースタイム
4日3:30剱沢キャンプ場発−4:55長次郎谷出合−6:20熊の岩−7:15長次郎のコル
−7:43剱岳山頂7:50−8:20早月尾根ヘルートミス・折り返し−9:05剱岳山頂再び
−9:20カニのよこばい−11:20剣山荘11:35−12:00剱沢キャンプ場13:00−15:15室堂
天候 | 8月3日 晴れ 8月4日 雨のち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
剱沢−積雪量豊富、剱沢山荘からしばらくは右岸を歩き、滝を過ぎてから、 雪渓に降り立つ。 長次郎谷−雪渓には落石多し。熊の岩までは30度程度の斜面。 熊の岩から上部は35〜40度の急斜面。早朝でも雪の緩い箇所は アイゼンが効きにくい。晴天時はさらに雪が緩むだろう。 長次郎のコル手間で雪渓の断裂箇所あり。その高さ3〜4mあり、越えるのは 困難。谷の右側はなんとか雪がつながっていた。ただ、お盆以降は この部分も断裂する恐れあり。 北方稜線−一切の目印、ペイントなし。微かな踏み跡はあり。浮き石も多く、 後続者がいる場合は要注意。雨天でも意外と滑りにくかった。 カニのよこばい他−雨天でも結構な登山者あり。渋滞30分待ちであった。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
ピッケル 1
アイゼン(10本以上) 1
ヘルメット 1
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感想
7月末より富山県に長期出張となった。
季節は夏。
このタイミングはなんというGOODな状態だろう。
これは北アルプスに登らないわけにはいかない・・・・
ということで、最初の土日は上手い具合に仕事も連休が取れた。
最初のターゲットは剱岳。
でも、ノーマルルートでは面白くないし、一度に二度美味しいとルートを
考えると、長次郎谷から剱岳を目指し、別山尾根から帰るルートが
いいだろうとこの出張が決まったときからずっと考えていた。
ピッケルとアイゼン、ヘルメットをザックに忍ばせ、
降り立った室堂ターミナル。
絶好の登山日和だ。
まずは雄山から真砂岳、別山を縦走して、明日への足慣らしだ。
一ノ越に着くと、真っ先に目に飛び込んだのは槍ヶ岳。
さらに、雄山へ向けて標高が稼いでいくと、薬師岳、黒部五郎岳、五色ケ原が
次々と見えてくる。
昨年歩いたコースが一望し、なんとも感慨深い。
雄山までは地元中学校の集団登山などで渋滞ぎみだったが、
雄山から先は人も減り、縦走気分が盛り上がる。
後立山連峰も一望出来て、そのバックは見事な雲海が広がっていた。
きっと今朝は見事なご来光が臨めたんだろう。
別山からは剱岳が正面に圧倒的な迫力で見えてくる。
明日登る長次郎谷もはっきりと見える。
明日は無事、あの頂上に立てるのだろうか。
期待と不安がさらに募ってきた。
剱沢キャンプ場にはちょうど正午着。
テントを張るが、照りつける日差しがきつく、暑い。
ようやく日が陰ってきたころ、雪渓の雪で冷やしたビールを空けて、
夕食準備を始める。
賑やかだったキャンプ場が日暮れとともに急に静かになっていった。
皆さん、明日の剱岳アタックに向けて、早々の就寝なのだろう。
夜中1時頃に目が覚めてテントから覗く空には星空があったのが、
起床した2時過ぎには見えなくなっていた。
天気予報では今日の方がいい天気だったはずなのだが・・・
テントをそのままにして、サブザックにアイゼン、ピッケルを放り込み
AM3:40いよいよ長次郎谷へ向けて剱沢を下っていく。
剱岳を見上げると、数珠つなぎとなったヘッドライトが瞬いていた。
剱沢を半分ほど下ったであろうか、小雨が降り出した。
なんてこった。まったくの予想外である。
雨具を着込む。
AM4:50 長次郎谷出合に到着。
同じくしてこの場所で出会ったskier1303さんと即席パーティーを組む。
登り始めの長次郎谷は30度ほどの斜面。
落石が至る所にある。これ以上雨が強くなれば、これらの落石が
滑り落ちる可能性も高くなるだろう。
苦しい登りだが、極力顔をあげて、前方の落石に注意をする。
1時間ほどで熊の岩に着いた。
周囲は完全にガスに覆われている。
雨もさらに強くなってきた。
ここで一息を入れて、これからの核心部分に備える。
左俣へ向けて、斜面をトラバースする。
雪が緩く、アイゼンが効きにくい。
さらに10本爪アイゼンだから、横滑りしやすい。
ピッケルを確実に雪面に刺して、登っていく。
この辺りからはskier1303さんとなるべく離れないように進んでいく。
少しでも離れるとガスで視界から外れてしまうのだ。
さらに傾斜がきつくなってきた。
35〜40度はあるだろうか。
春の山スキーなどではこれくらいの斜面も登ったことがあるが、
その時はアイゼンが良く効く。
しかし、この時期の雪渓は雪が緩く、前爪だけでは簡単に滑ってしまう。
フルフラット接地を意識し、一歩一歩確実に登らなければ
即滑落の危険が迫る。
目の前の雪渓が突然、大きく切れ込んでいる。
事前の情報で得ていた雪渓上部の断裂部だ。
その深さは3〜4mはあるようだ。
とても越えてはいけない。
左に右にと急斜面をトラバースして、なんとか雪のつながっている箇所を
探すと、一番右寄りが唯一つながっているようだ。
ピッケルのポジションを変えて、空いている手も使い、最後の急斜面を
駆け上がる。
長次郎谷出合から2時間少し。
skier1303さんと無事コルに立つことができた。
がっちりと握手を交わす。
ここからは北方稜線の一部だ。
道標やペイント、目印は一切なく、わずかに残る踏み跡も岩場ではほとんど
見つけることが出来なかった。
降りしきる雨と叩きつける風。
濡れた岩場を細心の注意で登っていく。
浮き石も多く、非常に危険な状態である。
そして、微かに聞こえる人の声。
山頂が近いことを確信した。
AM7:40 無事二人で剱岳山頂に立つことが出来た。
ここからはカニのヨコバイを経由して別山尾根を下りていく。
しかし、ここで致命的なミスを犯してしまう。
なんと早月尾根を下りて行ったのである。
しかも標高2700m近くまで下りて行って気が付くという失態。
ガスで見失う方向感覚、疲労と山頂についた安堵感。
まさか間違えることなんてないだろうという思い込み。
色んな原因がそこにはあったのかもしれない。
早月尾根からの登り返しが身体的にきつかった。
再び剱岳山頂に立ち、別山尾根を下りていく。
早速現れるカニのヨコバイで渋滞が発生していた。
待ち時間と共に増大する体の冷え。
吹き荒れる雨風にどんどんと体温が奪われていくのがわかる。
こんな時が一番事故の起こり易い状況だ。
集中力が途切れないようにしなければならない。
AM11:20 ようやく剣山荘到着。
ここでskier1303さんと別れる。
再び固い握手を交わした。
即席パーティーであったが、二人いたことで、テンションを保つことが出来て、
最後まで登りとおすことが出来た。
本当に感謝の気持ちで一杯だ。
剱沢キャンプ場に戻り、テントを撤収。
このころには雨も上がり、青空が覗くようになる。
剱岳に掛かる雲も幾分少なくなったようだ。
別山乗越を越えて、雷鳥沢まで下りる。
硫黄の臭いがきつくなった頃、再びskier1303さんと出会う。
室堂からバス、ケーブルカーと乗り継ぎ、立山駅でskier1303さんとは
最後の別れ。
後日、ヤマレコ上で出会うことを約束し、今回の山行は終わった。
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