南アルプス縦走 (野呂川出合から椹島)
- GPS
- 115:34
- 距離
- 82.5km
- 登り
- 8,389m
- 下り
- 9,027m
コースタイム
2日目、8月11日(日):4:25両俣小屋-5:06野呂川越-7:41三峰岳の分岐-8:25間ノ岳-8:50三峰岳の分岐-9:54熊の平小屋(テント泊)
3日目、8月12日(月):4:14熊の平小屋-4:40安倍荒倉岳-6:25北荒川岳-8:14塩見岳東峰-8:17塩見岳西峰-9:13塩見小屋-10:51本谷山-11:35三伏山-11:47三伏峠小屋(テント泊)
4日目、8月13日(火):4:07三伏峠小屋-4:42烏帽子岳-5:42小河内岳-7:22板屋岳-7:56高山裏避難小屋-10:24荒川前岳-11:25荒川小屋-12:17大聖寺平-13:40小赤石岳-14:17赤石岳-14:20赤石岳避難小屋(泊)
5日目、8月14日(水):4:10赤石岳避難小屋-5:47百間洞山の家-6:41大沢岳との分岐-7:04中盛丸山-8:21兎岳-9:01聖兎のコル-10:08聖岳-11:00小聖岳-11:31薊畑分岐-11:45聖平小屋(テント泊)
6日目、8月15日(木):4:36聖平小屋-6:50聖沢吊橋-7:48聖岳登山口-8:34椹島
天候 | 1日目、8月10日(土):晴れ 2日目、8月11日(日):快晴のち曇り 3日目、8月12日(月):曇り後快晴 4日目、8月13日(火):晴れ後曇り 5日目、8月14日(水):晴れ後曇り、午後一時雨 6日目、8月15日(木):晴れ 全般に風弱く、気温高く、熱中症に要注意の状態だった |
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過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
・椹島より畑薙第一ダムまで東海フォレストのバス利用。東海フォレストの山小屋利用者のみ利用可能。 ・畑薙第一ダムから静岡駅まで静鉄ジャストラインのバス利用。前日までに要予約だったが、当日に空きがあれば飛び込みでも利用可能。この日は観光バスが2台出ていた。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
<ルートについて> 1日目、8月10日(土) ・野呂川出合→両俣小屋:ほぼ全て林道歩き。危険箇所なし。昼間の時間は木陰のないところも多く暑い。 2日目、8月11日(日): ・両俣小屋→野呂川越:急登。倒木が多く、跨いだりくぐったりが多い。 ・野呂川越→三峰岳:始めは樹林帯歩きのため視界はない。森林限界を越えると前方に南アルプスの山々が見える。 ・三峰岳→間ノ岳:縦走路からは外れるが、カラ身でピストンすれば短時間で往復可能。歩き易く、晴れれば眺めも良い。 ・間ノ岳→熊の平小屋:徐々に標高を落として樹林帯に入ると小屋が現れる。特に危ないところはない。 3日目、8月12日(月) ・熊の平小屋→北荒川岳:樹林帯歩きが続き、北荒川岳付近で眺望が開け、塩見岳が間近に見えるようになる。ハイマツを漕ぐところが多い。 ・北荒川岳→塩見岳:森林限界の上のため、塩見岳方向の眺望は抜群。東と西の峰の間は徒歩3分程度の距離。 ・塩見岳→塩見小屋:西峰直下の岩場は落石と滑落に要注意。ストックはこの区間だけはしまったほうがいいかもしれない。塩見小屋は山頂付近から見えたあとは視界から消え、樹林帯歩きになったあと唐突に現れる。 ・塩見小屋→三伏峠小屋:樹林帯歩きで特に危険箇所なし。 4日目、8月13日(火) ・三伏峠小屋→小河内岳→高山裏避難小屋:烏帽子岳に上がった後は、しばらく登山道のそばに崩壊地があるので注意して歩く。狭いところでは、崩壊地まで数10cm程度しかないので、スリップなどが命取りになりかねない。 ・高山裏避難小屋→荒川前岳:700m弱の登りでかなりつらい。始めの300mほどは樹林帯歩きのため、先が読めない。小屋から30分程度の登山道脇に水場があり発見容易。水量も十分だった。残りの400mはガレキの上を歩く。稜線まで見えるため、気持ち的に萎えると先に進めなくなる。 ・荒川前岳→荒川小屋:約400m標高を下げる。下り始めの斜面はお花畑になっているが、最近シカの食害防止のために柵が設置されていた。 ・荒川小屋→大聖寺平→赤石岳→赤石岳避難小屋:小屋から急登をこなすと大聖寺平までは眺めの良いトラバースの道。赤石岳の登りは始めは急斜面だが、その後なだらかに。赤石岳と赤石岳避難小屋は徒歩3分程度の距離。 5日目、8月14日(水) ・赤石岳避難小屋→百間洞山の家:岩がちな斜面を一気に下ったあと百間平に至る。百間平より再度急な下りをこなすと小屋に到達する。下りの時、スリップ注意。 ・百間洞山の家→中盛丸山→兎岳→聖岳:小屋から稜線に上がるまでのルートはかなりの急登。稜線に上がってからは大沢岳までのピストンも可能。兎岳と聖岳の間のコルは休憩適地。コル以降しばらくは片側が崩壊地になっているので落ちないよう要注意。 ・聖岳→聖平小屋:下りの斜面は急で滑りやすい。小聖岳付近まで急坂が続くが、以降はなだらかに。 6日目、8月15日(木) ・聖平小屋→登山口:歩き始めの約1.5時間はアップダウンを繰り返すのみでほとんど標高が下がらない。吊橋が2箇所あり、意外に揺れるが橋自体に問題は見られず。 ・登山口→椹島:1時間ほどの林道歩き。椹島行きの東海フォレストのバスが通りかかると拾ってくれる。 <利用(通過)した小屋、テント場、水場> ・両俣小屋:テント場広し。水は外の蛇口から。水場・トイレ共にテント場に近い。携帯(ドコモ、フォーマ)使用不可。 ・熊の平小屋:小屋の正面にテラスがあり快適。水は小屋近くの沢から、水量豊富。テント場と水場は数分程度離れているがサンダルでも行き来可能。テント場は広くないので、受付の際詰めて設置するように言われる。携帯使用不可。 ・三伏峠小屋:テント場は広く良く整地されていて快適。段々になっていて、上の方であれば塩見岳が見える。水場は往復で20分程度かかり、登山道を歩くのでサンダルは不向き。小河内岳方面から来る場合はあらかじめ水くみしてくると良い。テント場とトイレの距離も近く億劫にならない程度。携帯使用可。 ・高山裏避難小屋:テント場は10張程度か、樹林帯にあり雰囲気が良さげ。携帯使用不可。水場は小屋から下るとあるが自分は未確認。30分程荒川岳方向に歩くと登山道脇に水場があるため、利用価値が高い。水量も利用時は問題なし。 ・荒川小屋:水場は小屋から3分ほど下る。テント場は20張り程度か。 ・赤石岳避難小屋:水場はないが、宿泊者向けに天水を提供していた。携帯使用可。 ・百間洞山の家:テント場は段々になっていて20張程度か。水は小屋の水道から。 ・聖平小屋:テント場はかなり広く、50張りくらいいけそう。整地も良い。水場は小屋の前に1箇所と、テント場の中に1箇所。トレイは少し歩く。携帯使用不可。 |
写真
感想
今回の縦走の目的は明快。南アルプスの北部(北岳や間ノ岳)と南部(赤石岳や聖岳)の間を繋ぐこと。計画を立てた時、4泊あれば目的は達せられると分かったが、好天がしばらく続きそうなので食料を大目(7日分)に持って行けるところまで行ってみるつもりだった。
初日、好天で大変暑い野呂川出合のバス停で降りて歩行開始。こんなところで降りる人は皆無だろうと思っていたが自分以外にも1パーティ。三伏峠まで縦走するとのことなので途中までは同道することになる。野呂川出合から両俣小屋まではほぼ完全に林道歩き。日差しが強く、午後1時前からの行動開始なので暑くてたまらない。木陰も少ないので、折り畳み傘を日傘代わりにして歩き、ほぼコースタイムどおりに小屋着。8月の週末なのでさすがにテントの数は多いが、それでも貼る場所は無数に残されていた。日が沈んで夜になっても妙に暖かい。標高2,000mを越えているはずなのに、である。シュラフを使わずシュラフカバーのみで就寝したが、途中でさすがに寒くなってシュラフを使った。
2日目。3時過ぎに起床、既にその前からガサガサする音で目は覚めていた。朝食を済ませ外に出ると意外にもフライシートがほとんど結露していない。これはラッキーである、湿って重くなったテントを終日担ぐ必要がない。4時30分前に出発、まだ暗いのでヘッドライトを使う。小屋から少し歩いて野呂川越への登りに取りかかるが、朝一の寝ぼけた体には大変きつい急登。40分程度で登りきったが、稜線に上がる頃には既に汗だく。日の差さない樹林帯歩きで、しかも風がほとんどなかったためである。小休憩後行動再開するが、アップダウンは続くものの視界は得られず、2,700mを過ぎた頃になってようやく周囲が見渡せるようになってきた。快晴で無風、ここまでにすれ違った登山者は1名のみ。樹林帯が続き、アップダウンも多いので不人気なのだろうか。この日のコースタイムは5.5時間程、この時点で予定よりもペースが良かったので小屋に早く着き過ぎてしまうため、三峰岳に荷物をデポして間ノ岳をピストンすることにした。間ノ岳は多くの登山者で賑わっていたが、三峰岳方向へ下る人はいなかった。荷物を回収し、熊の平小屋へ向けて行動再開。ゆっくり歩いたつもりだったが、それでも10時前に到着。受付とテントの設営。小屋前のテラススペースが絶好の憩いの場だったが、日差しが強くて暑いので長居はできず。干し物だけしてテントに戻る。この小屋のテント場のスペースはあまり広くないので、早めに着いておいて良かった。
3日目。ようやくまともに歩く1日。3時起床、4時15分出発。この日もテントの結露は全くなし。夜のうちに気温が下がっていない証拠なので、この日の気温が高く暑くなることは容易に想像ができた。歩き始めは曇っていたが徐々に雲が取れ、気付いた頃には快晴の青空に。地味なピークをいくつか通過し、北荒川岳付近までくると塩見岳が間近に迫って見えるようになる。遠くからでも判別のし易い形をしているが、近くから見るとより存在感がある。反対側から歩いてくる登山者はほとんどいない。ということはやはり三伏側からピストンする登山者がほとんどなのだろう。が、北側から見る塩見岳はかなり格好良い。塩見岳の雄姿に見とれながら意外とあっさり塩見岳の東峰に到着。百名山の山頂なので混雑を想定していたが、意外にも人は自分以外になし。西峰にもおらず、無人の山頂でしばし休憩。が、さすがに10分もすると東西どちらの峰からも人が登ってきたので準備をして歩行再開。西峰からしばらくは岩場が続くので慎重に下降。ストックを手に持ったまま歩いたが、短時間でもしまったほうが良かったかもしれない。三伏峠方面に降りて行くと、予想通り続々と登って来る登山者が。いずれも軽装なので縦走登山者はほとんどいないようだった。天気は相変わらず抜群に良く、日差しも大変強い。稜線にいる間は日焼け止めが欠かせない。樹林帯に入り更に下って三伏峠に正午前に到着。広いテント場に区画が区切ってあるので指定かと思ったが、どこにでも張って良いとのこと。ここにテントをデポして塩見岳往復していると思われるテントも幾張りか見られた。テント設営後は水の確保。ここはテント場に水場がないので空にしたザックに水筒だけ詰めて水場へ向かう。10分ほど下るとようやく水場が現れる。先客が1人いたのでその人に続き給水し、タオルを水で濡らして体を拭く。これで少し生き返った。5リットルの水をもって元来た道を戻るが、帰りは登りになるので案外遠く感じた。サンダルなどの軽装は以ての外だろう。昼前到着時はガラガラだったテント場も、夕方にはほぼ一杯になった。
4日目。椹島からのバスチケット確保のため、予定では赤石岳の避難小屋まで歩く。コースタイムは12時間近いし、それ以上にアップダウンが多いのが始めから大変気になった。4時過ぎにテント場発、この日はさすがに結露でフライシートがびっしょり濡れていた。拭き取ったり乾かしている時間が勿体ないので、軽く水を払っただけでパッキングした。烏帽子岳通過時、まだ暗かったがシルエットで浮かび上がる塩見岳が見えた。この日はどんどんこの山から遠ざかることになる。小河内岳の前で夜明けを迎える。左手から朝日が上がり、富士山も見える。6時前に小河内岳到着、左手には避難小屋が見えるが、微妙に距離が離れているので立ち寄らず。小河内岳からどんどん下って樹林に入るが、この辺りの稜線は崩壊地が多く、登山道の直ぐそばが崩れているところが多かった。こんなところで間違って落ちたら見つからないだろう。高山裏避難小屋にて小休止、小屋番に今日の予定等を尋ねられる。高山裏のテント場は森の中にあって雰囲気が実に良かった。下の方のテント場はトイレまで登り返すのに少し苦労するだろうが。高山裏から荒川前岳までは標高差が700m弱。ここにきてかなりの登りである。始めの半分は樹林帯の急登。視界が得られないのであとどれだけ登ればよいか分からず、とにかく先に進むだけだった。途中に水場があるのでここで喉を潤す。これだけ潤沢に出ている水場があるのが分かっていたら、三伏から3リットルも持ってくる必要はなかったのだが、それは言っても仕方がない。標高上げると樹林が切れて残りの半分が現れ、ガレキの斜面が見えた。トップまであと400m程度だが、先が見えてしまってもきつい登りだった。岩が白っぽいので下からの照り返しも心なしか強く感じた。天気良く日差しも強かったが、比較的風があったのでしのぐことができた。高山裏を出て2時間半ほどで前岳に到着。登山者で賑わっていたが、三伏からここまでですれ違った登山者は6時間で20名だったと思う。これから先は南アルプス南部の銀座のようなところなので人通りが激しくなった。2,400m付近から3,000m超までせっかく700m近くも標高を稼いだが、今度は荒川小屋に向けて400mほど下らなくてはならない。この斜面はこの時期でもまだお花畑になっていて、見ながら、写真を撮りながら先に進むので時間がかかる。さらに今年からはシカの食害防止の柵が設置されていて、その柵の出入り口を開け閉めしながら進むのでさらに時間がかかる。小屋に着き水場を探す。テント場の方向に下っていくと水が勢いよく流れていた。ここで休憩しつつ今後の行動を考える。予定していた赤石岳避難小屋まで行くかどうかだが、時間もまだ早い(12時前)なので、飲用、炊事用の水を確保し背負って歩き始める。計5リットルほど持ったので5キロ増えたはずである。正直かなり重くてペースは全く上がらない。恐らく、今回の縦走でザックがもっとも重くなった区間はここのはずである。小屋からの急登をなんとかこなし、自分が好きな大聖寺平へのトラバース道を歩く。ここで雷鳥の親子連れに遭遇する。一瞬だけ重荷を忘れることができたが、本当に一瞬のみだった。荒川小屋から赤石岳へは最初の登りがもっともキツい。既に荒川前岳のところで700m登って400m下がり、さらに今回500m上がるわけだから楽なわけはないのだが、それに5リットルの水がペースの低下にさらに拍車をかける。でももう戻ることもできないので観念して歩く。幸か不幸か、赤石岳の登りでは雲が多く涼しかったが、結局登りで1リットルほどの水を消費して無事避難小屋に到着。小屋番に聞いてみると炊事用の水は無料で宿泊者には提供していると言うではないか。でも「避難小屋」には水持参で入るのが基本と自分で自分を納得させる。寝床を確保してもらい、テントを含む濡れ物の乾燥をして時間を過ごす。標高3,000mを越える位置にある小屋のため、夕方以降はかなり涼しいというか寒いくらいになる。夜宿泊者で体調不良が発生し、ヘリを飛ばす飛ばさないの騒ぎになっていたが、小康状態になったのと、既にヘリの飛べる時間ではなくなっていたので一晩様子を見ることになった。原因は分からないが熱中症か高山病のどちらかだろう、とのことだった。8月お盆の山小屋なので、最終的には混雑したが、隣人と触れ合わない程度のスペースは確保ができた。でも、この状態ならテントの方が快適だ、というのが私を含むキャンパーの意見だった。(私以外にもバスに乗るためこの小屋に泊まった者がいた。) 小屋内は人いきれで暑くて、シュラフが不要なくらい。シュラフカバーの方が快適に眠れたと思う。
5日目。この日も長い区間だが、一度逆方向だが歩いたことがあるので気分的に楽だった。4時過ぎに小屋を出発、暗くて少し道をロストするが順調に高度を下げる。明るくなった頃に赤石岳の斜面を下りきって百間平に近付く。この辺りの風景も好きである。夜は明けたもののガスが薄くかかっていて、遠くの山々もぼんやり見える。出発から1時間半ほどで百間洞山の家到着。昨日苦労して担ぎ上げた水は結局1.5リットル余ったが、ここで全て入れ替える。ガスが途切れ日差しが出てきたので、腕と顔に日焼け止めを塗って出発。小屋から稜線に上がるまではかなりきつい登りで息が続かない。大沢岳との分岐のところで小休止。昨晩兎岳避難小屋に泊まった登山者と情報交換などする。中盛丸山、小兎、兎岳と順調にこなし、聖兎のコルで休憩後、聖岳の登りに取りかかる。以前の経験で、この登りにかかると休憩適地がないことを覚えていたのだ。登り始めの時間が9時頃と、晴れていれば日差しで体力を大いに消耗する時間帯だったが、雲で日差しが遮られ、かつ眺望も悪い状態での登りとなった。体力的には雲は大助かりだったが、何も見えないのも考えものである。山頂は案外イージーに到着できたが、雲が多くて周囲を見渡すことはできなかった。奥聖の方に足を伸ばしても状況は同じっぽかったので、しばし休息後に下りにかかる。ここはつづら折れの急坂で足下が滑りやすいので慎重に下降する。登って来る登山者も多い。小聖岳で一口水を飲み、更に下って聖平の木道まで到着。小屋に着いた時はまだあの広いテント場にテントがひと張りもなかった。と思ったが、よく見ると樹林の向こうに数張りあったようだった。受付の際、明日の予定を聞かれたがこの時点では未定だった。テントを設置し、食事をしたりしているうちに続々と登山者が到着する。ガラガラだったテント場にも次々にテントが設営される。私の周りあったスペースも気付くとなくなっていた。隣に張られたツエルトの持ち主は、今回甲斐駒の黒戸尾根からずっと縦走してきたという。テント場で色々山の話などしていると、雲が降りてきて時折雨も混じるようになった。雨は直ぐにあがったが、雲は出てきたり消えたり。入山以来、天気の心配はほとんどなく、心配事は暑さのみと言っても過言ではなかったが、さすがに5日も続くと雨にもなるだろう。まだ食料は十分にあったが、今回ここで下山すれば雨にあたらなかった縦走になるかな、と思い翌日の行動は下山に決定した。また、この日の午後は入山以来初めて寒くて防寒着を使用した。それまでは直射日光の当たるテントの中には暑くて入れないような日々が続いていたのだ。
6日目最終日。周囲のテントのガサガサする音で目覚める。こちらは椹島13時のバスに間に合えば良いのでゆっくり出発してもいいのだが、日が上がれば暑くなるし、早く降りて道具類の乾燥や清掃を済ませてしまえば、帰宅後の仕事が減ると思い、やはり早朝4時半過ぎにテント場を出発。樹林帯の中を30分ほどヘッドライトで歩くと明るくなってきたが、標高は一向に下がらない。地図を見ると確かにしばらくはトラバースするような道になっているようだった。1時間30分ほど標高がほとんど変わらない状態が続いた後、ようやく下りにとなる。途中、吊橋を2つ渡り、すれ違う登山者が増えたと思ったら、登山口に到着。無事林道まで降りてくることができた。あと椹島まで1時間歩けば今回の縦走終了。埃だらけの林道を歩いていると、椹島行きの東海フォレストのバスが停まり乗っていくかと尋ねられたが、ここで乗り物に乗ると画竜点睛を欠くような気がしてお断りした。後で分かったのだが、断っても断らなくてもあと15分程度の歩きで椹島に到着することができた。
食料はあと2日分程度残っていたので、光岳まで縦走し、易老渡に降りることも十分可能だったが、易老渡からの足の確保が不確定だったので今回は大人しく椹島を終点とした。南アルプスの主脈は、茶臼岳から光岳が残ってしまったが、これは後日の宿題としたいと思う。今回の縦走は、とにかく天気に恵まれたが、毎日とにかく暑くて、水の消費も多く、出発時に最低でも3リットルは担いでいた。当然重量もバカにならないが、水が途中でなくなる不安を抱えて歩くよりは、重荷に喘ぐ方を選んだ。良いボッカトレーニングにもなったかもしれない。
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