南アルプス南部縦走【まさかの雨具紛失】(荒川三山、赤石岳、聖岳、光岳)
- GPS
- 69:44
- 距離
- 40.7km
- 登り
- 4,403m
- 下り
- 4,894m
コースタイム
天候 | 1日目 晴れ 2日目 晴れ時々曇り 3日目 晴れ一時雷雨 4日目 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
(長島ダムより上部はすれ違い困難な箇所多数) 関東からは距離的に新静岡ICが近いがすれ違いも困難な激細の県道なので覚悟が必要。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
○サワラ島から千枚小屋まで ほとんど危険箇所なし。ついでに展望もなし。 ○千枚小屋から百間洞山の家まで 1、荒川三山はアップダウンの連続。ザレ場や岩稜帯が多いので三点確保をしっかりと! 2、荒川小屋では必ず水の残量を確認し、必要なら小屋で補給すること。百間洞まで水場なし。 ○百間洞山の家から茶臼小屋まで 1、夜間またはガス発生時は百間洞降下地点分岐の方角に注意。大沢岳方面は右側。兎岳は左側。 2、兎岳から聖岳までは岩場&急坂のダブルパンチ。ここでもきっちり三点確保を。 またストックはザックに付けておくこと。 3、南岳と上河内岳の間、尾根に注意。ハイマツの根っこで辛うじて登山道になっている。 下がスカスカになっている箇所あり。 ○茶臼小屋から茶臼岳登山口まで 1、展望なし&1500mの下りでグロッキーになる。横窪沢小屋以下はまれにヒルの被害あり。 2、登山口から駐車場まで1時間の車道歩き。耳をすませて落石に注意すること!私の時も小規模な落石が2度ありました。 |
写真
感想
約1年前、”8月連休に南アルプス南部縦走”の計画を思い立つと会の諸先輩方にこのルートのタフさを脅かされ、すっかりビビった私は基礎体力の強化と体重の減量を実施することにした。週3〜4回のジョギング&週末の歩荷訓練で基礎体力を強化し、炭水化物のコントロールで体重を10kg減らす。出発の1週間前にはカーボローディングで体内のグリコーゲン量を増大させ、まさに準備万端でつくばを後にした。
事前に調べておいた新東名”島田金谷IC”から北上する最もアクセスしやすいルートで畑薙第一ダム臨時駐車場に入る。今年は連休が長いので既に駐車場は満車。路肩にまで溢れる始末だったが離れたところにスペースを発見し駐車。朝まで無事に仮眠できた。
サワラ島までのバスは通常8時出発が定刻なのだがこの混雑では臨時便が出るだろうと予測し並び始める。しばらくするとバスが到着。満員になり次第出発してくれるそうだ。内心「へへへ…やっぱりね」などとほくそ笑みながらバスの先頭に陣取った。山にばかり行っていると変なところで要領良くなるものだと我ながら関心する。
砂利道の凸凹に揺られながらも無事サワラ島に到着。広い芝生のキャンプサイトとログハウス風のトイレと炊事場は快適そうでキャンパーを羨ましく思った。
ストレッチをして登山開始。今回の山行は百間洞の小屋(1泊夕食付)以外は全て幕営なので12食分の食料(予備食込)、日本酒、行動食等で18kgの重量。1年前なら確実に音を上げていただろう。
展望のない樹林帯をひたすらアホのように登る。見所が何も無いのを気にかけてか、東海フォレストが所々に説明版を設置してくれていて気が紛れた。急登や危険箇所もあまりないので初心者にもオススメである。標準的なコースタイムは千枚小屋まで7時時間であるがそんなに掛からない印象。私は普通に歩いて5時間で到着した。
小屋に到着すると受付を済ませ、テント場に向かう。しかし小屋から歩いて7分くらいあるのでビールを購入する際には少々面倒だ。テント設営後、おつまみセットを片手に小屋前の展望を楽しみながらビールを飲む。見知らぬオジサンと山談義をしながら飲む酒は楽しく美味であった。
翌朝、午前2時過ぎ、やや離れたテント泊の数名が食事を始めたらしく、食器類のガチャガチャ、ビニール袋のガサガサ、会話ベラベラの騒音を撒き散らし始めた。それが終わるとテント撤収の夜露を取るためにバサバサバサ…とやり始める始末。
私は耳栓をしていたのである程度ガマンできたが周辺の人たちは堪らなかっただろう。注意してあげようかと思ったが眠気に負けて寝てしまった。
目が覚めるとツエルト泊のお隣さんは出発していた。気の毒にも騒音撒き散らし集団の餌食になったのだろう(^^;
今日は体力的な最大の山場である百名山2座連続登頂の日だ。”南アルプスの巨人”荒川岳と赤石岳を一度に落とす計画である。夜露で重量を増したザックを担ぎ、千枚岳を目指す。昨日はひたすら樹林帯だったので森林限界を超えた際には一層の爽快感があった。好天の中、抜群の展望を楽しみながら千枚岳を通過し、悪沢岳山頂に立つ。北は北岳から塩見岳、南はこれから挑む赤石の巨体が横たわり、その向こうには聖岳がそびえる。暫くするとガスが掛かって山頂でブロッケンまで見せてくれた。なんて運の良い日だろう。きっと今まで頑張ってきたご褒美に山の神様が見せてくれたのだと都合の良い解釈をして山頂を後にする。中岳に向かうアップダウンに喘ぎながらも無事三山制覇。荒川小屋でコーラの祝杯を挙げることができた。
しかし、ゆっくりもしていられない今日の行程はまだ半分。赤石岳をやっつけねばならない。鼻歌交じりに美しいトラバースを行くがすぐに苦悶の表情になる赤石の登りが始まる。メロメロになりながら山頂到着。誰もいないのでセルフで記念撮影。残念ながらガスっていたので早々に避難小屋を見物に行く。
ここのご主人は名物オジサンで「まさかここ泊まりじゃねーよな(笑)」などと独特な葉っぱをかけて頂く。水の残量が心許ないので売ってくれるように頼むと「売る水は無くなったよ。ヤカンに水入ってるから勝手に持っていきな」と貴重な水を分けて頂いた。百間洞までもてばいいのでペットボトル半分頂き、お礼を言って歩き始める。
百間洞山の家までは体力的な限界が近かったが行動食をチョコチョコ食べながら到着。ビールで一日の労をねぎらう。ここのテン場も小屋から距離があり、10分程度登り返さなければならず、豚カツの件のあったので小屋泊まりとした。疲れていたので完食できるか不安だったがペロっと平らげた。すると体のダルさも消え、翌日への気力も出てきた。今考えると腹が減っていただけのような気もする(笑)
翌日、この日はこの山行で最長の行動時間だったので午前2時半起床、3時出発とした。12時間近い行動時間なので夕方のカミナリに遭遇するのが嫌だったのだ。
ナイトハイクはあまり良いイメージが無かったがGPSを確認しながら慎重に行動すれば問題無かった。中盛丸山付近でご来光となり朝日の聖岳、赤石岳を堪能した。丸山から兎岳まで歩を進める。激しいアップダウンと岩場の連続で気を使うが昨日の豚カツパワーで一気に聖岳山頂へ。山頂は静岡側にガスが出てきたが長野側はまだ展望が良い。記念撮影を終え、聖平小屋で名物フルーツポンチを食べようと歩き出す。ところが調子に乗っていたのか奥聖に行くのを忘れる。下り始めて気が付いたがフルーツポンチの誘惑には勝てずそのまま下山してしまった。
疲れと満足感の中で頂くフルーツポンチは激ウマであった。
すっかり満足して上河内岳に向かう。
南岳山頂でコーヒーを飲んでいると南方に黒い雲を発見。一雨くるなと思い、雨具を出そうとするが上着が何処にも無い!少しパニックになりながら必死に原因を考える。単独な以上、忘れ物が命取りなので自宅からは確実に持ってきた。昨日の小屋でも確認している。ザックを移動する際には必ず回りを確認してから移動することもしている。何故だ?どうしてだ?と考えると昨日の夜、早朝にガサゴソやらないで済むようにバーナーと必要な食料をザック上部にパッキングし直していた際、隣のおじさんも同じようにパッキングしていた。薄暗い小屋内で間違って私の上着を自分のザックに入れてしまったのかもしれない…もちろんゴチャゴチャとしたザック置き場のどこかに紛れたのかもしれないが…
考えても仕方ない。百間洞まではもう戻れない。即、下山を判断して行動開始。
聖平小屋までは1時間半。茶臼小屋までは2時間半。
今まで山岳会で得た知識をフル動員して対策を考える。幸い幕営装備なのでテントのフライやグラシンで即席ポンチョを作り歩くこともできるし、最悪ビバークもできる。心を落ち着かせて茶臼小屋まで急ぐことにした。
予定していた上河内岳山頂をパスして茶臼小屋まで走る。比較的平坦な地形だったので危険はない。重量物を背負いながらなのでトレランのようにはいかないがハイペースで茶臼分岐まで辿り着く。この付近ですでに降り出していた雨が本降りになる。小屋まで後10分。寒さは感じなく低体温症の可能性も低い。このまま行こうと判断して歩き、無事小屋に到着。しかしずぶ濡れになってしまった。
小屋で受付を済ませて乾いた服に着替える。予定ではテント泊であったが雷雨になったためと体調維持のため小屋泊とした。
翌朝、2時半に起床する。外に出ると満天の星空だ。天気予報も晴れ時々曇り。これなら無事下山できるだろう。光岳が心残りだったがまともな雨具なしで稜線を10時間以上歩くわけにはいけない。後ろ髪引かれる思いだが必ずリベンジをすると誓い、暗闇でつまらない下山道を4時間かけて茶臼岳登山口に到着。車道歩きを得て下山完了となった。
いろいろな意味で良い経験ができた山行であった。会の定例会でもこの事例を報告して注意喚起に勤めようと思う。
今回の件での反省を踏まえ、自分の装備の以下の点を改良。
〜備には必ず名前を書く。
(小学生じゃあるまいし無くさないと思ってました)
◆^徹任任眸淑未靴笋垢い茲Δ鉾深優董璽廚魍腓衂佞韻襦
(他人の装備と似ているスタッフバッグを一目でわかるオリジナルに変更)
山行中での再パッキングは何を出して何をしまったのか確認しながらパッキング。
(無意識で装備出し入れをしない)
コメント
この記録に関連する登山ルート
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覚えていますでしょうか?
百間洞と茶臼まで一緒だった者です。
茶臼小屋にて雨具を途中借りた話をした者です。
あの時は災難でしたね、、。
そして無事下山されていて良かったです。
あのあと茶臼小屋を2時に出られたのですか!ずいぶんとお早い。
自分もあの日に光岳を往復して、同じ日にダムまで下り静鉄バスで帰宅しました。
出発は、茶臼小屋24:30〜でした。
今思えばいい巡礼でしたね!
最高の思い出です。
おおっ!お久しぶりです(^^
本当は光岳も行くはずだったのに残念でしたが、
良い勉強をさせて頂いたと思っております。
実は雨具も寿命に近かったので思い切って購入する
よいキッカケにもなりました(^^;
また何時か何処かの山でお会いしましょう!
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