白馬大雪渓から栂海新道・日本海へ -ロングトレイルの2日間-


- GPS
- 27:18
- 距離
- 56.8km
- 登り
- 4,240m
- 下り
- 4,938m
コースタイム
15日:朝日小屋1:46-2:31朝日岳2:36-3:09吹上のコル3:26-6:30黒岩山-7:49サワガニ山-8:55犬ヶ岳-9:05栂海山荘9:43-10:51菊石山-11:15下駒岳11:23-12:08白鳥山12:21-13:07シキ割水場-13:39坂田峠13:53-14:20尻高山-14:58二本松峠-15:45栂海新道登山口-15:53日本海
天候 | 14日:曇り、15日:曇り時々雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
9月15日 親不知観光ホテルでタクシー呼んで親不知交流センター「まるたんぼう」で入浴・親不知駅より帰宅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
コース状況 大雪渓下部で二筋になっていて左側を登る。大雪渓上部は雪渓・夏道交互になり目印を見逃さないように。 葱平前後のガレ場は落石注意とあり、休憩せずに通り抜けること。 朝日岳以北はそれまでよりも道案内が親切でなくなり、特に裸地の下りでは踏み跡を外し易く目印に注意。 下山後の入浴等: 親不知観光ホテルで入浴・送迎してもらえるのは15時まで。親不知駅最寄(徒歩10分)の親不知交流センター「まるたんぼう」で入浴料300円・宿泊・食事もできる。ここの食事は魚介満載で美味しいと常連の登山者情報(自分では未確認) |
写真
感想
8月25日に日帰りで朝日岳に登ってから、栂海新道走破への気持ちが強くなった。また人気の小屋主清水ゆかりさんのいる朝日小屋に泊まってみようとも思った。普段あまり山小屋は利用せずにテントを担ぐことが多いが、今回は軽量化もしたいことから小屋泊まり一泊で、但し相当の長丁場なので予備にもう一泊できる計画で三連休に実施することにした。2日間で約47km、猿倉までのアプローチも入れると3日間で56kmを歩き抜いた。
金曜夕方に富山駅を出発して糸魚川・南小谷と普通列車を乗り換えて白馬駅に21時半頃到着。翌朝6時台に猿倉に着けるバスもあるのだが、それでは朝日小屋に着くのが遅くなる可能性もあると思い、夜中の内に猿倉に行ってしまおうと歩くことにした。猿倉まで約2時間半の車道歩き、猿倉荘のベンチで寝袋に包って仮眠した。
14日: 朝3時前には車で到着して出かける登山者が居て目が覚める。続いて僕も出発。猿倉荘横の石段の山道に入るが直ぐに砂利道の林道となり、林道終点から間もなく白馬尻の小屋に着く。ここでは暗がりの中出発支度中の登山者が何人もいた。
白馬尻小屋の裏に出てしばらく、暗闇の奥に次第に雪渓らしいものが見えてくる。この時期でも雪渓は立派なもので末端から直ぐに雪上に乗る。傾斜は緩いのでツボ足で進んでみる。少し先で雪渓が二筋に分かれ、左が本命と思うがそこに取り付く所が急で、乗り易い右を進んだ。しかしその先で雪が切れて行く手を阻まれた。左手の雪渓に移るには一層急で危険と、引き返すことにした。この下りから軽アイゼン装着。僕の後を付いてきたパーティーに声をかけて戻ってもらう。この間約20分のロス。左の雪渓からは上端まで歩け、目印を辿って夏道に出た。もう一度雪渓に乗り、その先は完全に夏道になった。この頃白けて来て朝焼けを眺め、ヘッドランプが要らなくなった。
葱平辺りはちらほら高山植物が咲いており、夏が終わる雰囲気ではあるが未だ秋ではない。避難小屋を覗いて間もなく村営頂上宿舎に到達。ここは誰も出ていなくて外目にはひっそりしている。一頑張りで白馬山荘を抜けて白馬岳山頂に到着。何人か登山者が居て、シャッター押しを僕に頼んだカップルに僕もシャッターを押してもらった。行く先を聞かれたので猿倉から朝日小屋まで行くんだと言うと凄い健脚の人に会えたと感動された。
白馬山頂から三国境までは登山者が散在するが皆白馬大池方面に向かっていて、雪倉岳方面に分かれると途端に静かになる。白馬岳から旭岳、清水岳への稜線の眺めが僕には新鮮な印象だ。鉢ヶ岳前後の緩やかな地形とその先に次第に大きくなる雪倉岳の眺めも良い雰囲気だ。雪倉岳避難小屋を覗いて、非常時のみとはあるけれど、一度泊まってみたいと思う。一頑張りで雪倉岳山頂、少しガスがかかって来た。
雪倉岳からどんどん下り、赤男山の巻道にかかる頃、大分歩いたなぁ、でもまだ先があるなぁという気になってくる。燕岩の水場はベンチなどあって休むには良い場所だが水の出は細い。その先の、ガイドマップで「常水」とある水場は流水豊富な沢で美味しい。いよいよ水平道に入り、名前に反してアップダウンを繰り返すのはガイドにある通りだが、あと少しと念じて頑張り、遂に見覚えのある水谷コルの分岐点、ほんの一登りで朝日小屋のある朝日平に到着。小屋の受付してビールを買って、後は夕食までまったり、夕暮れ時には西の夕焼けと共に、ほぼ反対側の白馬岳上空に渡る雲のアーベントロートが見事だった。小屋の夕食は単独行者で集まるように仕向けられ、話がし易かった。ここでUさんと隣り合わせになり、今日も猿倉から同じ行程、明日親不知を目指すのも同じ、そういう女性がいるとは驚きだった。
15日: 1時半には起きて、寝ている人たちに迷惑かけないように極力慎重に、荷物を運び出し布団を畳んで、さて出発。周辺の山の稜線がかすかに認識できるので視界は良い様だが、空には全く星が見えないので曇っているようだ。朝日岳山頂までは3週間前に来て勝手の分かる道、山頂に着いたらなんと、山頂のモニュメントがこの間に交換されていた。山頂に着くころに雨が降り出し、天気予報では午後に雨と言っていたのにこれからずっと雨では先が思いやられるとこの時は思った。
朝日岳から北東の尾根を下りて行くのだが、朝日小屋側の丸太の階段や木道で整備された道とは一変して、より「自然な」山道となった。植生の少ないザレ場では踏み跡がはっきりしなくなり、赤ペンキのマーキングを見つけては安心しつつ進んでいく。概ね一定の斜度で下り続けて何か見えて来たと思ったら、道標のある吹上のコルに到達。
良く紹介されている、「日本海へ→」と書かれた岩の写真を撮り、雨足が割とまともになって来たので雨具上下、スパッツ、ザックカバーの対雨フル装備にして先に進む。日本海岩を乗り越えてほどなく樹林帯となり、以後は踏み跡不明瞭な所は殆どなく(全くではない)迷わず歩けた。
長栂山を巻く道は木道のある湿原の道、その後標高差300mの一貫した下りになる。この下りの間に朝が白けて来て漸く付近の地形が判って来た。長い下りがやっと登りに転じた所に中俣新道への分岐があり、直ぐに黒岩山。行く手にサワガニ山、犬ヶ岳が認められる。その左手に立派な山、地図を見て分かったこれが初雪山か。夏道がなく積雪期に山スキーで登る山だ。この間に栂海山荘から登って来た3パーティーとすれ違った。
黒岩山から犬ヶ岳まで標高はあまり変わらないがちょこまか登ったり下ったりを繰り返して、1582mピーク手前の鞍部から一頑張りでピーク、さらに下り登りして犬ヶ岳、しばらく止んでいた雨がまたぱらついたので肩の栂海山荘に駆け込んだ。
快適な栂海山荘内で中休止のラーメンタイムとした。体が塩分を欲しがっているので美味い。食べて一服、さて出発と外に出ると、そこにUさんいるではないか。聞けば彼女が出発したのは5時過ぎてだと言う。ここまで僕が7時間、彼女は4時間だ。僕は精一杯速く歩こうとしていたのではないし、暗い間はさらにペースを落としていた、雨の影響もあったと僕が遅い要因を考えてみるが、かと言って長丁場は認識しているので一応一所懸命歩いて来ている。やはり彼女は速すぎる、とても付いて行けないかとも思ったが、ともかく一緒に歩き出した。ペースを合わせてもらえたのだろうが、なんとか千切れずにずっと付いて行けた。
この後の方が天気は持ち直し、もう雨具が要るほど降ることはなかった。菊石山へは大方下りでさっと通過、下駒岳へ一登りして小休止。白鳥山へは犬ヶ岳以降の最大の登りで汗だくに。白鳥小屋も快適そうだ。Uさん自家製のケーキをもらって、坂田峠まで標高差300mの大下りをこなす。途中シキ割の水場はしっかり流れていて、冷たく美味い水だった。
標高を下げて来て汗の出も増えて来た。気温は25度位だろうか、真夏でなくてまだ良かった。時折だが日差しを受けるとまた暑い。坂田峠からだらだら登ってだらだら下りて尻高山、休まず下り続けて二本松峠。入道山とその後の416mピークを越えると後は下り一辺倒だ。足の疲れは感じているがもう止まらず進む。国道の自動車の音が聞こえてくる。送電線鉄塔を2本くぐり、新設工事中の林道を横切ると間もなく、国道8号線が眼下に見え、遂に栂海新道登山口に到達。二人で固く握手して喜び合った。
さてここは未だ標高80m、日本海まで到達しないと。親不知観光ホテルの脇から遊歩道の階段を下りて、北アルプスが海に落ちる地点、正にそれらしい景観の海岸に下り立った。しばし感慨に浸り、再び80mの登り坂を頑張るのだった。
親不知観光ホテルで入浴と送迎を頼めるかと思ったら、午後3時までだったと言われた。空いていれば遅くてもしてもらえたとの情報もあったが、3連休の中日では駄目だったようだ。親不知駅最寄りの入浴施設として「まるたんぼう」を紹介されてタクシーで移動、入浴後JRで富山に戻り、富山から夜行バスで東京に帰るUさんには居酒屋までお付き合いいただいた。
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