飯豊山(実川口〜湯ノ島小屋〜大日岳〜飯豊本山〜切合〜大日杉)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 64.7km
- 登り
- 3,172m
- 下り
- 2,909m
コースタイム
日出谷駅(12:00)→小荒橋(12:45-12:50)→ゲート(2:30)→発電所(3:35)→トンネル入口(4:05)→
トンネル出口(4:20)→湯ノ島小屋(5:15)
2日目
湯ノ島小屋(5:50)→月心清水(7:10-7:25)→早川のつきあげ(9:35-9:45)→大日岳(11:45-11:50)→
御西小屋(1:15-1:55)→飯豊山(3:05)
3日目
本山小屋(5:15)→切合小屋(6:45-6:50)→地蔵岳(8:55)→大日杉(10:25-10:30)→白川ダム手前(3:15)
過去天気図(気象庁) | 2009年07月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
新宿→新潟 \5,460+新幹線自由席(新宿〜新潟) \4,100 新潟→五泉 \480 五泉→日出谷 \650+ばんえつ物語指定席 \510 米沢→新宿 \5,250+新幹線指定席(米沢〜新宿) \4,750 新宿→相武台前 \400 |
写真
感想
花と絶景で名高い飯豊山。ついに行ってきました。
コースについてはそれほど迷いはなく決まっていまして、とにかく登りはオンベ松尾根に行きたい。下りはダイグラ尾根も行きたいし、北股岳→梶川尾根なんてのも考えましたが、やはり確実性から川入が無難だろう、と決めていました。
しかし今回は難題が次々とやってきます。まずは天気。1週前から天気予報ばかり見て過ごす日々。水曜までは週末ずっと雨予報。そこで金曜出発はあきらめ。木曜になったら週末雨はない感じになってて、これなら、と土〜月の山行を決定。しかし木曜夜の東北大雨。しかもちょうど山形〜新潟でかなり降った模様。
しかも実川林道ががけ崩れのため車両通行止めという阿賀町の情報もあり、不安はつのります。まあ、これは歩く人はなんとかなるだろうと勝手に判断しました。
いよいよ土曜の朝。相武台前のパーキングに車を止め、小田急の始発に乗ります。新宿で新潟までのきっぷを買って、山手線から埼京線と乗継ぎ、大宮から上越新幹線に乗り込みます。結構込んでましたがなんとか席を確保。25分で高崎へ。鈍行だったら1時間半かかるんですけど。その速さを改めて実感します。
1時間と少しで新潟着。日出谷までは切符を買ってないので一旦電車を降りて切符を買いなおします。磐越線の電車を探すと隣のホームに「SLばんえつ物語」を発見。あ、土曜日だから運転あるんだ、と一瞬乗りたくなりましたが、ちょっとでも早く行きたいので一本前の緩行電車に乗り込みます。
ラジオとか聞きながら進んでいると、ふといや〜な予感が。おそるおそるカメラを開いてみると・・・案の定SDメモリが入ってません。一瞬頭が真っ白になり、携帯カメラで我慢する?とか自問自答しましたが、今回は賭けに出ることにしました。地図を見ると五泉は他の駅よりはひらけてそうなので思い切って途中下車。切符は前途無効になるけどあきらめて、電気屋さんを探しに出かけます。期待したよりは店が少なく前途厳しいという感じですが、とり
あえずなんとなく駅からまっすぐ進みます。1kmほど歩いたところにカメラのキタムラみたいな店が。すがるような気持ちで入っていくバッチリありました。勇んで1Gのやつをおよそ\800円で購入。駅へ戻ります。次の緩行電車はおよそ2時間後。ですけど、良く見たら30分後にSLが来る。しかもSLは縁あって今では快速も停まらない日出谷に止まるんですね。だめもとで窓口に聞いてみたらなんとありました。良かった良かった。SL乗るなんて初めてなので興奮がとまりません。
ホームで待ってたら・・・C57が。忘れ物が思いも寄らぬプレゼントをしてくれたようで、塞翁が馬ですね。
意気揚々と車内へ乗り込みます。汽笛が心地よく響き、ゆっくりとした足取りで出発。車窓を見ると写真撮ってる人がすずなり。しかも見てる人がみんな手を振ってます。なんか有名人になった気分。そして津川駅で給水のため10分以上停車があります。このときはみなさん半狂乱になって写真撮ってました。
車窓の阿賀野川を眺めながら、少しずつ気分はSLから山の方へ移って行きます。そして日出谷駅到着。ほぼ12:00。次の緩行電車だと1:00着ですからね。ほんとうに良かった。
ここまではいろいろな要素が全てうまく働いたような感じで自分の運使い果たしたかも、なんて思ってしまいますが、山で不運がないよう気を引き締めて出発。線路を渡って国道を東へ進みます。トンネル工事中。2kmほど歩くと実川にあたり、北へ折れるのですが、その道がトンネル工事のため塞がってます。もしかして通行止め?とか愕然としますがもう少し先に切回しがあって一安心。まだまだ先は長い。道は右岸から左岸に渡り、発電所のところで再び右岸へ。で、空き家のような家が数軒あり、その先に五十嵐家住宅というえらくきれいな昔風の家がありました。重要文化財だそうです。きれいな駐車場とトイレもありました。
そこで車両通行止めです。そこでまた看板が。「アシ沢の橋は撤去しました」これはどういうこと?渡れなかったらどうすればいいの?不安がまた3倍くらいにふくらみますが、いまさら戻るわけにも行かず先へ進みます。ゲートを越えて、ダートの林道へ入って行きます。すぐ先のところに路肩が少しだけ崩れてます。どうやらがけ崩れと言うのはここのことっぽいですね。取りあえず湯ノ島小屋までは行けそう。しかし遥か下に見える実川渓谷ですが、凄いですね。こんなの見たことないというような景色を絶壁と清流が描いていました。
やがてダムを過ぎ発電所を過ぎ、いよいよ湯ノ島小屋が近づいてきましたが、最後の難関、トンネルの入口へ到着。既に中は真っ暗なんですけど。ヘッドランプを点けて歩いて行きます。下はかなり濡れてますね。両サイドに光があるので壁にぶつからないようには歩いていけます。これどうやって電気通してるんだろ、と思いましたがヘッ
ドランプ消すと分かりました。単なる反射板です。笑いたいところですがこわいのが先に立って笑いも出てきませんでした。なかなか先が見えない。叫びたくなるような気分に襲われたころ、やっと先が見えました。しかも歩いてくる人がいます。なんか救われたような気分でした。
いよいよ小屋までは後少しのはず。林道を歩いていると大きな沢を渡って、なんか発電所の施設っぽい立派な柵があって行き止まり・・・。???という感じで戻ると来た方向からだと絶対見えないような方向に「登山道」と書いてありました。あ、ここかと歩き始めるとすぐに急な下りになってパイプの橋を渡り、そこからひたすら登り。どう考えてもこの上に小屋はないだろ、という急坂が続くのですぐに引き返します。さっきの大きな沢も渡って戻ると、カーブミラーのそばで良く見ると踏み跡が。これかな、と森へ入ってみると左奥に小屋が見えました。小屋にはだれもいません。とてもきれいです。網戸もついてるから窓開けて寝られます。
水は小屋のすぐ左手奥にあるし、トイレは別棟ですがさすがに虫だらけ、蜘蛛の巣だらけになってました。後で林道から小屋が見えるか試したところ、普通は見えないと思いました。大きな沢があって、少し上流にコンクリートの小さな小屋が見えるともう行きすぎです。戻ってミラーのところに小屋があります。
さて、何とか明るいうちに食事も済ませまして、疑問はさっき見た「アシ沢の橋撤去」。きっと徒渉するところがあるんだろう、ちょっと確認してこうかと思い立ちました。で、空身で登山道へ。さっきの橋を越えながら、「もしこんな沢だったらもう詰んでるよな」と不安になりまくりです。しかしその後いくら登っても沢らしきものは出てきません。地図を良く見ると、アシ沢の手前の尾根をいくらか登ってからアシ沢を越えて赤破線に合流している黒破線があります。「どうも橋がないからこれに付け替えてるのかな」と勝手に納得。もう明日にしようと小屋に戻って床に入りました。
まだ目一杯は疲れてなかったようで、すんなりとは眠れず。と気づいたら5時過ぎ。やばいやばいと、早々に起きだして朝食の支度にとりかかります。結局なんだかんだで出発したのは6時近く。飯豊は甘くない、と靴紐と気を引き締めます。
例の橋を渡ってからやせた尾根を登る登る。しかし踏み跡はしっかりしているので迷ってるという感じはせず、とにかく夢中で登ること1時間強。少し開けたところになって「月心清水」との標識。あ、合ってたんだと大きく息をつきます。結局散々渡ってたあのパイプ橋がアシ沢だったんですね。しかしあれ撤去されてたら無理だよなあ・・・。
月心清水は平坦だけども崖っぷちのトラバースを5分ほどです。冷たくて顔とかを洗うのには結構ですがちょっと水筒には詰めづらそう。
さて、いよいよオンベ松尾根が本当に牙をむきます。水場を出るとすぐにロープのある急坂。しかも滑る。結構あぶない。次第に周りの林が低くなり、背中には磐梯山。
一服平直前が本当にきつくて、木が全くない滑りやすい1枚岩のようなところをはうようにして登って行きます。取り
あえずちょっと傾斜が緩んだところで一服。出発してみたら一服平はもう少し先にありました。目の前に早川の突き上げが大きく聳えます。見た目に急でだんだん気力が萎えてきます。それでも雪渓の脇の急斜面を針金につかまって登ります。ピークちょっと手前で右へトラバースしてやっと稜線へ出ました。ちょっと歩けば待ち
に待った大日岳が見えました。
花も多くなってきたのですがここでいよいよ雨が落ちてきました。とにかく先へ急ぎます。
牛首山から急に下り、鞍部からいよいよ大日岳の大斜面に取り付きます。まずは右へトラバースして左へ折れて登りますが、大きな雪渓があるだけで良く道が分からない。どうも雪渓のサイドを行くような感じで、そこを夢中で登ります。
最後はとにかくでかい大日岳が真上に迫り、ひたすらあえぎ登ると、とうとう大日岳山頂を踏みました。感動!といいたいところですが雨に濡れて寒くて余り感慨もわいて来ませんでした。
余り休憩も取らず御西小屋へ向かいます。最初は相当急な下りで、その後はハクサンイチゲ、コバイケイソウが咲く穏やかな稜線が続きます。文平の池を過ぎて御西小屋への登りは雪渓登り。一応アイゼンつけました。登りながら右へず〜っと行くと間もなく小屋です。ここで雨宿りしながらご飯。大休止。水場はかなり下の方ですが持てないほど冷たい水がじゃかじゃか出てました。雲が晴れるのをかなり待ってましたがどうも晴れないので出発。ここからはチングルマ、イワカガミ咲く草原のような道です。振り返ると大日岳も晴れて美しい姿を見せていました。
飯豊山への最後の登りも余り長くはなく、憧れの飯豊山頂です。
山頂からの大日岳はその威容を存分に誇っています。左には登ってきたオンベ松も見えます。しかしキツそうだよなあ。
ダイグラの稜線も綺麗に見えています。これは次の楽しみですね。
小屋までは一投足です。実川口から来たというと若い小屋番さんが大げさに驚いてくれました。お世辞と分かっていても気持ちいいですね。流石にこの夜は疲れがあったようで良く眠れました。相当風雨が強まってきました。
さて、夜が明ける風は強いものの天気は良好。早速山頂へ戻って写真を撮ろうとしますが、風が強すぎ。カメラが構えられなくてろくな写真が撮れませんでした。がっかりして小屋へ戻るともう雨が降り出しました。
小屋番さんに「今日は覚悟して降りてください、剣ヶ峰も滑ります」と見送っていただいて出発です。是非再度来たいですね。
まずは歩きやすい尾根道を切合小屋へ下って行きます。風が強い。飛ばされるかも。しかもどうやら雹が降ってます。かなりいたい。それでも進むしかありません。やがて小屋に到着。休んでいても寒いだけなので水を少し飲
んですぐ出発します。
出てすぐ急な雪渓のトラバース。アイゼンつけます。まずは雪渓の先の踏み跡を見つけて、そこへ向かって行きます。ゆっくりと時間をかけて通過。それを3回ほど繰り返しました。風はやんでいましたが、雨もありかなり消耗。しばらく行くと分岐。御坪とか御沢とか書いてあります。まあ、尾根降りるほうだろ、と真っ直ぐ進んで行きます。雨で道が川のようになっている中を下って行きます。小さな祠の前を通過。進行方向はかすんでいますがいくつかのピークの先にひときわ大きなピーク。あれが三国岳か、と進みますがなかなか着かない。それでもヒメサユリ咲く
尾根を黙々と進み、やっとそれらしきピークへ。見ると大日杉とか書いてあります。???となりましたがふと気づきました。ここ地蔵岳です。完全に小屋から進む方向を間違ってたということですね。まあ、電車だし取りあえず降りればいいや、と先のことは真剣に考えないようにします。こっちの方が林道に着くのは早そうだし。
地蔵岳からひたすら下り。途中雨も少しおさまったのでやっと腰を降ろして休憩。さらにずんずん下るとぬかるみの
ところがあって「御田」とあります。おでん?というのは冗談ですが、地図を見るともう半分は来てる模様。元気になってさらに下ると、立派な小屋が見えました。やっと大日杉です。進むかタクシー呼ぶか思案しましたが、地図を見ると駅までは30kmはありそう。さすがにここからだといくらかかるかこわくなってしまったのである程度歩くことにしました。
川沿いの林道へ入っていきます。それにしても風景が昨秋の朝日連峰とかなり似ています。山と高原地図のおおむね左下から右上へ歩くのも一緒だし。すごい急流の川を見ながら歩くと右手からの道と合流。小さな集落になりました。バス停はなさそう。さらに歩いて川を2回渡り、かなり大きな集落が。民宿が数軒あり、郵便局もあります。それでもバス停はなさそう。もうちょっと行くと白川湖が見えてきました。この辺も朝日行ったときとそっくりです。「フォレストいいで」のあたりでこの辺でタクシー呼ぶかな、と思ったんですが、まだ駅までは10km以上はあるから、10km切るまでは頑張るか、と決めて歩き出します。しかしさすがにこのころになると疲れもあり、足の裏もかなり痛くなってきました。ダム堰堤直前まできたところでもう限界かとザックを降ろしたかけたところで、横に
軽自動車が突然停まりました。「乗ってきなよ!」一瞬何が起きたか分かりませんでした。「ビチョビチョです」と断ったのですが、かまわない、と乗せてくださいました。山形は本当にいいところです。しかも手ノ子から米沢方面の電車が3時間ないと分かると、米沢まで送ってくださいました。本当にありがとうございま
した。
憧れの飯豊、歩いた距離は60km超え。天気はいまいちでしたが大感動でした。
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