麦草岳〜牙岩〜木曽前岳・上松B→上松A周回☆奇観の滝から雪化粧の岩稜へ
- GPS
- 10:49
- 距離
- 22.3km
- 登り
- 2,238m
- 下り
- 2,241m
コースタイム
天候 | 晴れ 気温は山頂で最低2℃、最高14℃ 風速は山頂で7m/s程度 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
・登山口〜麦草岳:少し踏み跡の薄い箇所や急登があるが、基本的に道は良い。標高2300mでたまに雪がある。標高2600m以上で雪道でチェーンアイゼンあった方が楽。麦草岳手前の100〜200m区間までは藪無し。それ以降は麦草岳までハイマツの上を歩く。またハイマツの上に雪が乗っており、雪の薄いところを歩く。積雪は20cm位。時々プチラッセルとなる。奇美世滝は圧巻。必ず見るべき。 ・麦草岳〜牙岩〜木曽前岳:麦草岳から木曽前岳分岐点までは、崩落、痩せ尾根、梯子などあり少し危険。西側のトラバース区間もあり、その区間は積雪区間でチェーンアイゼンあった方が楽で安全。ないと滑落のリスクがあがり危険。分岐点から木曽前岳は積雪20冂度だが、時々30cm、膝位までのところもある。積雪があってもクラスト気味なのは表層だけでその下は底突きする。根雪とまではなっていない。凍結箇所は基本的にない。 ・木曽前岳分岐点〜上松A登山口:分岐点付近には雪があるが少し。少し下ると雪はなく、チェーンアイゼンも不要。敬神の滝は紅葉とあいまってなかなかのもの。 紅葉は標高1600m以下。相当きれいな紅葉がある。特に上松A登山口あたりの山肌は赤い紅葉が素晴らしい。 |
写真
装備
個人装備 |
モンベルウィックロンジオサーマルロング
ジオラインLW
ミレードライナミックシャツ
ダウン上
ハードシェル上下
ロングパンツ(モンベルマウンガイドパンツ中厚手)
防寒テムレス
サロモンスノークロス
ザック(グラナイトギアクラウン2の38)
非常食(柿の種とクッキーパワーバランス)
水1.0L(0.5L消費)
お湯0.3L(消費せず)
地図(地形図)
ヘッドランプ(レッドレンザーMH5を2個)
予備電池
GPS(ガーミンmap66sを2個)
カメラ(TG-6)
筆記用具
ファーストエイドキット
保険証
スマホ
ココヘリ
ツェルト(juzaのEMシェルター)
サングラス
おにぎり3個+サンドウィッチ1個(消費)
貴重品
熊鈴
ホイッスル
トイレットペーパー
チェーンアイゼン
総重量約9kg
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感想
今回は、yamanekoさんとの2回目の山行です。たまたま出張でこちらに来られるとのことで、だいぶ前から一緒に山に行きましょうとのお誘いがありました。せっかく誘っていただいたことだし、ワクワクするようなコースで感動するような景色を見せたい。色々と計画を練り、今回のコースを計画した。結果、木曽駒ヶ岳は時間切れで断念したが、奇美世の滝や牙岩、雪景色の山々、そして敬神の滝、多種多様な巨木と紅葉など、これ以上ない素晴らしい景色に出会えることができ、そして、yamanekoさとともに感動することができて本当に嬉しかった。何度も、「今日、二人でここに来れてよかった」と心の底から思った。
きっと、次回は伊吹山地か奥美濃の雪山でお会いするような気がする。その時はまた、よろしくお願いいたします。
それにしても、なんだか英国風のジェントルマンと子供・・・、重厚な山行紀と遠足の感想文・・・・のような、凸凹感のある二人だ。
歳も3つか4つ位しか変わらないのに・・・。
おかしいなあ・・・。おんなじ場所に行って、おんなじ所で感動してたのになあ・・・。
おかしいなあ・・・。
Greenriverさん(以下GRさん)の最初の出会いは残雪期の金糞岳に家内と登った時、登山口でご夫婦にお会いしたのだった。二回目は今年のはじめ、いつか機会があればご一緒にとメッセージを応答していた大ダワの登山口となる夜叉龍神社でやはり偶然にもお会いして、土蔵岳から大ダワへのの周回をご一緒させて頂くたのだった。
この一年間、ほとんどの出張の仕事がオンラインとなるが、久しぶりに名古屋への出張が入ったので早速にもGRさんにご連絡し、愛知県からアプローチ出来る山をご案内して頂くことをお願いする。山行先はGRさんに一任したのだが、出張の前にお知らせ頂いた山行計画は上松B→Aという驚くべきコースであった。私一人では到底、考えが及びもつかないようなコースであるが、この機会にGRさんにご案内して頂くことにした。
早朝の4時過ぎに金山のホテルまで迎えに来て下さる。やがて空が明るくなると上空は雲のほとんどない秋空が広がっている。木曽の谷を北上するとやがて濃い朝霧の中へと入ってゆく。
上松Bコースの登山口に到着すると地図に記されているように木曽駒荘という旧い山荘がある。趣のある昭和風の建物ではあるが既に廃屋となって久しい感じだ。
最初は長い林道歩きから始まる。色とりどりの紅葉と時折現れる白樺の叢林に感嘆しながら早足気味に林道を進む。やがてca1400mのあたりで谷沿いの景色が大きく開ける、ここから上では紅葉は既に終わっている。山肌では裸木の白い幹が規則的な図柄のように浮かび上がっている。
国土地理院の地図には谷沿いを進む林道とその先に破線が記されてはいるが、この林道はほぼ完全に藪に覆われ、先に進むのも困難だ。ここは左手の斜面を登ってゆく林道を辿るのが正解のようだ。
林道が終点となり、谷の左岸の樹林へと入ってゆく登山道が見えたところで、広々とした谷奥を取り囲む壮麗な絶壁とその絶壁の上から流れ落ちる一筋の滝が目に入る。その落差は50mはゆうにあるだろう。
今は渇水期で流量が少ないものと思われるが、水量が多いと相当な迫力であることが予想される。そしてあたかも絵巻のような絶壁の岩肌の青味がかった色彩がこの風景をなんとも幻想的なものにしている。奇美世の滝という名前をつけられたのもなるほどと頷けるような奇観だ。この景色の美しさに見惚れ、しばし滝の前に言葉を忘れて佇む。
登山口からシラビソと思われる針葉樹の森に入ってゆく。急峻な斜面をつづら折りに登ってゆく。麦草岳から西に伸びる尾根に乗ると樹林の中に朝陽が差し込み始めると、鋭角的な木洩れ陽に当たって苔が緑の光を反射する様がなんとも美しい。単調な樹林の登りが続くが、普段、関西の山では見ることのない林相が新鮮に思われ、退屈することがない。
標高2300mを過ぎたあたりで、陽の当たらない北側斜面に入ると登山道は途端に雪が現れる。氷結している箇所が多いが道がなだらかなのでまだチェーンスパイクを使用するには及ばない。
やがて樹間からハイマツに覆われたピークが見える。麦草岳の手前のピークらしい。尾根の展望地からは背後にやはり冠雪した御嶽山、そしてその右手には乗鞍岳と北アルプスの展望が広がっている。そして御嶽山との間では下界には絨毯のように褐色に染まった紅葉の樹林が限りなく広がっている。
すぐにも樹林帯を抜けるのかと思いきや、なかなか樹林帯を抜けず、樹高の低い針葉樹林が続く。このあたりは森林限界が2500mほどでしょうとGRさんが教えて下さる。樹林を抜けてハイマツ帯になると背後に大きく眺望が広がるが、いつしか北アルプス方面には雲がかかっている。背後の御嶽山との間にも瞬く間に雲が広がり、みるみるうちに山々の眺望を遮ってゆく。
見ると流れていく雲の速度がかなり速い。風が相当に強いようだ。ここでハードシェルを着用する。驚いたことに上空を見上げると一羽の蝶がこの強風の中を飛んでいた。ハイマツの上には早速にも雪が乗っている箇所が多く、そのお陰でハイマツの上を歩くことが出来る。
七合目避難小屋からの登山道(福島コース)との合流地点が近づくといよいよ目の前には積雪した木曽前岳とその奥には木曽駒ヶ岳の壮麗なピークが姿を現す。問題は手指が急速に悴んでしまったことだ。手袋は二枚、持参してきたが、GRさんが用意してくれた防寒テムレスを使わせて頂くも、なかなか回復しない。ここで指先を温めるために何度かかなり停滞し、GRさんにご迷惑をおかけする。ハードシェルの中にダウンも着込み、手指を温めるとようやく指先の感覚が戻ってきて安心する。
福島コースとの合流地点となる三角点ピークでは丁度、12本爪のアイゼンを装着した二人の男性の登山者が七合目から登って来られる。福島Aコースから登って来られたらしい。すぐ隣のピークを指してあちらが本当の山頂ですよとGRさんがご教示されると、「山頂を踏み損ねるところだった」と喜んで山頂に向かわれる。私たちもすぐにその後を追う。
山頂から木曽前岳にかけての吊り尾根のほぼ中間にはその通過を阻むよう大きな岩が二つ鋭く突き出ている。それが牙岩と呼ばれる岩であることは誰にもすぐ理解できるだろう。確かに天に向かって稜線からむき出しになった牙のようだ。
山頂でお互いの写真を撮り合ううちに雲の中から三ノ沢岳も姿を現す。私の手の悴みもすっかり治まったところで、いよいよGRに先導して頂いて、木曽前岳への吊尾根に足を踏み入れる。
急峻な斜面を下降すると風の影に入ったのだろう。急速に風が弱まり、暖かく感じられる。鞍部の手前は斜面が凍結しているとかなりの危険な箇所になるのだろうが、風が雪を吹き飛ばしたのだろう。登山道には全くといってもいいほど雪はなく、難なく通過することが出来る。
鞍部からは右手に荒々しい崩壊斜面が広がっている。ここからは積雪した北側斜面をトラバース気味に進むことになる。幸いここでも雪は凍結しておらず、順調に進む。牙岩の下にたどり着くと二段のアルミ梯子が設置されている。
梯子を登って二つの牙岩の間を通過する。牙岩の東側の急峻な斜面は麦草岳からの下りと同様に積雪がなく、無事に下降することが出来る。これで危険箇所は通過したとのことであるが、ここで目の前に聳える木曽前岳への登りはかなり急峻だ。
木曽前岳の登りに差し掛かると北側斜面から登ることになるが、やはりかなりの急斜面である。斜面の灌木かところどころで雪の下から露出しているロープの助けを借りて登ることが出来るが、もう少しでも雪が積もればそのいずれも不可能となるだろう。
木曽前岳の手前のピークに達すると一人の男性が休憩しておられた。上松Aコースを登って来られたらしい。ここからは積雪したなだらかな岩稜帯を歩いて木曽前岳のピークを踏みに行く。木曽前岳のピークはいくつかある小さな隆起の一つであり、ケルンがなければ気がつかずに通り過ぎてしまいそうな地味なピークであった。有難いことに麦草岳よりも風はだいぶ治まっている。
携行した大福とキウィで休憩する。さほど長居をしたつもりもないのだが、気がついたら20分近くが過ぎていた。山頂の周りでは数羽の鳥が飛び回っている。ホシガラスであることをGRさんが教えて下さる。
先ほどの男性のおられた稜線の分岐のピークに戻ると下山は上松Aコースへと入る。尾根は日当たり良いせいか、ほとんど積雪はない。良好に整備された歩きやすい道がが続いており、快適に下降することが出来る。
下るにつれ風もなくなり、暑く感じられるようになる。標高2500mのあたりでハードシェルとチェーンアイゼンを収納する。やがて登りの尾根と同様に、シラビソの樹林に入ってゆく。下山の尾根は緩やかではあるが距離が長い。それなりに快足で降っているつもりではあるが、なかなか高度が下がらない。
五合目にある金懸小屋を通りすぎて、つづら折りに斜面を下るようになると林相が変わり、針葉樹の間に色とりどりの紅葉の樹々が現れる。紅葉も素晴らしいが、樹林には滅多にお目にかかれないようなサワラや樅の大樹、ひときわ大きなトチノキの巨樹が次々と現れ、その大きさに驚嘆する。さすがは木曽の山林だと感心する。
ようやく登山口が見えて来た頃、右手に現れた谷に小さな祠とその奥に数段の滝が見える。手前の斜面を登ってゆく苔むした木製の梯子があるので、登ってみると急峻な斜面からは対岸に美しい六段の段瀑が紅葉の樹々の間から眺めることが出来た。
谷の祠は滝を祀るためのものであろう。滝下からも滝を眺めてみるが、滝下から眺めることが出来るのは下の四段のみであった。
林道に出ると周辺の樹林の紅葉が綺麗ではあるが、あたりは急速に暗くなってゆく。ここからは出発地点である上松Bコースの登山口まではおよそ6km近い道のりだ。北股沢を渡渉して、登山口に至る林道駒ヶ岳山麓線に入ると夜の帳が降りてくる。頭上ではカシオペア座の五つ星が瞬きはじめる。
林道の周辺の樹林の闇の中ではヘッデンの光を反射する緑の双眸がある。おそらくはタヌキだろう。GRさんとは話が尽きることなく、登山口までの林道歩きも短く感じられた。GRさんのどうも車に乗り込んで帰路につくと中津川が近づいたところで雨が降り始めた。女心と秋の空とはよく言ったものだ。
登山口と下山口の二つの美しい滝、見事な紅葉にも恵まれた、なんとも充実した山行であった。そして私一人では足を踏み入れることも叶わなないような雪化粧した壮麗な稜線歩きをご案内くださったGRに改めて深謝である。そしてGRさんと多くの感動を共有させて頂いたことで、山行の充実感がさらに大きく感じられるのだった。
コメント
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雪の麦島岳〜牙岩行かれたんですね♪凄いですね!
今回もすべての写真を見させてもらいましたよ、ホントに素晴らしい景色ばかりです。
何度見てもこの中央アルプスの稜線は美しいですね〜! 今回は白の稜線を見せてもらいまして、ワクワクしましたよ♪
また「ここ行ってみたい!」って思わせるレコ期待しちゃお♪♪♪
まだ根雪になっていなくてちょっと歩きにくかったですが、危険箇所は凍結もなく雪も少なく、リスクが高くなるようなことはありませんでした。それなのに雪の稜線の景色も楽しめたので、とても贅沢ですよね。ちなみに、「ここ行ってみたい」っていう計画は沢山ありますよ。積雪期の伊吹山から能郷白山への赤線つなぎや、乗鞍のクラシックルート、多分、冬でも積雪がない熊野古道の中辺道とか。積雪期は無理ですけど、シオジ~越百山、独標~三ノ沢岳とかもトライしてみたいです。あとは山スキーかな。今年は雪洞やイグルー泊もしてみたい。楽しそうですが、体が持つのか・・・(^^;)。
また機会がありましたら、よろしくお願いいたします!!
高度差、距離 すごいですね
お二人ともかっこいい
29僉😲
高度差、距離は体力でカバーしました(笑)。
道が良かったので助かりました。
でも、登山で一番大事なのは「楽しむこと」だと思っているので、olddreamerさんのように、何年たっても気が合う仲間と一緒に山に行ける・・・ということは、凄く羨ましく思います。ソロでの登山もそれはそれで楽しいですが、絶景を独り占めより、仲間で分かちあえる方が楽しいと思います。
ちなみに、29cm!!スノーシュー不要な気もします(笑)。
今回の山行は完全にGRさんのお陰です
ちなみに・・・の大足とはよく云ったものです
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