室堂から池の平、長次郎谷から剱岳 -ルート変更によるロングトレイル-


- GPS
- 20:55
- 距離
- 34.7km
- 登り
- 4,169m
- 下り
- 4,166m
コースタイム
7月21日: 3:22池の平小屋-5:08二股5:13-6:18真砂沢ロッジ6:38-7:03長次郎出合-8:14熊の岩の下8:22-9:27長次郎のコル9:45-10:12剱岳10:49-12:47剣山荘13:00-13:16剱沢小屋-14:07剱御前小屋14:20-15:03雷鳥平野営場15:09-15:46室堂
天候 | 20日:曇り時々晴れ、21日:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
雷鳥平-剱御前小屋間は雷鳥沢ルートで1割程度、新室堂乗越ルートでは2割程度が雪上、剱御前小屋-剱沢小屋間は7割程度が雪上。剱沢小屋と剣山荘まではストック、ピッケル、アイゼンの内どれかがあれば大丈夫。剱御前直下のルートは残雪トラバースの為通行止めとされていた。剱沢小屋から真砂沢ロッジまで100%雪上でアイゼン推奨。真砂沢ロッジ-二股間はほぼ夏道で部分的に雪田上、仙人新道は完全夏道。長次郎雪渓熊の岩の両側右俣も左俣も通過可、長次郎のコル直下のみクレバス有。別山尾根ルートは殆ど夏道。平蔵のコルでは平蔵雪渓最上端を渡って登りルートのタテバイとなるが、それが解らず下り用のヨコバイに来てしまう登山者がいた。 |
予約できる山小屋 |
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写真
感想
北方稜線を狙って池の平小屋まで行ったが、止められてルート変更。その結果1日目偵察行も含めて16km、2日目18kmと長々と歩くことになった。
北方稜線の記録は8月が圧倒的に多く、9月がそれに続き、7月にはかなり少ないが下旬にはなくもない。海の日絡みの三連休からは行けるのではないかと計画したのだが...
当初三連休の1日目から2日山行+予備日で計画したが、19日は豪雨災害も出るほどの悪天で、1日遅らせて出発した。
20日朝、1番の高原バスで室堂に到着、7時半過ぎに行動開始した。池の平小屋までは標準タイムで9時間近くだが、去年の経験で朝下界発でも十分明るい内に着けると踏んでいた。石畳の道を登り下りして雷鳥荘、標高差100m下りて雷鳥平の野営場、休まず称名川を渡って剱御前小屋への登りにかかる。なんとなくだが西寄りの、新室堂乗越経由のルートをとった。剱御前小屋から剱沢に入ると雪道が多くなるが、アイゼンの必要は感じない。剱沢のテント場を過ぎ、剱沢小屋の東端から真砂沢ロッジ方面に下りて行くが、そこの傾斜を見て迷わずアイゼン装着とした。真砂沢ロッジ直前まで完全雪上でクレバスなどもなくガシガシ下って行ける。ロッジ前で土の上となり、この先下りて行く道も雪が無いのでアイゼンを外す。テント場はまだほとんど雪に埋もれていた。休んで水を補給し、出かけようとした時に小屋主の佐伯成司さんが出て来て、この先仙人新道なら道は心配ないが草刈りが済んでないので頑張ってね、という感じだった。
ロッジから一段坂道を下りるとかなり大きな雪田が残っており先のルートが見えない。道は左岸通しとわかっていれば問題ないがそうでないと迷う可能性はある。後は殆ど夏道で、数回盍きがあり、一ヵ所鎖に頼る激流上のヘツリがある。河原歩きになって近藤岩が見えると直に二股の吊り橋に着く。三の窓の雪渓を真下から眺める場所である。
仙人新道の尾根道取り付きは吊り橋より200m北西にあってそれ自体は樹木の間の目立たない入口だが、橋からその場所にかけてこれでもかとペンキの案内がでかでかとあるので間違うことはないだろう。しばらくは風通しの悪い樹林帯の胸突き八丁の急坂で、今日は湿度が高いので汗だくになる。ロープの貼られた崩壊箇所を抜けるとしばらくで尾根筋に出て風通しが良くなって修業は終わり、三の窓の雪渓が見えだすと間もなくベンチに着く。ここで初めて表とはかなり異なる、裏剣の眺めを知ることになる。もう少し進むと小窓の雪渓と池の平山も良く見えるようになる。さらに尾根登りを続けて、坂が緩くなって、下りになったと思うと仙人池方面との分岐点に着く。左に行くと直ぐにベンチのある仙人峠となり、池の平方面に下って行く。池の平小屋に14時過ぎに到着、室堂から6時間半だった。
テント泊の受付で今年の第一号(のテント泊者)ですと言われた。ところが、明日は北方稜線に行きたいと言うと、まだ早い、駄目だと言う。山岳警備隊が前の日にここまで来たが天気が悪いので上までは行かなかった。だから上がどうなっているか分からない、崩壊箇所があったりするかも知れないので通過は保証できない。単独行はなおさら駄目だ、ということで諦めることになった。
明日はどうするか考えながら、今後の為に北方稜線の入口である、旧鉱山道を偵察して見ることにした。小屋の裏から細い道が出ていて、直ぐに池平山への道を右に分ける。しばらくは緩傾斜地のトラバースで2箇所雪渓を渡るが緩いので問題なく、ルートのマーキングもある。細尾根を越すといよいよ、小窓雪渓の崖上を歩く危険個所となる。道自体は細いがしっかりしたものであるが、足元の下は木が生えているので崖と知らないとそうは見えない。しかしよく見るとはるか下まで切れ落ちていて、つまづき、スリップなどで落ちてしまうと致命的だろう。崩壊箇所が出来たりするとヤバいことになりそうである。緊張感を持って進むと、見通しが良くなって小窓雪渓と対岸の滝、モンローの唇を眺めるようになったが、急傾斜の雪渓に道を塞がれた。その先の一旦雪が切れた所に岩のマーキングと、鉱山設備の残骸らしいものが見えて、あそこが旧鉱山道と小窓雪渓の接点なんだなと解り、ここから引き返すことにした。
池の平小屋に戻り、缶ビール買ってテント場で夕食、その後明日の予定を伝えるため小屋に入ると、まぁ焼酎でも飲んでけと言われてしばらく御馳走になる。小屋で働くおじさん達が多分3人か4人いるのだが、泊り客も一緒くたに宴会になっているので、顔を覚えていないと誰がスタッフで誰が泊り客なのかよく解らない。客の方だと思うが、去年朝日岳に自転車使って行った人ですよねと言われ、その通りなのでびっくりした。去年の8月、朝日岳の小屋前で話をした人達の中にいたらしい。
さて二日目、北方稜線は先送りにして、このまま来た道を戻るだけでは勿体ないので、長次郎の雪渓から剱岳を目指すことにした。その日中に室堂に戻って帰宅するとするとかなりの長丁場になるし、高原バスの最終便(17:40)までに辿りつかないといけない。なので兎も角早出だと、2時半起床で3時半出発とし、長い一日が始まる。
ヘッドランプ点灯で池の平小屋を後にし、仙人新道をひたすら下り、ベンチでランプ消灯、二股まで下りて三の窓雪渓に朝日が当るのを見た。剱沢を遡って真砂沢ロッジに着くと、小屋主佐伯さんに、やぁ、早かったねと声かけられた。小屋の朝食で残っているんだとコーヒーを御馳走になり、しばしくつろいだ。
ロッジから先はアイゼン着けて雪道だ。傾斜の緩い剱沢を進み、長次郎の谷に入る。下から見る雪渓は左に曲がりこんでいて、最初は上の方が見えないが、だんだん見通せるようになって来て正面に熊の岩が大きくなってくる。熊の岩を挟んで雪渓は右股と左股に分かれる。左股は狭い所で雪が切れるのが早いので、右股から行って熊の岩の上で左股に移るのが標準ルートである。でも今回は左股の雪がしっかりつながっていると見えたので左股から行くことにした。
左股ルートは、熊の岩横の狭い喉から、長次郎のコルに至るまで概ね一定の傾斜である。コル直下以外では殆どクレバス等危険に思える地帯はなく、すっきり登れた。二人組が先行して登っていて、少しずつ近づいてくるが追いつくには至らず、長次郎のコルで彼らが休んでいる時に一緒になった。彼らとはその後、剱岳山頂、剣山荘、アルペンルートのバスとケーブルカーで一緒になる。コルからはしばしの岩稜歩き、頂上直下の雪田を越えて、一般ルート登山者で賑わう剱岳山頂に到着。ガスがかかり始めて抜群の眺望とは言えないが、裏剣の絶景を眺めてからやって来たので残念には思わない。
頂上でのんびりした後、別山尾根の一般ルートでの下山にかかる。11時位になると、一般ルート登山者の下山ラッシュは過ぎていて、渋滞なくヨコバイも通過、平蔵のコルを過ぎて快調に下って行く。昨日は1000mの登りと1300mの下りをこなし、今日は500m下りてから1400m登って来た。さすがに若干の足の疲れを感じ始め、下り道で油断しては危ないと自覚して下りて行く。前剣、一服剱を越えて剣山荘まで下りて一服。
剣山荘から剱沢小屋へのルートで再度雪上歩きとなり、その後剱御前小屋まで7,8割方雪道歩きである。御前小屋で一服の後、雷鳥沢から雷鳥平までの500mの下り、こちらはもう9割方夏道である。雷鳥平野営場のベンチで最後の一服、室堂までの登りが最後の頑張りと気合を入れて、夜明け前から12時間の行動を終えた。
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