2つのキレットを超えて(唐松岳〜五竜岳〜鹿島槍ヶ岳)


- GPS
- 34:30
- 距離
- 30.4km
- 登り
- 3,469m
- 下り
- 3,614m
コースタイム
- 山行
- 8:40
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 9:00
天候 | 13日晴れのち曇り、14日曇り一時雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・大谷原駐車場には売店等はありません。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
今回の行程は岩の部分が多いので、全体的に危険度の高い場所になると思います。 行かれる方はコースタイムや危険度を良くお調べ下さい。 |
写真
装備
備考 | 【反省点】 ・朝の行動開始時間をもう少し早くすれば良かった。 【装備の反省等】 ・iPhone充電用バッテリを持って行ったがコードが不調 ・カメラの予備バッテリ忘れ |
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感想
【出発前】
昨年、白馬大池〜扇沢までの縦走を計画しましたが悪天候の為天狗山荘に停滞の後敗退となり、何としてでもリベンジを果たしたいと思い、今年は少し短縮して3泊4日で猿倉〜扇沢を計画しました。当日朝までヤマテンを確認し、現地の空を見上げて考えましたがお天気はもって2日間という感じ。岩場の多いこの工程を「雨の中歩く」事と「早く歩く」事を天秤にかけた結果、自分には後者の方がリスクが少ないと考え、初めの2日間でこの山行の核心部(不帰キレットと八峰キレット)を超える計画に変更しました。ただし1日あたりのコースタイムは結構長くなってしまうため、より安全な山行とするために、
・テント装備をやめて荷物を少しでも軽くする
・行動を速めて、1日目に不帰キレットを、2日目に八峰キレットを超える
・ただし途中で天候が酷く悪化した場合には唐松・五竜からでも下山する
・五竜岳を超えて天候や体調悪化の場合、キレット小屋に宿泊しゆっくり山行にする
以上を自身のルールと決めて歩き始めました。
【1日目】
猿倉から歩き始めてふと気付くと、去年歩いた記憶の無い景色に。。。白馬鑓温泉との分岐を越えていました。朝イチからタイムロスしてしまいましたが、分岐まで戻ってリスタートとなりました。猿倉から白馬鑓温泉小屋まで危ない個所はありません。幾つか崩落個所や雪渓のトラバースがありますが特に危険は感じませんでした。
白馬鑓温泉から稜線までの道は油断大敵です。見た目は大したことないクサリもある岩の上を通る個所がいくつかありますが、水が湧いて濡れている時は非常に滑るので要注意です。去年は雨の中下山したため、何度か滑ってしまいました。
稜線に出ると涼しい風と共に、去年歩いた白馬岳から続く美しい景色を目にできます。白馬鑓の荒々しい山容を背に天狗山荘に向かいました。天狗山荘には11:00までに到着したかったのですが、朝のタイムロスもあり11:30となってしまいました。この時点でガスは出ていますが雨は降りそうにないため、今後の工程も考えて歩を進める事としました。
天狗の大下りは確かに凄い高低差ですが恐怖を感じる個所はなく、ひたすら落石しないように気を付けて下りました。その後の不帰キレット・不帰嶮は高度感を感じる場所が何ヶ所かありました。しかし手掛かり足掛かりはしっかりとありますし、要所要所にはハシゴやクサリが設置されているのでヒヤリとする場面はありませんでした。ガスって下が見えなかったのも良かったかもしれません(笑)何度も上り下りを繰り返して難所を超えていきます。最後の登りを終えれば唐松岳頂上に到達。ここまでくれば山荘も見えて一安心です。
【2日目】
2日目は5時に唐松山荘を出発しました。早朝の天気は薄曇りですが、ガスが上がる前に立山連峰や五竜岳の立派な姿を拝むことができました。山荘を出て少し登るとすぐに岩場が現れます。難しい所は無いですが、落石しないように慎重に行動しました。そこを超えると五竜岳山荘までの稜線歩きになります。眼前には五竜岳の雄姿が、振り返ると唐松岳から歩いてきた稜線が見られてとても良かったです。
五竜岳山荘を超えて五竜岳に至る道は岩場となります。ここも難所はありませんが、落石には注意しました。五竜岳の頂からは、これから目指す八峰キレットや鹿島槍ヶ岳が見えます。美しくも険しい道ですね。
五竜岳から下り始めると、明らかに今までとは難易度の異なる岩場となります。私個人の意見としては、不帰よりもこちらの方がずっと難しく危険に感じました。その理由は
・ガレ場・浮石が多く岩がもろい
・アップダウンが繰り返されるので、体力が奪われていき集中力が低下する
・クサリを使っても足場悪く難しい個所があった
・ルートが不明瞭に感じた
などが挙げられます。高度なクライミングの技術やルートファインディング能力が問われる場所ではありませんので慎重に進めば多くの人たちと同じように無事に通る事ができますが、一瞬の油断や気の緩みが大事故に繋がる場所である事は間違いありません。そして技術よりとにかく体力勝負であるとも感じました。体力の低下が招く集中力の低下が最も恐ろしいと自分に言い聞かせ、疲れたらザックを下ろして腰を下ろして休憩し、リフレッシュしてから歩く事を繰り返しました。
しばらく歩くと稜線の先で救助ヘリが活動しています。事故があったのでしょうか、心配です。この場所は何度も何度も登っては降りてを繰り返しますが、なかなかキレット小屋が見えてこないので体力も精神力にも疲労を感じました。ちなみにキレット小屋は本当に直前に近づくま全くで見えません。
そしていよいよキレット小屋に到着!一息つくとザーッと雨が降ってきましたので、小屋の中で小休止。水を補給し、雨具を着て外に出ると既に雨は上がっていました。小屋で遭対協の方から、この先の八峰キレットで昨日滑落事故があったと注意喚起がありました。後に分かりましたが、この方が先ほどのヘリで収容されたようです。
より一層気を引き締めてキレット小屋から出発となりました。ここから鹿島槍ヶ岳まで、また何度もアップダウンをしながら登っていきます。歩き始めは先ほどの雨の影響で岩が滑りましたが、幸いすぐに乾いてくれました。ここは体力と共に、分かりにくい個所がいくつかあったので落ち着いてルートを見る事が重要に感じました。北峰分岐でちょうどこれから登りの方とお会いしたので、上までご一緒させていただきましたがおかげで元気をいただけました!疲れている時に誰かとお話できるのはとても元気と勇気をいただけますね。しかしここから南峰まではまた一人での登山となります。非常に長くキツく感じました。自分の記憶とコースタイムとが最もかけ離れていたのがこの場所で、とても長い登りに感じていました。鹿島槍ヶ岳頂上は残念ながら両方ともガスで眺望は全くありませんでした。
ここから冷池山荘までは少しのアップダウンはあるものの、特筆すべき事はありません。ガスがなければ立山連邦が目の前に広がる素晴らしい稜線なのでしょう。小さなピークを越えてひたすら緩慢な下りを歩き冷池山荘へ。冷池山荘では腰を下ろし、ジュースを飲んて泊まりの方と少しお話をしてから出発しました。
冷池乗越から赤岩尾根は少し注意が必要かもしれません。高千穂平までは登山道がかなり荒れていて非常に歩きにくかったです。また高千穂平の先だったでしょうか、大型動物のフンが幾つかあったのですが、帰って調べてみると熊の可能性が高いようです。冷池山荘や西俣出合の作業小屋にも熊の目撃情報があったので注意が必要です。
西俣出合で細い恐いトンネルで対岸に渡ると、仮設トイレと作業小屋が解放されているので、ちょっとした休憩に利用できます。そこから大谷原までは砂利の林道歩きとなります。
少し遅くなってしまいましたが、日没前に無事下山となりました。
今回の山行はコースタイムよりかなり早いペースで歩く事となりましたが、走ったり凄く速く歩いているという事はありません。登り降りは普通のペースで、平坦な場所はサクサク歩くといった感じです。幸運にも登山道が非常に空いていて、特に難所での渋滞はゼロでしたし、すれ違いや追い越しで止まる事がほとんど無かったのも要因と考えています。
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