【八ヶ岳】美濃戸口から行く極寒の阿弥陀岳北陵、赤岳
- GPS
- 10:45
- 距離
- 19.4km
- 登り
- 1,817m
- 下り
- 1,799m
コースタイム
- 山行
- 8:57
- 休憩
- 1:45
- 合計
- 10:42
天候 | 天気@ 曇りのち晴れ 気温@ 美濃戸口−14℃(AM8:30頃)、行者小屋−14℃(AM10:30頃)、阿弥陀岳-20℃(PM1:00頃)、赤岳−22℃(PM4:00頃) 風@ 西の風非常に強く(稜線上のみ、2500mより下部では穏やか)稜線上で17〜26m/s、森林限界より下部で無風〜数m/s程度 積雪@ 美濃戸口で10cm位、行者小屋までの登山道で15〜50cm位、阿弥陀岳北陵で60〜70cm位、中岳〜赤岳〜赤岳天望荘で10〜30cm位、地蔵尾根で60〜70cm位 |
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過去天気図(気象庁) | 2023年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
@概況 阿弥陀岳北陵についてはアルパインルートですが、極寒と強風が酷く、時間を掛けての登攀行為で体が極端に冷えるのが怖かったので、登攀は止めて岩峰に隣接するルンゼに迂回して通過しました。このルンゼとて雪の状態によっては雪崩のリスクがあり角度も急なので(胸ラッセルと力技が必要でした)、いつでも撤退できるよう、ソロでもロープは必携だと思いました。 この日は降雪直後で尚且つ冬型の気圧配置が強まってきたタイミングで、新雪深く、極寒、強風と非常に厳しいコンディションで、阿弥陀岳北陵以外にも中岳のコルへ降りる急斜面は岩とカチカチ雪とサラサラ雪のミックスで特に慎重に処理した。ここは場合によってはロープを使う必要性すら感じた。また、今回はこの低温で自分の吐息でゴーグルが凍りついてしまった。この強風では裸眼で行動するわけにもいかず、ゴーグルに付着した氷を頻繁に除去する必要があり、行程が捗らず異常に時間がかかってしまった。 今回は極寒でスマホのカメラが起動できない場面が多発したため撮影がほとんどできませんでした。このため、各セクションごとの状況を少し細かく記しています。 @美濃戸口〜林道@ 降雪直後で最初から全面積雪、地肌が露出している箇所はほとんど無い。林道は乾いた圧雪状態でアイスバーンは無かった。滑り止めは必要ないくらいだったが、チェーンスパイクを装着。 @南沢登山道〜行者小屋@ 南沢登山道に入っても雪質は乾いた状態で良好だった。積雪は最初15cm程度だったが、行者小屋の近くでは50cm位になっていた。この間はチェーンスパイクが快適だった。ここまで無補給、水分補給もなし。行者小屋では、暖かいオニオンコンソメスープを作成しアンパンとともに補給、カラビナ、スリング、縦爪アイゼンを装着。 @行者小屋〜阿弥陀岳北陵へのアプローチ@ 行者小屋から文三郎尾根へ向かう途中から阿弥陀岳へ進路を採る。その後しばらくで中岳沢へ向かう登山道と怪しい森の中に入っていくトレースに分かれるので、怪しい森の中へ。トレースがあるとはいえそれでも膝からモモまで埋まりラッセルの様相を呈する。先行の方に追いつきお礼を言い先に行かせてもらう。その後しばらくで阿弥陀岳北陵に出る。 @阿弥陀岳北陵@ 1つ目の岩峰は灌木を掴みながらフリーで登っていけた。2つ目の岩峰は2つのパートに分かれていて、残置もあり、カラビナとスリングを使って時間を掛けて行けば特に問題なさそうだったが、この頃から気温が異様に低いことに加えて風が非常に強くなり、この状況では体が冷えてしまうことを恐れて登攀は断念し、隣接するルンゼに迂回して体を冷やさないようスピーディーに阿弥陀岳頂上まで登る算段をつけた。このルンゼは壁のような急角度で常に胸ラッセル&力技で強引に這い上がった。 @阿弥陀岳頂上〜中岳のコル@ 阿弥陀岳から中岳のコルへ降りる急斜面は岩とサラサラ雪とカチカチ雪のミックスで、そこに低温と強風ということで常に緊張しながら慎重に降下した。場合によりクライムダウンを織り交ぜて、もしかしたらロープも出さないと行けないかも?とも思ったがそこまでは必要なかった。ここからゴーグルを装着したのだが、早々に曇ってしまい、一旦裸眼になるが、とてもじゃないが我慢出来ないので、とりあえずサングラスで凌いだ。 @中岳のコル〜中岳〜中岳東側のコル@ 中岳のコルから中岳沢を行者小屋に降りて帰ることも考えたが、雪崩が怖かったことと、赤岳方面にも行きたかったため、中岳へと進路を採る。強風と低温でサングラスの横から風が吹き込み辛い状況だったが、登山道が割りと歩きやすかったので我慢した。中岳東側のコルに降りる直前の風裏でアンパンを補給。 @中岳東側のコル〜文三郎尾根分岐〜赤岳@ この間、風が物凄くて、サングラスではとてもじゃないが凌げないのでゴーグルを再装着。しかしすぐに曇って直後に凍結してしまう。その度に付着した氷を除去する作業を頻繁に繰り返しながらとなってしまった。赤岳直下はアイゼンの前爪も刺さらないほどにカチカチの雪面で、緊張を余儀なくされたが、風裏だったのが救いだった。 @赤岳〜赤岳天望荘〜地蔵の頭@ 赤岳から天望荘に降りる急斜面は風が凄まじく、雪はほとんど飛ばされて地肌が露出しており、アイゼンを履いた足では非常に恐怖した。特に危なそうな所はクライムダウンで降りた。ゴーグルの氷付きは相変わらずで、その除去の繰り返しにうんざりしてしまった。 @地蔵尾根@ 地蔵尾根を下り始めてしばらくで風は収まり、ゴーグルの必要がなくなったところで、思わずガッツポーズが出てしまうほど安堵した。しかしこの尾根は急斜面なので、気を引き締め直して慎重に降りた。雪付きは豊富でアイゼンがよく効き比較的快適に降りることができた。 @行者小屋から南沢登山道で下山@ 行者小屋からしばらくで暗闇に包まれ、ヘッドライトを灯しての下山。途中でおまんじゅうを2個補給。ポカリは不凍対策を施していて、明るいうちはギリギリ凍らずに済んだが、ここに来て凍結してしまう。 |
写真
感想
今回は阿弥陀岳北陵のアルパインクライミングと、その後時間があれば、赤岳から硫黄岳の縦走の、2本立てで臨む計画だった。しかし想像以上に低温と強風が激しく、メインの阿弥陀岳北陵はアルパインクライミングはほとんどせず、弱点を探しながらフリー・時短で登る方法に切り替えた。その後の縦走も装備トラブル(ゴーグル凍結)で、大幅に時間が食い込んでしまい、赤岳までとなり、またしても暗闇下山となってしまうという、反省すべきことが多い山行になってしまった。特に装備のトラブルは時として命取りになりかねないので、今回の反省点を整理しておき次に生かせるようにしたいと思う。
以下、備忘録。
@着用衣服・装備(スタート時)@
ミレーの変態アミアミパンツ、メリノウールのベースレイヤー、メリノウールのタイツ、ハードフリースジャケット、ハードシェル、靴下(厚手)、高強度ベルトループ付ソフトシェルパンツ、ゲイター、リガーハーネス型ベルト、ビーニー、リストウォーマー、インナーグローブ、厚手ウールグローブ、オーバーグローブ(ショート丈、ゴアテックス)、前後コバ付き冬季ブーツ、チェーンスパイク、ウィペットポール2本
@持参装備・衣服(状況により使用する物など)@
縦爪ワンタッチアイゼン(使用)、ピッケル、厳冬期用バラクラバ(使用)、ゴーグル(使用)、サングラス(使用)、カラビナ3個、スリング3本、カム一式、30mロープ、ATC、予備化繊ベースレイヤー、予備下着、ダウンジャケット、予備厳冬期用グローブ、防寒テムレス、エマージェンシーシート、ヘッドランプ2個(1個使用)、予備のGPS機、気象観測計(使用)、スマートフォン(使用)、モバイルバッテリー、単3、単4リチウム乾電池乾電池ぬ、キズパワーパッド、ロキソニン、テーピングテープ、ダクトテープ、ICOS、その他(財布、鍵)
@飲・食料@
ポカリ500ml3本(うち250ml消費)、サーモス詰め熱湯750ml(200ml程度消費)、オニオンコンソメスープ3袋(1袋消費)、焼きそばロール(消費せず)、ミニアンパン4個入(消費)、ミックスナッツ(消費せず)、マロンあんパイ2個(消費)、ICOS(消費せず)
ザック総重量(スタート時):12.58kg
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