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Yamareco

記録ID: 5737608
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

西穂高岳

2023年07月20日(木) ~ 2023年07月21日(金)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
11.3km
登り
1,479m
下り
1,479m
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2023年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
田代橋から
下部の森
1950m付近から前穂、明神
1
1950m付近から前穂、明神
上部の森
焼岳方面の分岐
分岐周辺
西穂山荘
山荘前のお花畑
山荘上の丘から
夕方。霞沢岳、六百山
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夕方。霞沢岳、六百山
朝。笠ヶ岳方面
行く手に聳える
振り返ると焼岳
独標が近づく
独標から
独標の下り
岩々を進む
独標が背後に
ピラミッドピーク
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ピラミッドピーク
西穂が近づく
槍ヶ岳まで。涸沢岳が存在感
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槍ヶ岳まで。涸沢岳が存在感
イワギキョウ、イワツメクサ(白)
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イワギキョウ、イワツメクサ(白)
ミヤマダイコンソウ咲く
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ミヤマダイコンソウ咲く
ハクサンイチゲ
岳沢と梓川
小屋前にて
西穂山荘下の草むら
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西穂山荘下の草むら
樹林のプロムナード
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樹林のプロムナード
1950m付近
山から観光地への門
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山から観光地への門
六百山、霞沢岳

感想

7月20日(木) 晴れ
田代橋登山口ゲート12:17〜焼岳分岐14:55/15:20〜西穂山荘15:30
 前穂から奥穂に登り、さあ次は槍穂縦走だと意気込んだのは5年も前。ヘルニア罹患とコロナ禍のため、全くアルプスとは遠ざかってしまっていた。ようやくの復帰戦は、岩の感触を取り戻すべく、西穂往復を計画した。この間に世の中?も大きく変わり、特急あずさは全席指定制に、上高地からのバスも予約制になり、山行準備のためにパソコンに向かってばかりの今浦島経験となった。予定に拘束されるようで、これも良いのか悪いのか?
 松本駅で降りるとパスモがない! 往きは松本発の直行バスを予約済だ。ジリジリしながら窓口で使用停止の手続きを済ませ、何とか発車前に駆け付けることができた。ドタバタしたが、バスが釜トンネルを抜ければ懐かしい上高地の森が心を落ち着かせてくれる。田代橋で穂高と梓川を眺め、門のような案内所をくぐって出発。他に登る人は少なく、静かな森の中は風が吹けば涼しい。背後には、樹林を透かして霞沢岳の山腹の緑が濃い。階段を越え、顕著な1950mのポコを過ぎると、しばらく水平の細い尾根歩きとなり、右に明神から前穂の岩稜が遠く高い。再び登りになってすぐに宝水の標識がある。通過しようとしたら、すれ違った人が「おいしいですよ」というので寄ってみると、確かに冷たくて美味い水だった。
 周囲はシラビソ?の樹林に変わり、しばらく急登だが長くはなく、緩やかな広い尾根筋の木道を辿るようになる。間もなく、8年前に通過した焼岳方面との分岐に出た。先が見えたので落ち着いてゆっくり休む。平日なのと、ロープウェイが運休中であることが幸いして人が通らないのがありがたい。梢をさざめかせて風が吹き過ぎ、色々な種類の鳥が鳴いている。幸せな時間だ。さてビールを目指して腰を上げれば、溝状の両側は草むらとなり、ハクサンフウロやキンポウゲが咲いているのが嬉しい。アルプスか、何もかもが懐かしい・・。西穂山荘に着き、料金の高さにまた時代の変化を感じる。テラスの前にはマルバダケブキの花畑の中にフウロやニッコウキスゲ、ユリが交じる。小屋前でビールを一本、裏の丘の上で西穂に向かう大斜面や周囲の山々をを眺めながら二本目を飲んで、戻って来られた嬉しさを味わった。

7月21日(金) 晴れ
西穂山荘4:50〜独標5:56/6:10〜西穂高岳7:22/8:22〜独標9:27/9:36〜西穂山荘10:29/10:55〜田代橋13:03
 周囲の山は雲をまといながらも見えているが、遠方は雲海の下になっている。人波に遅れ、ヘッドランプが要らない時間に出発した。薄く染まる笠ヶ岳や霞沢を眺めながら、朝の空気の中、気持ち良く歩く。8年ぶり3回目の独標は三点確保を確認しながら登る。奥穂が青く高く、これから行く岩稜を見ると気持ちが引き締まる。独標の降りは見た目ほどの斜度はなくクリヤすれば、その先はマークを辿っていけば攀じ登るというほどの箇所はなく、ひょっこりとピラミッドピークの標柱が目に飛び込んでくる。さらに小さなピークを越えていくとピラミッドピークや独標がどんどん低くなっていく。イワギキョウやチシマギキョウが岩の間に咲いて気持ちをなごませてくれる。4峰のペンキマークを見ると、西穂高がいよいよ頭上に近づき、頂上の人の姿も見える。最後のピッチは少し標高差があり頑張りを要したが、標柱と人が目に入れば頂上だった。
 前日に抜きつ抜かれつして登った男性二人連れがいて、声を掛けてくれたので珍しく写真を撮ってもらう。頂上からは前穂から槍にかけて、ちょうど雲が取れて一望できた。何より目を奪われたのはこの先に続く岩稜のすさまじさだ。鋭く尖ったピークから飛騨側へ薙ぎ落ちる線の重なり、その線から真下へ垂直の壁となって落ち込む節理の岩肌。逆光に薄暗く一層陰鬱に見えるその岩稜は悪絶という表現しかない。こんな所縦走できるのか、とただ圧倒される光景だった。自分がいるこのピークも、片面は垂直に切れ落ちているのかと思うと、尻がムズムズする。北ア中心部の山々は雲に覆われて判別できなかったが、スキーの思い出のある秩父沢や双六当たりのスカイラインは懐かしく、足元には好きなイワギキョウの紫とイワツメクサの白の取り合わせがとても良い。幸い一人になれたので、コーヒーを淹れて1時間もゆっくり過ごした。
 帰りはゆとりができたので、足元の花に目を配りながら引き返す。もう下から登ってきた人が着いたのか、すれ違いが多くなる。左下には青緑色の大正池と帝国ホテルの赤い屋根が見下ろせ、あそこまで下るのかと思うとがっかりする。独標を越え、ハイマツの大斜面を下る頃には、気が抜けたためか疲れを感じる。照り付ける陽射しの下、帰り着いた山荘は一夜明けると何だかよそよそしく感じられる。気合を入れ直して出発。予定より大幅に早いので温泉に入れそうなのが嬉しい。山の花に別れを告げ、前日の行程を復習しながら長い樹林帯の下りをこなす。あと30分くらいという辺りでは道の脇に鎮座するサルに驚かされた。傾斜が緩むと間もなく登山の終わりの門が見えた。
 上高地温泉で汗を流し、観光客を見ながらビールを飲む。予約のバスの時間まで大分間があるが、今更バスや特急の予約を変更するのも面倒くさい。中ノ瀬園地で山の気を味わいながらボーッと過ごしているうち、時刻の感覚が狂って、いつの間にかバスの発車時間が迫っており、慌ててバス停まで走ることになってしまった。最初と最後がバタバタしてしまい、次は山で事故を起こさないように反省しながら、上高地を後にした。
 やはり夏はアルプスが良い。体はきつくなってきたが、また訪れたいと切に思った。  (パスモは帰りに立川駅で見つかった。)

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