槍ヶ岳・裏銀座《日本百名山》
- GPS
- --:--
- 距離
- 43.6km
- 登り
- 4,299m
- 下り
- 4,103m
コースタイム
- 山行
- 7:01
- 休憩
- 2:03
- 合計
- 9:04
- 山行
- 8:04
- 休憩
- 2:42
- 合計
- 10:46
- 山行
- 3:53
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 4:00
天候 | 1日目:曇り、2日目:霧後曇り一時雨、3日目:雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2004年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
下山:高瀬ダムからタクシーでJR大糸線信濃大町駅 |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
1日目(8/21):曇り
22時を過ぎると京都駅八条口はツアーの夜行バス受付でごった返す。そのデスクの中の一つが今夜お世話になる“さわやか信州号”だ。東京でもおなじみのこのバス、路線バスではなく、ツアーの一種(主催旅行)として運行されている。松本電鉄主催でバスは各地の観光バスの寄せ集めだ。この日の新穂高行は両備バスという何と岡山県のバスが使われていた。23:00京都からの登山者を乗せ2台で出発した。遅刻の2人を待ったのと関ヶ原付近の事故の影響で25分遅れの5:10新穂高のターミナルに到着した。
5:20曇り空の谷間を歩行開始し蒲田右俣林道を歩き白出沢に達すると涸沢・奥穂の間の穂高山荘への登路を右に分ける。ここから本格的な登山道となり樹林帯の道を2.6卻發滝谷の渡渉点、古びた避難小屋があり上流を見上げるとその名の如く滝があり滔々と流れている。沢を丸木橋で渡った所に藤木レリーフと呼ばれる銘版が岩に埋め込まれていた。心が先を急ぎ内容は読まなかったので謂れは不明。更に1.7區覆爐半広い谷間の槍平に至る。小屋・天場・水場が揃いこの日初めて一息継ぐ。ヤマトリカブトをはじめ高山植物が咲き乱れている。
真直ぐ行くと飛騨乗越から槍へのメインの道、右に折れると南岳への急登、左に折れると中崎尾根への取り付きとなる。穂高・槍・笠ヶ岳に取り囲まれた中央に位置する奥丸山(2,439m)は正に北アルプスの主要峰を一望する知る人ぞ知る名山だ。山頂から発するガレ場を右に大きく回りこみ中崎尾根に達すると千丈乗越への分岐点となっており荷物をデポし奥丸へピストンした。奥丸山からの展望を楽しみたいところだが、標高2,500mより上はガスの中で焼岳のみ山頂が確認できた。中崎尾根の千丈側は昭文社の地図では点線道となっているが丁度この日下草の刈払いが終わり通行に何の支障もなくなっている。さしたるアップダウンもなく刈払い作業をしていた小父さんも沢筋を登るよりこちらの方が余程いいのにと言っていた。また奥丸山〜中崎山〜新穂高も道があるらしく山頂に指導標が出ていた。分っていれば新穂高から登ったのに!
標高2,500m位で森林限界を越え飛騨沢を登る登山者を右下指呼の間に見ることが出来る。その道から分岐してくるか細い道を飲み込むと道は急登となり千丈乗越(約2,720m)が近づく。ここからは槍ヶ岳の西に続く西鎌尾根で東に進むと今日の目的地槍ヶ岳へ急登が待ち構えている。双六方面からの縦走者が喘ぎ喘ぎゆっくりした歩速で登っている。コースタイムを4時間余り縮め11:45槍岳山荘に到着した。チェックインし部屋で四国から来た小母さんたちと話をしてガスの晴れるのを待つが、その気配はなく13:20行動再開し、2度目の槍ヶ岳(3,180m)に登頂した。ガスで視界はないが時々サッと晴れ小屋あるいは大喰岳が姿を見せる。下り大渋滞でツアーの素人衆が鎖にしがみつき動かない。上り20分だったのに下りは40分も掛かってしまった。小屋に戻ると宿泊者は東鎌、槍沢、南岳、西鎌からの4方向から集まり300人は超えているようだ。収容650人というから凄い小屋だ。ツアーが沢山入り山小屋のイメージからかけ離れてしまっている。こんな小屋は嫌いだ。
2日目(8/22):霧後曇り一時雨
5:00白々と明るみが増した霧の中、前日登ってきた西鎌尾根を下る。千丈乗越に達する頃にはガスの下に降り、切り目も現れ槍の穂が出たり隠れたりするようになる。小さなアップダウンを繰り返し左俣岳(2,674m)に達すると槍はすっかり姿を現した。前日泊まった8割が登っているとするとその混雑たるや想像を絶する。北鎌尾根を従えた槍ヶ岳はやはり素晴らしい。あこがれの「北鎌」恐らく生涯登れないだろうが見ているだけで惚れ惚れする。左俣岳の先で北東に延びる硫黄尾根は赤土が露出し荒々しく周りの緑と白くガレた山肌と趣を異にする。硫黄乗越のあたりで双六からの縦走者とすれ違いが始まり話を聞くと小屋は80人程で空いていたそうだ。樅沢岳(2,755m)に7:17登頂し山頂部を行く間だけ再びガスに巻かれた。200m下れば双六小屋だ。昨年9月立山〜笠ヶ岳のダイヤモンドコース縦走をやった時以来だ。
今日は水を飲んだだけで小屋を通過し双六岳(2,860m)への登りに掛る。この頃にはしつこかった穂高の雲も取れ槍からの稜線がくっきり見える。8:45双六岳に達した。今回は双六南峰まで足を伸ばす。またガスが出るたりするが南側の雲が取れて笠ヶ岳が姿を現しあのトンガリ帽子の笠を拝むことが出来た。南峰へは鞍部まで明瞭な踏み跡があるがその後は怪しく飛び石伝いに進む。双六岳南峰(2,840m)には山頂を示すものもなく展望岳は良い。再び双六岳に戻り縦走を続ける。山頂のはっきりしない丸山(2,854m)を経て三俣蓮華岳(2,841m)に到る。相変わらず下の巻き道を通る人がいるようだ。
三俣蓮華岳山頂では益々視界が開け鷲羽、水晶、常念、大天井もくっきり、しかし黒部五郎、薬師は山頂のガスが取れない。表銀座は終始くっきりしている。300mも下降し三俣小屋へ達っすると水晶、野口五郎、雲ノ平、黒部五郎の各小屋から来た人たちで小屋前が賑わっていた。まだ10:25だが水事情の悪いこの先のルートのことを考え早めの昼食をはじめた。すると小屋から署名簿が回ってきた。ネットで見た小屋の地代訴訟の支援の要請だ。国から小屋の収入に応じた地代を請求されここ10数年来訴訟が続いているようだ。宿泊料値上げに繋がる地代引き上げには登山者としては当然反対!
昼食後、本日の正念場、鷲羽岳(2,924m)への登りが始まる。標高差500mの登り返しで斜面を蟻の這うように登る登山者が望見できたが歩き出すとどんどん追いつき10人余り追い越してしまった。鷲羽岳山頂11:50着、先客が10数名いた。三俣山荘から空荷でピストンする人が結構いた。展望良好だが、黒部五郎・薬師だけはやはりはっきりしない。次のワリモ岳(2,888m)は岩峰で、鷲羽と同じくらい素晴らしが黒部源流コースへ避けて通る人も多いようだ。鞍部から100m登り返すと水晶小屋に達する。立地条件が良く利用したい小屋だが小さくて混雑することで有名だ。水晶岳(2,986m)は40分の距離でピストン出来なくもないが、いずれ来る雲ノ平〜読売新道の縦走時のお楽しみする。
時刻は13:00、パラパラと雨が降り始めたが、展望は利く。真砂岳を結ぶ東西のヤセ尾根は岩稜帯で東沢乗越まで150m下る。登り返すと2,833m峰、雨も止み時々流れてくる雲に包まれる場面もあるが歩行に支障なし。真砂岳直下の竹村新道分岐に到着。地図では山頂を巻いているので登り口を探すとトラバース道の途中に登路を発見し崩れやすい足元に気を付け岩峰の真砂岳(2,862m)に到着。水晶小屋が見え隠れしている。北へ目を転じると野口五郎岳の平な山容、山腹の道には登山者の長い列が見える。しばし展望を楽しんだ後大パーティーを追いかけるように野口五郎岳(2,924m)を目指す。大パーティーは巻き道を行き北から登り返したようだ。南側にも明瞭な直登路がありアタック、15:04登頂すると砂山の山頂の展望は更に良く、鷲羽・ワリモ・水晶も完全に姿を現した。北西方を見れば立山・剱の雄姿、ただ残念ながら槍の姿は雲に没したきりだ。
二重山稜の斜面を下るとすぐに野口五郎小屋に到着した。小じんまりしており私好み、先程の大パーティーは19人のツアーで、同宿の普通の人は私と安曇野に住むご夫婦の3人だけだった。1泊夕食付8,000円と料金が高い分食事内容が良く幕の内弁当タイプの箱の中に天ぷら、おでん、生野菜、魚、デザートなど豪華版だった。ただ水事情は悪く1ℓ\200で販売、寝室は立てば頭をぶつけそうな低さで居住性は今一だ。この夜は夜中に目が覚めてしまいラジオでアテネ五輪女子マラソン、野口みずきの金メダルを最後まで聞いてしまった。
3日目(8/23):雨
前日小屋に到着した直後に降り出した雨は、夜になって激しく風も強まり窓をガタガタ、ビュービュー。5:00出発する頃から雨は弱まり薄暗いなか岩稜帯に標されたペンキの○印を辿る。30分も行くと明るさを増しガスもだんだん取れ稜線が姿を現した。三ツ岳の南峰、本峰は地図の道は巻いているがしっかりとした道があり問題なく登ることが出来た。今回の山行最後の山となる三ツ岳(本峰2,845m)に6:00登頂、北に連なる縦走路に烏帽子岳、不動岳、蓮華岳、針ノ木岳あたりまで良く見通せる。先月大変な風の中縦走した思い出が甦る。東側に巻き気味に下りだすと烏帽子からの縦走者の列が見える。だんだん近づき7パーティーとすれ違った。人数的には槍を目指す大学生の合宿組が10数人であとは単独と小グループ、大学生はテントで烏帽子小屋は空いていたそうだ。
テン場を通り抜け烏帽子小屋に到着した。先月泊まった小屋だ。縦走路が繋がり裏銀座を制覇し、上高地から朝日岳まで縦走路を繋ぐことが出来た。小屋前に咲いていたシロバナノコマクサはまだあるかと探すと咲いていた! 雨は小降りながらも降り続き縦走路に別れを告げ、先月と同じブナ立尾根を下る。暫くすると雨が一旦止んだのは束の間で今度は小降りどころか本降りの雨となりガスも出てきた。こうなると気持ちが下山を急ぎ、高瀬ダムからのタクシー同乗者を求め先へ急ぐ。小屋ノ沢三角点を過ぎ1/3ほど下りた所で、もたつきながら下る小父さん発見、小父さんの方から「タクシー待っていて」と頼まれたが、この分では1時間以上遅いなと思い言葉を濁し追い抜いていった。
約半分くらい下りた“権太落シ”は大きな岩が張り出しその下で雨宿りが出来るので小憩を取る。更に下りだすと3組ほどの登山者と順次すれ違い下山者はいなかったかと聞くと3人パーティーが2組いたというので意を強くして急ぐと濁沢登山口で1組目、不動沢吊橋で2組目を捕らえ9:00下山、名鉄タクシーの営業所に車を止めさせてもらっているという2組目のグループに誘われ営業所まで同乗した。駅までは一人になったが8,000円ほど掛かる所を節約できた。大町温泉に行きたいと思っていたが駅からはバスで往復すると1,020円かかってしまうので、駅近くの温泉を地図で物色すると白馬駅から500mほどの距離に八方温泉“みみずくの湯”という公営施設があり電車で移動、汗を流しゆっくり時を過ごした。松本から中央線に乗れば早く帰れるのだが経費節約のため糸魚川へ出て北陸線で帰り22時30分帰宅した。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する