御嶽山
- GPS
- 32:00
- 距離
- 15.4km
- 登り
- 1,614m
- 下り
- 1,610m
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
三の池道は8月2日オープンとのこと |
その他周辺情報 | 木曽温泉は8月は立ち寄りはやっていないとのこと。 |
写真
感想
8月3日(木) 晴れ
中の湯駐車場5:00〜女人堂7:08/7:25〜覚明堂8:51/9:05〜剣ヶ峰9:32/9:45〜五の池小屋12:30/13:05〜継子岳周遊〜五の池小屋15:10
中の湯駐車場は噴火警告のアナウンスがおそらく24時間流れ続けていて、車中泊にはうるさいかもしれない。朝焼けの下、渋い針葉樹の森から登り始める。早くも硫黄の匂いが感じられ、噴火のことが思い起こされる。道の9割以上は木の階段で、これが後になって効いてくる。七合目行場山荘を過ぎると、樹の幹が白く(シラビソ?)変わり、雰囲気が明るくなる。間もなくハイマツが現れ、岳樺や灌木の交じったトンネル状を行くようになる。背後には中央アルプスと、その左に尖った甲斐駒が青いシルエットになっている。女人堂に出ると展望が開け、眼前には灰色の岩の山肌が雄大に広がり、山小屋が並んで見えるのが富士山を思わせる。右手には乗鞍のたおやかなスカイラインの奥に穂高や常念山脈、また笠ヶ岳など北アルプスの山々、さらには八ヶ岳や浅間が遠く望まれる。
ここからしばらくハイマツ帯の切り開きを辿り、ガラガラの斜面に取り付く。疲れが出てきたか、また暑いためか脚が重くなり、苦しい登りだ。広大な山麓の風景を慰めに辛抱の時間だ。石室山荘を過ぎると稜線は間近だ。避難小屋の脇でヘルメットを着ければ、いよいよ特別な場所に向かうという気持ちになる。足元は茶白色のザレに変わり、右手の泥に埋まった二の池の異様な光景に目を奪われながら、正面に見える剣ヶ峰のピーク目指し歩いていく。シェルターの横から八丁ダルミに合掌。階段を登れば頂上だ。中々の賑わいで、ヘルメット着用率は4割といったところか。一の池、二の池と並んだ大きな砂地の窪みと、外輪の険しさが印象的だ。地獄谷の方は雲が湧いて良く見えなかった。
暑いし、のんびりしたい場所でもないので、登頂した事実を持って早々に退散する。砂漠か別の惑星のような二の池の畔に降り立って、ようやく人心地ついた。二の池ヒュッテ辺りからまた雰囲気が変わり、ハイマツや草の塊りを撒いたような平坦な散歩道になる。花の種類は少ないが、イワギキョウやミヤマキンバイ(?この類は区別がつかない。)がまとまって咲いている。サイノ河原を見下ろすと、これがまた面白い。噴火口跡なのだろうが、岐阜県側に開いた浅い窪地に緑がまだら模様を描き、たくさんの石積みが林立して不思議な光景だ。左右に目を配りながら向かいの登りに取り付くと、背後に剣ヶ峰の全貌が雲の中から姿を現した。剣ヶ峰は一の池火口の縁の一角であって、御嶽山が噴火口の集まりでできていることがよく分かる。避難小屋からはしばらく尾根道となる。今度はチシマギキョウが多く、環境で住み分けしているのだろうか。
道標のある乗越に辿り着くと、反対側に青く三の池が見下ろせたが、すぐ雲に隠れてしまう。せっかくなので摩利支天山を踏むことにして、稜線の左(南)側の崖下をトラバースしていく。頂上の標識は岩を攀じ登った上にある。サイノ河原から薙ぎ落ちていく谷の上に継母岳が険しい。(頂上へ稜線の岩塁の上を伝ってくる人がいた。最近のレコでも同様の事例があった。摩利支天山への登山道はトラバースである。尾根上に引き込まれたら間違い。)いい加減疲れてきたので、早く小屋に着きたい気持ちが強くなる。乗越から下り始めると、またもや雰囲気が変わり、黒い岩の積み重なりとハイマツの緑が縞を成して、アルプス的な景観だ。ジグザグを切りながら気持ち良く下っていけば、ガスの切れ目から小屋が見えてきた。
受付終了後、辺りはガスが漂っていて夕立が気にかかるが、雷鳴もないので予定どおり継子岳に行くことにした。熊が出たと小屋の人に脅かされたので鈴を鳴らしながら、穏やかな稜線を歩く。誰もいない頂上はガスで展望もない。継子二峰に向かうと、踏み跡は細くなるが迷うことはない。鞍部の左右の砂礫地にはコマクサがまさに群生しており、花は盛りを少し過ぎていたが、それでも圧倒される数だった。この広さの群生地は日本でも有数だろう。二峰を越え下りにかかると、ガスの切れ目から眼下に四の池が姿を現した。見事な円型の窪地の底は緑の草原になっており心を誘う。降り立てば、草原からは小川が流れ出し、背後を火口壁がぐるりと囲んで、ガスがベールのように通り過ぎていく。これで残雪があればアルプスのカールと見紛うような眺めだ。草原に花は少ないが、キンバイ?、キリンソウ、シオガマ、イワギキョウ、チングルマの綿毛や白い花などが咲いていた。しばし休憩し、火山が作った、しかし火山に似つかわしくない風景に浸って過ごす。腰を上げて登り返し。三の池を間近に見下ろし、小屋を目指せば、意外とあっけなく稜線に出た。小屋には摩利支天山を前にするテラスが設けられており、ビールを飲みながら盛りだくさんの一日を反芻する。夕暮れ時に濁河温泉への道をほんの数十秒辿ると、そこにも素晴らしいコマクサの群生があった。
五の池小屋は中々お洒落な小屋であったが、私のような古い者にはお洒落でなくてももう少し安い方がありがたい気もした。
8月4日(金) 晴れ
五の池小屋6:05〜最初の沢7:00/7:10〜女人堂7:55/8:07〜中の湯駐車場9:58
本日も快晴。西の方には、雲海の上に遠く白山も浮かぶ。まずは眼下の三の池に向かい、ハイマツの中を石伝いに降りる。池畔に行けそうだったが、人目もあるので遠慮した。池の縁の丘にもコマクサが咲いており、今季の見納めにして道標に従い三の池道に踏み込む。ハイマツと草むらの中を行く道は東斜面なのでもろに陽を浴び、おまけに無風のため暑い。その代わりに八ツ、中央、南のアルプスを青く眺めながら歩ける。行く手には広大な御嶽山中腹のハイマツ原を横切っていく道が望見され、いささか気圧される。
桟道というより木の階段をジグザグに下りると一番目の沢。雪渓は全く消えており、ナメ状の流れを横切ってロープが張ってあるが、傾斜は緩く、岩が濡れていなければ容易に渡れる。尾根を一つ越えるとすぐに第二の沢。土砂の押出しになっており、鎖とロープが渡してある。開通したばかりなので、足場が固まっておらず歩きにくい。雨の時は浮石を踏まないよう要注意だ。想定していた難所を越えて一安心。振り返れば遥かな稜線から落ちる雄大なハイマツと樹林の斜面の大きさに、この山のスケールを感じる。ナナカマドの多くなった灌木のトンネルを抜ければ、案外苦労せず女人堂の小屋に出た。前日苦しんだ斜面を見上げ、乗鞍、穂高に別れを告げて緑のトンネルに突入。金曜日だが登ってくる人は少なく、静かな森の中を坦々と下り、強烈な陽射しの降り注ぐ駐車場に戻った。
未踏で残っていた3000m峰を消化する目的の計画だったが、山が予想以上に素晴らしかった。火山地形が作り出す多彩な風景、種類は少ないが花の数は多く、頂上一帯のピークをつなげばプチ縦走の気分が味わえる。噴火さえなければ、本当に楽しめる山である。
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