大キレットと5つのピーク、繋いだテン泊初縦走❗
- GPS
- 56:39
- 距離
- 32.2km
- 登り
- 2,776m
- 下り
- 2,776m
コースタイム
- 山行
- 8:25
- 休憩
- 0:49
- 合計
- 9:14
- 山行
- 5:03
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 5:37
- 山行
- 6:00
- 休憩
- 1:42
- 合計
- 7:42
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
Day 0
6月の頭に槍ヶ岳でゆるキャンソロテントで初テン泊を強行し、一晩中強風に恐怖した。翌日予備日として有給を取っていたので、速攻モンベルに直行し、いつものお兄ちゃんに事情を説明すると、「それ、山岳事故につながったかもしれませんよ。」と冷ややかな目で見られる。ひん曲がったゆるキャンソロテントのポールを見せると、ポールの内径を僕に見せながら「これ、内部が2重になってないですよね?モンベルのは強風対策で2重にして強度を高めています。」ともっともな解説。テントも少し余裕のあるルナドームを考えていたが、「やはり、結局サイトが狭かったりして横向きの開口部のテントは難しいこと多いですよ。」とアドバイスされる。「コスト対比のクオリティを考えるとステラリッジ2型一択です。」モンベルがインナーフライとレインフライを別売りにしたのは、レインフライの色の選択肢を増やすためだったらしい。テント場で迷子にならないように。実際テント場の半数はステラリッジだった気がする。
また、リアル登山で肉を焼いたりするべくもなく、結局は湯を沸かすことに徹するのであれば、ジェットボイルフラッシュ一択と判断し、購入を決めた。また、コロンビアで買った涸沢(カラサワかも)モデルで北アルプスに行こうしていると言うと、「それはちょっと危なくて心配ですね。岩場を歩き続けると恐らく足が痛くなりますよ。」とのこと。カラサワモデルはコロンビアでは最も玄人仕様だと聞いて買ったが、ソールの固さが全然違うらしい。まあ、丹沢で散々使ったしええかと、アルパインクルーザー2300も購入する。
ここまで揃えたからには挑戦的な山行を考えねば。ジャンダルムはちょっと怖すぎだし、表銀座とか裏銀座は周回ルートちゃうしな。一方で、先月槍ヶ岳に行く前に、奥穂高岳に行った方の活動日記に質問した返信で「外国人女性がウッドストック一本で大キレット越えてきたのには驚きました❗」とあったのがずーっと頭にこびりついていた。大キレットってなんやろう?調べると、えげつない地形をしている。これちゃう?
沢渡からバスに乗るのは本当は嫌なのだが、あの槍沢ロッジまでの道ほんまに癒される。そこで、上高地を出発し大キレットを通って、周回できるルートを考える。本当は北穂高岳のテン場にテント張りたかったのだが、どうやら大キレットは北穂側からは難易度が高いらしい。北穂に張れれば、涸沢経由で行けば1泊2日で収まりそうだが、いきなり難易度高い方から行くのも無謀やし、やはり南岳側からが無難だろう。すると、やはり初日は頑張って南岳小屋まで行ってテン泊だな。次の日は大キレットに全集中で余裕のあるプランにしたかったのでせいぜい奥穂高岳までやな。お!よくみたら奥穂から吊尾根で前穂に行って重太郎新道ってよく分からん道で上高地に戻れるやん❗完全に地図上で線を繋いだだけの机上の空プラン。なんか、大キレットと3つの穂を一遍にやれるなんてお得感あるな!と、完全にミーハーなプランが頭の中で出来上がった。また、なぜかどこの雑誌も似たような北アルプスの縦走特集を組んでいたので全部買って読み漁り、おまけにあまり意味もないが氷壁も一気読み。頭の中は北アルプス一色となる。
Day1
北アルプスは遠い。前回は午後9時台に無理やりベッドに入り真夜中の12時に起きて出発したが、今回はジムニーがある❗これは金曜日の内に移動して車中泊を試す価値あるんちゃうか?と、また適当な思い付きを実行したくなる。ジムニーは助手席をペタんと倒してほぼフルフラットになり、そこにマットでも敷けばかなり快適に寝れるはずやな❗とあまり深く考えずにプランを実行に移す。夜中の12時以降に高速に入ると3割も高速代が割引になるのを諦めるのは惜しかったが、寝不足で登山はいい加減きつすぎる。
前日の金曜日、会社を定時に出て、しばらく入れない風呂にゆっくり入り、家を午後9時半に出発する。「よし、今回は寝不足問題解決やな!」と、うまい計画を立てたと最初は思ったが、ナビの現地到着予想時刻を見ると午前1時20分と出ている😅。あれ?始発のバスに乗るには4時くらいには起きないといけないとして、なんや、やっぱりあんまり寝れへんやん❗と考えれはすぐ分かることを運転中に気付き、ひたすら早く沢渡第3駐車に入ることを目指し運転する。なんとか午前1時前には着いたものの、やはりシュラフに潜り込めたのは1時過ぎで4時15分にめざましをセットしギリギリ3時間。おまけにシュラフは車中泊には暑過ぎて、夜中に目を覚ましシュラフを脱ぎ捨てる。結局前回よりむしろ寝不足気味で、バスターミナルの券売機に向かう。すると、前回とはうって変わって長蛇の列。なんじゃこれ❗これが、ひかりものさんが言ってたやつやな、やはり上高地人気恐るべしやなと、隣の方にスゴい列ですねと話すと、「これ、梅雨明けの土日にしたら少ないんじゃない?」とのこと。バスも始発の時間帯に何本も出すから大丈夫だよと教えてもらう。
チケット販売機の前にできた行列にも関わらず、コロナ対策で乗車率に制限を設けているのか、車内ががらがらのままバスは発車。上高地に着くと先行のバスに乗っていた登山者でそれなりにベンチは埋まっていた。先月来たばかりだが、梓川沿いの遊歩道本当にきれいで最高。朝の涼しい空気の中あっという間に河童橋に到着。珍しく河童橋をバックに写真を撮ってほしいと声を掛けられ、自分も撮ってもらう。今日は先を急ぐため河童橋は渡らずにスルー。ステラリッジだらけの小梨平を過ぎ、明神岳を左に見ながら大勢の登山者に混じって歩く。ほどなく明神池へ到着も、今回は穂高神社には寄らずスルー。先を急ぐ。引き続き結構すごい明神岳とめちゃんこ綺麗な梓川を左に見ながら徳沢へと急ぐ。どうにも登山道に人が多すぎてGoProで遊びにくい。ひたすら「明神岳スゲー!」とか「最高やな!」とか独り言を言いながらてくてく歩く。
徳沢に着くと、またほぼステラリッジ。これはやっぱりもっとレインフライの色増やさなステラリッジ迷子になるで、と思いながら、ソフトクリーム食べるか迷ったが、腹も減ってないので横尾へと先を急ぐ。
今回謎なんだが、なぜか猿がいない。前回猿に占拠されていた橋のところに来て、「あ、猿おらへんな、渡るか」と渡っていく。ずっと氷壁に出てくる新村橋そろそろちゃうかなと思って歩いていたが、実はこの橋やん!と渡った後で気付く。
さすがに歩くペースの違いから登山道にいる登山者の数がまばらになって来た。またいつもの絶景ポイント(工事車両が入る登山道から一本入った道)でGoPro遊び。それでも、なんか猿がいないのが気になる。いると怖いけどいないと寂しい。
8:24AM横尾に到着。ほぼノンストップでここまで来たのでさすがに休憩することに。建屋の壁に「北アルプス南部地区遭難情報マップ」が貼ってあったので、大キレットの部分を読む。「上級者ルート」「毎年死亡遭難事故発生」と恐怖感をあおる。前回も横尾大橋を途中まで渡ったが、今回は向こう岸まで渡って、「次は涸沢もいいかもな〜」と思いながら戻ってくる。
横尾からはジャングルの密林のイメージ。梓川の水流がきつくなり、ますます綺麗さが増す感じ。(ワサビ沢の辺り、清流好きとしてはかなりたまらん❗) 前回はこの辺りでは全く疲れを感じていなかったが、今回は暑さのせいかそれなりに疲労感が溜まってくる。ほどなく槍見河原に到着。もうあれだけ大勢いた登山者はほとんどいなくなった。やっぱり登山はこの孤独感がいいんだよなあと清涼感に満たされ、日々のストレスが溶けていく感覚。
前回はあまりビデオに残せなかった一ノ俣、二ノ俣をきっちり前から後ろからGoProで記録する。なんかこの辺りからかなり疲れてくる。前回は全く平らに感じていた道だが、それなりにアップダウンがあることに気付く。恐らく荷物は前回よりは少しは軽いのに、やはり夏には夏の辛さがあるんだなあと当たり前のことを感じながら前回より少し早く10時前に「オアシス」槍沢ロッジに到着した。途中からここでカレーを食べる事ばかり考えてきたが、軽食スタートは10時なので10分ほどお預け状態に。外のテーブルにザックを降ろして待っていると、大量の蜂の赤ちゃんみたいな虫が至るところにいて、ガンガン寄ってくる。この虫なんなんだろう?刺されはしなさそうだが、少し怖い。あと、なぜかかなり高所の登山道を含めて北アルプスはハエが多い。やはりハエも結局は綺麗好きということか?ほどなく10時になり、カレーを注文し、ゆっくりとオアシスの雰囲気を味わう。小屋の中ではババ平のテント受付をしている人が複数いて、小屋番との話を盗み聞きしていると今日はババ平混雑しているらしい❗前回誰もいなかったのに、やっぱりシーズンなんだなあと驚く。今回の自分のコースは本来はババ平でテント泊して刻み3泊4日が標準行程だが、さすがにやりたい放題はできないので、初日は頑張って南岳まで行くプランを立てている。
槍沢ロッジからが本当の意味での登山の始まり。前回は、初めてのコースで視野が狭くて気付かなかったが、水俣乗越分岐/大曲には立派な道標がある。大曲の手前の沢は今回は増水しておらず、普通に通過。大曲を過ぎても雪はない。すぐに天狗原分岐に差し掛かり、今回はここで左に折れて天狗池経由で南岳を目指す。分岐後から雪渓が出てくる。すぐに親子の登山者とすれ違いこの先の道の事を聞くと、「結構雪渓がいやらしい感じです。」とお父さんが答えてくれる。チェーンスパイクを用意していなかったようで、あれば余裕だとのこと。まさか使うことはないだろうとは思っていたものの、ザックの一番下にチェーンスパイクを忍ばせているので少し安心する。ここから雪渓が連続するが確かに超余裕という感じではない。かなり慎重に斜めにキックステップを踏みながら進む。しばらく進むとまさに天狗原の直前で今回最初の恐怖ポイントに到達。高度感のあるかなり長い雪渓トラバースが出現😓ただ、ここは南岳小屋のブログで雪切りをしてくれた様子がアップされていた。ブログを見ただけではそのありがたさが伝わらなかったが、実際雪渓を目の当たりにすると、「これ、雪切りしてくれてなかったら絶対無理やん❗リアルアイゼンでも手に汗握るトラバースやな。」と改めて小屋番の方に心から感謝する。
雪渓を渡りきったあと、今度は天狗池に降りる急斜面にも雪がびっしり。これアカンな。チェーンスパイクかな。でも使うと思ってないから一番下やしな。どうしようと?しばらく長考。「でも、せっかくチェーンスパイク持ってきたのに着けずに滑落したらシャレにならんな。」と、ザックを降ろして全部荷物を出してチェーンスパイクを装着しようとしていると、後ろからいかにも運動神経の良さそうなやたらかっこいい青年がやってくる。彼は短パン姿の軽装。テン泊のようで重そうなザックを背負っている。「さっきのトラバースヤバかったですね😅」と久しぶりに会話を交わし、同じく南岳小屋でのテン泊と聞く。彼はそのまま、うまいこと急傾斜のわずかに雪がない部分などをうまく利用しあっという間に坪足で下っていく。一方でこっちは苦手なチェーンスパイク付けに時間を浪費し、かつ、付けたはいいが、全く安心感が得られないので、体を横向気にしヨチヨチ歩きでストックを突きながら慎重に下っていく。降りきったところに、天狗原という看板が捨てられていた。天狗池はまだほぼ雪の下だった。
ここからは岩岩の登りが始まる。しかも長い。初日は準備運動のつもりがなかなかの運動量。全然稜線に出ない。でもここ、景色がサイコー⤴️⤴️何度も振り返り、立ち止まり、疲労を回復させながらメインの槍ヶ岳から伸びる稜線を目指す。やっとの思いで稜線に到達した後、ほどなく南岳に到着した。ここで後ろから猛然と忍び寄る小柄な登山者が。さっきからスゴいペースで近づいて来ているのは気になっていたが、ついに南岳で写真を撮っていると追い付かれる。中国か台湾の方のようで日本語は片言だがお互いに写真を取り合い、どこに泊まるんですか?と聞くもいまいち伝わらない。地図を見せられ納得。天狗池経由で南岳に登ってから稜線を引き返し槍ヶ岳山荘に泊まるらしい。タフやな?疲れたよね?と確認すると「ハイ、ツカレマシタ」と聞けて「よかった、僕だけじゃないよね☺️」となんか安心する。ただ彼はその後、文字通り走るようして槍ヶ岳方面へと消えていった。やっぱりタフやな⁉️
彼が去った後、自分も南岳山荘への下りを進む。先ほど雪渓を僕より先に下りていったナイスガイは、岩岩が始まってすぐの辺りで前後交代していたが、追い付いてきた。(後で聞いたが少し足を痛めていたよう)。お互いに思ったよりキツかったですねと言い合いながら稜線を下っていく。上から見る南岳小屋のテント場は、なんかすごいええ感じ😃混んでないし、笠ヶ岳がバッチリ目の前にある。
この後、小屋で受付し、雪切りのお礼を言って、テント設営を開始。大倉高原山の家で練習してたので手際よく張っていくが、先に受付していたナイスガイはホントに速い。あっという間に張り終わって、「速いですね?結構やってますね?」と聞くとかなりの回数こなしている模様。おれも経験積めばあんな高速で張れるんかなあ?まあ、無理やなと思いつつ黙々と作業する。ナイスガイは小屋の方へ消えていった。
このテントサイト思ったよりペグ刺さるし、広めで、風避けの岩壁を作ってくれていたりとかなりいい❗やはりいろんな所に出ているように穴場やな。小一時間経ってナイスガイが戻ってきて「ビール飲んできちゃいました!」と嬉しそうに教えてくれる。「え!ビールやってるんですか?なんか6月に来たときは槍ヶ岳山荘は岐阜県側だからやってなかったんですよ❗なんとか宣言終わったからなのかな?」俄然気合いが入り設営を仕上げ、サンダルに履き替え急いで小屋に向かう。
「ビールありますか?」
小屋番:「はい、一年前の少し賞味期限が切れているものが500円、新しいものが600円です。」
「えーっと、新しい方で。」
「テントで飲んでもいいんですよね?」
小屋番:「もちろんですよ!」
しかし、去年のビールそのプライシングで選ぶ人いるのかな?と思いつつテントに戻り、膨らましたサーマレストネオエアーXライトに寝そべりながらビールを堪能する。「これ堪らん❗やっぱり登山の後のだらだらがテン泊の魅力やな」と、仰向けになってテントの入り口から見える空を眺める。前回の槍ヶ岳山荘でのテン泊では悲壮感MAXになって7時前にはシュラフに潜り込んだが、今回はじっくり一番好きな夕暮れ時の時間を楽しむ。明日は大キレットへ挑戦やなと思いながら、ちょっと見てくるか、とサンダルのまま小屋を右に曲がり斜面を登って「獅子鼻岩」まで行ってみる。大キレットへの岩に「北ホ→」とうっすら書かれている。「なかなかの急な下りやな…」と思いなら小屋の方に戻る。水を調達(天水は1リットル100円)するのに小屋に入る。ここは、ちゃんと蛇口をひねるだけで、天水を自分のエバニューに入れられ便利。今考えたら槍ヶ岳山荘って水は高いわ、柄杓ですくわなアカンわ最低やな。やはり槍ヶ岳プレミアム入りすぎやな。そんなことを思いながらふと受付の右にある棚を見ると、「大キレット日記(ノートかも)」なるものを発見。みんなが大キレットに挑戦する前の不安な気持ちを綴っている。これ、実際渡ってどうだったかを追記してほしいなあとパラパラめくる。さあ、明日が今回のメインイベントだからぼつぼつ寝ようとテントに戻り9時前には眠りについた。
Day2
いつも通り夜明けの少し前にセットしたガーミンの振動で目が覚めた。あまり熟睡はできなかったが、気分はいい。テントから顔を出して右(西)をみると笠ヶ岳が綺麗に見える。反対側の空が赤らみ始めていた。さあ、朝飯でも食うかと、ジェットボイルフラッシュをカチカチするが、もちろん点かない。えーとライター、ライターっと。ちょい緊張しながら火を点ける。速攻沸いたお湯をチタンカップに注いでスープを飲む。面倒くさいので、後はコンビニで買ったミニクリームパンを2、3個つまむ。
さあ、ちょっと準備運動がてら朝日でも見に行くかと小屋の方(テント場から見て東側)に歩いていく。すると、常念平の看板が出ている。なんか聞いたことある名前やなとそっちに歩いていくと数分で見晴らしのいい丘のような所に出た。綺麗な稜線が前に広がるも何の山々かまるで分からない。後から来た二人組に「山詳しいですか?」と声をかけると「いや、全くですね。」と言うも「まあ、あれは常念岳ですね。」と分かりやすい形の中央の山を指差して照れ笑い。なるほどだから常念平か…と、かなりの無知ぶりを披露してしまう。見飽きるまでじっくり眺め、もうちょっと運動しようと南岳まで登り返す。意外にすぐやな。行きは疲れてたから距離あるように感じたんかな。さあ、ぼちぼちテント撤収して大キレット行くかなと、小屋の方に戻る。ナイスガイはあっという間に撤収を終えて、「じゃあ、お先に」と去っていった。こちらは、相変わらずもたもたと撤収完了。
小屋の前のベンチで、さあ行くかなとサングラスをかけようとケースを開けると空っぽ。あれ、なんでないねん❗ザックをひっくり返すも出てこない。あーあ、結構高かったのに。サングラスなしでここからの行程行けるんかな?まあ、そんなにクリティカルではないが、やっぱり大キレット前に全ての不安要素は摘んでおきたかったので、テント場に戻り探すも見当たらない。小屋に入り、小屋番の方に落とし物にサングラスがないか聞くも届いていない。やっちまったな。あんなもんどこでなくすねん?と、念のためもう一度テント場に戻ると大分離れた場所にポツンと、サングラスが置かれていた❗あ、そうか、昨日テント張るときにそういえば離れた岩の上に置いたな😅ずっーと置きっぱなしやったんか。まあ、傷も付いてないし一安心。いつもこんな感じで、結局スタートが7時になってしまっていた。
さて、ストックってどうするべきなんやろう?昨日ジャンダルムと大キレットを渡って来た年配の方が近くにいたと思ったので、大キレットってストック使いますか?と声をかけると年配違い…。すると、近くにいた同年代の人が、「使うとこないですよ❗すぐに梯子になりますから。」と親切に教えてくださる。ストックを短くし、ザックにしまいこむ。外付けは危険やゆうしな。とにかく不安の目は全部摘むことに徹する。要は完全にびびりまくっていた。意を決して、小屋の右手の小山を登りついに大キレットへの道に足を踏み入れた。
のっけから自分に大きな声で、「慎重に❗慎重に❗」と言い聞かせる。最初は単なる下り坂なのにガチガチ。すると、いきなり目の前に岩峰が現れた。おっと、さすが大キレットやな。エライところ登らすな❗と慎重に3点確保で登っていく。そこから今度は浮き石だらけの下り。それにしても丸ないな。まあ、分かりきってる道にはないのかな?と下を見ると南岳の方へ向かっている登山者が普通のなだらかな道を歩いている。「すみませ〜ん‼️その道進むと僕がいるところに来ますか❔」と、どう見ても来なさそうだけど一応聞いてみる。「いや、そんなとこには行かないよ❗普通に平らな道が下にありますよ❗」と道を完全に間違えていることに気付く。どうりで丸ないわけや。急いで岩峰を下った分登り返し岩峰のとりつき部分に戻ると、いたって普通の道に○がついている。完全に緊張して見落としてわ😓 本当にこの方が通りかかってくれてよかったー😰ベテランの方らしく、これからの道のりの感じを教えてもらい、最後はそりゃキツいですよ、でも3時間半もあれば絶対着きますよ、最初は誰でも不安ですよと励ましていただく。(「にゃお」さんありがとうございました。お礼を言いたくてヤマップやってらっしゃるとおっしゃっていたので検索しましたが、あまりににゃおというユーザー名が多すぎて見つけられませんでした❗)
気を取り直して、さあ行こうか!と歩き始めようとすると、後ろから若い二人組が来ていた。「大キレット来たことありますか?」と聞くと、そのうちの一人が「はい、あります。」と言う。「僕は初めてなんで、本当に何も分からないので、隙があったら抜いてくださいね😅」「ついさっきも、意味不明に岩峰直登しちゃってましたから」というと、「いえいえ、僕もよくやります。」と気を使ってくれる。ここからは北穂高岳まで、結局この3人でゆっくり進むことになる。
大キレットは、確かに今まで経験した中では一番岩に触り続けた気がしたが、慎重に行けば特に怖いところはなかった。大抵、これはキツいなと思うところは直登はさせず、トラバースが付けられている。さすがに上級者コースとはいえ一般道なので天候が良ければ、普通の成人が渡れないような道はないのだろう。やはり滑落などは○を見落として無理な登り方をしたりして(まさに、出だしの自分のように)起こってしまうのではないかと感じた。
後ろの二人も本当にいい人たちで、僕がかなり慎重に行っていて彼らにとって遅いはずなのにも関わらず、適度な間隔を空けてついてきてくれる。夢中になって登っていて写真を撮るのを忘れて、「こんな絶景なのに写真撮ってないやん!」と独り言をいうと「先頭あるあるですね。ゆっくり撮って行きましょう❗」と声をかけてくれる。
なんかここちょい怖いなというところを越えた時に、後ろの二人が「ここ、長谷川ピークだ!」と、岩に捕まりながら声をかけてくれる。「あ、ええなー❗」と自分はもう越えてしまっていて見れなかったので、ワガママにも「ちょっと戻っていいですか?」と一回越えた危険ゾーンを戻りHピークを見に行く。少し登山道から離れている部分に書かれているのでなかなか気付きにくい。「これ撮らんと何しに来たか分かれへん。」とHピークと前方の岩峰が同時に収まるように色んな構図で写真を撮る。その時前方から大きな声が、どうも落石したらしい。何事もなかったよう。
そこからも飛騨側がなかなか強烈に切れ落ちている中、自分に「集中!イージーになるなよ!!」と声をかけながらアドレナリン全開の全集中モードで岩場を攻略していく。たまに、「え!?そっち?」という〇の誘導が出てくるが、集中力が切れないように気を付ける。「重いザックを背負っていると、無理な体勢にならないようにルートどりを考えることが大事です。」とモンベルのお兄ちゃんが言ってたこと思い出しながら進んでいった。
しばらくして、貴重な休憩地点のA沢のコルへ到着。南岳小屋のテント場で見かけた人が先にそこで休憩していた。後ろの二人もすぐ到着。ザックを降ろしてしばし休憩してカロリーメイトで空腹を満たす。しばらく4人で談笑。一度集中力をリセットする。「そういえば唇の日焼けってどうやって防いでます?」「日焼け止め唇に塗っていい自信ないんですよね?」「人によっては北穂から先の方が大キレットより怖いっていうみたいですよ?」「あ、前に行きました。ここよりだいぶ怖かったですね。」「次、どこ行くんですか?」などどいいながら緊張をほぐしていく。
時間的に自信がないので、休憩を軽めに切り上げ先に休憩していた人よりも先に僕が出発する。ここから先は最後の核心の飛騨泣きがある。もうだいぶずーと岩を登ったり下りたりしているので、かなりコツを掴んできて体が自然と動く感じになってくる。結局どこが飛騨泣きかいまいちわからないまま北穂高岳の手前の急登をこなし、ついに大キレットを無事に攻略。出だしの大失敗以外は特段危険な目にも合わずゴールすることができた。
北穂高岳に着くと、ザックを降ろし見晴らしのいい長テーブルにあるベンチに腰掛け、南岳方面を眺める。ここは携帯ガンガン入る。腹減ったなあ、軽食食べたいなあと思い、小屋に入って「軽食やってますか?」と尋ねると、11時からだという。まだ9時半過ぎだったので、軽食は諦めて先を急ぐことに。まずはすぐに、「北穂高岳」の道標がある南峰に到達。写真に道標をおさめ進んで行くと、いきなり長い雪渓が広がっている。ちょうど向こうから雪渓を渡って来たカップルに、「この雪渓大丈夫でした?」と聞くと、「全然大丈夫ですよ!」とのこと、ただ滑るとどこまでも落ちてしまうので、できるだけ岩壁側を歩いたほうがいいですよとアドバイスしていただく。この後は、先ほどA沢のコルで聞いたように、なかなかの危険な下りが続く。ただ大キレットでかなり岩場に慣れることができたので、集中力が切れないようにだけ気を付けて攻略していく。SDカードの容量がかなり残り少なくなっていたので、穂高岳山荘近くになるまでGoPro回していなかったが、もし撮っていたらなかなか面白い映像になったと思う。
地図を見ればすぐわかるのだが、涸沢岳近くになった時に眼下に山荘が見え始め、涸沢山荘なんてのもあるのかなあと思ったら、道標を見るとどうやらあれが2泊目の滞在地の穂高岳山荘だと気付く。こんなに涸沢岳と穂高岳山荘近かったんや!と驚く。せっかくだから涸沢岳のピークも踏んでおくか!とわかりにくい「山頂へ」というペンキに従って左に登り、そのあとは特に〇が見当たらなかったが適当に山頂に登り詰める。きれいな最近付けたような看板がついた道標が山頂にあり、かなり簡素な山頂だった。本当に下の稜線につけられた登山道からすぐにピークを踏める。さあ、あとは穂高岳山王でテント張って今日はゆっくりしよう!と目の前にそびえる奥穂高岳を見ながら斜面を降りていく。なかなかの急斜面のガレ場。歩いていくとヘリポートのHのサークルが近づいてきて、そこにテントが一つ張られている。ネットでヘリポートの辺りがテント場ですとあったので、その辺りにある18番のテントサイトにザックを降ろし受付への向かう。しかしそこから小屋に行く途中にも結構な数のテントサイトがあり、さっきザックを降ろしたサイトはかなり小屋から遠いことに気付く。まだ近くのサイトもほぼ空いている。小屋に着くと受付に二人ほど並んでいた。自分の番になり、テントサイトの予約をしたものですがというと、システムとしてはまずは自分で空いているサイトに荷物を置いて場所を確定させてから受付という流れらしい。なので、戻りながらサイトを物色し、お借りしたサイトをマップをここやなと思った27番に置き、いったん18番のサイトまで戻ってザックを取りに行った。27番のサイトは階段通路わきに設けられていて、奥に26番がある。僕が27番にテントを張ると、ぎりぎり通れるくらいのスペースを渡らないと奥に行けないので、ある意味誰も26番には来ないかなとも期待して27番にしたが、そうは甘くはなく後で26番にも登山者がやって来た。やはりなかなかの人気のテント場なんだな。ただ、南岳小屋のテント場とは違って、狭いわ、岩だらけだわ、となかなかきっちりテントを張るのが難しい。携帯の電波もあまりよくなく、南岳小屋と同じくLINEがぎりぎり使えるくらい。
ザックを降ろしまずは受付へ。するとまた3から4人が並んでいて、やはり初めからシステムを理解していれば無駄な待ち時間を避けられる。自分の番になり、サイト代2000円を払い、ここは夕食折詰テイクアウトが3000円で頼めるのでそれもお願いすることに。今日だけちょっとまともな夕食でもいいよね?と少し贅沢をするが、これが悪夢につながろうとはこの時は全く予想だにしなかった。
受付を済ませ、外に出ると、さっきいっしょに大キレットをやったナイスガイズが外でラーメンを食べていた。「あれ、なんでいるんですか?奥穂行きたいけど時間ないから涸沢に下りるって言ってたような?」「いや、ちょっと時間余裕出たから、行こうって言って来ちゃいました。ハハハ❗」「やっぱりさっきの人が言ってたように北穂からかここまで、大キレットよりよっぽど怖かったですね‼️」などと話しながら「こっからどうするんですか?簡単に涸沢下りれるんでしたっけ?」「こっからザイテングラート経由で1時間半位なので、涸沢でゆっくりしますよ。」
しばし登山話をして、二人と別れて27番のサイトに戻り設営を始める。さっきも書いたように、ここのテントサイトはヘリポート近くの小屋から遠いサイト以外は狭いし岩だらけで基本ペグが使えない。12か所のペグ留めのうち、ペグは数か所しか使えなかった。後はすべて重い岩を利用しての固定。何かに書いていたが、一番大事なペグ留め個所はやはりテントと地面の接する4隅。ここは本当はペクでしっかり止めたかったが仕方がない。しかもレインフライの4隅の張り綱もサイトが狭いため角度をいい感じには張れない。(延長線上よりも少し鋭角に前後側に傾けないといけない。)やはり多少遠くても広いところにすればよかったかなあと思ったが、後に起こった悪夢を考えればここで正解だったことになる。
なんとか岩を駆使してテント設営を完了し、さあ、ビールやな。ここ穂高岳山荘はクレジットカードが使えるのがありがたい。500mlのサッポロを800円で買って、ネオエアーの上で前に奥穂を見ながら堪能。今日は時間的に余裕のあるプランにしていたので、1時前には完全ぐうたらモードに入っていた。本当は今日空荷で奥穂高岳ピストンしようとも考えていたが、まあ明日どうせ通るしええかー、と仰向けになって横になるとうとうとする。すると、奥の26番に登山者が来たようで、ここ来るか〜と思ったが仕方がない。また、誰かの話しているのを聞くと昨日は黒部五郎岳のテント場にいて2時スタートで縦走して、明日ジャンを通って新穂高温泉まで行き、上高地に戻ると言う。すげえな、かつ、新穂高温泉から上高地まで簡単に行けるんや?と、いきなりテントから顔を出して質問する。「新穂高温泉から上高地までどうやって行くんですか?」「バスがありますよ。」「あーそうなんですね。」「いつも車問題悩んでたんで❗」と少しお話させていただく。このかたも、一番最初にジャンから西穂に行ったときはあまりの恐怖に固まってしまったらしい。まずは逆向きで行くかなと思いながら夕食の時間(5時にテイクアウトを取りに行くことになったいた。)までゆっくり体を休める。
山天の事前の予想通り、かなりガスが奥穂側から上がってきて、レインフライにポツ、ポツと雨がたまに当たっているような音が聞こえてきた。まあ、ちょっとは降っても仕方がないかなと思いながら5時10分前になったので夕食を取りに行こうと、テントの外に出るとやはりポツポツと雨が落ちてくる。まあ、念のためレインウェア持ってきてるし着ていくかなとスタッフバックからレインハイカーをだし、身に付ける。まだリアルにレインウェアにお世話になったことはない。
そして、小屋に5時5分前に着いて、小屋番の女性に声をかけると5時ぴったりに用意が出来るという。その時、雨足が急に強まり、みるみるうちに大豪雨になる。え⁉️なにこの凄まじさ。雷鳴も轟く。あ、レインフライの片側まくり上げたままや😣はよ帰らなあかんけど、飯も待たなあかんし、かつ、この土砂降りの中どうやって帰るんや⁉️5時になり、小屋番の方に呼ばれるも雨音がうるさすぎて説明が全く聞こえない。お茶は自分のコップを持参しないといけないとかそんなことを言っていたが正直どうでもよかった。味噌汁は紙コップでの手渡し。ライスとおかずはそれぞれプラスチックのタッパーに入れて手提げアミアミにいれてくれた。早く帰らないとテントが洪水になってまうと小屋の傘を借りてダッシュで戻る。雨はさらに勢いを増し、なんか固い物体が落ちてくる。雹やないか‼️初めてやこんなん😨やはり3000メートルなめたらアカン‼️ 完全にパニック。味噌汁をぼろぼろこぼしながら急いでテントに戻って傘を投げ捨てレインフライの入り口を閉めながらテントに逃げ込むと、床上浸水状態。レインウェアも上しか着ていなかったのでズボンはパンツまでびっしょり。完全にアウトやなこれ。持ってきていた雑巾で水を吸い取り絞ってを繰り返す。幸いにも、床上浸水はテントの入り口側の半分くらいで止まっていて、シュラフなどは無事だった。完全にアホやな俺。山の天気は急変するからレインフライの入り口はテントを離れる時は必ず閉めないといけないということを、身をもって学ぶ。また、翌朝気付いたが、レインフライの後ろ側のペグ留めができておらず、後ろはレインフライとインナーフライがピッタリ接してしまっていて、インナーテントがじっとり湿ってしまっていた。ちょうどシュラフの足が当たる部分なので、シュラフも湿ってしまった。やっぱり、シュラフカバー夏でも必携やなと、色々勉強になる。
また、例のごとく悲愴感がどんどん支配してくる。雨は思ったよりもすぐには止まず、山天からも4時55分に発表で「稜線や岩場、沢沿いからすぐに離れるようにしてください。」のメールが来ていた。アカンな、これひょっとしたら明日1日足止め食らうんちゃうか?そもそもここ稜線ちゃうん?離れられへんしな。明日の重太郎新道えげつないという噂だけど雨で滑りやすい中下りれるんか?あそこ通れなかったら、涸沢経由で帰らざるをえないんかなとかどんどん不安になってくる。携帯の電波も雨のせいなのかかなり微弱になり、たまにインターネット接続がありませんと携帯に出る。びびりまくって妻にLINEし、色々なピンポイント天気予報を調べてもらい、大丈夫そうみたいだが不安感はあまり収まらなかった。ただ、7時頃には雨足は弱まり、その後雨はやんだみたいだった。
明日への不安はそのままだったが、まあ、もう寝ようと濡れた下着を着替え、ズボンもカラビナでテントの天井に吊り下げてシュラフに潜り込んだ。
Day3
次の日の朝、いつも通り4時過ぎに起きた。雨はすっかり上がっている。昨日の7時過ぎ以降は降らなかったみたいだ。テントを出ると朝焼けが奥穂高岳の左側に綺麗にかかっていた。心が洗われる。朝はいつもポジティブな気持ちになれるのは不思議だ。レインフライにはまだびっしり水滴が付いている。これは片付け大変だなと思って前を見ると26番の人の姿はもうなかった。エライ早く出るなと思いながらテントから出て体を伸ばす。朝焼けの写真を何枚か撮り、朝飯でも食うかなと、ジェットボイルを出す。今日は疲労感も貯まってるし、朝からガッツリ食うかなと、モンベルで買ったフリーズドライのドライカレーを開ける。ジェットボイルに火を点けようと、念のためカチカチやるが当然点かない。やはり朝は更に点きにくいようだ。ライターを出しボッと火を点け、あっという間に湯を沸かす。今回は水加減が絶妙でかなり上手にドライカレーができた。後はホワイトシチューをチタンカップにいれ余ったお湯を注ぐ。これも結構うまい。やっとなんか手際よく飯が作れるようになってきた。何事も経験やなと、46にもなって思う。
腹も満たされ、トイレにもいけて(穂高岳山荘のトイレは南岳小屋と違ってかなりワイルド。ボットン形式のフェイク洋式トイレには活発にハエが活動しており、かなりの集中力を要求される。一番右だけリアル洋式トイレで、ここにもハエは生息しているが彼らの活動量はかなり低い。)さあ、撤収するかなと、雨で濡れたテントを雑巾で拭きながら片付けていく。当たり前のことだか、いくら雑巾で拭いても水を含んだレインフライはずっしりと重くなっており、これからの行程に少なからず影響を及ぼしそう。できるだけパタパタ叩いて水気を飛ばしながらスタッフバックに詰め込んでいく。
やっと、全部撤収し山荘の前に行き、サイト使用許可証の札を返し、水を補充する。小屋の外側に天水の蛇口があり、テントサイト使用者は無料で汲むことが出来る。(やっぱり槍ヶ岳山荘グループは割高なのかな?)またチンタラしていたせいで、テントサイト利用者のしんがりになってしまった。みんな本当に手際が良くて羨ましい。小屋の前にいた年配のベテラン登山者の方と少し談笑し同じタイミングで奥穂高岳に登っていく。この方は心臓のバイパス手術を行って登山に復帰したらしく心拍数を測りつつ酸素ボトルを吸いながら登ってらっしゃる。やはり山好きはみんなすごいなあと思いながら、やはり少しペースがゆっくりなようなので、先に行かせていただく。奥穂高岳までの行程は始まってすぐのところだけそこそこの難易度の登りだが、後は普通の道。
あっという間に奥穂高岳の祠が見えてきた。幸い誰もいない。「GoPro遊びは人がいると恥ずかしくてできへんからな。」と誰もいないのをいいことに祠に登ったり下りたりを繰り返す。祠の真正面からの登り下りって、足をかけると幅があまりなくて結構怖い。また祠の台は非常に狭く一人立つのがやっとな感じ。これじゃああんまりうまく自撮り出きんなと思ってふと前を眺めると、いい感じの展望台のような場所があった😆なんやここから祠をカメラに収めるとベストやん?と、そちらから写真を撮ったり、そこにGoProセットして祠に登ったり繰り返す。まだガスもギリギリ許容範囲で、ジャンダルムも綺麗に見えた。残雪期に西穂側から眺めたときはジャンダルムが奥穂高岳と一体化して形が全く分からなかったが、反対から見ると異様な山様が本当に衛兵そのもの。30分も遊んでいたので、さすがに後続者がやって来た。恥ずかしいので、遊びを切り上げ吊尾根に向った。
吊尾根に入る頃には、リアルガスガスに。それほど進むのに支障があるほどの視界不良でなく、しっかり丸は確認できるが、あまり眺望は望めない。右側が切れ落ちている場所が多かったので、そこだけ気をつけて歩いていくと、紀美子平に到着したもよう。そこにいらっしゃった方に、あれ、これもう前穂ですか?と聞くとそうですよ。と答えていただくがなぜかその方が固まっている。すると、「さっきから動けないんですよ、そこに雷鳥がいるので😃」とおっしゃっり、ふと地面に目を移すつと、「おー、初めて見た❗雷鳥ってこんなにでかいんや‼️」二羽の雷鳥が遊んでいた。聞くと、雷鳥は天敵から身を守るためなのか、曇りの日にしかあまりお目にかかれないそう。ガスガスで吊尾根はあまり楽しめなかったが、逆に初雷鳥見れたからネットでプラスやなと大満足。ただ、いかんせん写真が下手くそすぎで、まさに「雷鳥を探せ❗」状態の写真しか撮れなかったのが残念。
前穂は荷物を紀美子平にデポして登れる。ザックを下ろすと昔ドラゴンボールで悟空たちがトレーニングに使っていた重力をコントロールできる部屋から出てきたときのような感覚。力が溢れ出る。猿のように身軽に岩を走り登れる。やっぱり重いザックの負担は相当なもんやなと思いながら、あっという間に山頂へ。ここもあまり山頂では人に会わず、ゆっくり楽しむことができた。下りは、一ヶ所逆層スラブのような箇所があり、登りの時から怖いなあと感じていたが、下りはここで少しだがリアルに滑ってしまいヒヤッとする。
さあー、ここからが最後の山場の重太郎新道だ。色々聞いたり読んだりしたなかで、かなりワイルドな道ということのよう。のっけから滑落注意の文字が岩にかかれているし、実際なかなかの難度の下りが続く。あまり鎖が好きではないので、極力使わず岩を持ちながら後ろ向きで下りる。後ろ向きで下りると相当に危険そうな下りも意外なほど簡単に下りられる、というのが今回の発見。どんどん攻略していくが、疲労の蓄積も激しく、時折昨日の雨のせいもあって滑ってしまう。一度足をぐねってしまって焦ったが、特に痛くならずにラッキーだった。雷鳥広場、岳沢パノラマ、カモシカの立場、と要所を通過し、かなり岳沢小屋が待ち遠しくなってくる。やっとの思いで、岳沢小屋のテント場にやって来た。山特有のよく分からないコバエのような虫がひどい。これは虫除けないとここでテント張るのは無理ちゃう?と思いながら、枯れた岩河原を渡り岳沢小屋に到着。
腹ペコだったので、岳沢小屋でまたもやカレーを注文し、普段は滅多に飲まないコーラも買った。そこで、また登山歴の長そうな東京からいらっしゃった方と談笑。やっぱりソロ登山楽しんでるけど、結局こういう会話が楽しいんだよな☺️
ここからはハイキング道。先ほどまでの緊張感は取れ、気楽に歩いていく。ここは、あまり開けた場所もなく退屈だったが、少なくとも精神的な疲れが取れた。一度ガサガサといい、蛇が出てきたときは、焦ってしまったが😅
ハイキング道も終わり最後は観光客道に。河童橋へと向かう途中、今まで登ってきた北アルプスの山々が全部入った絶景ポイントが現れた❗う〜ん、これなんかずるいな。ここで十分な人も多いんやろうな😓と思いつつも、挑戦的な山行を地図を見ながらプランを立て、無事にやり遂げた満足感に包まれながら、バスターミナルへと最後の道を歩いた。
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