1日で登りきる阿弥陀南稜・行者小屋泊
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- GPS
- 32:00
- 距離
- 15.1km
- 登り
- 1,271m
- 下り
- 1,384m
コースタイム
- 山行
- 11:20
- 休憩
- 0:30
- 合計
- 11:50
天候 | 3/21晴れ 3/22晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2015年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
今回は入山が舟山十字路、下山が美濃戸口だったので、美濃戸口→舟山十字路はタクシーで移動。2300円也 |
コース状況/ 危険箇所等 |
舟山十字路〜立場山 雪の状態は悪く、踏み抜き多数。立場山山頂までの間に100回くらいは踏み抜いた。 旭小屋から南稜の尾根に上がる斜面はすでに雪が溶けている。 立場山までは樹林帯な単調な登り。赤テープ多数で迷うことはない。 立場山〜青ナギ付近は幕営適地多数 P1〜P2 両方ともピーク直下の左をトラバース。P1のルートは雪が溶けていた。P2のトラバースもちょっとだけ下りつつトラバースして抜ける。少しだけ緊張を強いられる。 P3 基部の手前から雪は消えていた。左へのトラバースも完全に草付が露出していたので、あっけなく通過。トラバース終了後、ルンゼの下からは再び雪あり。雪が腐っていている上にところどろろ草付が露出している。 ルンゼ上部はうって変わって氷化した岩と草付。しかも気温が高い午後ということもあって、氷も不安定。前抓もピッケルも氷に刺してもちょっと不安定。思わぬアイスクライミングに。 融雪が進んだからか、先日の南稜遭難事故の際に救助隊が設置したと思われるフィクスロープが露出していた。 ルンゼに沿って50mロープが張られている。ロープに沿うような形で登る。最上部は右の草付と左の岩&草付ミックスに分かれるが、左の方へ。右の草付は一見登りやすそうだが、氷結していてかなり悪かった模様。 また、左に逃げたほうが上部に立木があり、セルフビレイをとりやすい。 フィクスロープより上部5mほど登ったところで、1Pだけロープを出した。ロープで登ったところで尾根筋に合流し、P3終了。 最上部は立木に支点がとれるが、中間部は支点がとれそうな場所はないので、一番急なところのリードはちょっと大変そう。 P4 雪が溶けて、ほとんど岩稜が露出。雪が無いことで逆に左からのトラバースのルート取りに難儀した。特に最初のトラバースが悪い。 上部で確保できる支点がなかなか見つからず、かといって積雪も少ないのでスタンディングアックスビレイもできない。 かろうじてビレイにたえうるピナクルを見つけて、そこを支点とした。 山頂直下 P4通過後、最後は右側をトラバースする箇所があるが、ここの右側は切れ落ちていて、気が抜けない。もっと積雪が多い時期なら通過も苦にならないと思われます。 阿弥陀岳〜中岳沢 かなりの急斜面でしたが、トレース明瞭でステップも階段状に切られていたので、慎重に時間をかけながら下った。 |
写真
装備
個人装備 |
冬山の標準装備
ピッケル1本
ロープ50
ツェルト
ハーネス
安全環付カラビナ
ランナー
スリング5-6本
ヘルメット
ATC
エイト環
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感想
初めての冬季バリエーションルート、しかも1日で登りきったあと行者小屋まで下山する体力勝負の計画でしたが、天候にも恵まれ無事に登りきることができました。
持てる技術と体力を振り絞って、全力で登りきった最高の1日になりました。
今回は途中で幕営せずに、一日で行者小屋まで下りきる計画だったので、荷物は極限まで減らしてザックも32Lのライト&ファストで。
無名峰以降、核心部に迫れば迫るほど雪は少なくなり、ほとんど岩肌が露出。
P1とP2のトラバースは雪もしまっていて、問題なく通過。P3は最初のトラバース部分の雪がほとんど残っておらず、難所もあっけなく通過してしまった。
しかし、その後のルンゼの登攀はうって変わって、雪と氷と岩と草付のミックスに。しかも午後で気温が上がっていたので、アイゼンとピッケルの効きが悪く、なかなか難しい登攀でした。
ここもロープを出すところですが、先日の遭難事故の際に捜索隊が設置したフィクスロープがあったので、途中までなこのロープを時折頼りつつ登り、最上部だけ1P分ロープを出してもらった。
おっしてP4は左をトラバースしていくところ、最初の1歩が嫌らしい。ここでロープを出して慎重に左側をトラバースして、その後雪の斜面を上がっていく。
ところが、確保支点がなかなか見つからず雪も少ないのでスタンディングアックスビレイも困難。なんとか途中でちょうどいいピナクルを見つけたので、そこを支点にビレイした。
P4を超えると、あとは山頂へのビクトリーロード。ただ、1箇所右側をトラバースする部分、岩がせり出している上に足元は200m以上切れ落ちている。ここを慎重に体を抜いて通過すると、あとは雪がたっぷり残る山頂へ。
日も傾き始めた午後4時、夕焼け染まる大迫力の横岳に、存在感抜群の赤岳。遠くには蓼科山も見えた。
達成感に浸っていたかったけれど、日没まで時間もないので、中岳のコルまでの急斜面を慎重に一歩ずつ下り、あとは雪がしまった中岳沢をトラバースしつつ、樹林帯脇を下り、なんとか小屋の夕食前にたどり着くことができた。
冬季バリエーションルートとしては初級でしたが、自分にとっては今シーズン一番の難関ルート。
持てる技術と経験と知力と体力を振り絞って、全力で登りきった1日でした。
一緒に登ってくれた山仲間に感謝です。
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