俎(まないたぐら)掘り当てた‼
- GPS
- 10:17
- 距離
- 12.5km
- 登り
- 1,764m
- 下り
- 1,249m
コースタイム
- 山行
- 9:09
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 10:07
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
オジカ沢ノ頭までに少し危険な箇所がある。特に下りは慎重に |
その他周辺情報 | 前日泊まった土合山の家は日帰り温泉やっていなかったので、少し車を走らせ湯テルメ |
写真
感想
阿寺山登山口への道路を進むと、除雪終了点に来た。そこが駐車場になっていて、先行車が2台止まっていた。時刻は6時45分。ひできちさんはまだ来ていないようだ。「珍しいな…」。ひできちさんはとても時間にきっちりしていて、僕がいつも待たせる立場だったからだ。
この土日月は、ひできちさんと中央アルプス三ノ沢岳独標尾根周回をやるつもりだった。しかし、アルプスは警報級の大雪で、残念ながら中止せざるを得なかった。2人で天気がマシな山域を探し、「阿寺山(南魚沼市)に幕営、そこから翌日入道岳(八海山)までピストンして下山」をプランBとして実行することに決めた。
駐車場から、ひできちさんに「多分着きました」とLINEした。多分というのは、ここは正規の登山口駐車場という訳ではなかったからだ。ただ、ココしかありえないだろう。すると、LINEがすぐに返って来た。「明日では?」。「なぬ⁉?」。LINE時代にはありがちかもしれないが、ひできちさんは日・月、僕は土・日で山行すると勘違いしてしまっていたことが判明した。「折角来たので、阿寺山には行ってみます😅」とLINEを返した。天気は良くない予報で、今日はそのうち雨が降り始め、弱いながらも終始降り続くはずだ。なので今回はモンベルのザックの中にアクアバリアサックを入れてきた。ソロなら正直こんな天候でわざわざ山には行かないだろう。「お気になさらず。今回は来る価値はあまりありません」とひできちさんに伝えたものの、正直この天気で独りで入山するのは心細かった。すると、「今日登るのなら今から行きますよ!」とひできちさんが言ってくれ、「おー!心強いです」と、無理やり来てもらうことにしてしまった。「先に登って整地してます」とLINEを返して、僕は先に山行をスタートした。しかし、今から考えれば、こういう時はパートナーを待つのがセオリーだろう。
スタートでワカンを装着した。スタートからスキーのトレースがあったが、ワカンでないと足がかなり沈みこんだからだ。またワカンを付けるのはものすごく久しぶりで、トレーニングにもなると思った。こんな天気の時は、色んなことを試す以外に山行の価値はあまりない。スタートしてすぐ、スキーのトレースはまっすぐ刻まれていたが、樹林帯に入る所にピンクテープがあり、登山者としてピンクにセンシティブな僕は、目ざとくそれを見つけてしまう。しかしこれが悪手だった。そのピンクテープは恐らく夏道のもので、あらかじめヤマレコで作っていたルートから外れていた。ヤマレコに注意され、結構なラッセルで苦労して予定ルートに復帰した。
その後も重い雪、かつトレーニングで付けたワカンの歩行のせいでスピードが全く上がらない。すると、このトレースの主のスキーヤーが2人、早くも上から滑走してきた。時刻は8時半頃だった。「やっぱりこの後天気崩れるから、朝一勝負してるやん…」。僕の側を滑って通り過ぎる時の彼の顔が「今から登るん?」と、苦笑いしているように感じた。
予報通り、その後雨が降り始めた。重いザックにワカンというのは実は初めての経験で、ラッセルしているわけでもないのに、引き続き全くスピードが上がらない。また標高が上がると、雨が雪に変わり、予報とは違って風が強くなってきた。LINEを確認すると、ひできちさんは僕がスタートした2時間後に早くも登山口に到着し、既にスタートしていたようだった。なかなかLINEを確認する余裕がなく、既にひできちさんがスタートしてから1時間が経っていた。
スキーのトレースの山側が比較的硬かったのでそこを歩いていると、いきなり雪面が割れ大きな穴ぼこに体が半分入り込んでしまった。完全に落ちたら自力脱出できるか怪しい深さの穴だ。必死に出ようとするも、デカザックのせいで中々脱出できない。リアルに恐怖を感じながら、近くにあった木を掴んで何とか這い出ることができた。「これ、やばいな…」。天候は悪化し始め、時折風の轟音が鳴り響いた。当然、猛烈な吹雪になっていた。「これ、完全にアカンやつちゃうか?」。「やっぱり、登山口でひできちさんが来るのを待って、一緒にスタートするべきだったな…」。ますます悪化する天候、恐ろしい穴ぼこ。斜面が雪崩た跡の様にボコボコになっている所もあった。目にするもの全てが恐ろしくなってきた僕は、「俺が登り続ける限り、ひできちさんは必死に追い掛けてくるよな…。これは一旦2人でどうするか相談するべきちゃうか?」。標高1100m弱、時刻は11時半だった。「一旦下りよう」
30分ほど下り、標高870m付近で登って来ているひできちさんと合流できた。彼のザックはレインカバーをしているとはいうもののびっしょりだった。お互い、ウェアやグローブなども多分結構濡れてしまっているだろう。ひできちさんに上部の吹雪の状況などを伝え、予報よりも天気が悪いことを確認しあった。しばらく話し合った結果、このまま山頂に行くことは簡単だが、幕営の為の整地をしている間、ずっと雨に打たれることになること、明日も朝のうちは雨予報なことなどを勘案し、撤退することを決断した。やはりこの季節の雨は、パラパラ予報でも危険なので山行は中止すべきだった。
下山後、お腹が空いていたので、適当にGoogleで検索し、「ごちそうお肉ビストロくう海」に行き、2種食べくらべハンバーグ(税込¥2178)を食べた。南魚沼産コシヒカリの食べ放題が今いる場所を意識させる。2時半頃お店に入ったが、3時が閉店であわただしくお店を後にした。「これでは終われないよな…」とお互い思っていたので、どちらからともなく「ちょっと作戦会議しましょう」と言い合い、近くのマックに移動した。Windy、ヤマテン、お天気ナビゲーターなどを見ながら、近くで楽しそうな山域を物色する。やはり越後の山はどこも明日の早い時間は雨予報だった。そんな中、谷川岳が曇り予報だが雨が降らず、かつ眺望があることに気付いた。「そういえば、まないだぐら行ってみたいんですよね」と僕が言うと、「いいですよ、俺も今年はまだ行けていないので」と、急転直下で今年3度目の谷川岳に意見がまとまった。僕は急いで土合山の家に電話をし、夕食付1泊を押さえた。ちなみに、当日はネット予約は不可で、直接電話しなければならない。
今日は多分誰も西黒尾根は入っていないので、明日はラッセルになるかもしれない。「その場合足が終わり、まないだぐらは難しいかもしれないですね。でも通常なら西黒尾根で肩の小屋まで4時間、肩の小屋からまないだぐらまでの往復4時間、そこからロープウェイ乗り場まで歩いても十分時間に余裕があります」とエキスパートのひできちさんに時間軸を説明してもらった。それを踏まえ、2人で相談し、午前5時スタートに決めた。「明日4時半にはベースプラザに行くようにします」とひできちさんに伝え、明日が最高のまないだぐらになることを期待して、土合山の家へと向かった。
土合山の家に到着し、受付をしている時にお店の人に質問してみた。「今日は谷川岳人入ってそうでしたか?」「今日は殆んど入ってないですね。昨日、結構雪が降ったんですよ、4、50センチくらい。最近雪が多いので、無理しないでくださいね」。その事をひできちさんに伝え、少し早めのスタートにするか相談したが、明日は多分早くから人が入っていると期待し、予定通り5時スタートにした。装備を80リットルのデカザックに詰めるか、20リットルのアタックザックに詰めるかかなり悩んだ。結局、「多少リスクを取って、ラッセルに備えるか...」と荷物を軽くすることに決める。
「明日はたとえラッセルになったとしても俎瑤帽圓ねば...」
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