白馬岳 〜花の稜線へ大雪渓を越えて〜


- GPS
- 29:13
- 距離
- 13.5km
- 登り
- 1,916m
- 下り
- 1,618m
コースタイム
- 山行
- 8:41
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 9:06
- 山行
- 6:07
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 6:41
天候 | 一日目:快晴のち曇り 二日目:快晴のち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
平日だったためか朝5時の時点でもまだ余裕のある感じ |
コース状況/ 危険箇所等 |
≪猿倉〜白馬尻≫ 猿倉荘横からの登山道を登ると猿倉駐車場から登ってくる林道に出て、しばらく林道歩き。白馬尻手前で再び登山道になる。白馬尻まではハイキングコースと案内されているほどなので危険個所無し。 ≪白馬大雪渓≫ 大雪渓の両側の崖から落石してくる可能性有り。足元ばかり見ないで、落石してくる石がないか常に周囲に警戒を。 ≪葱平〜小雪渓≫ ザレた岩尾根の急登区間。スリップや浮石を踏んでの捻挫・落石発生のないように注意のこと。 ≪小雪渓≫ アイゼン無しで渡ろうとしたのか21日には滑落して重傷を負った方がいた模様。面倒でもアイゼンを再装着して慎重に行きましょう。 ≪小雪渓〜村営頂上宿舎≫ 岩がちな道の急登。2か所ほど雪渓歩きがあるがアイゼン無しでも滑落などの危険は無い。下りは滑るので心配な方はアイゼン装着されたし。 ≪村営頂上宿舎〜白馬岳山頂≫ よく歩かれている稜線漫歩の道。白馬岳の長野県側は切れ落ちているので、転落には注意を。 ≪危険動物情報≫ ヤマビル:遭遇せず ヘビ:遭遇せず クマ:遭遇せず。大雪渓以上で熊鈴を付けて歩いていたら、ここからはもうクマはいないので、うるさいから外すように注意を受けた。登山者が多いので心配ないか。 |
その他周辺情報 | ≪トイレ≫ 猿倉荘、白馬尻小屋、村営頂上宿舎、白馬山荘にトイレ有。清掃協力金100円程度必要。途中の避難小屋にはトイレ無し。 ≪商店≫ 猿倉荘、白馬尻小屋、白馬山荘売店で飲料、食料購入可能。村営頂上宿舎は立ち寄らなかったので未確認。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
笛
ヘッドランプ
予備電池
ファーストエイドキット
日焼け止め
保険証
携帯
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
ヘルメット
|
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備考 | 1泊2日程度なら着替えは必要最低限で良かったかも。 山小屋滞在中にはくサンダルなどがあると便利だった。 |
感想
北アルプス後立山連峰の白馬岳。
日本の高山植物の8割、その数800種が見られるので、花の白馬と名高い山。
誰が育てなくても、厳しい環境で美しい花を咲かせる姿に魅せられて以来、一度は登りたいと思っていたこの山に、念願かなって登ることができました(^^♪
今回のお目当ては…
本州ではここと八ヶ岳にしか咲かないウルップソウ
(ツクモグサもこの類の花ですが、時期が遅いので今回は諦め…)
まだきれいなものを写真に撮ったことがない ミヤマオダマキ
一科一属一種の名花 シラネアオイ
その他にもまだ見ぬ花を求めて、大雪渓を越えて、花の稜線へ、いざ発進!
前日から麓の白馬村で前泊し、ぐっすり眠って準備も万端。
登山の予定を立ててからというもの、長梅雨と台風来襲もあってひと月ほどやきもきさせられた天候も、朝起きると空は真っ青。
午後から雷雨の予報なので、なんとか早めに稜線の山小屋へ到達できるように…と思いましたが、写真撮影に明け暮れるいつもの悪い癖がこの山行でも足かせに…
朝5時半に猿倉駐車場に到着。
混雑が心配でしたが、平日のためか十分余裕をもって停めることができました。
準備を整えて、まずは猿倉荘横から白馬の懐の中へ。
ガイドブックで見てきた憧れの地に来たのでテンションも最高潮でどんどん進みます。
林道に出ると谷の彼方には、真っ青な空をバックにそびえる白馬岳が姿を見せてくれました。
あのてっぺんまで行くんだと思うと、いやが上にも気分は盛り上がります。
スタートして1時間、車道が尽き登山道を行くようになると、一登りで大雪渓を望む白馬尻小屋に到着。
目の前には、はるか稜線まで続く白馬大雪渓。ずっと先をあるく先行者が小さく見えました。
これからここを登って行くんだ、と気持ちが引き締まります。
白馬尻では、雪解け後に水気のある場所に咲く、サンカヨウ、キヌガサソウ、そして春の花ニリンソウもたくさん見ることができました。
お目当てのシラネアオイは…小屋番さん曰く、もう終わってしまったよとのこと。
日本海側の多雪地でしか見られないらしいので、リベンジしようにもどこに見に行ったものか…。
でも大雪渓の登りを耐えれば花の稜線が待っているさ、と気を取り直して進みました。
いよいよ白馬大雪渓の雪渓歩き。
はじめてのアイゼン装着。
落石が多いので、ヘルメットもかぶり、落石を発見したら注意を喚起できるようホイッスルも持って、安全に十分気を付けて登り始めます。
先行者の作った段差をうまく使いながら、一歩一歩前へ。
今日は6本爪のアイゼン着用。爪が足の裏に均等につくので、高下駄のような4本爪よりも安定して歩けるように思いました。
赤いベンガラが導くルート上にも大きな落石。
見上げると大雪渓につながる沢は落石の巣のよう。
下ばかり見ないで、周囲にも警戒しながら慎重に進みました。
大雪渓が尽きる葱平には1時間半程で到達。
雪渓上には撮るべき花もないので、ここまでの通過タイムは上々。
しかし、葱平からはお花畑の中を行くので、写真撮影をしているとコースタイムを大幅に下回る有様でした。
葱平から小雪渓まではお花畑の中の岩尾根を登る区間。
葱の平、と言うからには平坦な区間かと思いましたが、なかなか手ごわかった。
涸沢のザイテングラートも、こんな感じなのかな?いや、もっときついか…。
ネギ坊主みたいなシロウマアサツキ、テガタチドリ、クルマユリ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンイチゲ、オオカサモチを撮影しながら鈍足の旅は続く。
小雪渓を経て、稜線までの登りも急登が続くので大雪渓で体力を消耗した後なので忍耐の区間。
しかし、道の両側は稜線まで延々と続くお花畑。
イワオウギ、タイツリオウギ、ミヤマクワガタ、イワギキョウ、ハクサンフウロなど次第に植生は次第に高山のそれに変わります。
村営頂上山荘手前で、お目当てのウルップソウとミヤマオダマキを見つけることができました。
その他にも、拡大するとハッとさせられる美しさのシコタンソウも仙丈ケ岳ではピンボケ写真に終わっていたので見つけられて良かったです。
空がだんだん近づいてきて、行く手の雪渓のさらに上に立つ白馬山荘が見えてくると白馬岳の稜線に到達でした。
到達するのが遅かったので周りはガスって展望は無し。
それでも足元には見事な高山植物のお花畑が続き、登りの苦労が報われるひと時でした。
ウルップソウはたくさんあるものの、すでに盛りは過ぎて色あせたものばかり。
稜線から少し下った村営頂上宿舎付近にまだみずみずしさが残る株がちらほら。
もう少し遅いとみな終わってしまっていたので、間に合ってよかった…。
薄紫色の小さな花がタワー状に連なる不思議な形の花でした。
稜線上では道の左右は広大なお花畑。
イワツメクサ、タカネツメクサ、ミヤマシオガマ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマオダマキ、盛りを過ぎたウルップソウ等々。
きれいなのはいいのだけど、一つ一つを写真に収めて行くとちっとも前に進めないのが難点ですね。
すっかり午後のガスが山を覆う15時過ぎ、疲れた身体を引きずりながら、本日の宿の白馬山荘に到着しました。
標準コースタイム6時間のところかかった時間は9時間なので、これは遅すぎる!
花の撮影に夢中になりすぎないよう、何か工夫をしないと困ったことになりそうですね…。
宿泊の受付を済ませ、部屋に荷物をおいてから山頂へ。
長野県側は切れ落ちているのに、富山県側はなだらかな斜面にお花畑が続く険しさと優しさを兼ね備える白馬岳山頂部でした。
16時45分、白馬岳山頂に到達。
雲はちっともはれないので、山頂からの大パノラマは明日のお楽しみにして、花を撮りながら戻りました。
夕食後、外に繰り出してみると山頂部を覆っていた雲はすっかりなくなり…。
西には富山市街の夜景、北には魚津の灯、日本海の漁火、能登半島の灯りまで見渡せる大パノラマが展開しました。
目を高くあげてみると、空には満点の星。
さそり座や夏の大三角がクッキリと。星々の間にぼんやりと流れるのは天の川。
山の夜、空を見上げると、星ってこんなにあったんだと圧倒されるばかりでした。
ぐっすり眠って、翌朝日の出を見に、再び山頂へ。
混雑が予想されたので、山頂手前の貞逸翁レリーフ付近で日の出を待ちました。
だんだんと色づいていく空、周りの風景も次第に色彩を増してゆき…
4時40分過ぎ、妙高山(?)から太陽が登ります。
朝日を浴びる山々が赤く輝き、雲海も極彩色に染め上げられる時間。
先日の白山に続いて、ここ白馬岳でも世界で一番美しい朝をみることができました。
山荘に戻って、今日の下山に備えておなか一杯朝食を頂き、山頂からの大パノラマを見に、再び白馬岳山頂へ。
山頂からは、西には薬師岳、立山、剱岳、毛勝三山、富山平野の街並み、さらに奥には先日登った白山が雲を纏って。
南には杓子岳、槍ヶ岳、唐松岳、五竜岳などの後立山の山並み。そのはるかかなたには槍ヶ岳といつかは登りたい奥穂高岳。
南東には八ヶ岳連峰、その横に富士山、さらには南アルプス。
東には浅間山、妙高山、黒姫山などの信越の山。
どこまでも蒼く澄みきった空の元、360度の大パノラマが広がっていました。
自分ひとりで見るのはもったいない。
いつかまた大切な人と一緒に来て、この空と大パノラマを見て、感動を分かち合えたら…
と考えていたらせつなくなってきたので、白馬岳山頂に別れを告げて下山開始しました。
白馬山荘出発の折、毛勝三山には虹がかかり、何とも言えない美しさでしばし見とれてしまいました。
空の青、ハイマツの緑、岩の白、咲きみだる高山植物…。
いつかアルプスの稜線を大切な人と一緒に歩くのがささやかな夢のBlueTrainでした…。
花の稜線をあとにし、登りで撮り逃した花を撮影しながら高度を下げて行きます。
急登箇所では捻挫が治りきっていない足を痛め無いよう、慎重に一歩ずつ歩きました。
大雪渓を下る頃には、雲が登ってきて視界が悪くなってしまい…
雪渓上部からの落石が無いか時々後ろを振り返りながら、テンポよく進んで大雪渓も無事通過できました。
今回の会いたかった花
1、シラネアオイ→× 2、ウルップソウ→○ 3、ミヤマオダマキ→○ でした。
次回以降の課題も残りました…。
ツクモグサも探せばあったようですし、ミヤマアズマギクは探すのを忘れてしまいました。
もう少し観察力を磨かないといけないですね。
天候にも恵まれ、咲き乱れる高山植物、山頂からの大パノラマ、夜空を覆い尽くす星、雪渓歩きなどを楽しむことができた、思い出深い山旅になりました。
帰宅して休んでいたその晩、母が心不全を起こして救急搬送され、緊急入院となったのでした…。
私が山に登っているときでなくて本当に良かった。
神様、ありがとうございました…。
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